OTOAJITOには2023年以来、
3年ぶりのご出演となった高木さん。
1995年生まれ、神奈川県出身、
フラメンコギタリストの父と、
フルート奏者の母という音楽一家に生まれ育ち、
2015年にBREIMENの前身となるバンドを結成。
インディーレーベルでの着実な活動を経て、
前回出演後、2024年に
メジャーデビューを果たしました。
メジャーデビューからおよそ2年が経過した今、
その環境の変化について、
高木さんは率直な胸の内を話しました。
「どうなんでしょうかね。別にメジャーから出そうが、
インディーから出そうが、
それがどっちがどうとかって、
あまりないとは思うんですけど、
親戚とかからの評価の差が出るというか(笑)」
音楽一家である高木さん自身の身内はともかく、
他のメンバーの親族たちにとっては、
メジャーという肩書きは安心材料になると述べました。
BREIMENへの集中とメンバーの広がり
バンドメンバー個々の活動にも変化があったそう。
これまでTENDREさんや、Tempalayのサポートなど、
BREIMEN以外のプロジェクトでも活動していた
高木さんですが、近年は外部の
サポートワークをセーブし、
BREIMENに集中していたとのこと。
ただ反対に他のメンバーは、
外部での活動が増えているそうで、
クリス・ペプラーが
「祥太くんがBREIMENのことを考えて減らしてるのに、
他のメンバーがBREIMENを顧みずにどんどん勝手に……」
と述べると、高木さんは笑いながらも、
「俺的にはむしろすごく嬉しいんです。
みんなプレイヤーとして素晴らしいですし、
各々がプレイヤーとして認められた
証拠だと思っています」と語りました。
サポートでの活動を減らし、
BREIMENの他は、セッションに参加することも
多いと語った高木さん。
「BREIMENを始める前、
自分が元来楽しんでいたベースの感覚を取り戻して、
ベーシストとしての自分を省みる期間でもありましたね」
と前回のご出演から今回までの3年を振り返りました。
話はそこから、
ベーシスト同士ならではのトークへ展開。
高木さんがセッションで共演する
SOIL&"PIMP"SESSIONSのピアニスト
丈青さんの名前を聞き、
ウッドベースが思い浮かんだクリス・ペプラー。
高木さんが使用しているのは5弦のエレキベースで、
「ウッドは昔やろうと思って、
買ったまま家に眠っています」と明かしました。
そんな高木さんが魅了されたのは、
グレコ製のバイオリンベース。
「一応ジャパンヴィンテージ寄りのやつで、
一時期すごくハマりましたね。
意外とサンダーキャットの音みたいのが出るんです。
サンダーキャットの6弦ベースもホロウボディで、
バイオリンベースもホロウボディじゃないですか。
空洞であることに意味がある気がして、
質感として近いものが鳴るんです」
ちなみに5万円ほどで手に入れたという
そのグレコのバイオリンベースは、
BREIMENの楽曲「BALLOON」や、
TOMOOさんとの楽曲「ファンキースパイス」の
レコーディングでも使用したとのこと。
「最近注目しているベーシストっていますか?」
という質問に、高木さんはブラジル出身のベーシスト、
ムニール・ホスン(Munir Hossn)の名を挙げました。
「リー・リトナーのバックとかもやってる人なんですけど、
凄まじくテクニカル。でもそのベクトルが、
ブラジルという土地柄なのか、
ファンキーで独特の訛り、方言があるんです。
タイム感や節回しに強烈な癖があって、
現代版リチャード・ボナっぽい感じがあります」
自らもベースを弾きながら歌う
“ベースボーカル”というスタイルの高木さんにとって、
ムニール・ホスンの演奏は大きな刺激なんだそう。
「自分で作った曲でも、
いざレコーディングで歌おうとすると
『むずい!』ってなる。でもムニール・ホスンの
動画を見ると、『あ、人間ってここまで行けるんだ、
限界はないんだな』と思うんですよね。
希望でもあり絶望でもありますけど、
練習すれば出来るんだと思わされます」と語りました。
他にも高木さんは同じく
Instagramで見つけたという、
