SAPPORO BEER OTOAJITO

SATURADAY 18:00-18:54 ON AIR クリス・ペプラーがミュージシャンをゲストに迎え、おいしいお酒を片手に音楽ヒストリーを紐解く54分!! メッセージを送る ARCHIVE X INSTAGRAM

SAPPORO BEER OTOAJITO SATURDAY 18:00-18:54 ON AIR クリス・ペプラーがミュージシャンをゲストに迎え、おいしいお酒を片手に音楽ヒストリーを紐解く54分!!

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2025.11.01 ON AIR
今週は、映画監督の
三宅唱さんをお迎えしました。
ライブには裏方として
関わった経験もあるそうですが、
中でも...

まもなく公開される最新作
『旅と日々』がスイスのロカルノ国際映画祭にて、
最高賞である「金豹賞」、そして「ヤング審査員賞」を
ダブル受賞されました。
「本当に驚きましたし、とても嬉しいですね。」
と語った三宅さん。
今回はそんな快挙を祝して乾杯し、
番組がスタートしました。

三宅唱さんは1984年生まれ、北海道札幌市出身。
東京の大学と映画学校を卒業され、映画監督の道へ。
2022年公開の『ケイコ 目を澄ませて』、
そして2024年公開の『夜明けのすべて』が
国内外の映画祭で高く評価され、
現在の日本映画界を牽引する存在として注目されています。

小さい頃から映画が好きで、
札幌から上京したのも映画がきっかけだったそう。
「東京には名画座というのがあって、
 クラシック映画も、
 札幌には入ってこないようなものも観られる。
 とにかく映画漬けの生活がしたかったんです。」
と語りました。ちなみに、三宅さんが
子供の頃に好きだった映画は
『ホームアローン』だったそうです。

初めて自身で映画を撮ったのは、
中学校3年生の頃。
「学校の文化祭で友達と3分の
 ビデオを作ったんですが、
 撮ることがめちゃくちゃ面白かったんです。
 追いかけっこをする映画だったんですけど、
 例えば1階の教室の扉から出る瞬間を、
(編集で)4階の教室から出るようにすれば、
 映画の中では1階と4階が繋がるんですよね。
 そんな映画のマジックに気がついて、
 夢中になって撮影していました。」
と当時を振り返りました。

子供の頃はサッカーにも夢中で、
初めて買ったCDもサッカーにまつわるもの。
「当時自分が好きだった読売ヴェルディのアンセム
「Samba De Verdy」でしたね。
 それを繰り返し家の中で聴いて、
 ブラジル気分を味わっていたんですけど、
 なかなか賑やかだったので、
 父親に『次はこれにしろ』って、
 アントニオ・カルロス・ジョビンの
 CDに変えられたのも覚えています。」

その後に購入し、特に印象的だった
1枚として挙げたのは、PUSHIMさんの
「STRONG WOMAN」でした。
「99年ですね。これを買った時に、
 自分が1段階、音楽好きとして
 輪郭がはっきりした気がします。
 俺はこういう音が好きなんだと、
 はっきりした記憶がありますね。」
そこからローリン・ヒルや
メアリー・J・ブライジなども
聴くようになり、
ヒップホップも好きになっていったそうです。

先日惜しくも亡くなったディアンジェロの
アルバムも聴き込んでいたそう。
「アルバム『Voodoo』は
 めちゃくちゃ聴いていました。
 当時誰かと共有して聴いた覚えは無いんですけど、
 大人になって、他の人とお互いに
 ディアンジェロが好きだって分かると、
 すぐに仲間だって思える感覚があります。」
と語りました。

三宅さんがヒップホップを
聴くようになったのはラジオがきっかけ。
「金曜日にヒップホップの番組がやっていたんですよ。
 ブッダ・ブランドの曲が流れてきて、
 歌詞をメモしてみたり、
 他にもキングギドラ、ライムスター、
 その後はニトロ・マイクロフォン・
 アンダーグラウンドが出てきたり、
 ラップが盛り上がってきたタイミングでしたね。
 自分より下の世代だと、
 OMSBが出てきた時は『超カッコいい!』って思って、
『Think Good』っていうアルバムは
 めちゃくちゃ聴きました。」

