2021.03.13 ON AIR
【TLC Part2】音楽プロデューサー松尾潔さん、SPEED 島袋寛子さん登場

今週はTLCのPart2!ゲストには引き続き音楽プロデューサー松尾潔さん、SPEED 島袋寛子さんをお迎えしました。

■武道館公演、そしてアルバム『Crazy Sexy Cool』

グローバー:今となっては本当に貴重な来日公演となったレフト・アイが居た武道館のステージ、お二人共観ました?
松尾:もちろん観ました。
島袋:観ました。
グローバー:振り返って島袋さんずっと小学生の頃から憧れてビデオ見まくったそのTLCのライブ、初めて観た時の気持ちいかがでしたか?
島袋:言葉にできないですよ。なに歌ってたとかなにしてたとか覚えてないぐらいもうなんかずっと見入ってましたね。だって3人が登場してあの映像で見てたTLCが・・・もうなんとも言えない言葉にならないですよ。
松尾:TLCってさ、実際見たら幻滅するとかっていうのはまるで無いもんね。あのまんまでなんか可愛い良くできたフィギュアみたいな感じもあるじゃん。特にあの頃はもうほんとに人気者ってこういう形してんだっていう感じだったよね。
島袋:ステージで観るとTLCそのままなんだけどちょっと近づくと意外にそんなに大きくないですよね。
松尾:そうだね、むしろ小柄だよね。僕ね彼女たちがデビューして2枚目のアルバム出してたかな?その頃よくロサンゼルスに居たんですけど、あるホテルで朝ごはん食べてる時にTLCによく似た小柄な女の子たちがいたんですけどTLCでしたっていう話で(笑)だけどあまりに小ちゃくて普通の子だったからゆえに“こんなことあるだろうか?”って思った記憶がありますね。
グローバー:それはミュージックビデオとかだと大きく見えるってのは何なんですか?松尾:存在感って事になるのかなぁ。
島袋:大きく見えますよね、とても。
グローバー:特に印象的だった曲はありますか?
松尾:そうですね「Waterfalls」だったんですが先週かけてるんで「Creep」とさせてください。あたまにホーンの音が出てくるんですけど、もうそこで歌う前にイントロが聞こえてきた時にブワッっとみんなを掴むっていう。“あ、ヒット曲ってこういう事だ”っていう。そこからはいきなりクライマックス観せてくれるっていう感じ。
グローバー:この曲は音楽史の中でも革命的な曲じゃないかというのを松尾さんはアンケートの中でお答えになってますが。
松尾:はい。ヒップホップ的としか言いようがないんですよ。ホーンが鳴ってそれをただひたすら延々と積み上げていくという。展開するというよりも積み上げていくという感じなんですけれども、♪oh ah, oh ah, oh ah,ってなんか一回聴いただけで口ずさめるし、真似したくなるし、もしかしたら僕もプロデュースの初期に似たようなことやってしまったような気もしますし(笑)なんかねそういう力がありますね。
グローバー:この「Creep」で始まる彼女たちのアルバム『Crazy Sexy Cool』は本当にひょっとしたらガールズR&Bグループの理想と言えるようなアルバムがもう出来ちゃってセールスもそうですね。
松尾:そう思いますよ、90年代以降、特に90年代の女性R&Bグループのアルバムの作りって僕はもう2種類しかないと思って、一つは『Crazy Sexy Cool』の形を上からなぞる。もう一つは『Crazy Sexy Cool』に似すぎないように気をつける。
島袋:(笑)
松尾:つまり一種類しかない、この影響から逃れられないって事(笑)
グローバー:どっちにしたってこのアルバムなんだ・・・(笑)
松尾:それぐらい支配的な影響力があると思います。

■TLC に憧れた少女たちも25 周年!SPEED 島袋寛子が選ぶ
「2021 年の今、聴いて欲しいTLC のダンストラックTOP3!」


3位:No Scrubs

グローバー:この曲はどういうところが?
島袋:緩さ。本当は緩くないんですよ、ちゃんと作られてるんです、歌い方にしてもいろんなものが細かく。コーラスにしても。でもそれを緩く感じさせるって。
松尾:そうね緊張させないよね、聴く人をね。
島袋:アルバムが出て初めて聴いた時の衝撃は凄かったです。
松尾:あ、『FanMail』ね、3枚目の。
島袋:“何がくるんだろう?”って待って待って。で「No Scrubs」がきた時に“あ、そういうこと”みたいな。いいとか悪いとかもないんですよ、いいんですよ。チリがメインヴォーカル、リードを取ってるっていうのが。
松尾:確かにチリのソロみたいなとこあるよね。
グローバー:全く新しい観せ方だったんですよね。
島袋:それでもTLCだし。
松尾:だからTLCっていう魅力自体がそもそも平面じゃなくて多面的なんでしょうね。でもこの3枚目のアルバムの時は既にそれが浸透してて“ここもTLCだもんね”っていう彼女たちの自信も伺えますよね。

