日曜の深夜。全てのしがらみから離れて
本当に「独り」になっている特別な時間。
人は誰もが不安や悩みを持っているはず。
この番組は、自分の心と対話することの大切さを伝え、
明日への活力を求める人への応援メッセージを
発信するラジオ番組です。
EVERY SECOND SUNDAY
25:00-26:00 ON AIR
人は他人と比較してしまう生き物だと思います。
人より、恵まれていると喜んだり、
人より、うまくいかないと落ち込んだり、
SNSが生まれたことで、自分を誰かと比較する機会も増えてきました。
そんな今だからこそ自分の心と対話する時間を大切にしたいと思います。
何をしたいのか、何が悩みなのか、何に希望を持つのか。
その積み重ねが幸せを感じる近道なのではないかと思います。
幸せは、自分の心の中にある。
第76回のゲストは、吉元由美さんでした
〜プレゼントのお知らせ〜
ダイアログ・イン・ザ・ダークを主宰する
志村季世恵さんの著書
『エールは消えない いのちをめぐる5つの物語』を
番組をお聴きの方の中から2名の方にプレゼントします。
ご希望の方は、この番組のサイトにある
「MESSAGE TO STUDIO」の欄から
番組の感想をお書き添えの上、ご応募ください。
志村:由美さん、こんばんは。
吉元:こんばんは。
志村:改めまして暗闇へようこそ。
吉元:あーなんかドキドキしています、ありがとうございます。
志村:ドキドキしちゃいますよね、ワクワクしていただけたら嬉しいんですけど、大丈夫でしょうか。
吉元:大丈夫です。
志村:よかった。今日はもうね、午前中にもう一つの方の暗闇、神宮外苑の方にもいらしてくださってありがとうございました。
吉元:はい、お米をね、ご飯をゆっくり暗闇の中で、ちっちゃなおにぎりをいただいたんですけど、何度も何度も噛みしめながら、あ、この命を繋いできたご飯がね、お米がね、私たちの命を、日本人の命をずっと繋いできたんだなーと思ったら、いつも急いで食べるご飯とはもう全然違うお味になって、新しい感覚を得ました。
志村:そうなんですよね。一粒一粒をこんなに深く感じたことってあったかしら?と思うように私も最初の時には感動して、今ももちろんそうなんですけど。
吉元:ええ。どんどん味が変わっていってね、本当にどんどんなんていうのか、もちろんひと噛みふた噛みした時にも優しい味なんですけど、噛めば噛むほどもっともっと優しいまろやかな味になっていって、なんかちゃんと味わわなきゃいけないなっていうのを思いましたね。
志村:本当ですねー。お米一粒一粒の命が自分の命をまた繋いでくれるということを感じてもらいたいなと思ったんですけど、そうやって人は意識していなくても生きてたんだなっていうふうに思いました、あの時本当に。
吉元:そうですねー。やっぱり稲って命の根なんですよね。だから稲って言うんですよね。
志村:うーん。言葉ってすごいですね。
吉元:やっぱり言葉にはなんかその心が宿っているというか。ちゃんとその意味するところが宿ってるなって思いますね。
志村:うーん。あのう、作詞家でね、いらっしゃって、そして曲をたくさんお書きになってますよね。
吉元:そうですね、今年デビューして40年になるんですけれども、まあうん、千曲ぐらいかな?正確な数ってちょっと数えたことないんですけど、およそ千曲ぐらいかなと思います。
志村:すごいなー。
吉元:でもねそれもう40年という年月から考えると、決して多い曲数ではないんですよね。
志村:いやいやいや、あのね、なぜすごいかと思ったかっていうと、数もそうですけど歌詞を拝見しているとね、とっても深いじゃないですか、そのお言葉一つ一つ、単語一つ一つもそうなんですけど、読み解いてみると、毎回毎回メッセージが深くて、それを感じると千曲というのはすごいと思うんです、私からすると。
吉元:そうですか?
