DIALOGUE RADIO -IN THE DARK-

日曜の深夜。全てのしがらみから離れて
本当に「独り」になっている特別な時間。
人は誰もが不安や悩みを持っているはず。
この番組は、自分の心と対話することの大切さを伝え、
明日への活力を求める人への応援メッセージを
発信するラジオ番組です。

EVERY SECOND SUNDAY

25:00-26:00 ON AIR

真っ暗闇の中で、心と対話する時間を。
志村 季世恵の写真

志村 季世恵

バースセラピスト

板井 麻衣子の写真

板井 麻衣子

J-WAVE NAVIGATOR

MESSAGE TO STUDIO

MESSAGE

人は他人と比較してしまう生き物だと思います。
人より、恵まれていると喜んだり、
人より、うまくいかないと落ち込んだり、
SNSが生まれたことで、自分を誰かと比較する機会も増えてきました。
そんな今だからこそ自分の心と対話する時間を大切にしたいと思います。
何をしたいのか、何が悩みなのか、何に希望を持つのか。
その積み重ねが幸せを感じる近道なのではないかと思います。
幸せは、自分の心の中にある。


2019.06.09
GUEST

第12回のゲストは柳家喬太郎さん

【Information】

著書『柳家喬太郎のヨーロッパ落語道中記』のサイン会が
7/27(土) 池袋コミュニティ・カレッジにて開催されます。

詳しくは公式HPをご覧ください。
https://cul.7cn.co.jp/programs/program_874423.html



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DIALOGUE

ひやまっち(アテンド):ちょっと低めのテーブルが、まず…!
喬太郎:っおお!
ひやまっち:今杖が当たったところが…
喬太郎:……あ、ありました、ありました、テーブル。はい、はい。
ひやまっち:で、左下に…
喬太郎:椅子が…はい、じゃあ座らせていただきます。
志村:あ、なんか私…もう椅子に…
ひやまっち:たどり着きました?(笑)
志村:はい。
ひやまっち:あ、素晴らしい!じゃあテーブルの方が前ですので…。
志村:多分テーブルに座ってないはず…です。あ、ありました、ありました。
ひやまっち:ありました?(笑)
志村:大丈夫です。
ひやまっち:低い方が椅子です。
志村:はい。
喬太郎:はい、座りました。
ひやまっち:じゃあ…おかけいただけました…?で、バーテンダーがいますので。
志村:あ、ここにいるんですね…!
ひやまっち:いますいます。
志村:はっ…!!
喬太郎:あ、ジョニー。
ジョニー(バーテンダー):こんばんは〜。あはは〜ジョニーです!ありがとうございます、覚えていていただいて。
喬太郎:はい。
ジョニー:じゃあまず、お2人にお手拭きをお渡しします。
喬太郎:はい、じゃあこちらです。ありがとうございます。
ジョニー:季世恵さんも…。
志村:は〜い、ここで〜す。(手を鳴らす)
ジョニー:失礼します。
志村:ありがとう〜〜。
ジョニー:はい。それでは、手を拭いていただきながら、お飲物をご用意しておりますので、なにをご用意しているかご説明いたします!
喬太郎:はい!
ジョニー:5種類ございまして、まず、ソフトドリンクではりんごジュース、それから炭酸水をご用意しております。それからホットの紅茶もストレートでお出ししております。そして、アルコールのメニューもございます。ワインとビールをご用意しております!この5種類です。ご注文お決まりでしたらお伺いいたします。
喬太郎:じゃあ僕りんごジュースをいただきます。
ジョニー:りんごジュースで。
志村:じゃあ私はね、炭酸水でお願いします。
ジョニー:炭酸水で。りんごジュースと炭酸水で。それではご用意してまいります。しばらくお待ちください。
喬太郎:はい。……なるほどなー。なんだろ、でもなんか、なにかが見えるような錯覚を覚える…。
志村:あっ…なにか見えますか?
喬太郎:光…というわけではないんですけど。いや絶対そうじゃないのは分かるんですが…
志村:はい。
喬太郎:なにか、どこかから…かすかに漏れた光が屈折してここに届いているような…そういう錯覚。
志村:は〜〜〜!
喬太郎:多分、これは錯覚だろうなっていうことは自分でも分かってる。
志村:頭の中の…目の中に見える光みたいなのが残ってるのかもしれないですね。
喬太郎:かもしれないですね。
志村:残像したものが。
喬太郎:はい、はい。
志村:こんな真っ暗は、師匠は初めてですか?お入りになるの。
喬太郎:でも…過去に経験がないわけじゃない気がしますよね〜〜。
志村:うーーん。
喬太郎:ほんとに…地方の…街中でもないような所の、街からも離れたようなところで宿泊して眠るような時とか。
志村:はい。
喬太郎:でもそれでも、灯りはあるはずですよね?
志村:うーん。
喬太郎:こんな暗闇ではないはずなんだろうけど、イメージとしては、そういう時の記憶とか、あと子供の頃押し入れに入って遊んだ…。
志村:なるほど〜。
喬太郎:そんな…子供の頃押し入れってこれに近いんじゃないかなー?
志村:そうなんです、私もね、子供の時遊んだ押し入れとすごく似てるな〜っていつも思うんです。そうなんですよ〜〜。
喬太郎:似てますよね!?なんかそうですよね、感覚が似てますよね?
志村:うーん。
喬太郎:どうだろう……緊張はするけど、意外と不安とか恐怖心はないな、思ったほど。
志村:あ…良かったです…!
喬太郎:はい。
志村:うん。あ、ドリンクが来たかな?
ジョニー(バーテンダー):あ、いいですか?今お出しして…!
喬太郎:どうぞどうぞ。
ジョニー:では、まず、喬太郎師匠に。
喬太郎:はい。
ジョニー:りんごジュースをお出しします。今机の上に置きました。
喬太郎:あ…!はい、はい、分かりました、グラスが。
ジョニー:季世恵さんの炭酸水はここで注がせていただいていいですが?
志村:あ、注いでくれるの?ここで?
ジョニー:はい。
志村:じゃあ、音に注目してみますね!
ジョニー:今、蓋を開けました。

