DIALOGUE RADIO -IN THE DARK-

日曜の深夜。全てのしがらみから離れて
本当に「独り」になっている特別な時間。
人は誰もが不安や悩みを持っているはず。
この番組は、自分の心と対話することの大切さを伝え、
明日への活力を求める人への応援メッセージを
発信するラジオ番組です。

EVERY SECOND SUNDAY

25:00-26:00 ON AIR

真っ暗闇の中で、心と対話する時間を。
志村 季世恵の写真

志村 季世恵

バースセラピスト

板井 麻衣子の写真

板井 麻衣子

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MESSAGE TO STUDIO

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MESSAGE

人は他人と比較してしまう生き物だと思います。
人より、恵まれていると喜んだり、
人より、うまくいかないと落ち込んだり、
SNSが生まれたことで、自分を誰かと比較する機会も増えてきました。
そんな今だからこそ自分の心と対話する時間を大切にしたいと思います。
何をしたいのか、何が悩みなのか、何に希望を持つのか。
その積み重ねが幸せを感じる近道なのではないかと思います。
幸せは、自分の心の中にある。


2018.07.08
GUEST

藤巻亮太



第2回は
8月12日(日)
25:00から放送
ゲストは茂木健一郎さん

藤巻亮太さんがオーガナイザーを務める野外音楽フェス「Mt.FUJIMAKI 2018」開催
2018年10月7日(日)
山梨県・山中湖交流プラザ きらら
詳細はコチラ(mtfujimaki.com)

その他藤巻亮太さんの最新情報はコチラ(fujimakiryota.jp)


