2022.04.23 ON AIR
【藤井風 Part2】俳優の別所哲也さん、 音楽評論家 宗像明将さん登場。

今週は、まもなく全国ツアーがスタートする、藤井風のPart2!
ゲストは引き続き、俳優の別所哲也さん、音楽評論家 宗像明将さんをお迎えしました。

■音楽評論家 宗像明将セレクト「藤井風ワールド炸裂!歌詞に注目して欲しい曲」TOP3!!!

3位:やば。
「気づいてほしい 認めてほしい / それだけの行為だった / 返してほしい 愛してほしい / そんなの愛じゃなかった」

宗像:藤井風さんまだ24ですよ。なんでこんな恋愛の真理みたいな確信を突くのかという。またちょっと心憎いのが“それだけの行為だった”というのが“それだけの恋だった”にも聞こえるんですよ、音として。やっぱりそういう音の遊びも心憎いなーと思って。
別所:藤井風さんどんな恋愛をしてきたんだろう?本当はそこら辺を深掘りしたいぐらいなんですけどね。
グローバー:想像つかないなぁ。
別所:でしょ!想像つかないというミステリアスな世界と想像力だけでここまで。もし何かが藤井風さんの中に人間として愛とか人との恋とか見えていてこんな音楽と言葉になってしまうっていうのは“何なんだ?”ってことなんですよ。

2位:何なんw
「勢いにまかせて / 肥溜めにダイブ」

宗像:これ凄いですよね。しかもデビュー曲でこのフレーズがあって。最初に聴いた時に“今のフレーズなんだ?聞き間違いかな?”と思って歌詞読んだんですよ。本当に歌ってるじゃないかと思って。こういうフレーズをちゃんと入れるのに音韻的にもメロディに対して不自然じゃないんですよ。そういうめちゃくちゃテクニカルなところもあって、しかもこういうパンチの強いワード。“一体これどういう状況なんだ?”という。まさに“何なんだ?”という想いを抱かせる。
別所:しかもねぇ、これを書き替えるように言わなかった周りも偉い。
宗像:そうですね。

1位:帰ろう
「わたしのいない世界を / 上から眺めていても / 何一つ 変わらず回るから /
少し背中が軽くなった」「憎しみ合いの果てに何が生まれるの / わたし わたしが先に 忘れよう」  

宗像:自分がいなくなった世界を少し上から見てると。やっぱりもう自分が霊になってるというか死の世界から見ている。この視点があったり、あるいは“憎しみ合いの果てに何が生まれるの / わたし わたしが先に 忘れよう”っていうフレーズがこのロシアがウクライナに侵攻したこの状況下だと非常に胸を打つと。やっぱり2020年代ってパンデミックと戦争の時代になってしまった。それを意図して書いたわけではないんでしょうけど結果的に「帰ろう」って曲がそこにピッタリとハマってしまう。そういう普遍的な視点というものを最初から持ってたのがやっぱりすごいなぁと思って。これを1位として外すことはできませんでしたね。
グローバー:彼はメッセンジャーという魅力も大変大きい方ですよね。
別所:ほんと僕たちがちょっと自分たちの足元とか半径5〜6メートルぐらいのことで悩んでることを、すーっと浄化してくれる力というか音楽と言葉の力でヒーリングしてくれるものがある気がしますよね。名作ですよ。自分の帰る場所だったり、故郷だったり、ホームというか家だったり。それはもう地球全体に見える時もあったりとか。

