DIALOGUE RADIO -IN THE DARK-

日曜の深夜。全てのしがらみから離れて
本当に「独り」になっている特別な時間。
人は誰もが不安や悩みを持っているはず。
この番組は、自分の心と対話することの大切さを伝え、
明日への活力を求める人への応援メッセージを
発信するラジオ番組です。

EVERY SECOND SUNDAY

25:00-26:00 ON AIR

真っ暗闇の中で、心と対話する時間を。
志村 季世恵の写真

志村 季世恵

バースセラピスト

板井 麻衣子の写真

板井 麻衣子

J-WAVE NAVIGATOR

メッセージをいただいた方の中から毎月2名の方へ
ダイアログ関連本をプレゼント!

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MESSAGE

人は他人と比較してしまう生き物だと思います。
人より、恵まれていると喜んだり、
人より、うまくいかないと落ち込んだり、
SNSが生まれたことで、自分を誰かと比較する機会も増えてきました。
そんな今だからこそ自分の心と対話する時間を大切にしたいと思います。
何をしたいのか、何が悩みなのか、何に希望を持つのか。
その積み重ねが幸せを感じる近道なのではないかと思います。
幸せは、自分の心の中にある。


2023.06.11
GUEST

J-WAVE × ダイアログ・イン・ザ・ダーク フラッグシップラジオ番組
「DIALOGUE RADIO-IN THE DARK-」にて
TBS日曜劇場『ラストマン-全盲の捜査官-』主演 福山雅治さんと
ダイアログ・イン・ザ・ダークアテンドとの対話を交えてオンエア


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DIALOGUE

板井:こんばんは。ナビゲーターの板井麻衣子です。

この番組は暗闇のソーシャル・エンターテイメント「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」を主宰するバースセラピストの志村季世恵さんが暗闇の中にゲストを迎えて行う”対話”をお届けしていますが、今月は「DIALOGUE RADIO〜in the dark -スペシャルエディション-」!

ダイアログ・イン・ザ・ダークで働くアテンドと親交を深め、ドラマの役作りに挑戦した福山雅治さんのインタビュー。そして、先日出版されたこの番組発となる本「暗闇ラジオ対話集-DIALORU RADIO IN THE DARK」にフォーカスして、この後深夜2時までお送りしていきます。

