SAPPORO BEER OTOAJITO

COLUMN SAPPORO BEER "OTOAJITO" COLUMN

ブルース・スプリングスティーン『チャプター・アンド・ヴァース』

『ボーン・トゥ・ラン ブルース・スプリングスティーン自伝』が、かなりインパクトのある内容だった。ひとりの偉大な人物のヒューマン・ストーリー、これから音楽で身を立てたいと思う方への教科書、ロック・スターの本心・・・、様々な角度から楽しめる。(ゴーストライターはいなかったと思う)スプリングスティーンの文章力も魅力的だった。本作はその自伝刊行に合わせた、スプリングスティーンの自伝的選曲という興味深いベスト・コンピレーションだ。発売日は、スプリングスティーンの67歳の誕生日に合わせられた。全18曲中、未発表曲は5曲。M1からM5がデビュー直前までの音源を10代の時から、ほぼ時系列的に並べてある。最初は、シンガー・ソングライターでなく、ギタリスト志望だった10代の楽曲も入っている。あくまでも自伝に合わせた作品なので、「成長するってこと」、「7月4日のアズベリー・パーク(サンディ)」など、普通のヒット曲を集めたベストに入っていない曲もあり、これも自伝と合わせて聴くと面白い。デビュー前の10代の頃の「ベイビー・アイ」など、スプリングスティーンの皆が知っている前のスタイルの曲と、超一流のロック・スターとして名を広めている現在に近い「レッキング・ボール」まで時系列的に聴き進んで行くと、スプリングスティーンの音楽の成長、進化と同時にロック・スターとしての自覚の成長もこのアルバムから伝わってくる。例えば、アルバムでは8曲目、選曲構成的には、デビューしてからの3曲目となる「明日なき暴走」さえも、彼の長いキャリアの中の進化の過程の1曲だったことも何となく伝わってくる。出来ることなら、自伝を読んでから聴くことをお奨めしたいが、このアルバムだけでも、ブルース・スプリングスティーンという偉大なミュージシャンの初めから現在までは、充分に伝わってくるだろう。