※高嶋さんの高は、はしごだか が正式表記
高嶋さんは1934年生まれの現在92歳。
1959年に東京芝浦電気レコード事業部、
のちのEMIミュージック・ジャパンに入社されます。
1960年代には、日本でビートルズの
初代担当ディレクターとして、日本市場での
“仕掛け人”となり、初期の代表曲の
日本語タイトルを命名されています。
その後、ザ・フォーク・クルセダーズや黛ジュンさん、
由紀さおりさんなどのヒット曲を手がけ、
現在は高嶋音楽事務所のトップとして、
Jクラシックアーティストの活動をサポートされています。
ビートルズの「抱きしめたい(I Want To Hold Your Hand)」、
「ノルウェーの森(Norwegian Wood (This Bird Has Flown))」、
「涙の乗車券(Ticket To Ride)」などを命名した高嶋さん。
「(当時は)基本的に外国曲は邦題をつけてましたね。
映画もそうでした。「I Want to Hold Your Hand」は
「手を握りたい」だと、迫力ないですよ。
今じゃ電車の中で抱き合っている男女もいますが、
人前で手を握るのも…っていう時代に
「抱きしめたい」って言ったわけです」と紹介しました。
「ノルウェーの森」というタイトルについてのお話も。
「もともとは「Knowing She Would」っていう
タイトルだったそうで、下品な意味なんです。
それをジョン・レノンが(言葉遊びで)
「Norwegian Wood」に変えたと。
あとはプロデューサーのジョージ・マーティンが
変えたという説もあるんですが、
世間的には高嶋は英語を知らないから、
"ノルウェー製家具"、"ノルウェー製材木"を
"ノルウェーの森"にした、とささやかれているんです。
でもアメリカのアーティストに訊いたら、
"ノルウェーの森"と訳しても
問題ないって言っていましたね。
"ノルウェー製家具"とか、"ノルウェー製材木"だったら、
村上春樹さんの小説は生まれてませんよ」
クリス・ペプラーが初めて買ったレコード、
由紀さおりさんの「夜明けのスキャット」の
タイトルを決めたのも高嶋さんだそう。
最初はある番組で使用されていた
インストゥルメンタルの楽曲で、
ルイ・アームストロングのスキャットが
生まれたきっかけを参考にして、
スキャットを取り入れたと明かしました。
そんな高嶋さんが初めて買ったレコードは
「白鳥の湖」だったそうです。
「中学か高校でしたかね。
仲良くしていたお嬢ちゃんが、
バレエを習っていたんですよ。
やっぱりバレエっていったら「白鳥の湖」ですからね。
カッコつけるために
買ったんじゃないかと思います。
せこいですね(笑)」と話しました。
ナポリ民謡が好きだったという高嶋さん。
そこから当時レコード店でオペラを勧められ、
イタリアのオペラ歌手、
マリオ・デル・モナコの
レコードを購入したとのこと。
収録当日は、なんとそのレコードを持参し、
クリス・ペプラーはその貴重さに驚いていました。
「50年代で2300円なんです。
僕の最初の東芝の給料、
いくらだと思います?1万2000円ですよ。
だから、当時はLPの端を持ってね、
手でつかないように、大事に扱って、
大事に聴いていました。」
レコードのライナーノーツに注目したクリス・ペプラー。
「海外のレコードはあまり、
アーティストや曲の情報は
そんなに載ってないですけど、
日本はその辺り、綿密ですよね」と述べると、
高嶋さんは
「そうですね。ビートルズは
『サージェント・ペパーズ』の時に、
初めて歌詞が付いたんですよね。
僕は日本でビートルズの歌詞を知り合いの
駐留軍の兵隊に教えてもらって載せていました。
いくら彼らでも聞き間違えるから、
最初は間違ったまま
載せていたと思いますよ」と告白しました。
1966年のビートルズの武道館公演、
初来日から今年で60周年。
羽田空港で法被を着た写真が有名ですが、
高嶋さんはファンクラブの
高校生たちを空港まで連れて行ったそう。
「タラップに上がったら、
しばらくして飛行機が着いて、
彼らはそこに止めてあったキャデラックに乗って、
都心に向かいました。
でも、僕は自分でタラップから彼らが
飛行機から降りてくるのを見たと言ってますけど、
自分で嘘じゃないかと思ってるんです。
とても暗かったんですよ。
あとでテレビで見て、俺見たよ!とかね。
それで見た気になったんじゃないかな」
と当時を振り返りました。
数々の洋楽の邦題を命名してきた高嶋さん。
ご自身が担当された以外で、
好きな邦題について伺いました。
「キングレコードのカワイさんっていう、
カンツォーネ専門のディレクターが名付けた
「頬にかかる涙(Una lacrima sul viso)」、
あとは「花咲く丘に涙して
(Le Colline Sono In Fiore)」ですかね。
タイトルを付けるのが上手いんですよ。
僕より歳がね1つ上だったかな、
早く亡くなられたんですが、
僕の尊敬するレコード会社のディレクターです。」
他にもエルヴィス・プレスリーの邦題をつけたことや、
