DIALOGUE RADIO -IN THE DARK-

日曜の深夜。全てのしがらみから離れて
本当に「独り」になっている特別な時間。
人は誰もが不安や悩みを持っているはず。
この番組は、自分の心と対話することの大切さを伝え、
明日への活力を求める人への応援メッセージを
発信するラジオ番組です。

EVERY SECOND SUNDAY

25:00-26:00 ON AIR

真っ暗闇の中で、心と対話する時間を。
志村 季世恵の写真

志村 季世恵

バースセラピスト

板井 麻衣子の写真

板井 麻衣子

J-WAVE NAVIGATOR

メッセージをいただいた方の中から毎月2名の方へ
ダイアログ関連本をプレゼント!

MESSAGE TO STUDIO

番組のオリジナルPodcast 配信中

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MESSAGE

人は他人と比較してしまう生き物だと思います。
人より、恵まれていると喜んだり、
人より、うまくいかないと落ち込んだり、
SNSが生まれたことで、自分を誰かと比較する機会も増えてきました。
そんな今だからこそ自分の心と対話する時間を大切にしたいと思います。
何をしたいのか、何が悩みなのか、何に希望を持つのか。
その積み重ねが幸せを感じる近道なのではないかと思います。
幸せは、自分の心の中にある。


2026.06.14
GUEST

第96回のゲストは
伊藤学司さんでした

 
〜 今月のプレゼント 〜

ダイアログ・イン・ザ・ダークを主宰する
志村季世恵さんの著書
『エールは消えない いのちをめぐる5つの物語』を
番組をお聴きの方の中から2名の方にプレゼントします。