〜〜〜

板井:改めましてナビゲーターの板井麻衣子です。J-WAVE「DIALOGUE RADIO〜IN THE DARK〜」今回はスペシャルエディションと題してお送りしていきます。そしてスタジオには、いつもは暗闇での対話を届けてくださっているバースセラピストの志村季世恵さんをお迎えしています。
志村:こんばんは。
板井:こんばんは、季世恵さん。
志村:眩しいです。光が(笑)
板井:第一声、スタジオの光が(笑)
志村:はい。
板井:普段は本当にもう照度ゼロの暗闇の中で、対話を。
志村:そうです、真っ暗ですからね。今目の前に時計があって、あ、時計見えるんだーと思ったりとか、あとお相手の、板井さんのお顔が見えることも、もう感動しています。
板井:もう情報が多いって季世恵さんおっしゃって・・(笑)でもそう考えると本当に削ぎ落とした状態で普段対話をされていますよね。
志村:本当ですね。改めてそう思いました。
板井:さて今日はですね、福山雅治さんのインタビュー、そしてこの番組の本についての2本立てでお送りしていきたいと思っています。まずはこの番組初となる1冊が、ついに完成しましたね。
志村:はい、生まれました。
板井:生まれました。季世恵さん普段本を出されると、もう子供を送り出すような気持ちっていうふうに表現していらっしゃいますよね。
志村:そうなんですよ、もうね出産した感じの気持ちで・・・
板井:産み落とした感じ・・・(笑)なるほど、そこから育っていく感じ、育てていく感じ。
志村:そうですかね、本当にこれからどうやって育つかわからないので、皆様に愛されて育っていったらいいなっていうふうに、本当に心底願ってます。
板井:この本のタイトルがですね「暗闇ラジオ対話集-DIALORU RADIO IN THE DARK」、アノニマスタジオから今回出ましたけれども、内容としてはこの番組の内容がまとまった形になっていて、スタートが2018年からですよね。
志村:そうなんですよ。本当にびっくりしました。
板井:毎月1回のプログラムなので、延べ60人近くお迎えしていて、その中から、今回17編を抜粋・編集して、結構厚みのある1冊になっているんですけど、今ちょっとですね、私この表紙を触ってますが、表紙の部分も結構凝っていて、ちょっと質感が違う印刷の部分があるので、触るとテクスチャーが全然違うんですよね。
志村:そうなんです。もうねこれね、目が見えない人に、大好評で、デザイナーの方もそれをきっと感じていただいたんだろうなと思うんですよね。今って紙って大体種類が決まってしまっていて、値段も高くなっちゃったので、だからいろんな手触りは中々使えないと思うんだけども、インクのようなものをすごく深くモリモリとしてもらったりとか、
板井:凹凸がありますね、点字があるわけではないんですが、触ったときにデコボコっていう感触とか、ちょっとツルツルしたところですね、いろいろあります。
志村:そうなんです。
板井:私も今回この本を改めて読んで、私は2018年のスタートからご一緒させていただいてるので、振り返るような気持ちももちろんあるんですけど、そもそもラジオって耳を通したメディアで、その耳を通したっていうことの行くところまで突き詰めたような環境じゃないですか、暗闇って。いや、それで普段見える私達は、本当に目からの情報に頼っているので、やっぱり先ほどの相手のお顔とか表情とかっていう部分、どうしてもフィルターをかけてしまっているんだな、それがないっていう状況の中での対話って、話していらっしゃる方がもちろん目の前にいらっしゃる季世恵さんの空気感っていうことも相まって、スーッと自分の深くに降りて行っていらっしゃるような雰囲気を、私もラジオを聞きながら、ラジオ越しに感じる部分があるんですけど、本当にこの本の対話ってノンフィルターですよね。限りなく心と心が語り合っているような、そんな印象を受けました。季世恵さん、今回数々のゲストから教えてもらったというか、会話をする中で改めて気づいたこととか、多くありましたか?
志村:ありますね、さっき板井さん、降りて行くみたいなことをおっしゃってましたよね。村上春樹さんが「井戸に降りる」っていう言葉をメタファーとして使っていらっしゃるらしいんですけど、茂木健一郎さんダイアログはそれと似ていとおっしゃっていて、どんどん自分の中に降りて行ったりとか、相手の世界に降りるとか、そこから出会っていくものがあるんじゃないかっていうことを私は思ったんですけど、あの言葉を聞いたときに、まさにその通りだな暗闇って、と思ったんですね。それからね、私びっくりしたのが、野村萬斎さんが、スタスタ暗闇を歩けちゃうんですよ。
板井:書いてましたね。
志村:私もうびっくりして、私の手を繋いでくださったの、萬斎さん。私もファンだから嬉しかったんですけど(笑)
板井:萬斎さんは暗闇は初めてだったんですか?
志村:初めてなんですよ。だけどお面を付けるでしょ?見えないんだって。
板井:狂言のお面。
志村:そう。目の穴は開いてるように見えるけど、でもご自身の目と合うわけじゃないし、で、目付柱っていう柱があるのは、雰囲気でこの辺だなってわかる目印なんだっていうことをおっしゃってたと思うんですけど、なので歩けちゃうんだなーって思いました。
板井:ある意味空間を体で感じる、そのトレーニングがもう既に。
志村:そう、そうなんですよ。そこで私が学んだのがね、目が見えない人っていう話だったんだけど、萬斎さんがこめかみで物を見てるっておっしゃったんですよね。こめかみの辺りで音を感じてるっていう。そう言われて見ると、目を使ってない人もちゃんと私達の方向を向いてくれているし、まるで目が合う感じで話をしてくれるんですよね。それは確かにそうだなと思って、その辺りで音を聞いて見てたんだろうと思ったんだけど。そういうことはね、すごく教わったことでした。あとね、時間の把握はしてたんだけど、時間を通り越した人もいて、森川すいめいさんっていう精神科医の方がいたんだけど、すいめいさんの場合は、すごく自分の感じ方とかを丁寧になさる方でね。
板井:すいめいさんも対話をする場所を作っていらっしゃる方ですよね。
志村:そうです。対話を大事にされているだけあって、時間に対して焦らないんですよすいめいさんって。時間を超えてもご自身のことをちゃんと探求するし、対話も大事にしてる。だからこそオープンダイアローグができるんだなって思ったんですね。患者さんの思いをちゃんと受け止めて、そしてそれを次に展開できる方なんだと思ったんですけど、なので暗闇の中で何かを喋るだけじゃなくて、その方の考え方とか、行動とか、いろんなことを知れたんですね。
板井:うーん。やっぱりその対話を通して、ご自身と、まあ季世恵さん自身も、その周りを包んでいるものも含めての、そこから抽出された言葉たちっていうことですよね。
志村:そうだと思います。なので、生まれてくるんですね、言葉がね。
板井:うんうん。

