伊澤さんは1976年、岡山県生まれ。
東京事変、the HIATUSでの
鍵盤奏者としての活動のほか、
自身のバンドあっぱでは
ボーカルも担当されています。
作曲家として、楽曲提供、
サウンドプロデュースを多数手がけ、
幅広く様々なアーティストの
サポートミュージシャンとしても
活動されています。
そんな伊澤さん、
母親の影響で物心が付いたころから
ピアノを習っており、
テレビから流れる番組の主題歌などにも
興味を示す子供だったそうです。
しかし、
「ピアノは楽しいと思った記憶がないんです。
ピアノの先生のとこに行く時に、
車の助手席に座って、
毎週のように泣いていました。
先生が怖くて嫌だったんですよね。」
と話しました。
小学校6年生までピアノを続け、
そこからギターを弾き始めたそうですが、
高校生になると母親から音大への進学を勧められ、
再びピアノを学び始めたとのこと。
初めてバンドを組んだのは中学3年生の頃。
「その時はギターでしたね。
バンドブームだったので、
BOØWYとかユニコーンとか、
そういったバンドのコピーをしていました。」
ちなみに伊澤さんが初めて買ったCDは、
BOØWYの『SINGLES』というアルバム。
伊澤さんは布袋寅泰さんのアルバムや
ライブにも参加しており、
「ライブは死ぬほど緊張しました。
(共演は)今でも信じられません。」と述べました。
自身の人生を変えた1曲を伺うと、
挙がったのは
レディオヘッドの「Airbag」でした。
「『OKコンピューター』という
アルバムは衝撃でしたね。
東京に出てきてから聴いたんですが、
ちょうど内向的なことを
考え出した時期だったんです。
普通は思春期とか、
もう少し早めにそういう時期が
来ると思いますけど、僕はちょっと遅くて、
そういう自分と楽曲がリンクしたんですかね。
大学に行かなくなったのもこの頃で、
今振り返ってみると、
ターニングポイントだったのかなと思います。」
その後はバンドなどで
自分の世界観を追求しながら、
売れることなどは考えず
活動していたそうですが、数年経ち、
活動していたバンドも解散。
1人でライブ活動などをしていた頃に
声をかけたのが椎名林檎さん。
「東京事変で前任だった
ヒイズミマサユ機くん、
僕と大学の同期なんです。
彼が『面白い奴がいる』といって、
僕のソロライブに林檎ちゃんを連れてきてくれて、
1年越しくらいですかね、
林檎ちゃんから直接連絡をいただくようになって、
徐々に『東京事変に入りませんか?」
という話になっていきました。
アンダーグラウンドというか、
日の目を見ない年月が長かったので、
ビックリしましたね。」と
加入当時についても振り返りました。
番組ではゲストの皆さんに、
事前にアンケートに
お答えいただいていますが、
伊澤さんが影響を受けた
アルバムとして挙げたのは、
ジャズ・トランペット奏者、
リー・モーガンの『キャンディ』という1枚でした。
「ジャズに触れ出して、
初めてピンと来たのが、このアルバムでした。
まだ音大に通っていた頃、
ジャズ喫茶に行くようになって、
ジャズ研究会の人たちが
そこでセッションをしていたんですよ。
だんだん自分も参加するようになって、
そんな頃、勧められた作品の中、
この1枚が一番印象的でした。」と語りました。
これまでに観て印象的だった
ライブについてのお話も。
「ライブ行くのは
勉強しに行くみたいな感じなんですが、
2015年にスティーブ・アルビニの
シェラックが来日公演はぶっ飛びました。
音像とか音圧とか、
当時自分が気にしていたことが
詰まっていたライブでしたね。
先ほどのリー・モーガンもそうですが、
音楽に対して自由というか、
破壊しようとしてる感じ、
そういう向き合い方をしている
アーティストが好きなんですかね。」
そんな伊澤さんが
最近に気になっているアーティストは、
原口沙輔さんとシンガーのゆーりさん。
「「ウシロジカン」という曲を聴いて、
自分に全く無い
新しい世代の楽曲だなって思いました。」
中田ヤスタカさんや
ケンモチヒデフミさんなど、
プロデューサーと女性のシンガーという
組み合わせはよく見られますが、
クリス・ペプラーが伊澤さんも
いずれやってみたいかを訊ねたところ、
「いやいや、器が無いと出来ないですよ。
どういう思考回路でやればいいんですかね。
機会があればいいですけど、
僕は聴いて楽しむ方がいいです。」と答えました。
ここで音楽作品以外からの
影響についてもお聞きしました。