ご希望の方は、この番組のサイトにある
【 MESSAGE TO STUDIO 】の欄から
番組の感想、送り先をお書き添えの上、ご応募ください。


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DIALOGUE

志村:ガクちゃん、こんばんは。
伊藤:こんばんは。
志村:ようこそ、暗闇の中へ。
伊藤:はい。
志村:お久しぶりですか、暗闇の中は。
伊藤:本当に僕はまだ16年、7年くらい前かな、東日本大震災の前、外苑前にあるときに一度お邪魔したことがあるんですが、それ以来です。
志村:ではでは、本当にお久しぶりですね。今日はちょっとだけショートバージョンでご体験いただきましたけども、能登のバージョン。今ここは、御陣乗太鼓の保存会の中におりますね。
伊藤:はい。能登に向かう電車に乗って、外から御陣乗太鼓が聞こえてきて、本当に見えない、真っ暗だからもちろん何も見えないんだけど、能登の綺麗な海が青空のもとにあるようなイメージがバーッと広がりました。
志村:あー、そうでしたか。日本海も見えました?
伊藤:見えました。見えないけど見えました。
志村:見える感じですよね。
伊藤:そうですよね。
志村:そうなんですよね。本当に皆さん、いろんなシーンを思い出されるんですけど、今日は私はちょっと違っていて、4人で座っていたからなのかもしれませんけど、家族でこんな風にボックス席に乗ったなーとか思い出しました。
伊藤:冷凍みかん食べながら(笑)
志村:そうそう、そうなんですよ。懐かしい冷凍みかん。
伊藤:新幹線になっちゃったから、中々ボックス席に乗ることも少なくなって。
志村:はい、本当ですねー。今は、ガクちゃんは、京都と東京とを往復なさったりしますか?
伊藤:はい、そうなんです。今、文化庁が3年前に京都に移転して、でも京都だけじゃなくてやっぱり東京での仕事もかなり多いので、毎週1回か2回は必ず新幹線で往復して、東京で仕事して、京都で仕事してっていうのを繰り返しております。
志村:あー、お忙しいですね。そうなんですよね、ガクちゃんは、文化庁の長官に今年の4月にご就任なさいましたよね。変化はありますか?お忙しさとかも含めて。
伊藤:私の前任者は都倉俊一さんという、本当に素晴らしい作曲家の方、文化、芸術の方が長官だったんですが、その後を継いで私、24代目の文化庁長官になったんですが、私はそういう芸術をやってきたわけではなくて、文部科学省という役所にずっと長く勤めて、その中で文化行政に取り組んできて、今年の4月から長官になったということで、ただ長官になると今までやっていたこととずいぶん仕事の中身も変わってきて、やっぱり各地にお邪魔して、いろんな方とお話をしたり、いろんな場所でご挨拶をさせていただいたりするので、ずいぶん役所の仕事って言っても、ちょっと性格、性質が変わってきたかなと思ってます。
志村:あー、そうでしょうね。そんな時に私、ガクちゃんとお会いしたのは、先月でしたよね。あ、4月、4月だ。
伊藤:4月の頭ですね。長官になりたてぐらいの時に。
志村:そうでした本当、はい。
伊藤:はい、文化庁長官、やっぱりいろんな場面、特に京都でいろんな場面に、まあ晴れの場に出ていかなければいけないので、そういった中で日本の文化の、いわば顔的な役割もしなければいけないということで、着物、和装をですね、当然一着も持っていなかったんですけれども、自分で一つしつらえようかということで、着物を作りに行った場で、季世恵ちゃんにお会いをしたということです。
志村:そうなんです。素敵なお着物を選んでいらっしゃるところを拝見していて、お似合いでしたよね。
伊藤:いやありがとうございます。本当に全然これまで着たことがなかったので、何を着ればいいのか全く分からなかったんですが、プロの方にしっかりこれが似合うんじゃないかと言われて、言われるがままにそれを選んで、ようやく出来上がったところでまだ着てないんですけれども、これを着て公の場に出て行くのがすごく今から楽しみで仕方がないです。
志村:私も楽しみです。ね、そうやってやっぱりお着物をお召しになったりとか、日本文化をたくさんこれからもっともっと感じていかれることも起きるんでしょうね。
伊藤:そうですね。日本の文化、新しい文化もあれば伝統文化もあって、これをバランスよく両方をしっかり守り、そして将来につなぎ、新しいものを生み出していく。そのために文化庁として何ができるのか、文化庁長官として何をすべきなのかということで、しっかり取り組んでいきたいと思っています。
志村:そもそも京都に移られた時には、京都でまたちょっと変わった、なぜ京都に移ったんだろうというのは、何となく文化庁だと京都で確かにそうだろうと思う気持ちはあるんですけど、でも何か変わったことはありますか?東京から京都に移った文化庁から。