〜〜〜

板井:J-WAVE「DIALOGUE RADIO〜IN THE DARK〜」今夜はスペシャルエディションでお送りしています。引き続き、志村季世恵さんです。今回この「暗闇ラジオ対話集-DIALORU RADIO IN THE DARK」へ収められた17編もそうですけれども、普段この番組で行っている暗闇での対話、改めてどんなことがより浮き彫りになってくると思いますか?
志村:ね、どうしてなんでしょうね。あのね、DIALOGUE IN THE DARK自体もそうなんですけど、お客さん同士がね、初めて会った人たちもまるで幼馴染のようにお友達になるんですよね。助け合うし、協力し合って暗闇の中を進んでいく。子供の気持ちになったみたいに遊び心も湧いてきて、そこで普段では話さないような話をするんですね。それが今回のラジオに対しては深く起きてるんだろうなと思うんです。お互いの普段は秘めていたこととかも発露してしまったりとか、そういうのが浮き彫りになっていく。で、溶け合っていって、時には思っていたこととはまた違った思いも誕生していって、あ、私こう思ってたけど本当はこうだったんじゃないかなとかっていうふうに解消していくときもあるんですよね。だから思うんだけど、何もない中で暗闇って情報がないでしょう?制限もされてなくて、自由なんですよね。なんか学校教育でもふと思ったんだけど、広島にこの前行ったことがあってね、広島の教育ってオランダの教育を取り入れているのが一部あって、子供たちが自分で選択をしていいっていうふうな授業の進め方とか学習の仕方に対してなんですけど、あこれと似てるかもしれないと思ったんですよね。そうすると自分自身がさらにオープンになれて、学習意欲が湧いたりすることがあるって先生おっしゃってましたけど、似てるなと思って、その研ぎ澄まされていく中で自由になっていって、なにか自分自身が探求したかったものとか求めていたものが発見できるのかな。
板井:なんか深いところにあったものがふわっと浮き上がってくる。それは私自身何度か暗闇にお邪魔したときに、何て言うんですか、自分の輪郭もどこまでが自分かっていうのが一瞬わからなくなるような。
志村:なりますよね。
板井:ってなると、なんか普段やっぱり人間の何て言うんですかね、自分を守るために固めていたものがポロポロポロっと鱗が取れるような感覚を味わうことがあったなと思うんですけど、自分の中にあったものがふわりと浮き上がってくる、なんか浮き上がらせる力っていうのが暗闇にはすごくあるのかなと、季世恵さんのお話を聞いてて思いましね、なんか。
志村:そうかもしれません。
板井:輪郭が溶け・・何て言うんでしょうね、溶けていくというか・・
志村:わかります、自分の体と相手の体がないんですよね。声だけがあって、なんかね、お互いが混じり合うときがあるんですよ。面白いんだけど、あれ?これは相手の方の感覚だよな?とかね。もしくは私のみたいなのが溶け合っていくときがあって、そういうことに近いですかね。
板井:うーん。あとは今回本の最後に、アテンドの方との対話っていうのが特別編で入っています。改めて「アテンドは」っていうところもそうなんですけども、DIALOGUE IN THE DARKで見える人たちを暗闇に導いてくださるアテンドの皆さんって、見える方が見えない環境に身を置いたときに発する言葉とかっていうのが、耳にどんなふうに届くのかなっていうのは興味があって。
志村:そうですね、そもそもアテンドって、海外で47カ国やっている中で日本以外は「ガイド」って呼んでるんですね。
板井:「アテンド」って呼ばないんですね。
志村:呼ばないのね。バスガイドさんみたいに説明していって、はい次はい次って言って、バイバイって言っておしまいなんですよ。多分その後にお喋りしてダイアログがあるんでしょうけど、日本の場合は暗闇の中でダイアログをした方がいいなと思ったんですね。対話をね。そのときに暗闇って発見や気づきがたくさんあるから、それをガイドとして邪魔しないで寄り添って導き出すみたいな感じのことがあったらいいなと思って、それで「アテンド」っていうふうにしたんです。そこから始まったので、目が見えない人ってそもそもそういうふうな要素を持ってるんですよね。ちゃんと話を聞くとか、クロストークしないのね。どうしてしないの?って聞くと、単純なことなんだよって言うんだけど、最後まで話を聞かないと情報を得られないからねって言うのね。例えば、目が見えないから迷子なこともある。その町に行ったときに、どこどこに行きたいんですけどって言うとはいはいって言って、順序立てて説明してくれる人ならいいんだけど、時々思いつきで喋る人もいるんだって。そうするとね、最後に一番大事な情報として「あ、ただね、工事現場なんだよ、気を付けて」とか言われちゃうと、命に問題があっちゃったりとかね。だからちゃんとお父さんやお母さんや先生に「話は最後まで聞くんだよ」ってことを教わっていたりとか、自分もその経験があるって。だからちゃんと相手の話を聞いた上でじゃないとわからない、どう変わるかはっていうのが、もうね身に付いてるのね。そういう人たちがアテンドなんですよね。それを暗闇の中で私もそれを学びましたね。確かに最後まで聞かないと、お顔が見えないから、やっぱりね、対話になりにくい。
板井:うーん。言葉の終わりをしっかり待って、自分に落として、それから声を発するっていうことは確かにでもダイアログの暗闇の中で行われてますもんね。
志村:そうですね。なのでラジオでもそれを実践しているというか、せざるを得なくなったというか、いやもうちょっと柔らかい言葉で言うと、それが心地良くなったんですよ。
板井:あー、季世恵さん自身も?
志村:はい。