1970年にラスベガスの公演を観たことなど、
さまざまな出来事を臨場感たっぷりに
語った高嶋さんですが、
プロデューサー/ディレクターとして、
ターニングポイントとなったのは、
ビートルズの武道館公演だったそう。
「ブライアン・エプスタインっていう
彼らのマネージャーにも会ってね、
オーラにやられたんですよ。
でも、その後に全体的にだんだん
腹が立ってきまして。
俺がやったから売れたんじゃないか、と(笑)
ちょっと自惚れもあったんでしょうが、
そこでビートルズの担当ディレクターを辞めて、
日本のアーティストを手がけるようになったんです。」
昔は洋楽と邦楽の売り上げの比率が、
85%が洋楽を占めており、
は邦楽が上回ったとのこと。
宇多田ヒカルさんがヒットした際は、
自分が担当した訳ではないが、
達成感があったと振り返りました。
それでも最近も洋楽には良いものが多いため、
それを売り出さない現在の
洋楽プロモーターへの苦言も呈していました。
そして、最近注目するグループとして、
ご自身がプロデュースする1966カルテットを紹介し、
この番組恒例の質問へ。
この番組では、
「大人の☆生 サッポロ生ビール黒ラベル」
を飲みながら音楽トークをしていることにちなんで、
ゲストの皆さんに「大人になった1曲」を伺っています。
この質問で高嶋さんが選んだ1曲は、
マリオ・デル・モナコの
「ある日青空を眺めて」でした。
「この歌詞は、フランス革命が
控えた頃の話なんです。
マッダレーナというお嬢さんが、
アンドレア・シェニエという詩人に、
『あなたは詩人なら、愛について語りなさい』
って言うんです。そうすると、
アンドレア・シェニエが
『愛とはそういうものじゃない』
と話し始めるんです。それに、
ものすごく感動したんですよね。
この歌に感動したことに、
俺もちょっとは分かるように
なったかなと思ったんです。」と紹介しました。
そんな高嶋さんがなんとシンガーとして
デビューされました。
デビューシングルは「君のいない朝がくる」
作詞は北山修さん、作曲を都倉俊一さんが
担当されています。お二方とも
高嶋さんが担当されたアーティストで、
楽曲は亡くなられた?嶋さんの
パートナーについて書かれたものだそう。
「9年ぐらい前に家内を亡くしましてね。
家内とは外でもよく喋りますし、
家に帰ってもよく喋るんです。
2人ともね、人の悪口言うのが大好きでね。
亡くなってからね、ふっと、
『そうか、もう君はいないんだ』と。
それで、この歌の話があった時に、
普通は北山修さんにタイトルも
考えてもらうんですが、
このタイトルは私が考えました」
92歳でシンガーとしてデビューした高嶋さんは、
今の音楽界をどう感じているのでしょうか?
「作品の中身はともかくとして、
アメリカまで行って活動している人が、
いっぱい出てきていますよね。
それは素晴らしいことですよ。
ただ、後世に残るような曲を、
やっぱり発表してほしいなと、
偉そうに思っています」と話し、
この日のトークを締め括りました。
高嶋弘之さんのデビューシングル『君のいない朝がくる』の情報はこちらから
次回7月18日は、ピアノトリオバンド、
Omoinotakeからベーシスト、
福島智朗さんをお迎えします。
"エモアキ"という
愛称で親しまれている福島さんは、
これまでどんな音楽に
影響を受けてきたのでしょうか?
次回もぜひ、お聴きください!

チーズ&スペアリブ
高嶋さんがお持ちになったおつまみは
チーズとスペアリブ!
スペアリブは事務所の近くで食べられる
お気に入りの1品だそうです。
どちらも黒ラベルとの
コンビネーションがバッチリ!

涙の乗車券
抱きしめたい
ノルウェイの森 / The Beatles
夜明けのスキャット / 由紀さおり
白鳥の湖 Op. 20 第2幕 第10番 情景(モデラート)
/ Andre Previn & London Symphony Orchestra
Luisa Miller, Act II: Quando le sere al placido
/ Mario del Monaco, Alberto Erede, & Santa Cecilia Academy Orchestra, Rome
Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band
/ The Beatles
Rock?'n'?Roll Music / The Beatles
Una Lacrima Sul Viso / Bobby Solo
この胸のときめきを
/ Elvis Presley
See See Rider (Live) / Elvis Presley
恋のハレルヤ / 黛ジュン
フール・オン・ザ・ヒル / 1966カルテット
Un Di All Azzurro Spazio
/ Mario del Monaco
君のいない朝がくる / 高嶋弘之
Us And Them / Pink Floyd
高嶋さんとのトークを受けて
クリス・ペプラーが選んだのは
ピンク・フロイドのアルバム
『狂気』からの1曲!