<炭酸水の蓋を開ける音>

喬太郎:はい。
ジョニー:では注がせていただきます。

<炭酸水をコップに注ぐ音>

喬太郎:うわーーー。炭酸の音だ…!
3人:(笑)
ジョニー:では、季世恵さん。
志村:あ、来ましたね〜〜、あ、違ったこれはマイクだった!あははは〜!
喬太郎:マイクだった!
ジョニー:はい、こちらからお渡しします!
志村:ありがとうございます。
ジョニー:どうぞごゆっくりお楽しみください〜。
喬太郎:はい、ありがとうございます、じゃあ頂戴します。
志村:師匠、せっかくなので乾杯しませんか?
喬太郎:乾杯しましょう。ね。
志村:ここにグラスがあります私の。(指でグラスを鳴らす)……あ、ここかな?
喬太郎:こっち…?
志村:あ、乾杯〜!
喬太郎:乾杯。はい。………あ、美味しい。うまい。
志村:良かった〜。味覚に、やっぱり鋭敏になりますかね?
喬太郎:うん、あのう、なんでしょう、普段見えてる状態で飲む時って、なんだろうな?…グラスなんか見ずに飲んだりしてると思うんですよね。意外と。
志村:そうですね〜〜〜。
喬太郎:だけど今、口元に持って行って、グラスのふちが唇の下に来たんですよね。当たったんですよね。
志村:はい。
喬太郎:真っ直ぐ飲む口…飲む状態で口をつけることが出来ずに、一瞬唇の下に当たったんですよね。ってことは無意識のうちに見てるとか、もしくは、視界の隅に捉えてるのか…普段ね。で、飲んだ時に…これただジュース自体が美味しいね、きっとね。
志村:ジュースも美味しいですけど、きっとなにか…ね。
喬太郎:やっぱり他の情報がないので、耳からは入って来ますけど。素直に、舌に、ダイレクトに、普段よりも、味が、舌が、感じる…感じてますね。
志村:うーん。
喬太郎:ただその時に感じよう、感じようという意思は僕の舌にはない。
志村:はい。
喬太郎:今この状態だから、鋭敏に感じようとか、そういう…なんだろうな、作った感情とか作った意識が僕自身の舌にないんですよね。
志村:はい。
喬太郎:非常に自然に届いてくる感じですね。
志村:あ〜それは、すごく嬉しいですね、私たちからすると…!
喬太郎:これでも季世恵さんがいてジョニーがいてひやまっちがいて、僕が今ここにいても安全で安心だという、どこか前提が気持ちにあるから、平穏な気持ちでいられると思うんですよね。
志村:そうですね、1人だったら違いますね、これは。
喬太郎:1人でこの状態になっていたら、これはもう不安で不安でしょうがないでしょうね。どっちに行っていいか分からない……うん。
志村:私あのう…落語の世界すみません、若葉マークなんですけどね。
喬太郎:お〜全然構わない。
志村:もう喬太郎師匠の作品を今大分拝見させていただいて。
喬太郎:あ〜ありがとうございます!
志村:私ね、かなりお蕎麦食べる率が高いんですよ、今。
喬太郎:あ〜ご自身がですか?
志村:はい。
喬太郎:は〜は〜。
志村:落語を通してなんですけど。
喬太郎:あ〜あ〜!
志村:あのう、お蕎麦ね、吸うシーンがあるじゃないですか。
喬太郎:はい。
志村:あれでいっつもお蕎麦食べたくなっちゃって、ここ最近お蕎麦を1日1回食べてますね。
喬太郎:…ほんとに食べてるんですか?
志村:ほんとに。
喬太郎:は〜ほんとですか!
志村:あれは、さっきおっしゃっていた、りんごジュースが頭で理解しようとしてるわけじゃなくって、舌の世界にちゃんと入ってくるみたいな、五感でそれを感じようと…まあ感じようっていうか感じてしまっているような、勝手に…みたいなものでしょうけど。
喬太郎:まあ落語ってそういう芸能ですよね。その…つまり、そこには会場があって、コートに落語家が座ってるだけで、まあ視界から入ってくる別の情報がもちろん、メクリであったり、客席の他の人間であったり…っていう情報があるにしてもまあ見てるのは噺家(はなしか)で…で、着物きた人が1人で右見て左向いて物語喋るだけなんですけど、なにかの拍子にその物語世界が脳に再現されるというか。
志村:はい。
喬太郎:ほんとに情景が、ほんとに情景が見える!…とか…まあ……(蕎麦をすする音を再現する)…っていう感じですね。
志村:お蕎麦見えちゃった…!(笑)
喬太郎:今のはあったかいお蕎麦。
志村:あったかかったですね〜!
喬太郎:あのう、もっとつゆすするところからやると、まず吹く所からですね。