志村:はい、どの曲も読んでいても聞いていてもなんですけど。
吉元:なんか自分が感じた、気づいた大切なことを、一行でも歌詞の中に書けたらいいなっていつも思うんですね。で、例えば愛ってどういうことなのかなって20代の頃考えて、あーそっか、こういうことなんだなって思ったり。でもそれが30代になるとまた違う切り口というか、例えば愛について30代の時に考えた時に、また違う方向というのかな?捉え方になったり、40代、50代ってこう愛についてずっとまあ考えることが仕事、仕事って言ったら変ですけど、歌を書いていると、なんか愛ってどういうことなのかなって思いながらずっと書いてきたような気がしますね。だからこれから先、今思っていることともしかしたら10年後思っていることってまたちょっと少し違うのかもしれないんですけど、そういうことを考えながら自分自身進化していきたいなっていう思いはあります。
志村:うーん大切だと思います、そういうことって。捉え方も違うし経験も違ってくるし、体力もまた変わってきますし、色々変わりますもんね。
吉元:そうですねー。でもなんか今は、まあちょっと変な話っていうか、去年宮古島に行って、まあ一人で行ったんですけれども、その時に夜ベランダに座って星空をぼーっと眺めていたんですね。そうすると、なんだかな、金星がすごく大きく見えて、すごい輝きで、見たこともない、こんなに金星って大きく輝くの?っていう感じで出てたんです。でなんか金星と話そうとか思って。まあほとんど妄想の世界なんだけど(笑)で、私どうやって生きていったらいいですか?って金星に問いかけたんですね。そしたら金星が、ただ愛しなさいって、金星に言われたんです(笑)
志村:すごい、金星すごい。
吉元:まあそれって私の内なる声なのかもしれないんですけれども、なんか金星に聞いて、そしたらただ愛しなさいって言われて、あ、そうだよねってものすごくもうストンと落ちてきましたね。だから今はただ愛することの練習をしています。
志村:ただ愛するっていうのは、とっても大切だし、とっても難しいことですね。
吉元:そうですよね。どうしても誰かを愛するとかっていう時にエゴが入ってきて、例えば自分は愛してるからこういう風にしました!ってもうそれ自体がエゴで、期待して期待通りじゃなくてがっかりしたり、それもエゴで、だからもう自分が思っただけを返してほしいとかね、どうしてもそう思いがちなんだけれども、そういうものも全部全部全部手放して、ただ自分が愛するようになれたらいいなと思うんです。
志村:本当ですね。私、猫や犬と暮らしていてね、それを感じる時があるんです。自分よりも先に寿命が来るので、老いていった猫とか犬とかがただただ自分を愛してくれてるんだなと思うと、人間の私よりもよっぽど愛について深く知っている存在かもしれないとか思って。
吉元:動物ってそうなんですよね。私も2年前に飼ってたトイプードルが15歳で亡くなったんですけれども、私の腕の中で亡くなったんですね。で、本当に最後心臓が止まる時に、なんて言うんでしょう、パッと首を上げて、目をカッと私の方をまんまるな目をもっとまんまるに見開いて、そしてなんかね、プチっていう音がしたような感じがしちゃうんだけれども、心臓がその瞬間に止まったんだと思う。その体験はすごくって、私は寂しいし悲しいし喪失感で、その時に、ああもっとこうしてあげればよかったな、もっと美味しいご飯あげればよかったとか、もっと散歩連れてってあげればよかったとか、すごく後悔することもたくさんあって、でも後悔すること自体自分のエゴじゃないかな、そうやって自分をなんか慰めているような、後悔して自分を慰めるってすごい変なんだけれども、でもその時に、ああなんか、ただただ受け入れて、ただ愛することを学んでいる、今そのプロセスにいるような気がします。
志村:そうなんですね、すごいなー。
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志村:ただ愛することを覚えるというのか、それがだんだんそれに対して深まっていくことができると、自由になるでしょうね。
吉元:そうなんですよね、きっとね。だから自分のなんかこう、なんていうのかな、妨げているもの、ちょっと不自由になっているものって外付けのものではなくて、例えば社会がどうだとか、会社がどうだとか、相手がどうとかそういうことじゃなくて、自分の内側のなにかが生きづらくさせてるですよね。だから本当、ただ愛することができたら、ただ愛せたら本当に自由ですよね。