板井:うーん。J-WAVE「DIALOGUE RADIO〜IN THE DARK〜」今夜はスペシャルエディションでお送りしています。この後、番組後半は、DIALOGUE IN THE DARKで活躍するアテンドとの親交を深め、ドラマの役作りに挑戦した福山雅治さんのインタビューをお届けしていきます。

〜〜〜

板井:季世恵さん、福山雅治さんが、なぜ今回ダイアログのアテンドと進行を?
志村:そうなんですよね、あのねそもそもは、昨年の12月だったかな。テレビドラマ「ラストマンー全盲の捜査官ー」の制作チームの皆さんが、監督、脚本家、プロデューサー、皆さんがダイアログのところに来てくださって「ラストマン」の世界観を深めていったんですね。1月には福山さんがご体験なさって、そこで目が見えない人たち何人かに入ってもらって、なぜかというと、福山さん演じる皆実さんっていう主人公は、天才的な人なんですよ、何でもできちゃって。
板井:今ね「ラストマン」とありましたが、TBSドラマの日曜劇場ですね。毎週日曜日、夜9時から放送中のドラマです。「ラストマンー全盲の捜査官ー」ということで、今日放送日だったので、エピソード8が今放送されたばかりなんですけども、その主人公皆実さんを演じてるのが福山さん。
志村:そうなんです。皆実さんはとにかく何でもできちゃうのね。で、いないだろうこんな人はっていうふうに思われては困るんだと思って、いや福山さん自信もそう思ってしまっては勿体無いなと思って、5〜6人のアテンドと出会ってもらったんです。その中に皆さん、例えばだけど、フルマラソンを2時間半ちょっとで走れる人がいてね、世界陸上でまだ見えない人として。で、銅メダル取った人がいるの。「ぐっち」っていう男の子だったりとか、あとは京都大学を出て天才的な頭脳を持つような「はなやん」っていう人だったりとか、それから料理がすごく上手な人だったりとか、あと気配で動けちゃう「ニノ」という人は本にも出てますけど、ネパールの人。彼は国立公園でずっと育ってるので、どこでも歩けるんですよ、気配で。ふと来たなと思うと、ひょっとよけたりするの。
板井:気配で歩ける。
志村:そうなのよね。それでびっくりして・・・って色んな人がいるんですね。そうするとその人たちを集めたらば、皆実捜査官になれるんじゃないかと思ったんです、私からすると。で、撮影のとかにもご一緒させてもらったんですけど。
板井:それはいろいろ、やっぱりアテンドの皆さんに福山さん自身もアドバイスというか、お願いしたような形になるんですか?
志村:そうですね、細やかなこと、例えばこういう所作はどうするの?とか、お蕎麦を食べるのはどうなってるの?とかっていうときに、
板井:演技指導という形ですね。
志村:そうですね。で、お蕎麦って、目が見えない人ってそばちょこにストンと入らないんですよ、お蕎麦の先っぽが。そうすると、そばちょこを持ってる手の方に当てて、ここだなと思ったらそのそばちょこに入れることができるんだけど、そういうふうなことをね、ずっとご一緒して見てもらって、で、わかってくるんですね、福山さんも。そうすると、今までは映画とかドラマでも、目が見えない人の役って宙を向いていて、目を使ってないようなことになるんだけど、私から見ていてもあり得ないんですね、あれはね、目は動くし、音の方向に目も行くし、そうすると常に同じところを見続けてるんじゃないんですよ。それを福山さんはいろんなテントと出会ってもらった上で、福山さんが皆実捜査官なりの見えない人になっていくっていうのが、それが見ていてすごく早くて、やっぱりプロの役者さんはすごいんだね〜ってみんなで言ってたんですけど。