YouTubeなどで伊澤さんが
筋トレをしている動画も見ることが出来ますが、
近年は身体を動かすことが
インスピレーションの
一種にもなっているとのこと。
「最近でいうと登山とか
サーフィンですかね。
昔は身体動かすのも
好きではなかったんですが、
(the HIATUSの)細身さんの影響もあって、
体鍛えないとな、みたいな感じで。
ジムに行くのもルーティーンになっていて、
行かないと気持ちが悪いんです。
筋トレは目に見えて
変化が分かるじゃないですか。
だから楽しいですよね。
サーフィンもめちゃくちゃ楽しくて、
今は登山とかサーフィンが
自分にとって音楽的なんです。
登山はドーパミンが出て、
達成感も直接的ですよね。
そういった感覚も仕事のひとつだと思って
得るようにしています。」
伊澤さんが活動する
KATSINA SESSIONのメンバーで
ベーシストの日向秀和さんが
登山グループの隊長をやっているそうで、
冬山登山にも挑戦したとのこと。
クリス・ペプラーも過去にハードめに
ジム通いをしていたことから、
トークがかなり盛り上がりました。
さて、番組では
「大人の☆生 サッポロ生ビール黒ラベル」
を飲みながら音楽トークを
していることにちなんで、
ゲストの皆さんに
「大人になった1曲」を伺っています。
この質問で伊澤さんが選んだ1曲は、
ナラ・レオンの「コルコ・バード」でした。
「音大を辞めて、
バンドをずっとやっていたんですけど、
やっぱりバンドの目標が無かったので、
みんなが離れていって、バンドが解散して、
1人になったんです。それから当時、
付き合ってた彼女にも振られてしまい、
東京に出てきて初めて孤独を感じたんです。
その時に下北沢のピエロっていう
ライブバーに1人でよく通っていて、
そこでピアニストの方が
よく演奏していたのがこの曲。
それまでボサノバとか、
全然聴いてなかったんですけど、
強く染みたというか、
『自分は大人になったんだ...』と
自分を錯覚させることで、
孤独感を埋めようとしていたのかなって、
今振り返ると思いますね。」
伊澤さんは先月ソロ名義のニューアルバム
『rerere』をリリースされました。
2021年と2025年に伊澤さんが担当した
舞台の音楽からセレクトされた初のサントラ盤。
タイトルは『rerere(レレレ)』と
読むそうなのですが、
restart, reverseなどのreという言葉から
取られているとのことで、
「さっき「レレレ」って
あんまり言いたくないって思っちゃいました。
でもそれで登録しちゃったんですよね」
と少し後悔があるように述べていました。
「映画でも『パルプ・フィクション』とか
『インセプション』とか、
時間軸が逆転したり、
時間の階層みたいなものだったり、
そういうのが好きなんですよ。
このアルバムもそういったものが
詰まった作品かと思います。」
6月はソロツアー、そしてタブゾンビさん、
日向秀和さん、柏倉隆史さんとのグループ、
Katsina Sessionのツアーもスタートします。
今後の伊澤さんの活動も要注目です。
この日はクリス・ペプラーが
スタッフからの「筋トレに合う音楽」という注文に
アリス・クーパーの「Muscle of Love」を選曲し
トークを締め括りました。
伊澤一葉さんの情報はこちらから
さて次回は、
最新作『LAZARUS ラザロ』が注目の
アニメーション監督、
渡辺信一郎さんをお迎えします。
音楽への造詣が深い渡辺さん。
これまでの音楽ヒストリーや
『LAZARUS ラザロ』の裏話なども
お聞きします。お楽しみに。

成城石井 ほたてチーズ
アヒージョ風味
伊澤さんがOTOAJITO出演にあたって
札幌の友人から教えてもらったおつまみ
ホタテとチーズ、
黒ラベルにもぴったりです!

Still Dreamin' / 布袋寅泰
MARIONETTE / BOOWY
Airbag / Radiohead
修羅場 / 東京事変
Candy / Lee Morgan
Canada / Shellac
ウシロジカン / ゆーり
Bonfire / the HIATUS
ドーパミント! / 東京事変
Naki Naki / KATSINA SESSION
Corcovado / Nara Leão
燻らす
銃殺 / 伊澤一葉
Butterfly dance / 伊澤一葉
Muscle of Love / Alice Cooper
伊澤さんとのトークを受けて
クリス・ペプラーが
選んだ1曲はこちら