2021.12.25 ON AIR
【アイズレー・ブラザーズ】Kroiのギタリスト長谷部 悠生さん、 音楽ジャーナリスト 林 剛さん登場!

今年ラスト…そしてクリスマスにお届けするテーマは、アイズレー・ブラザーズ!
ゲストにKroiのギタリスト 長谷部 悠生さん、音楽ジャーナリスト 林 剛さんをお迎えしました。

■アイズレー・ブラザーズとの出会い:

グローバー:長谷部さん、最初にアイズレーの楽曲と出会った時覚えてますか?
長谷部:出会ったという意味でフィジカル的な体験をいちばん最初にしたのは、僕達がインディーズの頃地下のライブハウスで遊んでた時に一緒に出てたDJさんが「That Lady」とか「Work to Do」とかを流してるのを聴いて“やべえなこのバンド”ってなったのはすごい覚えてますね。
グローバー:その時って何に引っかかったんですか?
長谷部:EW&Fとか色々ファンクバンドがある中でギターのサウンドがすごい特徴的だなと僕は思ってて、やっぱアーニー・アイズレーのジミヘンドリックス流儀といいますか匂いがするリードギターにこのロナルド・アイズレーの声ですね。素晴らしかった。JB張りのシャウトもできれば、すごい甘いエッチな声も出せるという。
グローバー:ブラックミュージックの大好きなところが全部入ってんじゃんっていう。
長谷部:そうなんですよ!全部入ってますね。
グローバー:そこから掘っていきました?
長谷部:もう掘っていって楽しかったですね。年代ごとに色が変わってるバンドだと思うので。
林:確かにね、エッセンスが凝縮されてますよね。
グローバー:時代の変遷で色々ある中でも特にこのポイントに惹かれていったってありました?
長谷部: 70年代80年代にかけてがいちばん聴いててハマりましたね。いい意味でまだ未熟なところと言いますか80年代に入ってきて鍵盤が上手になってきたりとかあるんですけど、70年代の頃はなんか早熟期の良さみたいなのがすごい入ってる気がしますね。
グローバー:ちょっとまたでこぼこしてはみ出してくるところがグッとくる。
長谷部:はい。

グローバー:林さんは色々分析してピープルツリーも引っ張りながら記事を書くという音楽ジャーナリストをずっと続けてこられてアイズレーの記事も沢山書いてこられました。中でもリスナーとしてお仕事になる前、最初に聴いたインパクト覚えてますか?
林:僕はですね、13歳か14歳ぐらいに「ワム!」というグループいますねジョージマイケルの。ワム!の『Make It Big』という84年のアルバムがありますけども、その頃に洋楽を聴き始めたんですよ。その『Make It Big』のB面の2曲目で“いい曲流れてんなぁ”っていう感じで調べたらこれが唯一カバーだということを知りまして、そこでライナーノーツを読んだらアイズレー・ブラザーズという人たちがやってた曲のカバーだということを知りまして。ドラムがズンズク、ズンズクする感じとかモダンでグルーヴィーな感じとか、後で知るんですけどもこれシュガー・ベイブの「Down Town」のヒントにもなっているとも言われているんです。
グローバー:言われてみればモチーフになってる気もしますね。ワクワクしながらどんどん上がってくキラキラする感じ。
林:だからこう土曜日の街に繰り出したくなるような。
グローバー:メリークリスマスじゃないですか。そのワム!からアイズレーを聴いていってどうでした?
林:この曲が入っているアルバム『3+3』を聴いて、アルバム最初の「That Lady」も“うわ、これかっこいいな”と思って。で、最後の「The Highways of My Life」っていう曲があるんですけどもそれも素晴らしい。スウィートというかメロウな感じから入ってどんどんテンポアップしてく感じで、ファンクというよりはニューソウル的なそういうの延長線上で聴いてた感じですね。あとカバーがこのアルバム入ってるんですよね、ジェームス・テイラーの曲とか「summer breeze」とかね。それをメロウに解釈する感じがすごく良くてトータルでこのアルバムがすごく好きになって。だから今ね「If You Were There」を聴くとちょっと他のアイズレーの曲とは違うというか、異色なだとも感じるんですけどね。
グローバー:では今いちばん聴きたいアイズレーは?
林:今日クリスマスじゃないですか、アイズレー・ブラザーズ2007年にクリスマスアルバム出してるんですね。
長谷部:このアルバムめちゃめちゃいいですよね。
林:いいですよね、『I’ll Be Home For Christmas』というアルバムなんですけど。
長谷部:僕もこれ入れるか迷ったんですよ。
林:あ、そうですか。これ名義としてはジ・アイズレー・ブラザーズ フィーチャリングロナルドアイズレーっていう名義なんですけども。
長谷部:これ参加してるのはアーニーとロナルド二人だけですよね?
林:はい。だから最近というかもうかなり前からアーニーとロナルドの2人組になっちゃって、それでずっと活動を続けてるんですけども、この人達本当に人数が増えたり減ったりするグループなんですけどこのクリスマスアルバムはジャム&ルイスが関わってるんですよ、「I’m In Love」という曲なんですが、この曲たぶんアイズレーの「Harvest for the world」っていう曲あるんですけどもそれを下敷きにモチーフにしながらジャム&ルイスが作ったというね。