志村:はい。
喬太郎:ふー、ふー、ふー、ふー…(温かい蕎麦をすする音を再び再現)…っていうことですね。今のはあったかいの。
志村:は〜〜〜!
喬太郎:で冷たいのだと、つゆにつけてからなので…(冷たい蕎麦をすする音を再現)…っていう感じになりますね。
志村:これ…ちょっとこんな遅い時間ですけど、多分みなさん今お蕎麦食べたくなってると思いますねー。
喬太郎:あそうですかね!!(笑)
志村:うーーん。
喬太郎:ドライバーの方なんかお聴きになっていたら、その辺のドライブインなんか入って…(笑)
志村:入っちゃいますよーーー。今私、お腹空いてますもん。お腹空きましたね〜。
喬太郎:あそうですか!ありがとうございます!(笑)
志村:すごいな〜〜〜〜。
喬太郎:元々落語って、テレビよりラジオ向きの芸だって言うんですよね。
志村:はい。
喬太郎:で、僕もテレビで落語やるし、DVDなんかも発売してるんで全然否定する気は無いですし、テレビの落語の良さもあるんですけど…音だけで聴くと、ほんとにお聴きになる方個々が自分の中で世界を膨らませやすい…と思うんですよ。
志村:うん。
喬太郎:だからテレビの落語がダメだとか決して言わないけれども…聴く芸ですよね。だから、季世恵さんがさっき最近落語観てるんですって行ってくださったけど、落語聴いてるんですね、それ。
志村:そうですね。
喬太郎:うーん。僕らの仕事っていうのは…その、まあ芸を聴いていただくんですけれども、ちょっと僕らが主体の言い方でもっていうのは生意気なんですが、お客様に届けるって仕事ですよね。
志村:はい。
喬太郎:うん、あのう、郵便局の方が配達してくださるように、宅配便のみなさんが配達してくださるように…まあそういう類の正確さとは違うんですけれども、僕らがここでお喋りしている物語、物語世界を、お客様方に届けるのが仕事なので。だからその…お蕎麦食べてるみたいに、あーお蕎麦食べたくなった、帰り食べていこ!って思っていただけたりとか、それとかあとはなんだろうな、怖い話とかだったらほんとに怖かったら目の前に幽霊が見えたって思ってくださったりとか。
志村:はい。
喬太郎:そういう仕事ですから、やっぱり届けようっていう習性が、どこか無意識に根付いてるのかもしれないですよね。
志村:うーん。
喬太郎:うん。
志村:人の悲喜こもごもが、落語の世界にはあるんだなって思ったんですね。
喬太郎:はい、はい、そうですね。
志村:そうすると、改めて自分の暮らしがきめ細やかになっていくなってことに気がついたんです。
喬太郎:あーそうですか!そう思っていただけると、嬉しいですね。
志村:それをまた私たち、リスナーであったりとか、またはその、落語を楽しむ人たちに対して、それをもう1回改めて感じさせてくださるようなね。
喬太郎:だからその…色々だと思うんですよ。季世恵さんが今おっしゃってくださったように、お聴きになった方の生活とか、感覚とか、きめ細やかになっていくっていうのもとても嬉しいことですし、逆に言うと、きめ細やかもちょっと…質が極端で神経質だったりとか…っていう方もいらっしゃると思うんです、普段がね。神経質って言葉だけだとあれなんですけど。
志村:うーん。
喬太郎:例えば、とりわけに今度落語を聴いて、あーもう少し雑でもいいんじゃねえかとか。
志村:あー確かに。
喬太郎:うん。もう少しざっくり生きて行ってもいいんじゃないかなって、そこで気持ちが楽になったりとかっていうこともあるかもしれませんしね〜。
志村:そうですね〜。笑えちゃうわけですからね〜。
喬太郎:はい、はい。
志村:うーーん。
喬太郎:で、努力はしなきゃいけないけど、頑張ってもどうしようもないことも世の中にはあるんだってことを受け入れて行かざるを得ないわけじゃないですか、みんな。
志村:はい。
喬太郎:それをスカッと笑い飛ばすところもあるけれども「そうだよねしょうがないよね人間だから」っていう風に、その…受け入れちゃう。
志村:うーん。
喬太郎:だからこそまた前に進めるみたいなね。そういう所も落語っていう芸能にはあるんじゃないかなって気がしますね。
志村:あ〜〜〜ほんとにそうですね〜〜〜。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