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DIALOGUE

志村:藤巻さんですか?
藤巻:はい、藤巻です。
志村:はじめまして。
藤巻:はじめまして。季世恵さんですね。
志村:そうです。季世恵といいます。よろしくおねがいします。
藤巻:おねがいします。
志村:でも、ちょっと距離ありますね。
藤巻:え、ちょっと待って。思ったとこと違うところから聞こえてる気がする。
志村:(笑)
藤巻:え??
志村:ここまでって来れますか?
藤巻:じゃあ、私行きますね。
志村:是非とも。ちょっと、声のする方に。私の。
藤巻:うわっ、うわっ、ちょっと待って。すげー暗いんだけど。
志村:杖使えますか?
藤巻:なんかね。いきなり何かが。あ、何かね。椅子みたいなものがいきなりありました。
志村:ありましたか?
藤巻:あります。あっ、角があって、これはまあ行けるのか。で、これでちょっと今下に椅子を、あって、それをよけて、さらに今白杖で、トントンしながら、あ、でもちょっと声が近付いてきてる。
志村:あ、近づいてきましたね。
藤巻:ですよね。あー、またあったこれ。これ何だろう。今どのくらいだろう。
志村:この辺にいます。
藤巻:いらっしゃいますよね。
志村:います、います。あ、なんか近い。
藤巻:あ。
志村:会えた!
藤巻:会えましたね。
志村:よろしくおねがいします。
藤巻:よろしくおねがいいたします。
志村:速いですね。歩くの。
藤巻:フットサルやってるんで。(笑)関係ないですかね。
志村:フットサルで、暗闇も歩けちゃう
藤巻:何か、ほんとに今季世恵さんの声とあと空調の音。こんだけ何にも見えないと声だけで安心しますね。
ハチ(アテンド):お話中失礼します。ハチと申します。よろしくおねがいします。
今から暗闇のバーのほうにご案内して、そちらで座ってお話しされたらいかがかなと思いまして。行ってみましょうか。
藤巻:是非とも。行けますでしょうか。
ハチ:はい。行けます。がんばってハチの声の方に来ていただいていいですか?
藤巻:はい。あ〜いたいたいた。
ハチ:じゃあ、まず藤巻さんご案内しますね。
藤巻:いいですか?じゃあ僕、先に。
ハチ:まずこちら、しゃがんでいただくと、これが椅子の座面です。
藤巻:ほんとだ、ほんとだ。
ハチ:そして、前にテーブルがありますので、おかけください。
藤巻:ありました〜。あ、テーブル結構低めですね、思ったよりも。
志村:テーブルね、低めですね、確かに。木のテーブルですね
藤巻:分かるんですか?
志村:質感が…なんかそんな感じしませんか?
藤巻:あーでもなんか…これ木か…なんて言うの?ザラザラがあるというか…
志村:木肌っていうのかな?ノックする音みたいな。(机をコンコンとたたく)こういうのいいですね、やっぱり今藤巻さんが使ってる感覚って、目は使ってないじゃないですか?
藤巻:今目は開いてるんですけどなにも見えてないので、そうですね。
志村:目以外で他にどんな感覚を使っておられるか今考えてて。他の感覚って今なにを使ってるんですかね私たち。
藤巻:最初は耳を頼りに季世恵さんの声もそうだし、それでコツコツ当たって、今度は触覚?触れた感覚がまずあって、ちょっとにおいも嗅いでみた、みたいなね!嗅覚とか。そういう感じの順番になりました。
志村:そういうのって、いいですね。あんまりしないじゃないですか私たち、わざわざ。テーブルとかにおい嗅いだりしないじゃないですか。
藤巻:テーブルのにおい嗅がないですよね!変な人みたいになっちゃいますもんね(笑)
志村:私ね、4人子供がいるんですけど、ちっちゃい時ってこういうテーブルとか見ると、すぐ舐めたりしたんですよ。
藤巻:あー…すごい話ですね。要は我々は机はなにか食事を取ったりとか、なにか書いたりとかするもんだ、なにかを置くもんだってもう思い込んでるけど、子供って机がなにか分からないから、机ってものと最初触れ合うんですね。食べてみたり。
志村:そうですよね。そういうのって思い出しますね、今ふっと、藤巻さんがそう言ってくださったことによって、私が感覚的にそうだった!って思い出したんだけど、そういう記憶が出てくるのって面白いなって今思ったりしてて。1番最初に感じたにおいであったり音であったり、そういう記憶ってこの中で蘇ってきますか?
藤巻:僕実家が山梨にあって、ある意味古い日本家屋というか古民家で、よくおじいちゃんかおばあちゃんか、打ち水をしてて。水を夕方とかに庭に撒くと、その気化熱を利用して多分風が吹くんですよね。家の窓を全部網戸にして、そこの中を風が通り抜けて行って、緑のにおいがして…みたいなのを庭のにおい?なんか夕方っぽいあの土のにおいみたいなのを、一瞬思い出しました。
志村:"打ち水"っていい言葉ですね。
藤巻:打ち水なんで5〜6年ぶりに使いました(笑)東京に出てくるとやっぱりあまり見ないですよね。でも確かにそういう風にして、昔の人は知恵があったんですよね。
志村:そうですね。温度は変わらなくても虫の音を聞いたらちょっと涼しくなるとか、風鈴の音を聞いたら涼しくなるとかするじゃないですか。
藤巻:あ〜、不思議ですよね、音ってそれだけで。
ハチ:それでですね、今日は夏を感じてもらえる音のするものをこちらで用意させていただいています。ビール、マンゴーのジュース、そして炭酸水を用意しています。この炭酸水にはレモンをお付けしますので、レモンの香りなんかも楽しんでいただけると思います。
志村:これ選んでいいんですよね?
ハチ:もちろんです。
藤巻:今はハチさん、ここ真っ暗じゃないですか、ここで作れるんですか?
ハチ:そうなんです。お作りします。
藤巻:すごい!!まじですごい!
ハチ:お手元でお作りしようと思ってますので。
藤巻:まじですか!
ハチ:準備の時間をいただければと思います。
藤巻:じゃあ炭酸水にレモンを入れたのをいただければと。
ハチ:かしこまりました。
藤巻:季世恵さんは?
志村:私?私はマンゴーにしようかな。
ハチ:では炭酸水のレモン入りと、マンゴージュースを用意してきますね。少々お待ちください。
藤巻・志村:お願いします。


