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2022.08.23

音楽情報、どこでキャッチしてますか?
8月23日火曜日
今朝のテーマは『音楽情報、どこでキャッチしてますか?』

メッセージ・Twitter・Instagramのコメントでは、
ラジオ・TikTok・LINE MUSIC・インスタのリール・音楽フェス
…などなどがありました!

今朝は、主に洋楽CDの国内盤についてくる解説冊子
「ライナーノーツ」に注目!
実際にライナーノーツを手掛ける
音楽プロデューサー、ライター、ラジオディレクターの中原仁さん。
そして、音楽ライターの門脇綱生さんにお話を伺いました!

ライナーノーツとは…
アーティストの歴史や楽曲解説、時にはインタビューを
音楽ライターの皆さんを始めとする専門家が
細かく解説している、小さな冊子。

ベテランのライターさん
まず最初にお話しを伺ったのは、
音楽プロデューサー、ライター、そしてラジオディレクターの中原仁さん。
ここ、J-WAVEでも「NX NIPPON EXPRESS SAUDE! SAUDADE」を担当されています。
中原さんはライターとして、ブラジル音楽、アシッドジャズ、
ユーロポップなどなど、40年以上に渡って多岐にわたる音楽の
ライナーノーツを手掛けています。
きっかけ
70年代の終わりぐらい、その当時既にもうラジオの仕事と、
JAZZフュージョンを中心に音楽の現場制作の仕事をしていた中原さん。
レコード会社の人との付き合いがあって、
そしているうちに20代中頃に「ちょっと書いてみる?」と言われて
始めたっていうのがきっかけだったそうです。
特に90年代の前半はJ-WAVEが一番洋楽シーンをリードしていた頃で、
音楽評論家よりもJ-WAVEのディレクターがライナーを書くのがすごく多かったそうです。
J-WAVEで原稿を書いてる人たちがライナーノーツを書くのが一時トレンドだった時期があったそう!
注意を払っていること
40年以上に渡りライターとしても活動して、
月に40本のライナーノーツを書き上げた経験もあるという中原さん。
ライナーノーツを書く上で注意を払っていることは、
頼まれたライナーノーツの主役のミュージシャンが、
大ベテランの人なのか新人なのかによって変わるそうです。
新人の場合はデータがない。でも大ベテランはありすぎる。
「またこれ知ってるよ!」って言われる人もいるだろうし、
だけどその人を初めて聞く人もやっぱ必ずいるだろうから、
その辺はある程度考えながらやっているそうです。
ベテランの場合はやっぱりこのアルバム自体が前のアルバムとどう違うか・10年前のアルバムとどう違うか、
あたりのことも吟味して書くようにはしているそうです。
そしてどうしても考えなきゃいけないのは、
ライナーノーツは、レコード、CD買った人が読むもの。
なので、お金を出して買ってくれた人へのサービスだということを中原さんは一番に考えているそうです。
この人をもっと好きになって欲しいとか、
こういうことを知ったらもっとこの人の音楽が楽しめる、
そういった一つの筋道を作るようなところも含めて
ライナーノーツを書くようにしているそうです。
ライナーノーツの役割
40年以上に渡ってラジオディレクター、
そしてライターとしてライナーノーツを手掛ける中原仁さん。
ライナーノーツがもつ役割は、
まずはその主役となるアーティストがどういう音楽家であるか、
どういう位置づけであるかということ、
この人は魅力が何であるかということ、
それとそのアルバムの中の例えば曲について、
このタイトルの後ろにはどんな意味があるのかとか、
これは何を伝えたいのか。
あとは、共演しているミュージシャンとかスタッフとか、
こういう人が組むとこういうことができるんだ!とか、
そういうことをある程度整理して書いていくことによって
「この曲の背景にはこういうものがあるんだな」
「この人のバックグラウンドでこういうのがあるんだな」
「このアルバムから全然違うにぶっ飛んでいくと、またこういう聞き方もできるんだな。」と。
そこの何か音楽のいろんな物と出会う楽しみ。
だから、サブスクで自由にほら「あなたにおすすめ」とかAIに与えるものじゃなくて、
「ここから飛べるんだ」って、
もっと自由な音楽の旅行を続けていけるっていう一つの手助けになればというのが、
ライナーノーツの役割かなと思っているそうです。
若手のライターさん
次にお話を伺ったのは、音楽ライターの門脇綱生さん。
ミュージック・マガジンや 情報サイトMikikiでの執筆、
そして アーティストのライナーノーツを手掛けながら、
京都のレコードショップ「Meditations」に勤務するバイヤーとしても
活動されている29歳。若手のライターさんです。
ライナーノーツの書かれ方
音楽への興味が生まれた10代の頃。
情報はライナーノーツから受け取ってきた、という門脇さん。
そんなライナーノーツはここ20年でより洗練されてきているというか、
大きいと思うのはインターネット以降だと思うんですが、
インターネットが発達して、アーティストのSNSやブログから
情報を収集することが簡単になって、
いまライター側がインターネットがあることで自覚的になって、
ライナーノーツの質全体が上がっているというか、
読み物だけでなく、資料的価値が高まっているな、と感じているそうです。
そんなインターネット時代に音楽ライターデビューした門脇さん。
調べれば膨大に情報が出てくる今だからこそ、
CDやレコードを手にとったファンの皆さんが満足する情報を
精査して、まとめる。という作業がライナーノーツの役割の一つ、
ともお話されていました。
バイヤーとして
レコードショップ「Meditations」のバイヤーとして、
ウェブ掲載用に月100枚分のEP、アルバムの紹介を書くという門脇さん。
デジタル全盛のいま、あえてCDやレコード。
しかも、安い輸入盤ではなく国内盤を手にとる人へ向けて書かれるライナーノーツについては、
ある種ライナーノーツも「物体験」だと思うそうです。
やっぱり実際手にとって読みたいから書籍を電子書籍でなく紙を買うのと同じで、
ライナーノーツもちっちゃな冊子ではあるけど、プロダクトしてすごく重要なもの。
たかだかに200〜300円上乗せしてついてきた付録とはいえ、
やっぱりそこにかけられたライターさんの想いや熱量みたいなものや、
ライターさんが蓄積してきた知識と解釈の集大成みたいなものなので。
実際、ライナーノーツがあったおかげで門脇さんの世界が広がり、
ライナーノーツを通して学んだ知識から
また新しい解釈が生まれるみたいな経験はたくさんあったそうです。
音質、小柄なジャケットの可愛らしさが見直されて
CDを手に取る音楽ファンがまた徐々に増えてきているそうなんです。
最近では洋楽/邦楽問わずアーティストが自分自身の楽曲を解説する
セルフライナーノーツも少しずつ増えてきています。
もしCDを手に取る機会があれば、
同封されたライナーノーツに 手を伸ばしてみてはいかがでしょうか。


中原仁さん
→【中原仁さんBLOG

門脇綱生さん
→【門脇綱生さんNOTE

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