伊藤:もともと省庁、まあみんな霞ヶ関、東京に明治以来、各省庁があるんですけれども、そういった中で地方創生というような観点で、省庁の中でですね、各地方の方から、ぜひこの役所にはうちの県に来てもらいたいとか、うちに来てもらいたいというようなことを各地から声を上げてもらったんですが、そういった中で京都府、京都市さんの方からですね、日本の文化の中心である京都に文化庁はぜひ来てもらいたいと、こういう強い熱望を受けてですね、政府の中でいろいろ議論して、じゃあ文化庁は京都に移転しようじゃないかということで、3年前に移転をしたところなんですけれども、それはやはり京都には本当に数多くの国宝、重要文化財、史跡など、日本の文化財は京都周辺に集中しているというのもありました。ただその文化財がたくさんあるから京都に行くというだけではなくて、やっぱり京都っていうのは日本の文化、これまで新しいものを作り出すのも実は京都から様々な日本のオリジナルの文化というものを作り出し、それが京都の生活の中に密着をして、今に残ってきているというようなことがあったので、単に古いものが多いからということではなくて、新しいものを生み出す上でも京都という地で文化庁の職員がその土地で空気を感じ、多くの人たちと意見交換する中で新しい文化政策というのに取り組んでいくと、もっともっといい文化行政ができるんじゃないのかなということで、移転をしたところです。
志村:例えば新しいというものは、どんな感じのものもありますか?
伊藤:当然京都の中で、これも新しいか古いかというのはあるんですけれども、我々は文化財を指定して守るというと、どうしても貴重なものとか、非常に価値の高いものを守っていくというようなことをずっと文化庁やってきたんですけれども、もっともっと文化って生活の中に根差しているんですね。例えばお茶ですとか、お花ですとか、もしくは和食、こういったものっていうのが日本の文化として非常に価値が高く、それが生活の中にしっかり溶け込んで守られてきているっていうのが、実は京都の地ではないかと思っております。こうしたものが実は今世界からものすごい評価を受けて、日本の文化ってすごいよね、お茶すごいよね、お花すごいよね、日本の和食素晴らしいよねっていうふうなことで評価を受けている。それで多くのインバウンドの方が日本に来て、また京都、全国各地を回りながら、その素晴らしさを体験してもらっているんですけれども、こうしたものがすごく価値があるから、ここだけ守っていこうではなくて、生活の中に自然とこれを入り込んで自分たちを守っていくんだっていうことが、明治以降もなされてきたのが京都ではないかなというふうに思っております。僕らはそういうことをやっぱり感じながら、それを大事にして日本の文化を磨いていくっていうことを、京都の地でやっていかなければいけないなと思っています。
志村:あー、ということは、京都にあるような、例えば小さな、私が今思い浮かべたのは、七味とか・・ありますよね。
伊藤:そうですね、はい。
志村:あぶら紙とか。
伊藤:あぶら紙とかね。本当に生活文化という言い方をしていますけれども、これは日常の中に溶け込んでいるだけに、日本人の考え方とか思考とかですね、行動とか、こういうものをすごく形作ってきているものだというふうに思っています。で、それは、なんでしょう、すごい国宝とか重要文化財という文化ももちろん大事なんですけれども、実は日本文化って何?っていうと、そういうことから日本人の考えに影響をすごく及ぼしているものっていうのがいっぱいあるんだなというふうに感じています。
志村:確かにそうですよね。あの、突然ですけど、ガクちゃんが、日本の文化ってこれだよなと思うことって、例えば子供の頃のガクちゃんは、どんなことを感じていらっしゃいました?
伊藤:子供の時はあんまり、すみません、これが文化だとかいうのは全然感じないで、野原を駆け回って、まだそこそこ自然も残っているような感じでしたから、本当に駆け回りながら友達と遊んで、自分でいろんな工夫をしながらゲームを、ゲームなんて言ったらテレビゲームも全くない時代ですから、自分たちで遊びを考えて、それで楽しんでたっていうようなことで、あるものを工夫する、これすごく、日本だけではないんだけれども、やっぱりあるものを工夫しながら楽しみを作り、新しいものを作っていくっていうのは、なんかすごい日本の文化的だなぁというふうな感じがしています。
志村:そうですよね、私、竹馬とかをしてたんですね、小学生の頃とかって、ゴム段したりとか。そういうふうなのも日本の文化だったのかなーって、今お話伺いながら思ってたんですけど。
伊藤:そうですよね、僕も竹馬とか、まあ、世代的には僕らより少し上になるのかもしれないけど、メンコとかベーゴマとかもすごくやってたし、とても楽しかったし、なんか物が溢れてないんだけど、みんなでいろいろ工夫しながらやるって、とっても楽しいなと思いますね。
志村:ね。ベーゴマで思い出したんですけど、私、孫がおりまして、保育園の卒園式だったんですね、その時にベーゴマをみんなで回す、卒園式の中で。で、どんどん長く回した子のほうが、当然皆さんに注目されるんですけど、みんな上手いんですよ。
伊藤:すごい、今の子どもたちもベーゴマやるんですね(笑)
志村:やるんですよ、竹馬もするし、そうやって文化をちゃんと継承しているところがあるんだなってすごく思って感動したんですけど、それを今お聞きしてまた思い出しました。
伊藤:ベーゴマだって、僕らはベーゴマで遊んだけど、元々で言うとコマ遊び、コマ回しっていう日本の伝統的な遊びがあって、お正月にはコマを回してっていうので、たこあげをしてとか、すごくそれ日本の文化なんですよね。
志村:そうですよね。そういうのもやっぱり大事にできたらいいですよね。
伊藤:ですよね。

