前回OTOAJITOにご出演いただいたのは2020年。
当時はコロナ禍でリモート収録だったため、
スタジオでの対面は2014年以来、
11年ぶりとなりました。
2020年の出演時には、
山小屋を購入したというお話もされていましたが、
この日も山小屋から収録のために
東京に来たとのことでした。
この5年間でよく聴いたアーティストとして、
森山さんが名前を挙げたのは、
シンガーソングライター、ピアニストの森ゆにさん。
「山梨に拠点を置いて、
自立した音楽スタイルで活動している方なんですが、
声の存在感、言葉のあり方、録音のスタイル、
とても豊かなんですよね。山小屋にいると
自然の音があるので、音楽って必要ないんですよね。
言葉を選ばずに言うと、ノイジーなものを欲しない。
でも、ゆにちゃんの音楽はそんな空間に
ふっと寄り添ってくれる心地良さがあります。」
続いて、今、素敵だと感じている
ミュージシャンとして、眞名子新さんを紹介。
「彼はカントリーをやっているんですけど、
僕より下の世代がある種、
オールドミュージックをやっていることに
キュンキュンしちゃうんですよね。
流行に逆行しながら、
『自分にはこれしかない』みたいな感じ。
そして声が良いんですよね。
ピッチも良い。」と絶賛しました。
また、以前の出演時にも名前が挙がった、
尊敬するフォークシンガー・友部正人さんとの
思い出も語られました。
「友部さんは、まるで吟遊詩人が
ギターを片手に朗読し、
それが歌になっているような方。
節目節目にお会いするたびにお言葉をいただいて、
僕がよく覚えているのは20歳前後の頃ですね。
その当時は、戦うような姿勢でわー!って
マイクに向かって歌っていたら、友部さんが
『森山君、本を読むように歌えばいいんだよ。』
って言ったんです。
その時の言葉は季節を変えるごとに、
僕の中で変化していくんですが、
その変化も許容してくれる。
友部さんが発するものは、
すべて未来に向かっている。
だから音楽も色褪せないんだと思います。」
と語りました。
この流れから、ステージで自分の世界観を
作り出すことに長けている人の話へ。
クリス・ペプラーと森山さんが
共通して名前を挙げたのは、
レディオヘッドのトム・ヨーク。
森山さんが
「レコーディングをやっていても、
何万人の観衆の前で歌おうとも、
根本にある、個人的なあり方は
何にも変わらないですよね。」と語ると、
クリス・ペプラーは
「トム・ヨークの話って前回はしてないですよね?
本当にちょうど
トム・ヨークのことを考えていたんですよ。
彼は自分のために歌っているじゃないですか。」
と共感し、盛り上がりました。
中学時代は姉の影響でパンクも
よく聴いていたという森山さんですが、
自ら夢中になったのは、
ニール・ヤングなんだそうです。
「ニール・ヤングは、存在そのものが音楽という感じ。
僕は逆立ちしても、そんな存在にはなれないから、
とても興味深いアーティストです。
『ハーベスト・ムーン』や『グリーンデイル』
というアルバムはよく聴きました。
ド派手ではないかもしれないけど、
常にチャレンジしていく姿勢に共感しています。」
ニール・ヤングによる演劇の要素を取り入れた
コンサートも観に行き、感銘を受けたという森山さん。
大学生の頃には劇場でアルバイトもしていたようで、
そこで出会った作品についてもお話いただきました。
「本当はアルバイトなんで、
演劇をじっと見ちゃいけないんですよ。
でも印象に残っているのは、
中島みゆきさんの『夜会』という作品。
みゆきさんが演技をしたり、歌ったり、
踊ったりするんですが、ミュージカルでもなく、
コンサートでもない、
『夜会』としか言えないんですよね。
そのカテゴライズされない感じに衝撃を受けました。」
そこからバイト以外でも様々な劇場に足を運ぶようになり、
それらは創作のモチベーションにもなっていると話しました。
さて、この番組では
「大人の☆生 サッポロ生ビール黒ラベル」
を飲みながら音楽トークをしていることにちなんで、
ゲストの皆さんに「大人になった1曲」を伺っています。
この質問で森山さんが選んだ1曲は、
新しくリリースしたアルバム
『Yeeeehaaaaw』に収録されている
