2021.10.02 ON AIR
ローリング・ストーンズ】音楽評論家 萩原健太さん、シンガーソングライター・ ギタリスト Rei さん登場!

今週のテーマは、先月末、ドラマー チャーリー・ワッツの訃報が伝えられた
ローリング・ストーンズ!
ゲストには、音楽評論家 萩原健太さん、ギタリスト Reiさんをお迎えしました。

■ストーンズとの出会い

萩原:小学校の頃、1960年代半ばですけど、元々はストーンズそのものを聴いたんじゃなくて、日本のグループ・サウンズっていう当時海外に憧れて日本でバンドを組んだ連中がいっぱい居て、タイガースとか、テンプターズとかオックスとか色々居たんですけど。その中のオックスっていうグループがね、自分たちのライブで「テル・ミー」という曲を演奏するとお客さんも失神するんだけど、メンバーもステージ上で失神しちゃうっていう噂があって、“すげえな”って思って、子供心に“音楽で女の子が失神するとかってめちゃくちゃカッコイイんじゃねえの?”って思って、それで興味をもって聴いたのがストーンズの「テル・ミー」っていう曲で、聴いてみたら結構ポップな曲だったんだよね。でも日本はまだまだそういうロックバンドみたいなものが定着してない頃なので、でもそこに風穴を開ける一つの存在としてローリング・ストーンズっていうのに出会ったのが最初ですかね。
グローバー:その曲と名前が一致してそこからじゃあローリングストーンズの音楽聴いていこうってなっていきました?
萩原:なりました、なりました、それで日本で独自に編まれたベスト盤みたいな、それを買ってきて聴いたのが最初だった。
グローバー:ストーンズたっぷり聴いてどんな気持ちになりました?
萩原:何だろ。あのビートルズとか他のバンドの方がもうちょっとちゃんとしてたような気がして。
グローバー:え?どういうこと?ちゃんとしてないの?ストーンズは。
萩原:うん、なんかわさわさしてる感じ(笑)
Rei:分かる分かる(笑)
萩原:だんだんそれが魅力的になってくるっていうか、そのちょっと破綻がある感じっていうのが“ストーンズ面白いな”って子供心に思った最初ですかね。
グローバー:そこからストーンズは未だに一線ですからずっと新作も仕事で追っかけたり色々あると思います。たくさんある中で今ぱっと思い出振り返るとこの一曲って出てくるのはどんな曲があります?
萩原:彼ら「Rolling Stone レコード」っていう自分たちのレコードレーベルを立ち上げて、あのベロのマークのね。それで「スティッキー・フィンガーズ」ってアルバムを出したのが僕ちょうど高校生になりたての頃で、その中に入っていた「ワイルド・ホーシズ」って曲があって、これがまたもストーンズとはちょっと違うようなカントリー・ロックのテイストを取り入れてた、コーラスも綺麗で、なんかそのカントリーのテイストなんだけど、どこかちょっとコズミックな感じもするそういうちょっとドラッギーな感じも含まれているカントリー・ロックみたいな感じで“ストーンズってこんなこともやるんだ!”っていうすごい新鮮な驚きがあったすごく思い出深い曲です。