Imaginary Tricksというユニットを紹介しました。
今年フジロックに出演した
アンジーヌ・ド・ポワトリーヌを引き合いに出し、
「彼らの音を聴いて思うのは、
本当の意味でのオルタナティブだなと。
これまでに音楽の歴史で形成されてきた
『気持ちいいフォーマット』をすべて知った上で、
そこからあえて脱却しようとしている。
今の時代は世間と隔絶して、
新しい音楽を生み出すのは情報量的に
不可能に近いんじゃないかなと。
だからこそ、ありとあらゆるフォーマットや
情報を知り尽くした上で、
それを脱却しなければ新しい表現には
辿り着けないじゃないかって思うんですよね」
と話しました。
高木祥太さんが思う、
“完璧なアルバム”についてのお話も。
『大変悩みましたけど』と前置きした上で挙げたのは、
マイケル・ジャクソンの『オフ・ザ・ウォール』でした。
「ベースを始めたての頃に、
ものすごくコピーしたアルバムです。
1曲目の「Don't Stop 'Til You Get Enough」の
オープニング感、何かが始まるワクワク感から、
中盤の「Girlfriend」のような心地よい
ミドルテンポまで完璧。
マイケルがプロデューサーのクインシー・ジョーンズと
組んだ最初の作品ですが、クインシーの持つ
ジャズの素養と、マイケルの特異なボーカル、
シンガーソングライターとしてのポップネスが
完璧に融合している。
そしてベースはルイス・ジョンソン。
音楽的な成熟と、誰もが楽しめるポップスとしての
魅力が同居していて、この10曲の中に、
ポップミュージックの美味しいところが
すべて詰まっています。
本当に余すところなく良いアルバムです」と紹介しました。
そんな高木さんがこれまでに観て、
特に印象に残っているライブはなんなのでしょうか?
「人生で初めて行ったフェスで見た、
レッド・ホット・チリ・ペッパーズですね。
サマソニで、ギターがジョシュに代わったタイミング。
ベースを始めて間もない頃で、
自分自身がフェスに出るようになるなんて
想像もしていなかった。純粋にファンとして、
目の前に現れたスーパースターに
ただただ熱狂したので、
あの純粋な感動を超えるライブは、
自分にとって二度とないのかもしれません」
レッチリのフリーからも影響を受けているという高木さん。
「フリーはベースという楽器、
そしてファンクという音楽をポピュラーにしましたよね。
フリーがTiny Desk Concertで披露した
ジャズのライブを観たんですけど、
それもめちゃくちゃ格好良くて、
ミクスチャーロックのベーシストという枠を超えて、
純粋な一人のプレイヤーとして、
とてつもないスーパーミュージシャンなんだって
再認識しました」
さて、この番組では、
「大人の☆生 サッポロ生ビール黒ラベル」を
飲みながら音楽トークをしていることにちなんで、
ゲストの皆さんに「大人になった1曲」を伺っています。
この質問で高木さんが選んだ1曲は、
フジファブリックの「若者のすべて」でした。
「10代後半からずっと聴き続けている曲なんですが、
年齢を重ねるごとに
聴こえ方が全く変わってくるんです。
若い頃は胸に突き刺さるような切なさがあったのが、
30代を迎えた今聴くと、時間の移ろいや
感覚のグラデーションがより深く、
客観的に理解できるようになってきた。
大人になるって、周りから大人として扱われて、
自覚するものだと思うんです。
周りが自分を大人として見る中で
この曲を聴いた時、昔とは違う響き方をする。
その変化こそが、
大人になった証拠なのかなと感じますね」
高木さんがベース/ボーカルを務めるBREIMENは
ニューアルバム『MEN in the mirror』を
11月25日にリリースします。
「ステージに立つ自分、大人として見られる自分、
他者から向けられる視線によって、
自分という人間はいくらでも多面的に変化する。
自分自身は変えていないつもりでも、
角度によって見え方が全く異なる。
そして作った曲を並べた時に、
楽曲の一つひとつが自分を投影する
手鏡のように思えたんですよね。