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伊藤:さっき食文化って話もしたんですけれども、今、食文化はユネスコの無形文化遺産で、日本の和食っていうのが世界のユネスコでも登録をされ認められているんですけれども、それは京料理のように素晴らしい、しっかり手の込んだ美味しい料理も含むんですが、さらに、例えば日本全国、お正月にはお餅を食べるんだ、こういう文化が日本各地に根付いているんだ、こういうことも実は評価をされて、ユネスコの方で登録をされているということで、こんな文化も我々は守っていかなければいけないなと思っています。
志村:本当ですね。ちなみに私は今日ですね、そう、ガクちゃんにお会いしようと思って、嬉しくてですね、なぜかちゃんとおむすびを握りたいと思って、塩むすびにしようと思ったんです。なんか日本人に徹してみようと思って。梅干しを入れて。で、おむすび。そしてホカホカでいただいたんですけど、こういうのっていうのが、もしかすると日本の文化にも続いてるのかもしれないなぁと思いながら食べてたんですけど。
伊藤:ですね、海外、ヨーロッパあたりでは、おむすび屋さんはすごく人気らしくて、ただちょっと日本人からするとびっくりするくらい一個一個高いらしいんですけど、でもそのくらいおいしいって評価をされているみたいで、我々が自分たちはあまり気がつかなかった、これに価値があるんだとか、これが評価されるんだって気がつかなかったことが、実は世界から評価され、改めて日本人が、あ、あれすごいんだねって逆輸入で気づくっていうのも、まあちょっと情けないんだけど、現実にそういう素晴らしい文化を日本って本当に数々、生活の中に培ってきたんだなと思います。
志村:本当ですね。あらゆるところに日本文化が本当はあるんだけども、やっぱりお外に出たところで初めてわかったことってありますよね。
伊藤:そうですね。
志村:うーん、そうか。ガクちゃんは長官になられて、これをしたいんだぞっていうのは、おありですか?なにか。
伊藤:そうですね、長官就任以降いろんな場所で、文化と経済の好循環をいかに作り出していくのかっていう、ちょっと抽象的な言い方なんですけれども、これを目指していかなければいけないと思っています。もちろん文化ってそれ自体で非常に価値のあるものですから、それ自体を楽しむ、それ自体を素晴らしいと愛でる、もちろんこれもこれで重要なんですが、やっぱり持続可能な形で将来に向かってこの文化をしっかり守り、また発展させていくためには、文化活動に従事をしている人たちに、その文化が生み出した価値っていうもの、経済的価値というものをしっかり評価した上で、そこで得られた対価になるようですね、その文化の担い手、作り手にしっかり還元をして、新しい創造なり保存なり、これにつなげていくっていうのを、あらゆる分野でやっぱり目指さなければいけないんじゃないのかな、素晴らしいから放っておいても勝手に誰かが守ってくれるよ、ではなくて、やっぱりその価値の、まあ価値づけじゃないんですが、価値っていうものをしっかり認識した上で、それを対価に変えられるところは対価に変える。お金にはなかなか換算できないところも、子どもたちの教育ですとか、地域を守っていく上ですとか、いろんな価値を持っています。個人で見れば、ウェルビーイングって今すごく言われていますが、やっぱり文化活動をすると心身ともに健康になっていくっていう価値を生み出しているんだから、だから文化活動を一所懸命みんなで頑張り、また次につなげていこうね。こういうのを行政としてしっかり下支えをさせていただきたいっていうのが、今私が目指しているところです。