これをきっかけに、
三宅さんはOMSBさんが出演する映画
『THE COCKPIT』(2014)を制作し、
そこからOMSBさんや三宅さんの作品で
音楽を手掛けるHi'Specさんとも友人関係に。
『きみの鳥はうたえる』(2018)には、
OMSBさん、Hi'Specさんが出演し、
番組では撮影の思い出なども語りました。
今後ヒップホップを題材にした映画を
撮る可能性を尋ねられると、
「あえて仕事にはせず、
 趣味として取っておきたい領域かもしれません。」
と答えました。

そんな三宅さんが題材として惹かれるのは、
「自分がまだ知らないこと」だと話しました。
「『ケイコ 目を澄ませて』では、
 「なぜボクシングをするのか」、
 「なぜ戦うのか」っていうところがスタートでしたし、
 『THE COCKPIT』は
「ヒップホップのリリック、
 トラックってどうやって出来るのか」、
 そんな疑問からだったんですよね。
 自分の内側からは全然出てこないんです。」
と自身を分析しました。

番組後半は、三宅さんが
人生で初めて観に行ったライブの話から始まりました。
「小学生の時に母親に連れて行ってもらった、
 オリジナル・ラブのライブです。
 当時は少し盛り上がるのが
 恥ずかしいなと思いましたが、
 その頃に出たアルバムもよく聴きましたし、
 何より小学5、6年生で田島貴男さんの
 ライブに行けたのは、
 今思うと“イケてるな”と思います。」と話しました。

ライブには裏方として
関わった経験もあるそうですが、
中でもOMSBさん、KID FRESINOさん、
そしてJJJさんのリハーサルを観た時に
衝撃を受けたと語ります。
「なんでリハーサルって
 あんなに格好いいんでしょうね。
 衝撃的で、みんなのことが本当に好きになりました。」
ちなみにクリス・ペプラーは
ビヨンセのリハーサルを観たことがあるようで、
そのエピソードを聞いた三宅さんは
『うわー!いいな!』と反応しました。

様々なミュージシャンと
仕事で関わりのある三宅さんが、
特に尊敬するアーティストは宇多田ヒカルさん。
「同世代と言うのもおこがましいですが、
 デビューした時からずっと追いかけています。
 地元にいた頃にラジオも聴いていて、
 英語が堪能で、音楽がすごくカッコ良くて、
『東京に行きたい!、というか海外に行きたい!』
 って思わせてくれる存在でしたね。」

星野源さんやnever young beachなど、
ミュージックビデオの監督も務める三宅さん。
過去には、ニール・ヤングの
インタビュー撮影に同行した貴重な経験も。
「彼の映画がソフト化されるタイミングで、
 カリフォルニアにある元映画館の
 プライベートスタジオを訪れたんですが、
 その空間、空気は、もう一度味わいたいですね。
 大きなアンプが並んでいて、
 ギターがあって、年季が入っているのに
 座り心地が良さそうなソファや、
 ネイティブアメリカンのアートもある。
 お金では買えない、ある場所まで
 たどり着いた人が自分らしくいられるために
 作り上げた空間、
『贅沢とはこういうことか』と感じました。」

さて、この番組では
「大人の☆生 サッポロ生ビール黒ラベル」
を飲みながら音楽トークをしていることにちなんで、
ゲストの皆さんに「大人になった1曲」を伺っています。
この質問で三宅さんが選んだ1曲は、
ディアンジェロの
「Untitled (How Does It Feel)」でした。

「(大人の感じが)プンプンしましたね。
 高校生の時に聴いて、
『これは絶対にデートで流す曲だろう』と。
 完全にアメリカ映画の影響ですが、
 いい雰囲気になったら
 ディアンジェロをかけるものだと
 勝手に思い込んでいました。
 当時は歌詞の意味も分かっていなかったので、
 少し恥ずかしい気もします。
 きっとドライブデートなんかを
 想像していたんでしょうね(笑)」

そんな三宅さんの最新作『旅と日々』が、
11月7日(金)に公開されます。
つげ義春の漫画を原作に、
主演にシム・ウンギョンさん、
共演に堤真一さん、
河合優実さんなどを迎えて制作されました。