2位:Creep

島袋:これで踊れたらもう“あなたはダンス上手い”って感じですよね(笑) このサウンドで踊れるって余程上手くないと。本人たちがミュージックビデオで踊ってるんですけど私たち90年代に踊ってた人からしたらもうよくやってたよく見るステップだったり動きなんですけど、あの感じを出せる人は今どれぐらい居るのか。グルーヴが入ってないと踊れないんですよ。このノリでこれだけフリーで踊ったり揃えて踊ってもこのニュアンス出てないと“え?”っていうフリですよ。

1位:Hat 2 da Back

島袋:私の感覚で言うと踊り易さはファーストの方があるんですよ、ハネてるから。踊りたくなるんですよ。この曲は踊り出したくなるナンバーワン!90年代から踊ってる人はもうこれを聴いたら“はい!踊ります!”みたいな。この感じは最高ですよ。
グローバー:これはリバイバルで映像の景色含めてまた最近やってる人も居ますけど松尾さんこれは今こそっていう感じありますか?
松尾:例えばもうちょっと前の事になりますけどもブルーノ・マーズの「Finesse」 のあの感じとかも言えばこういう気分を今に蘇らせたってことなんですよね。あの時ブルーノ・マーズはMVの中でも当時のスタイリングでしたけど(笑)まさに『Hat 2 da Back』とかの世界ですよね。
島袋:低音が鳴ってる感じとか、もの凄くグルーヴが回ってる感じが何とも言えない!
松尾:時代の音なんだろうな。

■アルバム『TLC』

グローバー:松尾さんに隠れ名曲で選んでもらったのは『Way Back featuring Snoop Dogg』これは松尾さんポイントはどこですか?
松尾:TLCって言うと90年代メンバーが3人元気だった時の初めのアルバム3枚っていうのはあまりに伝説的と言うか神がかり的でベストな選曲っていうとほとんどその中からになっちゃうんですよ。だけど僕は今を生きる人間として、あの時代を作った人が今何を見てりかってことを絶えず考えるんですね。“TLCは今もカッコイイんだな”って思わせてくれる事は自分が昔夢中になった事に裏付けを与えてくれるようですごく嬉しいんですよ。2017年の『TLC』っていうアルバムは本当なかなか地味深いというか、派手ではないけどいい曲集めたなって感じなんですけど『Way Back』って曲は特に好きなんですね。
グローバー:いろんなグループの続け方ってありますけどTLCはとにかく時間はかかって色々試したけどやっぱりレフト・アイの代わりは入れない、そうして新譜を作って今もライブやってる。これはスピードもずっと色々ありながらやってきて島袋さんも見つめながら感じるところもありますか?
島袋:あります。もうメンバーじゃないとスピードにはならないと思うんで、TLCも多分レフト・アイじゃないとTLCにはならないってあるんじゃないですか?二人だけでもTLCだけど違う声が入るっていうことはもしかした違うのかも?っていうところに行ったんじゃないですかね。やっぱり3人でTLCで3人揃って声が揃ってTLCになるんだっていうのはすごいあるとは思います。
グローバー:2人でやってるライブでも映像でレフト・アイが出てくるともうね・・・
島袋:堪らない・・・もうやめてーってぐらいキュンキュンしちゃう。

■キャッチコピー

島袋:「TLCとは…気付いたら人生の先生でした」
今日話してて先生っていうか先にいっぱい色んなことを教えてもらってる。最高の先生ですよね。

松尾:寛子ちゃんのキャッチコピーを聞いて僕も自分の人生に寄せて考えてみました。「TLCとは…自分をSPEEDに結び付けてくれた恩人である」
グローバー:そこに戻ってくるんですね、先週お二人実はこうしてメディアで改めて話すの初めてなんだよねって言うところから始まりましたけども。
松尾:そうなんですよ。すごい照れくさいところから始まったんですけど、僕ねずっと音楽ライターっていうのをやってきたけど基本的に音楽ライターって自分の目の前にいない人たちに対して情報発信する仕事だから“これ届いてんのかな?”みたいなのが絶えずありましたよ。だけど僕が現地で見聞きしてきた情報を旅行から帰ってきた家族を迎えてくれるように“ウワーッと聞いてくれて、僕が話してることにすごく興味を持ってくれるし何よりどんどん吸収してくれると。自分がいろんなところでちょっと孤独を抱えながら海外で取材とかしてるようなことってのはこうやって今血となり肉となってしかもそれが日本中にSPEEDとして広がってるんだっていうのに震えるようなダイナミズムを感じたんですよ。それがもしかしたら僕がJ-POPの制作の方に入っていく最初のきっかけかもしれないなという風に今になって気づいた。こうやって人の役に立っててそれがまた楽しい音楽を生み出すって素晴らしいなって思ったんだよね。

2週に渡るレジェンド『TLC』
ラストは「What About Your Friends」で締めくくられました。

PLAYLIST

Creep / TLC

Red Light Special / TLC

Hat 2 da Back / TLC

Way Back featuring Snoop Dogg / TLC

魅せられて(エーゲ海のテーマ)/ 芹奈・かれん from Little Glee Monster

What About Your Friends / TLC


■放送後1週間は右下のRadikoタイムフリーボタンでお聴きいただけます。
■松尾潔さんの詳しい情報はオフィシャルサイト
■島袋寛子さんの詳しい情報はオフィシャルサイト

次回のテーマは、先日、解散を発表したダフトパンク!来週もお楽しみに!