志村:師匠が落語にね、そうやってこう…ずっぽりとはまったっていうか…それはいつ頃からだったんですか?
喬太郎:…はまったのは多分高校時代ですかね。
志村:うーーーん。
喬太郎:僕現在55歳…今年の終わりに56歳になるんですけど、子供の頃は、なんか難しそうだなって思ってね、やっぱり。
志村:はい。
喬太郎:もっと単純に笑えるものが好きで。でなんかで中学の終わりぐらいから聴き始めて好きになって、高校時代にどっぽり落語にはまって。落語だけじゃなかったですけどね、はまったものは。でもその…大体1つのものを好きになるともうほんとに周り…それこそ周りが見えなくなっちゃうぐらいのめり込んじゃうタチなので。そういう趣味が2つ3つあったので、そのうちの1つだったんですよね。
志村:そうですか〜〜。それで…?
喬太郎:大学入って落研に入って…ただまあ、落語家になろうなんて気持ちは、さらさらなくて。むしろ噺家(はなしか)にだけはなるまい!と思ってたぐらいですよね。
志村:あ、そうですか…?
喬太郎:うん。好きすぎて。
志村:好きすぎて…。
喬太郎:だって…まあ今自分がその商売してるからこんなこと言うの恥ずかしいけど…当時、人前でもの喋るだけでご飯食べて行くなんて……そんなこと出来るわけないじゃないか…!!と思ったんですよね。
志村:うーーーん。
喬太郎:なんだろう、そんなことが出来るのは特別な人たちなので、高座(こうざ)の上の人たちってやっぱ客席から見ると、僕から見ると特別な…眩しい存在だったので…
志村:そうですね〜。
喬太郎:とても僕がそこに行けるとは思えなかったんですよね。そしたらまあ、学生時代、落研の大会みたいなやつで2つ賞もらったりとか、そこで若干ぐらっと来たんだけど、でもやっぱり就職しましたからね。噺家にならずに。
志村:はい。
喬太郎:そしたら書店員になったんですけど、本屋の仕事っていうのも別にその…噺家を諦めてなったんじゃなくって、それはそれで夢だったので、決して書店員に仕方なくなったわけではないんですよね。
志村:うーん。
喬太郎:そしたら、まあ1年半勤めて行く中で、「ま〜やっぱり落語家で死にてえな」っていう…かね。それでまあ、書店を辞めて、その後1年間フリーターの時代があったんですけど、最終的には入門が叶って。うちの師匠のさん喬が弟子にしてくれたもんですから、まあこんにちにい至るということですね。
志村:そっか〜〜〜。
喬太郎:はい。
志村:「落語家で死にてえな」って…かっこいいですね。
喬太郎:うーーーん、かっこいいのかなーーー。
志村:その職業を死ぬまで全うするってことを考えてるっていうのは……
喬太郎:そうですね〜〜。
志村:そうそうやっぱりないと思うんですよね〜。うーん。
喬太郎:芸人…とかっていうのは職人さんとかとやっぱり通じると思うんですよね。
志村:うん。
喬太郎:だって…おいそれとは、その職業で腕一本で食って行く類のね、それはもう大工さんもそうだろうし他にも色んな職人さんってね。はい成りました、はい飯食えますていうわけないので。散々その食えない時期があったりなんとかギリギリ食ってって…なんだろ、やっと飯が食えるようになったとか…。家族を養えるようになったとかっていう所まで時間がかかるわけじゃないですか。
志村:はい。
喬太郎:でそこまで頑張って…頑張って来たからそうなれるわけで…まだその先は色々あるわけで、長く…。そこで辞めちゃうのは勿体無いですよね。余程の理由がなければね。
志村:うん。
喬太郎:こんなこと言って辞めてるかもしれないけど(笑)
志村:いやいや(笑)
喬太郎:来月あたりに(笑)やっぱりもう、そういう覚悟がないと出来ないんだと思いますよ。修行というものが幅を利かす職種はね。「一生修行です」って先輩方はおっしゃるし昔の師匠も言っててへえーって思ってたけど、しみじみ思いますよね。多分、ひょっとしたら、世間様とか、ファンと言ってくださる方が、「喬太郎さん面白いねーいいねー」って言ってくださったとしても、散々長生きして死んだとしても、死ぬ時に、「まだまだだなー」と思ったまま死んで行くんじゃないですかね。