志村:そう思います。またきっとそのお気持ちを作詞だったりとか、詩であったりとか、ご著書で綴られていくんでしょうね。
吉元:うーんそうですね、まあ例えば作詞をするとか本を書くとかって、きっともうそういうプロセスなんでしょうね。
志村:うん。そしてそれを聞いた方たちや読んだ方たちが、またその種をもらって芽吹かせていくわけですもんね。尊いお仕事ですね。
吉元:うーん、そうですね、なんか自分の書いたものが誰かの心に響くことがあるかもしれない。なんかまあ少しでも多くの人とそういう思いを共有できたらいいなって思います。
志村:あのう、平原綾香さんの「Jupiter」の歌詞をお書きになりましたよね。
吉元:ええ。
志村:綾香さん、以前この番組にも出ていただいたんですけど、震災の時に「Jupiter」が流れてた時があったりしていて、やっぱり人が勇気づけられる、その愛に満たされるみたいな、聞いた方がそうおっしゃることがあるのを伺っていて、その力はすごいなっていうふうに私も思ってたんです。
吉元:まあ、「Jupiter」は新潟中越地震の時に被災者の方が地元のFM局にたくさんリクエストをくださったそうなんですね。それがきっかけでまた多くの人に聞かれるようになったんですけれども、私あのう、何年前かな、8年か9年ぐらい前に、長岡の奥の山古志村に、ちょうど震源が近かったんでしょうかね、山古志村へ訪れることができたんですね。でその時に案内してくださった方が農作業をしてたりするおばあさんたちに、ああこの「Jupiter」を書いた吉元さんをお連れしましたよって紹介してくださったんです。そうするとそのおばあさんたちが私の手を握って、もう「Jupiter」聞いたよ、ありがとう、すごく励まされたよって、もう何人もの方がそう言ってくださって、その時に、まあ作詞をした歌っていうのは私からアーティストに渡して、アーティストがそれで歌いますよね、そうするとなんか私から手離れていくんですね。私もそこにしがみつかない方がいいなと思っていて、でこう手離れていくんですけれども、山古志村でそういうおばあちゃまたちがそういうふうにたくさん言ってくださったことで、なんかね、私の手元に帰ってきたなっていう感じがしたんですね。
志村:あーなるほど、すごいですね。
吉元:あ、うんよかったなって思いました。
志村:本当ですね。
吉元:書けてね。
志村:ふわふわと、また離れていくのも大事かもしれないけど、それを自分の中で生んでいたんだってことをわかるのは、やっぱりある意味ではすごく大事なことですよね。
吉元:そうですね。でまあ「Jupiter」の中のいろんなフレーズをね、自分はここは好き、ここは好きっていろんな方が言ってくださるんですけども、その中の一節に「愛を学ぶために孤独があるなら 意味のないことなど起こりはしない」っていうフレーズがあるんですね。まさに、なんていうんでしょう、例えばラニちゃん、ワンコを亡くして本当に喪失感にもう本当に空虚になってしまった時、でも私のこの喪失感っていうのは誰にもわかってもらえない。もちろんそういうものだと思うんです。誰とも分かち合えないっていうかね。でも私はそこを通して、あ、今は本当にただただ愛することを学んでるんだなって思った時に、なんか自分の書いた歌詞で学んだみたいな・・(笑)
志村:すごいそれ。
吉元:自分の書いた歌詞で学ぶっていうのはなんかすごくおごった言い方なのかもしれないですけど。
志村:いやいやそうじゃないですよ、とんでもない。
吉元:あ、こういうことだったんだなって。
志村:自分が発したこととか出したことっていうのが、まだ自分がある意味で体験したり経験したり成長することによって、また深まっていくわけですもんね、高まるというか、深まるというか。
吉元:そうですよね、そういうことがありました。
志村:そうかー、いや、そうかー。私は、夫とも死別や離別を以前していて、今はまた今の夫と暮らしてるんですけど、そのたびに実は「Jupiter」聞いてました。
吉元:ああ、そうですか、ありがとうございます。
志村:なのできっとたくさんの方がどっかのところで涙して、そして愛を深めていってるんだと思います。
吉元:うーん、ねー。どんどんそういうふうに手離れた歌がどこかで育っていくというか、なんかそうね、毛細血管の中をどんどんどんどん伝っていくように、多くの人に届いていたりするのかもしれないですねー。
