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2016.12.11

今回は先日、『アクティ三軒茶屋』で、照明デザイナーの東海林弘靖さんに吉岡里帆がお話を伺ってきた模様をお送りします。
東急田園都市線、三軒茶屋駅から徒歩およそ9分の所にある、アクティ三軒茶屋。
ここは523の部屋があるUR都市機構の物件ですが、大学の跡地に建てられた団地になります。
そのため、とても広くて緑も豊かな場所になっています。
今回はこの団地の照明デザインに携わった照明デザイナーの東海林弘靖さんにお話を伺います。
まずは照明デザイナーとはどんなお仕事なんでしょうか?
「照明デザイナーっていうのは、あまり聞きなれない方も多いと思いますけど、建物の中も外もそうなんですけど、光を使って空間の演出をするというような仕事になります。」
こちらの照明デザインを手がけるお話があった時の最初の印象はどうだったんでしょうか?
「これは随分前になりますけど、ちょうど僕が事務所を作った。独立した時の直後の仕事で、とにかく張り切ってましたね。やってやるぞっという感じで、張り切ってたっていうのがありますね。それとお話をお聞きすると、このプロジェクト、この団地は住まい方。住む事。都市に生活する事に対しての新しいスタイルを模索しようという事で、いろんな新しい間取りだとか、それからバルコニーから入れるようになっているとか、そう言ったURさんとしても物凄く思い入れの深いプロジェクトだったのでワクワクしましたね。」
ではそもそも団地の照明というのは、部屋やお店の空間照明と違うと思いますが、団地ならではの照明を作っていくのに一番大切な事はなんでしょうか?
「団地みんなで共同生活というか、1つの同じ屋根の下で暮らすわけですよね。だから一戸建に住まれている方とはまた違った魅力があります。例えばお庭が広いとかですね。ちょっとしたスペースが豊かにある。それから緑も多い。そういうメリットがあると思うんですね。みんなの物なんだ。このお庭はみんなの物なんだと思ったり、この灯りはみんなの物なんだっていう風に思ったりする。そういう風な共有意識。みんなで好きだな。愛してるぞっていうような形に最後作るっていうのがとても大事なことだと思いますね。」
では、こちらの照明デザインを手がける上で特に工夫された部分というのはどういう所でしょうか?
「今まで夜の照明っていうと、暗いからつまずいちゃったら困るので明るくしましょう。安全の為の灯りを作ることだったんですけど、もう1歩進んで、ここでは景色が夜になると昼間以上に素敵な景色が広がっていく事をやってみたいとっていう風に提案したんですね。それは光によってお庭の特徴だとか、例えば大学の時代からずっと残っている大きな木とか、それを照らし上げたり、それから高低差があるので壁みたいなものを出てくるんですけど、石積みの壁。そういった所に光を当てて景色を作っていくと、そういうようなことをやったんですね。これは初めてやる事だったので、少し心配だったんですけど、みんなで検証して実験をして確かめて、1つ1つそうやって作っていったという、非常に丁寧にできている団地ですね。灯りがポッと灯る事によって、そこに暮らす時間が見えてきたり、あるいは夜の豊かな時間を散歩しながら見る事によって心が穏やかになっていったり、そういった作用が光にはあるんだと思うんですよね。そういった良い時間を作ってくれるっていうのが照明の魅力だと思いますね。」
ではご自身にとって光とはどんなものだとお考えなんでしょうか?
「それはドキってくる質問ですね。光っていうのは本当に人類がこの地球上に誕生した時から10万年くらい前からあるわけですね。朝、昼、晩、夜っていうのが繰り返されるので、朝日を浴びると元気になって、よし今日も頑張るぞって言ったり、夕方の光になると疲れたから休もうって思ったり、それを繰り返してきたので、その時の朝の光の色や強さ、それから夕方の光の色。そんなものによって、人の心が左右、作用される。そうすると明るいとか暗いだけではなくて、どんな時にどんな光があったら幸せになれるかなっていう事になる。つまり私達の人生を作ってくれる結構大事なものの1つじゃないかなと思ってるんですね。」
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