(あらすじ)
行き詰まりを感じて旅に出た脚本家の李。
彼女は雪に覆われた山奥でおんぼろ宿に迷い込み、
やる気のない主人・べん造と出会う。
そしてある夜、べん造は
李を夜の雪原へと連れ出すのだった……。

原作となった漫画『海辺の叙景』と
『ほんやら洞のべんさん』は
50年以上前の作品ですが、
三宅さんは何に惹かれたのでしょうか。

「学生時代に初めて読んだ時、
『こんな漫画は読んだことがない』と衝撃を受けました。
 僕は普段、漫画の文字ばかり追ってしまうのですが、
 つげさんの漫画は一コマ一コマをじっくり味わいたくなる。
 読み返すたびに印象が変わる、
 ずっと頭の中にあった作品です」。

主演のシム・ウンギョンさんについては、
「原作の主人公は日本の中年男性ですが、
 彼女が演じたらきっと
 面白くなるという直感がありました。
 第一印象がとても鮮やかで、
 山で見る湧き水のようなキラキラした美しさと、
 ハッとするような驚きがあったんです。」と紹介しました。

音楽は、三宅作品に欠かせないHi'Specさんが担当。
「今回は『ゴージャスなものにしよう』という
キーワードを決めました。
金銭的な意味ではなく、山や海の壮大さ、
恐ろしさを“ゴージャス”と呼んでみよう、と。
映画の中で観客に風景に
驚いてほしいと思って撮っているので、
音楽がその気持ちのスイッチを押すことで、
作品をもう一段階深く
味わってもらえるのではないかと思っています。」

音楽は今回も三宅さんの
作品に欠かせない存在のHi'Specさんが担当。
「今回はキーワードを1つ決めようって話しました。
『ゴージャスなものにしよう』と。
 いわゆる金銭的な意味ではなく、
 山や海の壮大さ、
 恐ろしさをゴージャスって呼んでみようと。
 映画の中で、その風景に
 驚いたりしてほしいなと思って撮っているんですけど、
 音楽によってそういう気持ちのスイッチが入っていけば、
 作品をきっともう1段階、
 深く味わってもらえるかなと思っています。」

「僕は映画館がすごく好きなので、
 やはりこの作品も映画館で味わってほしい。
 そして、それに値する作品を
 作れたという自信もあります。
 試写を観た方からは、
 どうやら『疲れている人ほど刺さるらしい』
 という声を聞きます。仕事や家庭のことなどで
 忙しかったり悩んだり、色々あると思いますが、
 いざ旅に出るのは大変です。
 もし近くに映画館があれば、
 ふらっと立ち寄って、
 少しでも休んでリフレッシュ
 していただけたら嬉しいです。」

『旅と日々』は11/7(金)に全国公開となります。
ぜひ、劇場でご覧ください。

『旅と日々』の情報はこちらから

さて、次回はロックバンド、
SPYAIRからボーカルのYOSUKEさんをお迎えします。
圧倒的なライブパフォーマンスで支持を集めるSPYAIR。
YOSUKEさんはボーカルオーディションで
加入した最年少メンバーですが、
これまでどんな音楽に影響を受けてきたのでしょうか?
あるバンドのボーカルに感じたシンパシーとは?
次回もぜひ、お聴きください。

OMIYA

神津島のイカの塩辛
神津島は『旅と日々』のロケ地のひとつ。
神津島といえば「くさや」が代表的ですが、
個人的にはイカの塩辛が最高で、
島に行くたびにお土産に買っていました。(三宅さん)

MUSIC

  • Triangle / Hi'Spec

  • Samba De Verdy / Nov+Verdy

  • Strong Woman / PUSHIM

  • Devil's Pie / D'Angelo

  • Think Good / OMSB

  • B-BOYイズム / RHYMESTER

  • One More Say Boom Bap / OMSB

  • 夢を見る人 / Original Love

  • Automatic / 宇多田ヒカル

  • Heart of Gold / Neil Young

  • Untitled (How Does It Feel) / D'Angelo

  • Calling You / Jevetta Steele

    三宅さんとのトークを受けて、
    クリス・ペプラーが
    選んだ1曲はこちら。