鏡という普遍的なモチーフに、
BREIMENの『MEN』、そして『面』を重ねました。
あとはマイケルのタイトルを”文字る”遊び心も含めて、
僕ららしいかなと」
先行配信曲としてリリースされた
「さよならリバー」には、バンドの10年の歩みと、
高木さん自身の人生の節目が刻まれているそう。
デモ音源が制作されたのは高木さんが
30代を迎えて間もない頃。
「20代の記憶が鮮明にあるうちに、
20代という時代に別れを告げる曲を
どうしても書かなければいけないと、
自分に課して生まれた曲です。
そしてBREIMENの前身時代、
最初にリリースした楽曲が、
美空ひばりさんの『川の流れのように』の
カバーだったんですよね。そこから
『川』というモチーフも浮かびました。
日本的な情緒を持つグッドミュージックの良さと、
僕らのルーツであるファンクの踊れる
グルーヴを合わせた、僕ららしさがありながら、
同時に新しい扉を開くような
楽曲を目指しました」と解説しました。
さらに、BREIMENは今年6月から
マンスリー・フリー・ライヴ企画
『GACHI(ガチ)』を開催しています。
会場に選ばれたのは、
なんとボウリング場の「笹塚ボウル」。
「去年、BREIMENはライブの本数が少なくて、
久しぶりにステージに立った時に
『コンスタントにライブをやり続けたい』
っていう思いが強くなったんです。
それと同時に、メンバー全員とずっとやってきた、
セッションの感覚を取り戻したかった。
それなら、月1回のペースで、
リハーサルもセットリストも一切決めず、
その場で全てが巻き起こる
完全なセッションライブをやろうと思って始めました」
毎回2時間程度を予定しながらも、
遊びに来た仲間のミュージシャンが
飛び入りでセッションに加わるなど熱を帯び、
気づけば2時間半から3時間半にも及ぶ、
長丁場のセッションとなっているそう。
「フリーライブなのに、
お金をいただいているライブより
長くなっちゃって(笑)。
SonicOn(ソニックオン)さんという
アプリが協賛についてくださっていて、
そのおかげで、フリーライブが実現できています。
リハもセトリもないからこそ、
僕ら自身も毎月何が起こるか分からなくて
本当に楽しい。なんなら一生
続けていきたいイベントです」
『GACHI』には応募が殺到し、
毎月抽選となっているとのこと。
大阪での開催も予定されており、
今後さらに注目を集めそうなセッションイベントです。
詳しくは、BREIMENのHPやSNS、
SonicOn(ソニックオン)のアプリを
チェックしてください。
BREIMENの情報はこちらから
次回10月24日は、
日本を代表するキーボーディスト、
難波弘之さんをお迎えします。
山下達郎さんほか、多くのレジェンドアーティストと
共演してきた難波さん。
鍵盤生活50周年を迎えた難波さんに、
これまでのこと、これからの音楽生活のことなど、
じっくり伺います。次回もぜひ、お聴きください!

クリームチーズいぶりがっこ
前回は「いぶりがっこおかき」を持ってきてくれた高木さん。
『いぶりがっこが本当に好きなんです。
あとビールには燻されたものが合うと思って、
王道をちょっと持ってきちゃいました』(高木さん)
もちろん黒ラベルとの相性はバッチリ!
いぶりがっこを食べる気持ちのいい音が
スタジオに響きました。

Them Changes / Thundercat
Son pa ti / Munir Hossn, Israel Morales
Where's My T-Shirt / Imaginary Tricks
Don't Stop 'Til You Get Enough
/ Michael Jackson
The Adventures of Rain Dance Maggie
/ Red Hot Chili Peppers
A Plea / Flea
若者のすべて / フジファブリック
Rolling Stone / BREIMEN
さよならリバー / BREIMEN
Get Off / Foxy
高木さんとのトークを受けて
クリス・ペプラーが
選んだ1曲はこちら!