志村:うーーーん。
喬太郎:多分そういう商売です、僕らは。ゴールがないです。
志村:すごいですね…。あのう、師匠、ヨーロッパにいらっしゃったじゃないですか。
喬太郎:行きましたねー行きたくなかったのに。
志村:行きたくなかったのに(笑)4カ国でしたっけ?
喬太郎:4カ国ですね。
志村:終わられて、落語をそこで。
喬太郎:はいそうですね。
志村:みなさんにお伝えになっていらっしゃった。
喬太郎:はい、はい。
志村:は〜ちょっと、お話伺いたいなと、私本を拝読させていただいて、もう〜〜楽しかったんですよね〜!
喬太郎:ありがとうございます。
志村:どうだったのかっていうのを、ちょっとここでもう少し、裏話なんかもあったらお聴きしたいんですけど。
喬太郎:あーはい、はい!最近、海外でおやりになるの…仲間が多いんですよね。うちの師匠なんかももう年に1回は必ず10日間とか2週間アメリカに行ったりとか、それ以外にも行って向こうで落語やったり。うちの師匠は旅行じゃなくてほんと落語やりに行くんですけど。
志村:はい。
喬太郎:その他にも随分話は聴くんだけれども…。とある、ドイツ人の女性で日本に住んでいらっしゃる、とっても落語が好きな、日本人より落語分かってるんじゃないかっていうようなさばけた女性がいて、その方が僕らクラスの噺家(はなしか)を、まあ年1で数日間ヨーロッパ色んな国に行ってっていう活動を始めてたのは知ってたんですよ。
志村:はい。
喬太郎:仲間が行ってて、みんな大変だなーなんて言って全く他人事のように思っていたら白羽の矢が立って。でそもそも僕海外に行きたくなかったので、えーーーー!!って言ってたんですよ。やだよーって言ってたんですけど、まあ…デンマーク、アイルランド、イングランド、あとアイスランド。
志村:はい。
喬太郎:で、まあ〜、どうやって落語やるの?って、別にもちろん向こうの言葉を覚える必要はないので、普通に日本語で落語を喋って、字幕が出ると。
志村:はい。
喬太郎:で、僕と若手の噺家さんを1人連れて行く…春風亭正太郎くん…とっても彼芸もいいし性格もいいし頼りにもなるし、ほんとに、大好きな後輩なんですけど、正太郎くんも喜んで行って来ます!って言ってくれたし、そのドイツ人のクララっていう女性を迎えに馬場さんって方と武藤さんっていう写真家の女性と、一行は5人って言うから、だったら心強いかな。で、もちろん国民性とかはあるだろうし感じ方の違いっていうのは細かくはあるんだろうけど、まあ少なくとも接した人…向こうで担当してくれた、ほぼ学校でやったんですよ。担当してくれたその先生方とか案内してくれた学生さんとか……なんだろな…人間としての根っこって変わらねえんだなっていう感じ…。
志村:うん。
喬太郎:うん。だから…楽しかったなーー…。
志村:そっか〜〜…。
喬太郎:うん。ほんとに。面白い子もいたしねー。
志村:うん。
喬太郎:イングランドで4人組?の女子大生のみんなが案内してくれたんですけど、クララがスケッチブック持って行くって言うんで、どうして?って言ったら、会った人全員じゃないけど、頼める人に向こうで、ペンで自分の手形をね、あのう、手の周りをペンで手の形を描いてもらってそこにメッセージとサインをしてもらって思い出にしよう!って。
志村:あー素敵。
喬太郎:うん。んで、イングランドを案内してくれた女子大生4人のみんなにもやってもらったんですね。そしたら、1人の…みんな日本語堪能なんですけど、みんなね、英語でメッセージ書いてくれて、日本語でも書いてくれるんですよ。
志村:うん、うん。
