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20221022 ONAIR

CITROËN FOURGONNETTE #30

今夜は、長岡亮介が最近気になっていた蓄音機の奥深さをお伝えします。
古い蓄音機や、歴史的価値の高いものがたくさんコレクションされた博物館「インターメディアテク」へ伺った模様をお届けします!
長岡亮介の体験してきた“蓄音機の世界”にどっぷり浸ってみてください。

今夜もよろしくお願いします

10月31日(月)は、ペトロールズのツアー「eject」の追加公演が中野サンプラザホールにて開催。
会場は、椅子があって段があって登っていく感じ・・・どんな感じになるでしょう?と。
曲も変えてみたいとのこと。
行かれる方はお楽しみに・・・!

そして今夜は!
古い蓄音器の世界を味わうべく、とある場所へ向かいました。
その場所とは「インターメディアテク」!

東京駅前の「KITTE」内にあるミュージアム。
ここは旧東京中央郵便局の局舎。
立派な蓄音器や、歴史的に価値の高い色んなものがコレクションされています。

「もっと早く行けばよかったなぁ・・・」

今夜は長岡亮介が体験してきた蓄音機の世界をじっくりお楽しみください。

「インターメディアテク」

1931年に建てられた旧東京中央郵便局の局舎。
天井が高く、ドアが大きく、声が響きます。
古い趣が感じられます。

今回ご案内してくださったのは、「インターメディアテク」の大澤啓さん。

「インターメディアテク」とは、東京大学の学術標本コレクションを展示している博物館。
日本郵便株式会社と東京大学総合研究博物館が協働で運営してる博物館で、歴史ある様々なコレクションが無料で見ることができます。

大澤さんは、元々はフランスの大学に行かれていましたが、その後日本へ来て東京大学に入り、学生の時にこの東京大学総合研究博物館に在籍され、今に至るそうです。

お話を伺いながら博物館の中を巡ります。
まずお目にかかったのは、蓄音機を発明したとされるトーマス・エジソンが創業したエジソン社から出た蓄音機ケース。
「形がまず素晴らしいですね」と大澤さん。

蓄音機が発明されたのは19世紀(1870年代)終わり。
そこから20世紀頭までは同じような形の蓄音機がたくさん出たそうです。

よく見るとレコードらしきものはなく、筒状の物がレコードになっています。
シリンダーと言うそう。
これが蓄音機の原型になるものだそうです。

元々の蓄音機は、音楽再生が主な目的で作られたのではなく、今で言うICレコーダーやマルチメディアの教材などを意識して発明されたと言われているそう。
最終的には秘書になってくれるのではないか、とエジソンは考えていたそうです。
その中に音楽再生の機能があり、それが結果的には主な機能になっていったのだとか。。。

長岡さんは、観賞用の機械だと思っていたとのこと。

今のレコードは33回転のビニール製ですが、
当初のレコードは78回転でSP盤と言われており、今のレコードより分厚く重く、落とすと割れてしまうそう。

蓄音機「クレデンザ」

続いて見せていただいたのは、Victor系列のVictrolaから出た「クレデンザ」という蓄音機。
見た目は木製の蓄音機のようですが、実は後ろに巨大なラッパが内蔵されています。
それも傑作と言われるラッパで、2度湾曲している筒がそのままホーンになっており、その構造によって素晴らしく丸く、リッチな音色が生まれます、とのこと。。。

そして蓄音機は電気を使わないので、ぜんまい式のプレートを回し、そこにレコードをかける、という仕組み。

レコードの針は使い捨てになります。
摩擦によって針が消耗し、レコードも傷んでしまうから。

レコードもかける度に徐々にすり減ってしまうので、ある時には聴けなくなってしまいます。そこにもロマンがありますね、と大澤さん。

長岡さんも、なるほどな〜、と。

「楽しむたびに寿命がすり減っていくもの」
グッと来るお言葉でした。。。

ここで1曲聴かせていただきました。

ぜんまいを巻いて、針が乗り・・・

「Hee-Bee Jee-Bees / Louis Armstrong & His Hot Five」

蓄音機「マーク9」

EMGという会社から発売された「マーク9」。
1930年代後半の蓄音機。
シンプルな箱型です。
直径70cm以上の巨大なホーンが印象的!

なんとホーンは紙でできています。
逸話では、ロンドンの古い電話帳をリサイクルして作られたとか。

1曲聴かせていただきました!
針が付く音も味わい深い、、、

「I Got It Bad / Ella Fitzgerald」

と、ここで音を一旦停止。
出だしのトルクが足りなかったとのこと。

ここにある蓄音機コレクションをメンテナンスされているのはマック杉崎さんという方だそうです。
日本では蓄音機研究の第一人者なのだそう。

マック杉崎さん曰く、蓄音機は大半のものが100年近く前のもの。気まぐれな老人なのでいつどう反応するか分からないといつもおっしゃっているそうです。

改めて準備が整いました、
「I Got It Bad / Ella Fitzgerald」をお聴きいただきます。

この「マーク9」で女性歌手の曲を聴くと、透明感があり、直接聴く側に届く。本当に目の前で歌っているかのような錯覚に、、、

蓄音機はモノラル。
ステレオで聴くものとは違い、蓄音機ならではのライブ感を堪能できます。

ここで1曲。
ジャズの伝説的なギター奏者、Charlie Christianがライブで録音したものがSP盤で残っているそう・・・貴重なレコードを聴かせていただきました。

「Stompin at the Savoy(part1) / Charlie Christian」
「Stompin at the Savoy(part2) / Charlie Christian」

大澤啓さん

今回ご案内いただいている大澤啓さん。

今は大学博物館にて、美術史学と美学の研究をされているそうです。
その中でも20世紀の美術とデザインと工芸が主なテーマ。

そしてそれとは別にジャズが元々大好きで、特にジャズのレコード史を研究されています。


*蓄音機とは私たちにどういう出会いを与えてくれるもの?

普段はストリーミングやデジタルで音楽を聴くようになりましたが、曲を垂れ流すようになっている。
蓄音機は物として美しく迫力があるので圧倒されるもの。
そしてそこから出てくる厚みのある音が「音楽鑑賞とは」というものを再び体験させてくれるものであり、普段我々が接している音楽体験とは異次元のもの。。。

可能ならより多くの人に体験してもらいたいとのこと。

今夜もありがとうございました!

ご案内いただいた大澤啓さん。
いい意味で変態?(笑)自分もですからね、と。
物腰が心地よくて、蓄音器よりも心地いいのでは?と感じるほど。
本当に博識、そして愛がありましたねと。

そしてインターメディアテク、とても素敵な空間でした。
たくさんの蓄音器や昔の楽器屋、剥製なども見ることができました。

このような物を集めた人がいたんだというところにグッときたとか。
過去に海外から集めた人がいて、今こうやって体験できる。
稀有なことで感謝したいな、とのこと。

今夜もありがとうございました。

オンエア楽曲

ミリオン・シークレッツ・オブ・ジャズ(New Recording) / Original Love
Hee-Bee Jee-Bees / Louis Armstrong & His Hot Five
I Got It Bad / Ella Fitzgerald
Stompin at the Savoy(part1) / Charlie Christian
Stompin at the Savoy(part2) / Charlie Christian