志村:いや絶対そうですよ。そうするとなんかね、知らないところで、ああそんな風なことがあったのかと思うと、やっぱりそれはそれで大事なことに繋がるんだろうなって私自身も思う時あるんですよね。
吉元:うん、そうですね。
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志村:ご著書を拝読して感動したことがあったんですけど、あとがきのところに作詞家だっていうふうにお書きになっている。そしてそれをご自身でも名乗るだろうけれども、これからは詩人であることを大事にしていくんだとおっしゃってましたよね。
吉元:はい。
志村:あのことを私は伺った時に、本当に自分の魂が求めているものってことをおっしゃってるんだなと思ったんですよね。
吉元:そうですね、なんかある時ふと、自分は最後何者でありたいかな?ってふっと思ったんですね。その時に、あ、私最後は詩人でありたいなって思ったんです。だから職業は何ですか?って聞かれたら、作詞家ですって。例えその頃一曲も書かなくてもね、答えたいと思うんです。じゃああなたは何者ですか?って聞かれたら、詩人ですって。別に詩人が職業っていうわけではないんですけれども、なんで詩人だったのかな?って思うと、うーん、自分の中にあるものを知りたい。それを表現したいっていう。でも歌詞はアーティストのために書くんですよね。聞いてくれる人のために書くんですけど、詩は自分のためなんですよね。
志村:ああそうか。
吉元:だから考えてみれば、私は歌詞を千曲近く書いてきましたけれども、自分のために書くっていうことはしてこなかったんだと思うんです。でも詩、純粋にその詩については自分のために書くっていう、なんかそういうのがあってもいいのかなって思ったりするんですよね。
志村:そうか、もしかすると自分のために大切なことをしていくことというのは、同時に周りの方とか他者の方のためにもなるのかもしれないですね。
吉元:そうですかね、うーん。
志村:もう一つご活動なさってますよね。
吉元:あのまあ、自分の本当にプライベートな塾のような形なんですけれども「言の葉塾」という文章を書いてもらうクラスをやってるんですね。その中では受講生の方に毎月一つ短いエッセイを書いてもらって、それを必要があれば添削し、フィードバックをし、みんなでシェアしながらっていうクラスなんですけど、10回のクラスなんですが、みんなどんどん自分の内側に入っていくことが書いてくる文章を見てわかるんですね。でもう一つはソングライティング・クラスっていう歌を書いてもらうクラスをやってるんです。それはもちろん作詞の方法とか感性をどうやって育てるかっていう色んなワークをやってもらうんですけど、みんなに最後一曲歌詞を仕上げてもらって、希望者の方にはちゃんとプロフェッショナルな作曲家の方に曲をつけてもらって、スタジオでボーカリストを立てて歌入れをしてレコーディングするというようなこともやってるんですね。その中で18歳の息子さんを交通事故で亡くされた方がいらして、その方は息子さんとの思いを2曲歌詞を書いて曲をつけてもらってレコーディングしたんですね。そうやって悲しみであったり喪失感や、息子さんへの思いを歌にすることだけで悲しみが癒されるなんてとてもとてもそれはないんだけれども、でも一つ心の中にあった思いを形にすることができてよかったなって私は思うんです。
志村:はい、息子さんを思うようなお歌だったんですか・・・よかったですね、その方にとってとても。
吉元:そうですね。
志村:言葉を紡ぐって大事ですね。思いを。
吉元:そう、文章は書けないとかね、そんな歌なんて書けないとか、すごく文章書くのが苦手ですって、そんなふうにおっしゃる方がいらっしゃるんですけれども、書いてみなくてはわからないし、書くことによって今まで気づかなかった自分と出会っていったりするものだと思うんですね。あともう一つ、五行詩の会をしていて、みんなに五行詩を書いてもらって、五行の自由な詩なんですけど、それを書いてもらって添削したりっていうこともやってるんです。それでね、そうだ一つ、前に神戸でこの五行詩の会をやったときに、全盲の方が参加されたんですね。その方が自分の目が見えなくなる最後に見た、もう一番美しい風景について五行詩をお書きになったんです。まあそれはちょっと荒削りな部分があったりしたので、私が添削して、こんな感じでいかがですか?って伺ったら、違うって言うんですね。私が見た風景とは違いますって言われて、あー私はこれは大変、絶対この方がこれですって納得するような文章に整えて、その方の詩を整えて行かないといけないなってもう本当に全身全霊で添削というか、ちょっと修正を加えたりして、でこれはどうですか?って伺ったら、あーもうそうです!そんな風景です!って言われて、なんか私そのときとっても尊い体験をさせて頂いたなっていう思いがしました。