グローバー:Reiさんは初めてストーンズの入り口、第一歩ってどんな出会いでした?
Rei:私も小学校の頃にロックバンドを3ピースで組んだんですけど、その頃に出会いました。最初に演奏したのが「ホンキー・トンク・ウィメン」だったんですけど。
萩原:おー!カッコイイよねぇ。
グローバー:これ萩原健太さんもアンケートの中に一番好きな曲と。
萩原:そうなんですよ、あれ今聴いた「スティッキー・フィンガーズ」のちょっと前ぐらいの時期なんだけど、シングル買ってきて、あたまこうカウベルが鳴ってドラムが入ってきて歌が始まるんだけど、ベース入ってないんだよね。
Rei:そうなんですよ!ギターとドラムだっていうのがもうグッとキュン!なんですよ。
萩原:それでずっとベース入ってなくてサビになってようやくベースがゴーンって入ってくんの。
Rei:そう、それがもう。
萩原:しかも彼らはイギリスのバンドなんだけど、すごくスワンプ・ロック的なものってま当時は僕は分からなかったけど、なんかその独特のアメリカ南部の音楽の感じっていうのを自分たちなりに解釈してるでしょ、あのアプローチがカッコよくてね。
Rei:ほんとですよ、だからその頃はアメリカのバンドなのかな?って思ってたぐらいですから。
グローバー:そこからハマっていって自分でもプレイしながらまた噛み締めた好きだなってとこ、どんなとこでした?
Rei:ギタリストとしてはリフの力、やっぱりストーンズは名リフの製作者としては歴史的。
萩原:だって「ホンキー・トンク・ウィメン」ってイントロがGチューニングだから開放でいいんだけど、普通のギターだとしても3弦と4弦だけ鳴らせばイントロになっちゃう。
グローバー:ライブでもそうですよね、どこから音鳴ってんだ?と思ったらもう手ぶらのキースが何気に触ってるだけで曲始まってるみたいな。
萩原:もうその感じだけでカッコイイっていうかね。
Rei:そうですうよね、コード弾きだけじゃなくてそのリフだけでずっと進行してて、Bメロのリフとかもいいんですよ。やっぱり萩原さんが言ってたみたいに結構いい加減なバンドなんじゃないかって思う場面はもうライブも音源もたくさんあるんですけど、そういうアレンジの部分にはものすごく丁寧に作っていて、それはやっぱり作り手としてもグッときますね。

■チャーリー・ワッツの存在

グローバー:チャーリー・ワッツのインタビューとかね聞いてると“俺、キースのギターしか聞いてないから”っていうようなことを言ってたのを今思い出しましたが、ベーシストが替わっても何があってもストーンズってキースとチャーリー・ワッツのグルーヴで聴いてる方はもうずっと永遠に飛べるという。
萩原:言えるね。で、キース・リチャーズってやっぱ凄えギタリストだなと思うんだけど、ただ間違うじゃん。
Rei:間違えますよね!
萩原:ライブとかでびっくりするとこで間違えるじゃん、でもね、それあえてだと思うんだ。普通ね、半世紀以上バンドやってたら嫌でも上手くなるよ。
グローバー:寝てても正しいの弾いちゃうってね。
萩原:上手くならないんだから。上手くならないっていうのはすごい精神力だと思うんだよね。それがストーンズのロックっていうか何かそういうところがあるような気がして。
グローバー:健太さんが初めて出会ったそのワサワサ感が失われない訳ですね。
萩原:やっぱその初期衝動みたいなのはどんなベテランになってもあるでしょ。
グローバー:それで言うとチャーリー・ワッツもそうなんですよね、決してもちろん上手いドラマーじゃないんだけど絶対真似できないし、キース・リチャーズのギター多分大好きだから、まあ「ホンキー・トンク・ウィメン」とかもそうですけど、フィルインって隙間を埋めるってことだけど埋めないんですよね。ずっとハットのタツタツタツしかやらなくて、そこで何が起きてるかって言うとキース・リチャーズの謎のオブリみたいのがすぐ来るみたいな(笑)
萩原:二人ともジャストじゃないじゃん、それがまた独特の絡みになって、あれはできないっていうか。だから本当はオリジナルのベースのビル・ワイマンも含めてなんだけど、彼が居なくなって割とベースがちゃんとしてるんで、なんかちょっと違っちゃったなっていうのもあるんだけど。でもまだチャーリーとキースが居ればねそこのところは再現できてたんだけど。
Rei:本当にそのドラムの音色もすごいスネアの出音がすごい好きで、『ブルー&ロンサム』が出たとき、あれとかでもやっぱスネアとかもそうだし金物とかも、なんかこううるさくないっていうか。
萩原:やっぱジャズが好きだってのもあるのかなぁ。
Rei:あー、それはあるかもしれないですね、ライドが上品っていうか。
グローバー:自分はジャズドラマーだってね。
萩原:凄い綺麗に粒が立ってくるんだけど、だけどいわゆるジャズともまたちょっと違う少しブルージーなプレイになってるってところがチャーリーの凄いところかな。

