6月28日のゲストは、ブラジルのシンガー、ドラ・モレレンバウム。
1996年、リオ生まれ。チェロ奏者のジャキス・モレレンバウム、歌手のパウラ・モレレンバウム夫妻のお嬢さんで、幼い頃から音楽に囲まれて育ちました。
2020年、コロナ禍の最中、同級生だった音楽家たちとの共同生活を始め、そこから自然発生的に誕生したのが、4人組のバンド、バーラ・デゼージョ(Bala Desejo)でした。バーラ・デゼージョは2022年、ファースト・アルバム「シン・シン・シン」を発表。ブラジルでも海外でも大評判となり、「ラテングラミー」で、ポルトガル語のコンテンポラリー・ポップ・アルバムを受賞。日本でも「ブラジル・ディスク大賞」の第1位を獲得しました。
2023年、日本を含むワールドツアーを行なった後、バンドは活動を休止。ドラは、ソロ・シンガーとして活動を始め、2022年、リーダーアルバム 「Pique(ピーキ)」を発表。この年、プライベートで来日してこの番組にも出演。スタジオライヴで歌ってくれました 。
そして2026年5月、ギタリスト、ギリェルミ・リリオ(Gulherme Lirio)と、デュオで来日。東京、京都でのライヴは、チケットがソールド・アウトとなる人気でした。
日本との縁も深く、2001年、両親が来日して、坂本龍一さんとのユニットMorelenbaum2/Sakammotoのアルバム「Casa(カーザ)」のリリースライヴを行なった時、5歳を迎えるドラも一緒に来日しました。2014年、再び両親と来日。 伊藤ゴローさんと、父ジャキスのコラボ・アルバム「Rendez-vous in Tokyo」の録音に参加して、アントニオ・カルロス・ジョビンの名曲を歌いました。これが公式のファースト・レコーディングです。そして2021年、「Japão」を作詞作曲して録音。シングルでリリースしました。
「バーラ・デゼージョは、今日のブラジルの新しい音楽のシーンの扉を開くことが出来ました。メンバーのジュリア・メストリ、ルーカス・ヌネス、ゼー・イバーハ、私。さらに、私たちと同じ時代に同じ道を歩んでいて交流があるミュージシャンたち、みんなが一緒に、扉を開いたと思います。オーディエンスは、バーラ・デゼージョを通じて、私たち個々の音楽も知ってくれました。現在進行形の音楽だけでなく、私たちが愛しているけれど、今の時代に紹介される機会が少ない、ブラジルの懐かしい音楽にも、オーディエンスが触れる。私たちは、そんな機会を作ることも出来たと思います」
ドラ・モレレンバウムは、チン・ベルナルデス、ゼー・イバーハと共に、映画「ビトゥーカ ミルトン・ナシメント フェアウェルツアー」に出演。映画のラスト近くで、ミルトンが作詞した曲「Ânima(アニマ)」を歌うシーンがあります。
「ミルトンの息子、アウグスト・ナシメントから映画に参加する誘いを受けて、とても栄誉なことと感じました。というのも、ミルトンは以前から、若い音楽家たちに注目していて、若手を招いてライヴで共演するといったことを、ずっとやってきたのです。アウグストも、若い世代の音楽家がミルトンの音楽を受け継いでいくことを考え、チン・ベルナルデス、ゼー・イバーハ、私を呼んでくれました。
この曲を録音したあと、完成した映画を初めて見て、驚き、感動しました。ミルトンの曲は、私の音楽の形成に、とても自然に、大きな影響を与えてきましたし、彼と音楽の関わりは、とても人間的です。映画の中で、少年時代のミルトンが、ミナスジェライスの山、洞窟の中で、声の響き、エコーを経験するシーンが、とくに印象的でした。
この映画を見て以来、あらためて、ミルトンのいろんな曲を聴くようにしています。私にとって参加できたことは、とても栄誉な体験でした」
ドーラ、チン、ゼーに加え、ミルトン・ナシメントも参加した曲「Ânima(アニマ)」は、2025年リリースの企画アルバム「ReNascimento(ヘナシメント)」に収録されています(Listen/Spotify)。
ドラ・モレレンバウム(vo)、ギリェルミ・リリオ(acg)のスタジオライヴ
滝川クリステルも推し!映画「ビトゥーカ ミルトン・ナシメント フェアウェルツアー」
「“ブラジルの声”と呼ばれるシンガーソングライター、ミルトン・ナシメントが2022年、 80歳を迎える年に行なった、最後のワールドツアーに密着しながら、ミルトンの音楽と人生をたどるドキュメンタリーです。ミルトン自身のほか、クインシー・ジョーンズ、スパイク・リーなど、ブラジルと海外から60名近い人たちが登場してコメントします。タイトルの「ビトゥーカ」、これはタバコの吸殻のことで、ミルトンが幼かった頃、唇を尖らせる癖があったことから、このニックネームが付けられたそうなんです。
本当にたくさんの、世界中のミュージシャンから深く敬愛されているというのが、すごく伝わるドキュメンタリーになっています。いろんなドキュメンタリーを見てきましたけれども、ここまで彼を愛してやまないっていう気持ちがダダ漏れというか(笑)、そういった感じなんですよね。
私が思ったのは、ミルトンの声に、祈りというものがやっぱりあると。音楽を作ることが呼吸なのであれば、舞台で音楽を奏でるのはミルトンにとっては、そして聞く人にとっても、祈りなんじゃないかと。そういう例えがあったんですね。それだけ何かこう、ブラジル人、そしてアフリカ系の黒人の皆さんの心を癒してくれている、偉大なるミルトンなんですね。