板井:それではここで、福山雅治さんと、お話にあったDIALOGUE IN THE DARKのアテンド、はなやんのインタビューがありますので、こちらをお聞きください。

〜〜〜

福山:「DIALOGUE RADIO〜IN THE DARK〜」をお聴きの皆さん、こんばんは。私、ラストマンこと皆実広見(みなみひろみ)を演じさせていただいております、福山雅治でございます。よろしくお願いします。
はなやん:DIALOGUE IN THE DARKでアテンド、スタッフをしております、今回ラストマンの全盲所作指導でも関わらせていただきました、アテンドネーム はなやんと言います、どうぞよろしくお願いいたします。
福山:おお〜はなやん!(拍手)ありがとうございました!
はなやん:ありがとうございます!お世話になりました。
福山:今日はね、私ドラマのオールアップと呼ばれる最終日でございました。お越しいただきありがとうございました。
はなやん:こちらこそ、こんな特別な日にご一緒できて本当に幸せな日になりました。
福山:僕らはね、それこそ見える・見えない話にちょっと照らし合わせて言わせていただくと、やっぱりある一定の「こうだろうな」っていうのを、全盲の方の役を演じるにあたり、全盲の方に見えるように調べるわけですよね。で、どうやったら全盲の捜査官に見えるのかな?っていうことで、その最適解を探す。まず最初に何をするかというと、最大公約数的な、全盲の方ってこうだろうな的なことの情報や形をインプットしようとするんですよ。ぱっと見たときに、あ、この人全盲だって見えないと、説得力がないだろうなと思って、全盲の方ってこうだな、みたいな形を作らなきゃと思って探していくんですよね、その一つの自分にとっての皆実広見という最適解を探していくんだけども・・・実際にアテンドのはなやんや、ニノさんや、ぐっちさんや、ひやまっち、みきてぃ、それぞれわずか5名6名かもしれないですけど、でもやっぱり皆さん違うんですよね。
はなやん:あーそうですね。
福山:そう。まあみんな違ってみんないいっていう言葉がありますけど、やっぱり違うんですよね。最初どうしてもある限られたキャラクター、白杖をついて、少し猫背気味でとか、ちょっとうつむいてとか、なんか自分の中でこうかな?みたいなカテゴライズしようとしていた段階があって、だけど皆さんお一人お一人に会って、わずか5人、6人ぐらいなんだけど、やっぱり全員違う。ということは、これだ、こうかな、こんな感じって決め付けようとしてる僕のアプローチが違うんだなとまず思ったんですよ。
はなやん:あー、なるほど。
福山:皆実広見という人は皆実広見とした独立した全盲の方の存在じゃなきゃいけないと思ったんですよ。逆に言うと、どんな見え方をしてもいいっていうふうに思ったんですよね。もしかしたら目が見えてないように見えなくてもいいとすら思って、極論で言うと。それと目の表情と目の演技だけで表現しようとしていたこともこれも間違いだなアプローチとして、というふうに途中で思いましたね。
はなやん:あー、もっと体全体で。
福山:体全体を使った表現。だって体全体を使って日々生活してるじゃないですか、嗅覚もそうだし、聴覚もそうだし、あと触覚もそうだし、足の裏とかもめちゃくちゃ使ってますよね。つま先とかそれこそ足の土踏まずの部分も含めてですけど、母指球のとことか、あとかかとも側面も含めて。で、その足の裏も足の指先まで使ってお芝居しないと駄目なんだなっていう・・逆にそこに気づいてからは、すごく役作りがしやすくなりましたね。でもそれを気づかせてくれたのは、毎日毎日交代で所作指導に来てくれた皆さんのお陰で、こうした方がいいですよ、こうじゃないですかっていうことも教えてくれるっていういうのもあるし、僕も含め、スタッフも含めてこういうときどうするの?蕎麦食べるときどうするんですか?コーヒー飲むときどうするんですか?って聞くのもそうなんだけれど、何が一番大事かって、そこにいつも来てくれてることが大事なんですよね。