志村:うわー、いいですね。みんな元気になりますね、今伺っていても。私もその一人です。
伊藤:ありがとうございます。まあすごく難しくて、もちろん、例えばお金を生みやすい分野と、生みにくい分野ってあって、例えばアニメとかですね、漫画、映画、音楽、こういうコンテンツ分野っていうのはやはり産業と一体になってますから、文化産業として日本で素晴らしいものを生み出せば、日本の国内だけではなくて、海外でもしっかりそれを価値に変えてアーティストに還元しなければいけないと思っております。もう一方で、本当に大事なんだけど、なかなかお金に結びつかないような分野もある。だけどそういった中でも工夫をすると、例えば日本の本当に素晴らしい作家が作った工芸品なんていうのは、ものすごい高い価値を海外では実は値がついたりするんですね。日本国内だといまいちそこが評価されなかったり、値がつかなかったりするんですが、そこを少しシステムを一緒に作れればですね、その価値っていうものを地道な工芸作品を作る方々にも還元ができて、また新しいものを作れるようになっていくんじゃないのかな、で、そうするともしかしたら、ここはこの分野はお金を生み出さないんだけれども、この文化活動で得たお金というものをこちらに回していこうじゃないかとか、企業の皆さんなんかも直接的な経済価値、商品としての価値をすぐ生み出せなくても、やはり企業イメージとか企業の社会貢献の中で、このお金にならない分野は自分たちで支えようじゃないか、こういうサイクルもできてくるんじゃないかなっていうふうに期待しつつ、期待するだけじゃなくてその流れを作っていきたいと思っています。
志村:うーん、いいですね。今職人さんたちが本当に少なくなっていってしまっていて、素晴らしい文化がたくさんあるんだけれども、例えば漆器の職人さんが減っていっているとか、紙を作る方がいらっしゃらなくなるとか、筆がなかなかできないよとか、いろいろありますよね。そういうことなんかもきっとこれからは、だんだん日の目が当たってくるわけですね、きっと。
伊藤:そうですね、特に伝統的な工芸品なんかもそうなんですが、文化財もそうですけれども、前はお金がなかったから中々保存ができなかったよっていうことだったんですが、最近はお金があっても、それの担い手がどんどん減少しているとか、もしくはその古い価値のあるものを昔の工法、昔の材料で作ったり修理をしたりというときに、そういう材料の供給源がもう細ってしまって、できなくなってきているというのもすごく各地で聞いております。ですので、文化財を守り、また将来につなげ新しいものを作っていくためには、お金も大事ですけれども、そういうような人をどう育成していくのか、そして材料というものをどう加工していくのかという、この三つを三位一体で取り組んでいかなければいけないというのが、文化庁としての大きな課題だなと思っています。
志村:素晴らしいです。なんか未来がちょっと明るい感じがしてきました・・・
伊藤:暗いですけどね、ここはね(笑)
志村:ここは真っ暗ですね(笑)本当だ。
伊藤:でも暗いからこそ、想像の中で明るい未来を作れればいいなと、まああの、簡単じゃないんですよね。どれ一つ取っても本当にすごく難しいんですが、でもやっぱりそこを見据えて、いろんな新しいチャレンジを少しでもしながら、仲間を増やしていきたいなと思っています。
志村:いいですね〜。たくさんの仲間が必要ですね。
伊藤:そうですね、はい。