もう伝えたいこと、言いたいことがたくさんありすぎて、まとまらないんですけれども、あらためて、ブラジル音楽の素晴らしさ、日本にもない、ほかの国にもない、この国ならではの、根付いているこの音楽の意味の深さというのを考えさせられるので、本当にこれは、ぜひぜひ、見てほしいなあと思った作品です」(滝川クリステル/番組でのコメント)
「ビトゥーカ ミルトン・ナシメント フェアウェルツアー」公式サイト
ON AIR SONG LIST
TUDO QUE VOCE MERECE / MELLY(トゥードゥ・キ・ヴォセ・メレッシ / メリー)
ALBUM [MAIS FORTE QUE A DUVIDA]
ブラジル・バイーア出身、24歳。人気上昇中ののシンガー、メリーのニューアルバムから。
BOLA DE MEIA, BOLA DE GUDE / OS GAROTIN(ボーラ・ヂ・メイア、ボーラ・ヂ・グヂ / オス・ガロチン)
ALBUM [RENASCIMENTO]
7月3日公開、ドキュメンタリー映画「ビトゥーカ ミルトン・ナシメント フェアウェルツアー」。これは映画のサントラ盤ではありませんが、映画の音楽監督ヴィクトル・ポザスがプロデュースし、ミルトンの名曲やレパートリーを新世代の音楽家たちが最新録音した、ミルトンへのトリビュート・アルバム。2025年5月にデジタル・リリースされました。アルバム・タイトル「ヘナシメント」は"再生、再誕/ルネッサンス" を表し、ミルトン・ナシメントの名前もダブル・ミーニング。この曲はミルトンが作曲、フェルナンド・ブランチが作詞、意味は「てまり、ビー玉」。歌はリオ州ニテロイのヴォーカル・グループ、オス・ガロチン。
PARA LENNON E McCARTNEY / MILTON NASCIMENTO(パラ・レノン・イ・マッカートニー / ミルトン・ナシメント)
CD [MILTON(ミルトン)]
1970年盤から、当時10代のロー・ボルジェスがミルトンらと共作、「君は知らないだろうけど、僕たちは黄金、僕たちはミナスジェライスと歌う名曲。映画でも聴けます。
CAIS / MILTON NASCIMENTO, ESPERANZA(カイス / ミルトン・ナシメント、エスペランサ)
CD [MILTON + ESPERANZA(ミルトン + エスペランサ)]
「2024年ブラジル・ディスク大賞」第1位。ミルトンを敬愛するマルチ・アイデンティティのUSAシンガー&ベーシスト、エスペランサ・スポルディングは映画の複数のシーンに出演。ソロ、ミルトンとの共演、コメントなど大活躍です。映画をきっかけに、2024年のコラボ・アルバムへと発展しました。この「埠頭/波止場」を意味する曲について、作詞者のホナウド・バストスがコメントするシーンもあります。
MARIA MARIA / MILTON NASCIMENTO(マリア・マリア / ミルトン・ナシメント)
CD [CLUBE DA ESQUINA 2]
歌詞をご紹介しながらブラジルの名曲の世界にご案内する「ポエジーア・ブラジレイラ」のコーナー。1976年、ブラジル・ミナスのダンス・カンパニー、グルーポ・コルポの旗揚げ公演のために作った、マリアの名前を借りて女性たちを讃えるテーマ曲を、79年のアルバムから。映画ではグルーポ・コルポの中心人物がコメントし、ミルトンがリオとミナスを結ぶ列車に乗っている時に、列車の車輪などの音を聞いて曲のメロディーの一部が浮かんできた、というエピソードも明かされます。
VERA CRUZ / MILTON NASCIMENTO(ヴェラ・クルス / ミルトン・ナシメント)
CD [ANGELUS(アンジェルス)]
リオとミナスを結ぶ列車の名前がヴェラ・クルス号。この曲も列車の音からインスパイアされて生まれました。60年代末にミルトンが作詞作曲、これは94年の再録音で、共演はハービー・ハンコック。パット・メセニー。この2人も映画にコメンテイターとして登場。ミルトンとハービー・ハンコックがライヴで共演するシーンもあります。
VENHA COMIGO / DORA MORELENBAUM(ヴェーニャ・コミーゴ / ドラ・モレレンバウム)
CD [PIQUE(ピーキ)]
後半はドラ・モレレンバウムがゲスト。「2024年ブラジル・ディスク大賞」第4位にランクインしたドラのファースト・フル・アルバム(MORE INFO)から。
ÂNIMA / TIM BEERNARDES, ZE IBARRA, DORA MORELENBAUM, MILTON NASCIMENTO(アニマ / チン・ベルナルデス、ゼー・イバーハ、ドラ・モレレンバウム、ミルトン・ナシメント)
ALBUM [RENASCIMENTO]
今日の2曲目と同じ最新録音のトリビュート・アルバムから。作曲ゼー・ヘナート、作詞ミルトン・ナシメント。映画「ビトゥーカ ミルトン・ナシメント フェアウェルツアー」の実質的なラスト曲として流れ、ドラ、チン&ゼーが歌うシーンもあります。
TALVEZ / DORA MORELENBAUM(タウヴェス / ドラ・モレレンバウム)
[STUDIO LIVE @ J-WAVE]
プロデューサーとしても活躍しているリオの敏腕ギタリスト、ギリェルミ・リリオとのデュオで、スタジオライヴ生演奏。アルバム「PIQUE」に入っている、ドラとトン・ヴェローゾが共作した曲です。
PETRICOR / DORA MORELENBAUM(ペトリコール / ドラ・モレレンバウム)
[STUDIO LIVE @ J-WAVE]
スタジオライヴでもう1曲。これもアルバム「PIQUE」に入っている、ドラとトン・ヴェローゾが共作した曲です。