喬太郎:それで1人の女の子がメッセージ書いてる時に、僕らに聞かせるためじゃなくてほんとにボソッと呟いたんですけど、「いけねっ、英語間違えたっ」って言ったんです(笑)
志村:あははは〜!(笑)
喬太郎:日本語で。
志村:日本語で!
喬太郎:「いけねっ、英語間違えたっ」って言ったんです。おっかしくておかしくて…(笑)
志村:それ英語のメッセージ書いてる時に?
喬太郎:時に!
志村:すごい(笑)
喬太郎:そかもそれをね、「Oh no」とか英語でつぶやくんじゃなくてね、日本語で「いけねっ、英語間違えたっ」って言ったのがもうおっかしくおかしくて…!!でその子は、本番の前の日に観光で案内してくれたんですけど、明日よろしくねーなんて言って、僕らはホテルに帰る。彼女らは寄宿舎に帰るって時に、みなさん他の子は「じゃあ明日よろしくお願いします」なんて綺麗な日本語で。その子は、ニヤニヤ笑いながらずーっとこちの方見て、じゃあ〜なんちゃらね〜なんて言ったら、「あーばよっ」って言ったんですよ(笑)
志村:…すごいですね〜(笑)
喬太郎:「あーばよっ」って言ったの(笑)でもそれが丁寧な日本語じゃないっていうのはやっぱり感覚的に分かってるらしくって、いたずら心ですよね。うん。使っちゃお〜みたいな感じ。
志村:いいですね〜〜。
喬太郎:そういう触れ合い、そういう所ってなんかその、国民性うんぬんとかじゃなくって、その…人間の…生きてる共通の根底の部分の、なんか可愛らしさとか…。
志村:はい。
喬太郎:うーん。そういうことなんじゃないかなーって…。
志村:うん…。そしてその、アイスランドに行って結果的にはオーロラが楽しみにしていらっしゃった、オーロラがね…?
喬太郎:そうなんですよー。
志村:そう。
喬太郎:見られるとは限らないっていうのは聞いてたんですけど、オーロラツアーに行って、もうくそ寒い中をさ〜マイナス、体感温度マイナス十何度みたいな所ですよね。カタカタ震えながら海岸に行って、ガイドのバスの運転手さね、「オーロラが出た。あれがオーロラだ」つって見たらモヤ〜っとしたものが浮かんでて。なーんつーんだろう…あの〜…なに?サバの煮たやつを食べ終わった後、皮が皿にこびりついちゃってるみたいな…。
志村:(笑)
喬太郎:そんなモヤ〜っとしたものが浮いてて。なんだよ!あれがオーロラだって言うから。
志村:(笑)
喬太郎:っざけんな!!と。
志村:はい(笑)
喬太郎:あ、ちょっとこんな暗闇で大声出したら怖いね。
志村:怖くないですよ、大丈夫。
喬太郎:っざけんなコラァァ!!!誰かいんのか出てこいコラァァ!!!ここにいるぞ…季世恵が、俺じゃなくて。
志村・喬太郎:(笑)
喬太郎:あの〜〜、すいません(笑)
志村:…ふふふ…鯖の皮ですいません…(笑)
喬太郎:サバの皮みたいな。ただ、もちろん、写真とか映像で見るグリーンのカーテンのような美しいオーロラっていうのは僕らの幻想であって、もちろんあれが見られるとは限らないけどね。気象現象ですから、そのモヤっとしたものも実はオーロラではあるんだってことらしいんですよ。
志村:はい。
喬太郎:だから、いいんですけど…。おいおい分かった今日は出ないんだね、出てもああいう感じなんだね、じゃあもう帰ろうよと思ってバスに帰ったら、また運転手さんが来て、向こうの言葉だか英語だかで、「おーさっきは済まなかった、お前たちの見たいオーロラが出たぞ!」っていうからまたバス降りて寒い中カタカタカタカタ震えながら「あそこだ!!」って見たらね、サバの皮の大きくなってるやつだったの。
志村:(笑)
喬太郎:サバの皮大きくなっただけじゃん!!みたいな感じ。関サバかよ!
志村:…(笑)もう既に、私たちの頭の中にはオーロラはサバの皮なんだっていうのが(笑)
喬太郎:そうそうそう。
志村:印象が…(笑)
喬太郎:サバ皮みたいな。僕が見たのはね。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