「赤い鳥」という楽曲でした。
「自分の曲で申し訳ないんですけど、
この曲を作っていくと、
母の声が聴こえてきたんですよね。
それで、『忙しかったら本当に
断ってもらっても大丈夫なんだけど…』
っていう感じで、お願いしたら、
結構食い気味で「いいわよ」って言われて(笑
コーラスって、メインのボーカルを立てるというか、
少し斜め後ろから援護するっていう……
でも完全に母親の曲になっているんですよね(笑)
まあでもそうじゃないですか、
ジョニ・ミッチェルもそうだし、
彼女がどこにいようがすごい存在だし、
母親の場合も例外じゃなくて。
何の因果か僕も同じ道を歩んで、
親子としては本当に色々あったんですけども、
この曲を今この歳になって無邪気に、
一緒にレコーディングに
参加してくれている状況を見た時に、
自立というか、大人っていうか、
シンプルに親子なんだけど、
一人の音楽人として交われた1曲ですね。」
そんな森山さんは10月に2枚のアルバム『弓弦葉』、
そして『Yeeeehaaaaw』をリリースされました。
『弓弦葉』は内省的で
アンビエントなたたずまいのアルバム。
『Yeeeehaaaaw』は祝祭的で
開放感のあるサウンドのアルバムとなっています。
2枚同時リリースしたことについて
森山さんは意図を語りました。
「本当にいろんなところで聞かれて、
その都度考えて答えているんですけど、
同時じゃないと、きっといけなかったんでしょうね。
別々に作るっていうことに
意味を感じなかったんですよ。
同時にリアルタイムに、
自分でも理解できていないまま、
どちらも自分の1つなんですっていう。」
そして、この2枚のアルバムを
それぞれ個別の公演として行うツアーも真っ最中です。
『森山直太朗 Two jobs tour 2025〜26
『あの世でね』 〜「弓弦葉」と「Yeeeehaaaaw!」〜』
「これは自分にとってはニール・ヤングでいう、
『グリーンデイル』じゃないですけども、
やっぱりチャレンジしていく。
やったことのないことをやって、
見たことのない景色を見たいっていう衝動ですね。」
長い期間2つの公演を全国でおこなうツアー。
ぜひ、どちらの公演も足をお運びください。
この番組では最後にいつもナビゲーターの
クリス・ペプラーが選曲をして締めくくっていますが、
この日選んだのは
ニッティー・グリッティー・ダート・バンドの
「ミスター・ボージャングルス」でした。
これに対し森山さんは、
「嬉しい!これうちの母も自分の舞台で歌っていて、
僕も物心つく前から触れていたんですよ。
僕の中でとても影響を受けた曲です!」と述べ、
この日のトークは幕を閉じました。
森山直太朗さんの情報はこちらから
さて、次回は番組初登場!
シンガーソングタイター、
ギタリストのDURANさんをお迎えします。
稲葉浩志さん、スガシカオさん、
藤井風さんなど錚々たるミュージシャンとも
共演しているDURANさんは、
これまでどんな音楽に影響を受けてきたのでしょうか?
ぜひ、次回もお聴きください。

香辛丸ぜんべい(プレーン)
香辛丸ぜんべい (チーズカレー味)
ツアーのおみやげ品として販売しています。
カレー好きが興じて“香辛丸”という
自分で調合した香辛料が元々グッズとしてあって、
それを煎餅化してみたらなかなかの出来になりました。
宣伝めいてしまいましたが、ほんとに美味しいです。(森山さん)
実は前回のご出演の際に
プレーンをお持ちいただいていたのを
忘れていた森山さんでしたが、
チーズカレー味が仲間入り!
どちらも本当に美味しいです!
黒ラベルとの相性もピッタリ。

砂浜で / 森ゆに
ライリーストーン / 眞名子新
にんじん / 友部正人
Creep (Acoustic) / Radiohead
From Hank to Hendrix
/ Neil Young
Falling From Above / Neil Young
二隻の舟 / 中島みゆき
赤い鳥 / 森山直太朗
生きている / 森山直太朗
Mr. Bojangles
/ Nitty Gritty Dirt Band
この日のトークを受けて
クリス・ペプラーが
選んだ1曲はこちら。