志村:うん。同じ景色をご覧になったのかもしれないですね。もしかするとね。
吉元:その文章を通してね。うーん。
志村:よくこの見えない仲間たちとも、元々見えた人たちからすると、見えていた記憶を教えてもらったりするんですね。その人は広島に住んでいて、瀬戸内海に夕日が沈むところを見たんですって。それを見たときに、もうだいぶ見えなくなっていたので、真っ赤なお日様が膨張しているように見えて、すごく大きかったんですって。で、沈むときに音がしたんだよって言うんです。どんな音がしたの?って聞いたら、ジュッて音がしたって。熱い熱い太陽が海に沈むときに音がしたんだよ、ジュッて。聞いていたみんな、音がしたんですよね。そこにはいないのにも関わらず。
吉元:ねー。すごい素敵な感性というか、本当に聞こえたんでしょうね。ジュッて。
志村:そう思います。だんだんね、見えなくなったと同時に、耳もきっと。
吉元:そういうことなんでしょうねー。
志村:聞こえるように広く広く感じるようになっていて、聞こえ方が変わってくるんでしょうねー。今日暗闇にいてもだいぶ耳が研ぎ澄まされたというか、聴力が。そういうことなのかもしれないなって、でも確かに音がしたみたいな、そういうふうに共有できる記憶とか景色とか、私たちが見た景色を見えない人に伝えると、同じように感じてくれる人もいて、ある見える人は満点の星空を眺めたときに、息ができないぐらいに星空でいっぱいなんだよねって、星がいっぱいすぎて息ができないって言ったんですって。ただ見ていた人と同じように、見えない人も上を眺めながら息ができなくなったって言ったんです。いっぱいあるんだなー星がって。見えたんだ自分もっていうふうに言ったんですけど・・・なんかその共有するっていうのは、あるんだなーって。
吉元:そうですねー。
志村:それは詩の中でも起きるんですね。今日のお話のように。
吉元:うーん・・・なんかこう、目に焼き付けるっていう言葉がありますけど、本当にそういうインパクトがあったというか、心が動かされるような光景をしっかり目に焼き付けて、二度と見られませんもんね。私たちは同じものって見ることができないんですよね、雲の形だってすぐに変わって、同じ空の色はもう出会わない。一期一会なんだなっていつも思いながら空を見上げたりするんですけど。うーん。
志村:本当にそういうことをきっと「言の葉塾」で紡いでいらっしゃるんだろうなっていうふうに伺って思いました。
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吉元:なんでしょう、心と響かせながら眺めるっていうのかなー、私はそんな感じで文章を書いてるような気がします。
志村:すごい、素晴らしいお仕事であり、そして素晴らしい生き方をなさってるんだなってずっとお話をお聞きしていてしみじみ感じています。
吉元:ありがとうございます。
志村:あのう、このラジオを聞いてくださっている方々に、明日、明日以降、これからかけて下さる言葉があったら嬉しいんです、ちょっと元気になるみたいな、そんな一言を頂けますか?
吉元:はい。そうですね、「でも道はある」っていう言葉が好きで、色んな言葉があるけれども、八方塞がりのように感じることもあるけれども、でも道はある。っていう、これはミュージカル『Rent』の中の一つのセリフなんですけど、私はこの言葉にはすごく支えられたことが何度もありました。でも道がある。希望を見出してくれる言葉かな。
志村:そう、道はあるんですもんね、本当はね、ないと思っても。
吉元:そうですね、前も横も後ろも閉ざされたとしても上を見上げたらきっと空が見えて、まだ全然ここがあるじゃないっていう、希望って光の中にあるのではなくて、暗闇の中にあるんですよね。それを体験したから沸いてくるというか、見出せるのが希望で、希望は光の中にあるのではないなって思うんです。
志村:本当ですね。
吉元:だから希望を見出していく力が生きていく力なのかなーと思ったりしてます。
志村:いやー、本当にそうだ。生きてる限りね。でも道はあるんですよね。
吉元:そう、でも道はある。うん。
志村:ありがとうございます。
吉元:ありがとうございます。