そうするとなんかね、全体を使って日々生活しているはなやん始め皆さんがいる、その全身を使って生きてる人がいつもそばにいてくれることが大事で、それを見てつぶさに観察することができるんですよ。毎日来てくれるから。それはね本当にありがたかったし、あんな長い時間、しかも寒いロケの中ずっと椅子に座って、モニターの前でチェックも含めて見てなきゃいけないっていう、もしかしたら、はなやんや他のスタッフさん、ダイアログのスタッフさんたちが、今日あんまり仕事してなかったかもなって思うことがあったかもしれないけど実はそんなこと全然なくって、居てくれる、その姿でありのままいてくれることが、役作りにおいてものすごく重要なんですよ。
はなやん:あー、いや、でもそう言っていただけて、すごくお役に立ててたなって改めて感じて嬉しいですし、僕自身もこうやってドラマに関わらせていただいて、動きのこととかすごく質問いただく中で、自分自身の仕草とか見え方とか見られ方っていうのを、なんかすごく見つめ直した期間だったなっていうのは感じていまして、それこそ普段生活してて自分が蕎麦をどういうふうに食べてるかなんて、あまり考えずに食べていた中で、ふと聞かれたときに、えっと、どうしてたっけ・・って思ったときに気づきがあったりとか、あとはやっぱり、僕もこのダイアログでアテンドをしているので、やっぱりエンターテイナーとして見られる立場でもあるので、あ、こういう仕草ってこういうふうに見られるんだっていうのを気づかせていただけたっていうのは、やっぱり福山さんだったり、演技っていうものに関わっていらっしゃる方と今回接することができて、気づけたことがたくさんあるなっていうのは、今お話伺って改めて思い出しましたね。
福山:いやだから僕はね、もしかしたらここまで全身に神経を張り巡らせてお芝居をした、役作りをした、演じたっていうのは、これ初めてなんじゃないかなと思いますね。うーん。やっぱりこう・・よくね、お芝居っていうのは本当に全身でやるもんだと言うけど、中々足のつま先や足の裏の感覚まで意識して芝居することってないですよやっぱり。
はなやん:あー、そうなんですね。
福山:うーん。
はなやん:撮影で言うと、始まってすぐぐらいの頃に福山さんがおっしゃってたことで今でも忘れられないのが「白杖を持ってないと不安になるようになってきた」っていうのがね、まだ1週間経ったかどうかぐらいのときにおっしゃっていたのが本当に忘れられなくて・・・もちろん撮影自体は1週間よりもっと前から白杖に実際に触れるってことはされてたからこそ、おっしゃったことなのかなっていうのは思ったんですけども、目を使ってる人が、別に暗いわけでもない場所で白杖を持ってないと不安だなんて言ったのを聞いたのは、当然人生の中で初めてで、だから、何て言うんですかね、本当にこう、なんだろう、福山さん自身は普段から目を使って生活されていって、皆実さんでいらっしゃるときも、多分見えてはいるんだけど、でも見えてないというか、見えない皆実さんになろうとしてるんじゃなくて、もうなってしまわれてると言うか、もうその域に行かれてるんだなっていうのが本当に忘れられなくって・・・福山さんの役者としての力というか、すごさを感じましたね。
福山:ありがとうございます。なんかこう・・バランスもあるじゃないですか、白杖ってやっぱり。全く体重をかけてないかっていうとそんなことはなくて、やっぱりちょこっとね、確認のためにコツコツやってるんだけど、人間やっぱり箸を持つ重さもわかるぐらいだから人間の感覚っていうのは、白杖でもやっぱり持ってると少し体重が乗ってるじゃないですか、それがね、ある日撮影が終わった後にトイレに行きたくて、買い物ついでにコンビニエンスストアに寄ったんですよ。白杖を持たないまま車から降りてコンビニエンスストアに入っていたときに、ものすごく歩きにくかったんですよね。あれなんかすごい、体のバランスも悪いしなんかどこになにがあるかちょっとわかりにくいなみたいな、そんな感じで、すごく不安になって、あーこれはだいぶ役が染みてきたのかなというふうにも思いましたね。