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志村:ちょっと余談なんですけど、さっきアニメ、マンガっておっしゃってましたよね。ガクちゃん、アニメやマンガはお好きだったんですか?
伊藤:やっぱね、マンガっ子というか、小学校、中学校とかずっとマンガで育ってきた世代です。未だに結構マンガ読んでて、そのマンガ、さらにそれをアニメ化をするっていうのを見てるんだけど、改めて自分が育ってきたのはマンガなんだけど、世界で、例えば去年か、世界陸上をやった時に、欧米の世界中のトップアスリートが、日本のマンガ、アニメを大好きになって、その聖地である日本にやってきた。世界陸上で金メダル取るよりも嬉しいという、若干、陸上関係者からひんしゅくを買うぐらい、はしゃいで発言をしてしまったというようなことがあるぐらい、やっぱり日本のマンガやアニメってすごく評価をされてるっていうのは、すごいなぁと思って、直に嬉しいなと思ってます。
志村:ひとえにマンガって言っても、本当にいろんなことがあって、私なんかもだいぶマンガ読んだんですけど、いや今でも見てますけど、結構歴史をマンガで学んだりとか、いろんなことありますよね。
伊藤:そうですね、やっぱりわかりやすい表現形式として伝えたいことがしっかりあった時に、それを相手に伝わるようにする機能って、すごくマンガって長けてると思います。マンガも本当に日本は伝統的にですね、明治以降のマンガだけではなくて、それ以前からのマンガ的な文化っていうのがある中で、いろんな表現、オノマトペと言われてるような表現を含めてですね、いろんなものを伝えるための表現って日本って蓄積がすごくあるんだけど、そのベースに日本のマンガってやっぱりあるのかなと思ってまして、そうすると、やっぱり伝えたいことって気持ちだけ持っててもやっぱりなにか表現形式を上手に伝えないと中々伝わっていかないんだけど、マンガってそれも伝えられるっていうのがすごくなんか一つの強みだなと思ってます。
志村:本当ですね。桂離宮にこの前行ったんですが、やっぱりマンガの影響で、『エースをねらえ!』っていうマンガがあったんですけど、あれで主人公のコーチが死んでしまって、立ち直っていくときに、お坊さんだった人が今度はコーチになるんですけど、なんか桂離宮の話があって、ふとそれを思い出して、ちょっともう一回行こうと思って行ってきたんですよね。
伊藤:すごい影響力だと思います。『エースをねらえ!』は僕も実はかなり読んでいて、固有名詞も今の方の固有名詞全部出せるんですけど、それはでもね、それが『エースをねらえ!』だったから、僕が小学校の頃はみんな、特に女子はテニスをやり始めるとかね、それを作っちゃう。で、その後は『キャプテン翼』があって、これはもう世界中でサッカー少年をどんどん増やしていったっていうようなこと。僕らの時は『巨人の星』とか『侍ジャイアンツ』とか、こういうのを見ながら野球をやってたんですけれども、すごいなぁ・・・これは日本人は結構長くマンガなんて・・・みたいなことで、ちょっと文化の中でも若干下だよみたいに思われてた時期もあるんだけど、全くそうではなくて、すごい日本の文化だよねっていうことが今は評価をされているし、我々もそこをしっかりシェアアップしていかなければいけないなと思っています。
志村:そうですよね。江戸時代から本当はあったんですもんね。
伊藤:はい。
志村:はい、そうかー。なんかありがとうございます。よかった、同じところの時代だったのかなーなんて思いました。そう、今こうやって暗闇の中にいると、ちょっと普段と違った感じで、私は「ガクちゃん」ってお呼びしていて、「季世恵ちゃん」って呼んでいただいて、とっても対等な感じの関係じゃないですか。と言っても、実は「長官」っていうふうに、このお名前もお呼びしてないんだけれども、なんだろうな、すごくガクちゃん、対等な感じをいつも感じていて、その柔らかさはどこから来るんだろうって思いながらも、あ、こういう方が長官になっていただけると、本当にいい意味でまた違った文化が広がっていくのかもしれないと思ったんですね。で、今この暗闇にいて、例えば自分という存在であったりとか、または他者の存在とかっていうのが、ちょっと違って見えることがあると思うんですけど、その暗闇の中で感じる、改めて人と文化ってどんなことだろうってお感じになるのか、ちょっとお聞きしたくなっちゃったんですけど。