志村:私あの〜、落語を聴いてね、思い出したことあったんですよ。
喬太郎:はい。
志村:私の父って、大正4年生まれだったんですね。
喬太郎:お〜〜ほいほいほい。
志村:テレビのない時代の人なんですよ。
喬太郎:お〜そうですね〜。
志村:その自分のおじいちゃんも、きっと明治の初めとか、もうちょっと前かもしれないんですけど、そのおじいちゃん、私にとったらひおじいちゃん…その人たちに、落語をたくさん聴かされてたらしいんですね。
喬太郎:あ〜えぇえぇえぇ。
志村:それで、私たりが例えば学校に行って帰って来て、どうもプールとかにお化けが出るらしいんだよ、とか、そんな話をしたとするじゃないですか、そうすると父が、それを枕にして、自分の知ってる落語を始めるわけですよ。牡丹灯籠(ぼたんどうろう)とかね。
喬太郎:お〜牡丹灯籠(ぼたんどうろう)!随分怖い話しますね。
志村:うーん!怖かったですけど、それはね、私の兄弟たちもみんな聴いていて、それが私たちにとっての、うーん…家族の団欒の時間だったりとかしたんですよ。
喬太郎:あーそうなんですね〜〜〜。
志村:そう、テレビを観るとかじゃなくて、その父の話を毎週土曜日は聴くとか〜!
喬太郎:へえ〜〜〜〜〜〜。
志村:だんだん忙しくなっちゃってそれは無くなってくるんだけど、でも子供の頃の記憶は、父の話だったんですよね。
喬太郎:あ〜そうなんですか〜〜ふ〜〜〜ん。
志村:で、無くなってもう随分経ってるんですけど、私はそれを忘れてたんですよ、なんとなく。
喬太郎:はいはいはい。
志村:記憶の中で。でも師匠の落語を今まで、その…まあ遠ざかってたのに観ることが出来るようになってから、まあ聴くことになってから、それをね思い出したんですよね〜。
喬太郎:あ〜〜〜嬉しいですね〜〜〜。
志村:で、あーそうだ私たちの身近にあったものだったんだな〜と思った時に、それがねなんかすごく新鮮になって。なんか日本人でいることが嬉しくなっちゃったんですよ…!
喬太郎:うん。もちろんその…余程ね、あのう…紛争が絶えない地域であるとか、とても情勢が悪い国にお生まれ…生活していらっしゃる方々なんかはね、もうこの国はいやだって方はたくさんいらっしゃるとは思うんですが、そういう所でなければ、やっぱり自分の国を愛するわけだし、その…住めば都だしね。俺は日本に生まれてほんとによかったと思ってるし、日本人以外に生まれるなんて、考えられないんですよ、想像も出来ないんですね、僕。
志村:うん。
喬太郎:だけど、もしこれフランス人に生まれてそこで育ってたらフランスの文化が好きでフランスの食い物が好きで…フランスが1番だってやっぱり思うだろうし。
志村:はい。
喬太郎:インドに生まれてたらそう思うだろうし…っていう…。
志村:はい。
喬太郎:東京生まれ横浜育ちだから関東の人間なんですけど、ひょっとしたら、秋田で生まれてれば秋田を愛し……そういう風に思うだろうなと思うんですよね。
志村:うーん。
喬太郎:そういう100人が客席にいる前で喋る時に、どこで喜んでもらうかって言ったら、その、どこで生まれようと育とうと、根本的な認識だったり感情だったりっていうのが人間であるわけで。
志村:はい。
喬太郎:それを、お喋りしたり、問いかけてみたり、多分それのもっと広がったことだったんでしょうね〜、ヨーロッパに行くってことは!
志村:ほんとそうでしょうね〜。
喬太郎:国内でのそういうことがもっと広がって世界っていう所が…だからびっくりしたのが、落語で「うどん屋」って噺(はなし)と「寝床」って噺があったんですけど、あと事前に相談してこれが良かろうと思って行ったんですけど、字幕出してやって、うける所とか喜んでくれる所はね、意外と日本とそんなに変わんなかったりしたんですよね〜。
志村:あーー面白いですね〜〜。
喬太郎:うーん。ここで受ける!?とか。
志村:うん。
喬太郎:ここでこんな反応起こる!?とかっていうのは、変わんねーじゃん日本人と!と思うことが何度もありましたよね。
志村:うーーーん。
喬太郎:うーーーん。
志村:いいですね、そういうことの共通点が分かるって。