■メロウ&スイート

グローバー:サウンドの変遷も楽しいバンドですけれども、このメロウ&スイートというのも大きな魅力です。このメロウ&スイート長谷部さんはどんなところに惹かれますか?
長谷部:これはもうロナルドの声ですね、完全に。
林:間違いないですね。
グローバー:長谷部さんさっき曲聴きながらおっしゃってたけど、長いキャリアの中でこの声が変わってないっていうのがこのグループのいちばん好きなところだと。
長谷部:そうですね、やっぱ長くやってる素晴らしバンドはたくさんありますけど結構ボーカリスト代わっちゃってる。その後ちゃんと素晴らしいボーカリストが引き継いでるのはあるんですけど、やっぱり代わってないのはすごい嬉しいですね。
グローバー:つい最近も『Tiny Desk Concert』っていうとこでね、今おいくつになるんですか?
林:いま、ロナルド・アイズレー80歳。
グローバー:80で美声をまだ聴かせる。その歌声に凝縮されたメロウさ、スウィートさ、林さんはどういうところにいちばん惹かれます?
林:やっぱりロナルド・アイズレーのファルセットなんですけども、それと同時にクリス・ジャスパーという唯一兄弟じゃないメンバーが居るんですよ。アイズレー・ブラザーズのメロウネスの肝というのは彼のアレンジ、鍵盤のコードワークが大きいと思うんですよね。例えば70年代の中期ぐらいから彼が結構そういうメロウさを出してくるんですが、カバーとかでもトッド・ラングレンの「Hellow It’s Me」のコードを変えたりとかしてメロウにしていくっていうかオリジナルと思ってしまうようなぐらいにしてしまうという。だからやっぱりクリス・ジャスパーのメロウネスというかセンスなんじゃないかなという風に感じてますね。

■クリスマス・ナイト!この曲で、も?うトロトロにとろける!
「アイズレー・ブラザーズのスウィート&メロウ・ナンバー」TOP3!!!


3位:Footsteps in the Dark <アルバム『Go for Your Guns』収録・1977 年>

林:これはですねギターの歌心、あとベースラインもいいし、ドラムの始まり方もいいし、歌い出しもまさにメロウって感じです。ハーモニーもいいし、ファンクバンドとしての土台も見えるけどスウィートというか。でもねこれヒットしてないんですよね。今でこそ定番になってサンプリングとかもされてますけど、後で評価されたっていう感じが大きいと思いますね。
グローバー:ギターの歌心というキーワードが出ましたけれどもこの歌うプレイ、長谷部さんいかがですか?
長谷部:そうですね、やっぱアーニー・アイズレー。アイズレーブラザーズのギタリストはすごい特徴的なシグネチャーサウンドがあると思ってて、ちょっとフェイザー的なうねりをエフェクターで多分つけていて、そのアーニー・アイズレーらしさもありつつ。この「Footsteps in the Dark」のギターリフはめちゃめちゃ有名な名リフですね。

2位:I Once Had Your Love (And I Can't Let Go)<アルバム『Grand Slam』収録・1981 年>

林:これは結構ソウルファンに人気の高い曲なんですけども、静かにメロウにグルーヴする曲って感じですね。メロウを本当に絵に描いたような曲なんじゃないかなと思ってて、スイートソウルのグループが歌ってもなんか様になりそうな感じの曲なんじゃないかなと思ってます。これ81年のアルバムからの曲なんですけどクリス・ジャスパーがチカラを持ってくる時期のね。
長谷部:そうです、まさにその時期の曲ですよね。
林:だから最近シルク・ソニックが話題になってますけど、彼らが歌ってもこれいいんじゃないかな?っていう感じもしますね。
長谷部:クリス・ジャスパーがブイブイいわせてきてから音像がすごい今っぽくなったというか、たぶん今にもすごい影響を与えてる音像になってる気がしますよね。

1位:For The Love Of You<アルバム『The Heat Is On』収録・1975 年>
 
林:“え?!Between the Sheetsじゃないの?”って思われた方も居ると思うんですけども(笑) まあ「Between the Sheets」は別格ということで。アイズレー・ブラザーズって70年代の初期ぐらいまではわりとファンクとかアップテンポ目の曲をシングルカットしていたんですけども、これは結構そのメロウな曲で始めの方にシングルカットした曲。さっきも長谷部さんが紹介されてた『The Heat Is On』っていうアルバムに「Fight the Power」って曲が収められてますけど、それの対極にあるようなメロウさで、これがアメリカのR&Bのスロージャムの番組とかで流れてきたら堪らないなって感じしますし、ロナルド・アイズレーのボーカルが最高だし“君の愛に応えるためだけに生きていたい”っていうね、この歌詞もクリスマスにピッタリじゃないですか。
長谷部:クリスマスですね!
グローバー:今日は12月25日この曲をかけられてよかったこの番組、嬉しい!


長谷部さん、林さんとのアイズレー・トーク、続きはまた来週!

PLAYLIST

Hope You Feel Better Love, Pts. 1 & 2 / The Isley Brothers

I’m in Love / The Isley Brothers

At Your Best (You Are Love) / The Isley Brothers

Harvest For The World / The Isley Brothers

The Heat Is On, Pts. 1 & 2 / The Isley Brothers

For The Love Of You / The Isley Brothers

◆Spotifyにもプレイリストを掲載しています。ぜひお聴きください。

■放送後1週間は右下のRadikoタイムフリーボタンでお聴きいただけます。
■Kroiさんの詳しい情報はオフィシャルサイト
■林 剛さんの詳しい情報はオフィシャルTwitter

来週はアイズレー・ブラザーズのPart2!ゲストは引き続き、Kroiのギタリスト 長谷部 悠生さん、音楽ジャーナリスト 林 剛さんをお迎えします。お楽しみに!