伊藤:はい、もう本当に人と文化ってすごく難しい命題だと思います。ただこの暗闇の中ですごく感じるのは、自分ってもちろん一人の人間として自分でできることもあるんだけど、同時に自分一人でできることってすごい限られていて、無力であるなっていうのも感じさせられるっていうのが、この暗闇ですごく思うところなんですね。そうすると、例えば自分は今文化庁長官になったんで、長官長官って言われることは確かに多いですし、自分という実像以上に長官という巨像が出来上がり、そしてそれがもちろんある意味は仕事を円滑に進める上で非常に役に立つこともあるんだけど、でも自分の実像って長官になる前の3月31日と長官になった4月1日で全く違う人間になったわけじゃないわけなんですよね。だからそこのところは、変な意味で勘違いをしちゃいけないなと思っています。やっぱり自分でできることって限りがあるので、いかに自分と同じ志を持った仲間と同じ夢というか、ビジョン、方向性を共有をして、それに向けて力を合わせられるのかということで、新しい文化を創造していくとか、我々がやっているのは文化活動自体ではないので、やっぱり文化活動する人たちをお支えをする、そういう行政というものをみんなで力を合わせてやっていかなければいけないなというふうに思っています。
志村:あー、本当ですね・・・なんかそれぞれの中に文化ってあるじゃないですか。例えば、目が見えない人たちの独特な文化があって、到底真似できないような素晴らしい文化があるんですよね。頭の中が大体3Dでできていて、私なんかは平面な感じで物事を見ているんですけど、常に立体的な感じに物事を捉えているんです。なので自分の場所がどこにあるかというのを感じるときに、3Dで見ていて、例えばここに座っていても、この場所に自分がいて、相手が向こうにいることをちょっとね、上の方から見るときがあるんですって。地図もなしで、平たい地図ではなくて、全部3Dで見ているんですよね。ああいうふうなことも、生きていく上での力になるんでしょうけど、知恵みたいな、そういうふうなものが文化になっていったりもするんだなと思ったりするんです。で、聞こえない人たちは聞こえない人たちで、今度はまた全然違った文化を持っていって、手話もそうなんですけど、例えば見えない人たちとは全然別問題で、目の使い方がすごく素敵なんですよ、素晴らしいんですよ。例えば、私たち歩いていて、私が聞こえていて、仲間が聞こえなくて、そうするとね、パッとよけるときがあるんです。あの、道の後ろから歩いてる人を感じていて、なので180度以上の幅を見ているんですよね。で、若干後ろにいるなと思うとよけて道を開けるとか、そんなことをしたりするんですね。たくさん見ないと情報を取れないのでって、音声ではないのでって。だからよく見えるよって、その代わり目が疲れるんだって言ってましたけど、こうやって見えない人、聞こえない人たちの生きていく中での生活の文化を見ていると、やっぱり学びたいなと思うことがいっぱいあります。
伊藤:そうですね、よく五感、五感と言いますけれども、僕らだって、例えば視力、僕もそんなに視力が良くないんだけれども、じゃあ聴力がどうなのかとか、鼻の嗅覚がどうなのかとかって、やっぱり人それぞれ、全部実は能力の違いがありますよね。それで感じているものってそれぞれ違うんだなっていうのは思うんだけど、なんとなく自分の能力だけで見たものっていうのを周りも同じように捉えているって感じちゃいがちなんですけど、実は全然違う。これはあの、いわゆる身体に直接障害があるような場合だけではなくて、物の考え方とかも含めて全員人それぞれ微妙に違うわけで、その違いを排除するんじゃなくて、どういうふうに感じているんだろうかとか、この人はどういうふうな体験を積まれているんだろうかみたいなことっていうのを、ちょっと立ち止まって想像力をこっちが一歩あゆみ寄るじゃないけれども、広げることによって、自分の逆に凝り固まった視野が広がったり、考え方が柔らかくなってくるっていうのが絶対あるのかなっていうふうに、ちょっとこの年になってきてだいぶ感じるようになりました。
志村:本当ですね。うわ〜。