喬太郎:やっぱりその、細かい所とは違うかもしれないけど、根っこの喜怒哀楽は同じなんだなと思ったりしますよね。
志村:あーー、いいですねーーーーー。いやー、そういう風なことをね、文化として持っているっていうがなんかいいなーと思ったんですね。そしてそれを通してまた人は一緒なんだなって思うことが出来るとか。
喬太郎:そうだよね。
志村:そう、そこが私は…えらく感動したんです…。
喬太郎:あ〜ありがとうございます。でもここにいるとそういうことに気付かされるかもしれませんね。この暗闇の中にいると。
志村:うーーーん。
喬太郎:で明日から…ね、月曜日で、みんな日々陰気になってるんでしょう?聴いてる人が。はっはっはっは〜〜(笑)
志村:もしかしたらね〜。
喬太郎:うん。まあ分かんない、まあ〜〜明日休みの人もいるかもしれないから。だけどもう明日から仕事だよ〜〜、週が始まるよ〜〜、さあ頑張りたいけどちょっとな…って思ってると仮定してみますと、土日楽しかったかもしんないじゃないですか。みんな辛い土日だったかもしんないけど。その土日がまた1週間後にくるからさっ。
志村:あーそっか。
喬太郎:楽しいことって毎日やってると楽しくなくなるんですよ。
志村:そうですよ特別だかね〜。
喬太郎:うまいもの毎日食ってたらうまくなくなるじゃないですか。
志村:ほんとだ。
喬太郎:うまいものってたまに食うからうまいんですよ。
志村:うん。
喬太郎:うん、その、頑張ったり辛かったり苦しんだりするから、その後の休みが楽しいし貴重になるし。明日からいいじゃないですかー!みんなーー。だって、次の土日なにしよう?次の休みなにしよう?っていう風に思う時間がまた始まるんだよ?
志村:ほんとだ〜。
喬太郎:楽しみにしようって思う時間がまた始まるんですよ。それ最高じゃないですか?
志村:ほんとですね〜〜。
喬太郎:だからそうだ、明日から羨ましいよみんな。
志村:うん。
喬太郎:うーーん。
志村:いやーほんとだ、素敵だ。毎日ご馳走ばっか食べてたって胃も痛くなっちゃって、ね〜。
喬太郎:そうそうそうそう。毎日だって、和牛のA5のランクとかなんとかを食べててごらんなさいよー。ほんとにあなたー、ばかみたいになっちゃうよ、人間が。
志村:ほんとだほんとだ。
喬太郎:だからさ、コロッケ蕎麦とか立ち食い蕎麦とか食ってさ!(笑)
志村:コロッケ蕎麦にね〜〜!ウインナー半分縦にね!
喬太郎:そうそうそうそう!ウインナー天ぷら蕎麦とか食ったりなんかして!うん、そうそう(笑)そうだよ〜。なにを食うかも大事だけど、どういう気持ちで誰と食うかも大事だからね。食い物って。例えばですよ?一例。食い物で言うとですね。
志村:うん。
喬太郎:だってここでさっき飲んだりんごジュースが美味しかったんだって、りんごジュースそのものも美味しいだろうけど…なんだろうな、見るということが出来ない中で味覚が自然に察知してくれて、でなんだろうね、(バーテンダーの)ジョニーがさっき出してくれた時のなんか…見えないんだけどね、笑顔は見えないんだけどね、なんか、りんごジュースのグラスを置いてくれた時、炭酸を注いだ時、なんか、うーん、「この人たちに美味しいものを飲んでもらおう」っていう気持ちが伝わってきた気がするんだよね。彼女の。
志村:あ〜〜そうですね〜〜〜〜〜。
喬太郎:……そういうことが…ここは分かるんですね。
志村:…嬉しい。嬉しいね。
喬太郎:(アテンドの)ひやまっちが案内してくれた、ね、さっきお話しする前にキャッチボールみたいなことしたりとか、とっても穏やかで、安心ですよ、大丈夫ですよっていう押し付けがましくない…そういう自然な思いが伝わってくるし、お2人の気持ちが。だから、そういうことってここでは分かるのかもしれないね。それを感じたのかな。
志村:ありがとうございます…なんか最後に素敵なお言葉をいただいて…!もうずっと暗闇にいたい感じです!ほんとに、ありがとうございました!師匠ありがとうございました。
喬太郎:こちらこそありがとうございました!



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