■藤井風の影響

グローバー:ちょっと広く日本の音楽シーン見た時に藤井風がどんな影響を与えてる、どんなインパクトを持って登場したと思います?
別所:音楽のジャンルっていろいろそれぞれあると思うんですけど、藤井風さんが持ってる音楽の世界っていろんな人が気になっちゃうっていう。音楽好きだけじゃなくて、映画が好きとか文学が好きとか、アートが好きとかいろんな自分の中にある人生の中で見つけたいものを探していると、フッとそういうところに藤井風さんっていうもの自体がいるような気がするんです。うまく言えないけど。
グローバー:今のお話聞いて「まつり」のミュージックビデオ思い出しました。“もうこんな世界にきたんだ!”っていう。映画ですよね、アートだし。
別所:そうなんですよ、ビジュアル的にもあの世界観って素晴らしいですし、僕は彼がショートフィルムをね、ストーリーテリングとしてもこどういう風に関わっていくのかなととても楽しみで。藤井風さんご本人のショートフィルムプロジェクトって立ち上げられて、そっちの方を気にしてます。いろんな意味で運命的に風ちんと繋がってます。
グローバー:宗像さんも音楽に止まらない彼の表現っていうのは感じてると思うんですけども、どうですか日本の音楽シーンを支えた曲、どんなのが思い浮かびますか?
宗像:私はねここで「きらり」が思い浮かんだんですね。リズムは相変わらずブラックミュージックなんですけど、そこにプログラミングのリズムでEDMの要素までぶち込んできたんですね。それでいて全体としてサウンドが洗練されていると。で、この曲「きらり」だけリミックス集があるんですよ。彼はファーストからセカンドまでの間に確実にサウンドをアップデートしてるんですよね。それがものすごい象徴的だし、例えば僕が彼と同じ同じ24歳の同世代のミュージシャンで藤井風みたいな存在が居たら、結構どうしたらいいか分かんなくなると思うんですよ。だからやっぱりソウルミュージックの連綿たる歴史と今のトレンドを吸い込んだ、そしてあのキャラクターを持ってると。本当にいろんなものが詰まってるのがこの「きらり」だと思いますね。
グローバー:一緒に作業してるYaffleさんっていう方との出会いというか、このリミックス集にもお二人の名前で「Just For Fun Remix」とかあったり、ほんと遊びでいっぱい作ってってもうあれだけキラキラしたハイクオリティな音をやってるのが想像できてちょっと嬉しくなりますよね。日本の音楽シーン次どんな風になっていくのか、ひょっとしたら風以前、風以後ということがね、なんかあるんじゃないかな?なんて私は思うんですが。

■キャッチコピー

別所:「藤井風とは…全ての人を身内にしてしまうインヤンのヒーラー」である!
何度も身内って言葉が出てきましたけれども、遠い存在のようでいながらすごく身近な自分の家族のような、あるいは見守っていたいような一緒に成長していきたいような、身内のように思ってしまってる人たくさんいるんじゃないかという。そして“ヒーラー”という言葉をあえて使わせていただいたんですけど、やっぱり彼の音楽で励まされてる人や癒されてる人が本当にたくさん居ると思って。インとヤンと付けたのは、すごく僕の中では“陽”の要素が強いんですけど、明るい要素っていうんですかね。ただ、こんなに若くして人間が持っている闇というか影というか、揺らぎみたいなものを本能的に感じているのか背負っているのか、どこかで体験したのか持っているのか。それってみんな誰しもがなんとなく自分の中にある生きてく間にだんだん白いキャンパスはだんだんいろんな色が乗っかってきてカラフルだったはずがだんだんこう色が濁ったり黒くなったり。消そうと思うけど消えないんだけど、でもそれも抱えてくみたいなことがなんかこうねそれを含めてヒーラー。

宗像::「藤井風とは…日本のソウルミュージックをアップデートした、今、世に出るべくして出たシンガーソングライター」である!
やっぱり“今、世に出るべくして出た“っていうのは、デビューしてもうコロナ禍の社会になっちゃったんですね。でもなぜここまで注目されてるのかっていうのはある種スタイルが今っぽいと思うんですね。どんどん配信で新曲を畳み掛けていく。且つSNSを多用して音楽を広めて。藤井さんのキャラクターもそして藤井さんの言葉ですね、それが岡山弁の言葉であったり歌詞であったり。そういうものをどんどん絡めていって音楽と本人の人となりがどんどん人を魅了していくと。これが2020年代にがっちり合ったのが藤井風さんであったんだろうと感じます。


2週に渡る『藤井風』最後は「まつり」で締められました。

PLAYLIST

燃えよ! / 藤井風

帰ろう / 藤井風

Beat It / 藤井風

きらり / 藤井風

まつり / 藤井風

◆Spotifyにもプレイリストを掲載しています。ぜひお聴きください。

■放送後1週間は右下のRadikoタイムフリーボタンでお聴きいただけます。
■別所哲也さんの詳しい情報はオフィシャルTwitter
■宗像明将さんの詳しい情報はオフィシャルTwitter
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次回のテーマは、まもなくジャズ・フェスティバル出演のため来日する、セルジオ・メンデス!ゲストにSOIL & "PIMP" SESSIONS 社長、クラブDJ 大塚広子さんをお迎えします。お聴き逃しなく!