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志村:私たちが、例えば、ガクちゃんが今お仲間となさっている文化活動を、もっともっと豊かにしていこうということもあると思うんですけど、個々の私たちがやれることって、どんなことがあると思いますか?
伊藤:そうですね、まあ、文化ということに限ってみると、いろんな活動をとにかくたくさんしたほうがいいなと思っています。いろんな活動をしたほうがいいというのは、みんな忙しいですし、例えば経済的にゆとりがある・ないというのも違いはあると思うんだけど、今までやってないような新しいことをちょっとチャレンジしてみると、少しだけ違う世界が見えてきたりとか、それによって自分の考え方がちょっと変わってくるということで、なんていうかな、世界が少し広がる部分があるのかなと思っています。で、文化活動ってやっぱりいろんな意味でちょっと余裕がないと、後回しにされちゃうなというところがあるんだと思うんですけど、それでも心の中の1%の余裕みたいなのを文化活動に、例えば時間を割くとか、お金を割くとかっていうことをやってみると、なんか違う世界が広がってくるっていうのを個々人でもあるのかな。でもう一方、我々もそうなんですが、「パーセント・フォー・アート」っていうような観点で、そういう意味だと後回しになっちゃう、ほっとくと後回しになっちゃうんだけれども、この予算の1%でもアートに割く。これは行政だけじゃなくて、例えば企業なんかでもそうなんですが、そうして活動してみる形によって、新しいものが出てくるっていう風な部分っていうのが、それぞれの人、それぞれの組織の中で、ちょっとでも広がってくると、新しい展開を生むのかなーなんていうふうに思ってます。
志村:あー、本当ですね。確かにそうだ・・・。あのね、この番組、いつも最後に「明日、元気で朝を迎えるために」その一言をもらってるんですけど・・・
伊藤:今日の話の中でも少し出させていただいたんですが、実はこの年齢になるぐらいまではですね、結構がむしゃらに自分の力でこの仕事ができるんだとか、仕事を成し遂げるんだとか、突破するんだ、みたいな感じでずーっと何十年も走り続けてきたんですが、やっぱり組織の中で段々ポジションも上がってきて、改めて感じていることっていうのは、やっぱり自分一人の力っていうのは、どんなに自分の力を高めてもすごく限界があるなっていうふうに思ってます。それで最近すごく感じている好きな言葉というか、論語の中にですね、「徳は孤ならず、必ず隣あり」っていう言葉があるんですが、特別に自分が徳のある人間だとかどうこうは全く別として、やっぱり誰かのためになにか、世の中を少しでも良くしたいと思っている、こういう徳を持っていると、その人は孤立せず、必ず同じ志を持った仲間というのが隣に来てくれるんだ。そしてその一緒に良いことをすることに力を貸してもらえるんだっていうことを、すごく最近感じています。ですので、今それぞれ明日からまた月曜日、ちょっと嫌な仕事があるなとか、つらいな、これハードル高いなと思うのがあったとしても、それが世の中のために少しでも良くしようと思っているような、やっぱり志があるようなものであれば、必ず自分一人ではなくて、隣にそれを手助け、一緒にしてくれる人というのが現れるんだよっていうふうな思いを持って臨むと、ちょっと気が楽になるのかなぁと思います。
志村:いやー、すごい素敵な言葉、ありがとうございます。でも本当に、人は死ぬまで、死んだ後まで徳を積むことができるそうですので・・・
伊藤:頑張ります。
志村:はい、私も今の言葉をとても大切にして、明日を迎えたいと思います。
伊藤:はい(笑)
志村:ありがとうございました、今日は本当に。
伊藤:ありがとうございました本当に。今日も大変勉強になりました。ありがとうございました。
志村:こちらこそです、ありがとうございました。



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