〜〜〜

板井:すごいですね、福山さんの浸透力というか順応力というか。
志村:ね。本当にそう思います。見ていても感じましたね。本当に回を追うごとにそうなっていくっていうのは、やっぱり福山さんの才能なんでしょうね〜。
板井:うーん。はなやんと福山さんのお話を聞いてると、そこに対話があって、お互いの距離を縮めて、新しい気づきがあって、それをお互い自分にフィードバックしているっていう、だから改めて人と人が出会うっていうところの可能性というか、素晴らしさを今のお話を聞いて思いました。
志村:本当にそうだ、お互い影響し合ってるんですよね。
板井:そうですよね。では再び、先ほどの続きをぜひお聞きください。

〜〜〜

福山:よくこんな声も聞きます。ドラマをご覧になった方の感想で。自分は人と違うんだと。それは全盲の方のみならず、いろんな方からラジオをやってるからメールが来るんですけども、それぞれね、ちょっとした自分にとっての目に見える見えないに関わらず、コンプレックス、病であるないに関わらず、抱いているコンプレックス。人と違っているんじゃないか、人と違ってちょっとネガティブな気持ちになってるところというのは、多かれ少なかれ人ってやっぱりあるわけですよね。だけどそれでも、むしろその違うところ、人と違っている違いを使っていいんだと、それぐらい堂々としていいし、それぐらいときにズルくなってもいいし、そういった表現をしている、生き方をしてる皆実さんに元気や勇気をもらってますというようなメールをいただいたりするんですね。これは、誰にでも当てはまることだなと思っていて、何をもって人はコンプレックスと思うかっていうのは、やっぱり人それぞれじゃないですか。一見、何事もなく全部できてるように見える人でもコンプレックスがあったりするし、全盲の方がコンプレックスもあるでしょうけど、逆にいや、それをむしろバネにしてるよ、それをむしろ自分の個性だと思って堂々と生きてるよ、むしろそういうところを逆手に使ってみんなを盛り上げたりしてるよ、という人もいるかもしれないし、いてほしいっていうふうに僕は思ってるんですね。だから今日最初の方で言いましたけど、やっぱり人は1人として同じ人っていないんですよね。そして1人1人違っていて、その違いに自信を持って生きていくことがとても大切だし、その違いをまた今度は受け入れる側になったときに、それは誰だってみんな受ける側になるんだけど、あ、この人はこうなんだな、違うんだな、でもそれを受け止めて受け入れて、今度は自分の違いを相手に対してまた表現するっていうような、そういうこのドラマが描こうとしていた多様性というものの、このドラマの出した一つの回答が、ドラマの中に描かれてると思うんですよね。で、寛容さということもそうだし、僕だってありますよ、運転とかしててもね、自転車がピューっと危ない運転をしてたりとか、おいこの野郎と思うこともありますよ。イラッとしたり怒ったりすることがあるし、何でもかんでも寛容に許せない自分もいます。だけど、できればこのドラマで描いているような、受け入れること、違いを受け入れたりとか個性を受けること、それが少しずつ広まっていって、かく言う僕自身もそういった感受性で生きていく。それが1人1人、少しずつこのドラマを見たことによっていい方向に影響されていくと、少しですけど昨日よりも今日、今日よりも明日という世の中というものになっていくのかなと。そういうことを連続ドラマを通じてできたらな、というふうに思っていたので、当初僕が思っていた連続ドラマという、ソフトで世の中に対してできることをよりも、かなりそれを超えたいい影響がこのドラマで発信できてるような気がするので、僕自身もそういうふうに世の中を、より、いろんな人がいるんだし、僕も感受性をもっと豊かにしながら生きていかなきゃなっていう自分事として考えるきっかけになったドラマになっています。最終回はとにかくですね、もう見応え満載でございますから、ぜひご覧なってください。「ラストマン」9話、10話、この2週間お付き合いください。よろしくお願います。はなやん、本当に長い間ありがとうございました。
はなやん:ありがとうございました!
福山:ありがとうございました。

〜〜

板井:いかがでしたか、季世恵さん。
志村:私ね、今回本当にご一緒できてよかったなと思うことがあって、私達が伝えていたこと、世の中がこうなったらいいなってふうに思ってたことたくさんあるんですけど、ドラマを通してそれを実現していただいてることが本当にたくさんあったんですよね。それに対して福山さんが、ご自身の言葉としても伝えていただいている。あー、世の中がこうやってだんだん変わっていってるんだなってことを、ダイアログ始めてね、もう23年、24年になるんだけれども、最初のうちは本当にね、何やってるかわからないようなエンターテイメントだったものが、こうやって少しずつ続けることによって、その継続大事だなと思ったんですよね、こうやって出会いがあり、いい作品とも出会えて、私達の思いもそこに乗せてもらえる。それは諦めなくてよかったなと思うことだったんです。で今は「ラストマン・イン・ザ・ダーク」を暗闇の中で、皆実捜査官の世界観を、
板井:コラボレーションしてやっていらっしゃいますよね。
志村:あれも若い子たちが、まあファンの皆さんがいらしていて、またいつもとは違った感じのお客様が、えー見えないってこうだったんだ!とか、白杖ってこう使うんだとか、点字ブロックはこうやって役立つんだねとかね、いろんなことを感じていただきながらも、人の力ってすごいねって。人っていいもんだなってことを知ってもらえてることが、ドラマでもダイアログでも、共通性を持ってコラボレーションできたことがすごく嬉しかったです。今でもそうですけど。
板井:違っていることへの寛容の心。
志村:本当にそう。なんかちょっとでも違うと、今の私達の時代って、その違いが許せなかったりとか、自分に対しても人と違うとすごく自分を肯定できなかったりするけど、そうじゃなくていいんだなっていうものがやっぱり伝わった嬉しいですよね。
板井:寛容の心・・世界中の空から降り注げば、もうちょっと優しい明日が来そうですね。
志村:絶対来ると思うんですよね。本当に・・・。なんか違いを肯定して、受容できて、そして自信を持って生きていいんだってことを福山さんおっしゃってましたけど、本当にそうだなって思います。
板井:TBS日曜劇場「ラストマンー全盲の捜査官ー」、残りのエピソードも楽しみです。次回がですね、6月18日、日曜日、夜9時からということで、これ見逃してる方もご覧になれますので、ぜひ見て下さい。