■ロックスピリッツを継承する若きギタリスト!Rei がセレクト!
「このギターフレーズ、マジでやばい!ストーンズ・ナンバーTOP3」


3位:Angie <from『山羊の頭のスープ』1973>

Rei:アコギのしっとりした曲っていうのは、ストーンズの側面で欠かせないファクターですよね。バンドとしての表現力がないとやっぱこういうバラードって幅が狭くなってしまうし、演奏力的にもダイナミックレンジが狭いと普通のただのロックバンドだったらすごいこう2Dじゃないですけど平坦な感じの表現になる危険性もあると思うんですよ。やっぱりすごく情緒に溢れているし、何よりもこのメロディーメイキング、そしてこのギターのアレンジっていうのがもね何度聴いても胸に刺さりますね。

2位:Start Me Up <from『刺青の男』1981>

Rei:本当にリフから始まって、もうそれがまずカッコいいんですけど「ホンキー・トンク・ウィメン」もそうですけど、ずっとリフがギターがずっと続いてる中で、ドラムが入ってきたりベースが入ってきたりっていうその軸足がある状態で反対の足がいっぱい動いてるみたいなアレンジをストーンズって結構やるんですけど、この曲もAメロの間はずっと同じギターのリフが繰り返されていて、色々歌だったりとか楽器が動いてるような状態で、なんかそれがすごいカッコいいなと思って。やっぱ欲張りになっていろんなことをやるんじゃなくて同じものを繰り返すことのカッコよさみたいなのがこの曲にはあるかなと思います。

1位:Jumpin’ Jack Flash <1968>

Rei:ギターのストロークから始まる曲なわけですけど、実は私思うに真ん中の音が抜けてると思うんですよね。普通のオープンコードではない不思議なボイシングで鳴っていて、なんか高い音が低い音の中に一つ紛れてるようななんか不思議なボイシングのストロークなんですよ。それとストーンズといえばっていう“チャカチャーン!”っていうギターのアレンジが組まれてるのもカッコいいですしね。ま、でももうこれはね、あんまりこうテクニカルな話っていうかもう聴いてただただカッコいいっていう曲なんですけど。
グローバー:それこそReiさんアンケートの中でキース・リチャーズは“ギターのチューニングをちゃんとしろ!”といつも突っ込みながら結局ノリノリで聴いてますと(笑)
Rei:そうです、そうです(笑)そんな細かいことがまずは気になるんですけど、でももうそんなことはどうでもいい感覚的なもう直感的にカッコいいっていう。曲終わる頃にはもう忘れてるっていうかカッコよかったからどうでもいいやみたいな気持ちになってますよね。 

まだまだ続くローリング・ストーンズ!来週もお楽しみに!

PLAYLIST

Wild Horses / The Rolling Stones

Honky Tonk Woman / The Rolling Stones

Hang Fire / The Rolling Stones

It's Only Rock 'N' Roll (But I Like It) / The Rolling Stones

Living In A Ghost Town / The Rolling Stones

Jumpin' Jack Flash / The Rolling Stones


◆Spotifyにもプレイリストを掲載しています。ぜひお聴きください。

■放送後1週間は右下のRadikoタイムフリーボタンでお聴きいただけます。
■萩原健太さんの詳しい情報はオフィシャルサイト
■Reiさんの詳しい情報はオフィシャルサイト

来週は『ローリング・ストーンズ』のPart2!ゲストには引き続き、音楽評論家 萩原健太さん、ギタリスト Reiさん。お楽しみに!