板井:J-WAVE「DIALOGUE RADIO〜IN THE DARK〜」今回はスペシャルエディションと題してお送りしてきましたが、ここで季世恵さんとはお別れとなります。季世恵さん、来月からは再び暗闇の中へ。
志村:はい、そうでした・・・(笑)
板井:暗闇へ戻っての対話を届けていただくことになりますけども、最後にですね、メッセージをお願いできますか。
志村:はい、私今日思ったんですけどね、緊張感ってあるのは大事だと思うんだけれども、真っ暗闇の中での対話って原始的で、緊張感も原始的なんですよ。なんかその、一体朝はいつ来るんだ?みたいなね。1時間という番組の中で、時間の割り振りとかは全然できないわけなんだけど、相手のお話をちゃんと聞いていくことによって、時間がわかってくるとか、私の身体感覚によってわかってくるとか、何だろう、そういうものがあるっていうのは大切だなと思ったんですね。で、今日このJ-WAVEのスタジオに来て思ったのは、これはまた見える中でのいい意味での緊張感があって、原始的な緊張と、現代の緊張が合間ってるみたいな、それをね、やっぱり両方とも感じるっていいんだなと思ったんですね。なので、普段だとデジタルで私達は生きてるわけなんだけど、その緊張の中の学びも成長もあると思う。それは大事なことだと思うし、時には原始的な大地に足を置いて立ってみて、あ、土ってこうだったとか、暗闇ってこうだったとか、そういうふうに両方側の自分を取り戻すっていうのは、いいんじゃないかなって改めて思いました。
板井:そこから紡がれる、生まれたてホヤホヤの対話っていうのを、私もまた楽しみにしたいと思います。
志村:ありがとうございます。でもまた板井さんとお喋りしたいです。明るいところで。
板井:明るいところ(笑)ぜひ。ということで、ここまではDIALOGUE IN THE DARKを主催する、バースセラピストの志村季世恵さんにお越しいただきました。ありがとうございました。
志村:ありがとうございました。

〜〜

板井:自分の心と対話すると、自分の幸せに気づく…。「DIALOGUE RADIO〜IN THE DARK〜」今夜は、スペシャル・エディションと題してお送りしました。

目でモノを見ることのできない世界を楽しむ「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」は、港区竹芝「WATERS竹芝」内にある、ダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」でお楽しみいただけます。

ここでは、私たちに眠る五感と人と出会い、対話することの楽しさと豊かさを再発見しながら今だからこそ社会に必要なソーシャル・エンターテイメントを
体験していただくことができます。

そして、6月30日までは、TBS日曜劇場「ラストマンー全盲の捜査官ー」とタイアップし、主人公・みなみの目を使わない世界を体験できる「ラストマン・イン・ザ・ダーク」を開催中です。

詳細は「ダイアログ・ダーバーシティミュージアム「対話の森」」の公式ホームページに載っていますのでぜひご覧ください。

そして、最後にプレゼントのお知らせです。今回、出版された番組発となる著書『暗闇ラジオ対話集-DIALOGUE RADIO IN THE DARK」を抽選で2名の方にプレゼントします。

ご希望の方は、この番組のサイトにある「MESSAGE TO STUDIO」の欄から番組の感想をお書き添えの上、ご応募ください。

J-WAVE「DIALOGUE RADIO〜IN THE DARK〜」
次回の放送は、7月9日(日)深夜1時からです。
ここまでのナビゲートは、板井麻衣子でした。



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