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藤巻:すごい。
ハチ(アテンド):では藤巻さん、手を借りしていいですか?こちらにグラスがあって、向かって6時ぐらいの方向にレモンが刺さっています。
藤巻:向かって6時だから…あ、あった!
志村:本当に?
ハチ:ご確認いただけましたね。では今から、炭酸水を注いで行きます。
藤巻:本当に?え、本当に?すごいね!
ハチ:はい!グラスだけ注がさせていただいていいですか?
藤巻:もちろん!
ハチ:(炭酸水を注ぐ)はい、どうぞ〜。
藤巻:どこまで入れたらこぼれるとか、そういうのも分かったってことですか?
ハチ:はい、音で。だんだん上がってきますよね。
藤巻:上がってきます上がってきます!
ハチ:シュワシュワシュワ…そこで止める!
藤巻:そこで止めるんですか!すげー。
志村:音が良かった〜。
藤巻:音よかったですね。
ハチ:マンゴージュースはどんな音がするんですかね?
藤巻:こう少し粘性がありそうですよね。
ハチ:(マンゴージュースを注ぐ)あ、粘性がありますね。音が…どうでしょうか、はい!お待たせしました。
藤巻:今ので分かったんですか?
ハチ:ちょっと持ち上げて、重さを。
志村:いい感じに入ってる気がする。
ハチ:よかったです。じゃあどうぞお召し上がりください。
藤巻:乾杯しましょうか。
志村:いいですね。
藤巻:僕右手で持ってるんです。あ、これで今触れたので…。
藤巻・志村:乾杯!
志村:あ、マンゴーだ。
藤巻:いいですね夏に。
志村:贅沢ですねこういうの。
藤巻:贅沢ですけど、なんていうんだとうな…会話って人と向き合ってて、例えばなにかをキャッチして、またこっちからなにかをギブしてっていうのがあって、どこか変な話、相手の話を聞きながらそれを聞いてる自分を意識をしてるっていうか、どこかに何パーセントか残ってんだなとか、自分がどう見られてるのかなとか、この空気どういう感じなのかなとか、相手の表情どんな感じなのかなとか、なんか邪念ってあるんだなって思いましたね。
志村:それっていつ頃から生まれてくるんですかね?人ってね。
藤巻:例えば、もうほぼ覚えてませんけど、思春期とかってどうなんでしょうね、人のことって。いや、もっと前か…?
志村:結構前なのかな?異性を意識したりとかするじゃないですか。私今そのお話伺ってて思い出したことがあるんですよ。幼稚園に入る時に、家でおならをしたのね。そしたら母に、「季世恵、幼稚園に行ったらそんな風におならをしたらダメなんだよ」って言われたの。そして、それは大変なことだ!って思ったんですよ。すっごくそう思って、「あ、そういうことしたらダメなのかしら」って思ったの。
藤巻:すごく深いですね。
志村:その時に私が"他者を意識する"ってことを覚えたんですよね。
藤巻:だから…ひとつは羞恥心の話であり、もうひとつは社会性の話ですよね。
志村:そうなんですよ。そうすると大抵のこともだんだん自分がどう見られてるんだろうって思ったりってのが、たったひとつのことだけじゃないと思うけど、いくつも出てくるんだろうなって。表れちゃったりとか、あるじゃないですか。
藤巻:今お話を聞いてて「こう思われたい自分」「こう見られたい自分」「こうだと思いたい自分」「こうであってほしい自分」と、「人が見てる自分」。どの自分自身が冷静に見つめた、「思う自分」ってすごくずれてきますよね?その"ずれ"ってすごく苦しみを生みますよね。だから、やっぱりそうやって社会性を覚えなければ、きっとこの社会の中でやっていくのは苦しくなるんでしょうけど、バランスなんでしょうかね?
志村:そうかもしれない。母は人様っていう目を気にしなさいって教えてくれた人だったんだけど、父はとっても反対で、父は大正4年生まれだったの。で、まだ日本にそれほど無かった手術をしていて、人工肛門っていうものを付けてたのね、普通だったら隠しておきたいものだと思うんだけど本当は、手術して人と違うが体に付いてたりすると隠しておきたいはずなの。でも父は隠さずに、あえて私とか他の兄弟たちに見せるタイプの人でね、私ちっちゃい頃よく父の膝で頭を洗ってもらったの、その時父のお腹の傷の部分に触れたらいけないなって、やっぱり子供だから違うものだって思ってるから体を硬くしてたの。そしたら父が察して、わざわざギュッて、腕が自分の腹部に当たるように付けてくれたの。なんか、大丈夫なんだって感じなの。そういうことを「気にしなくていいんだ」ってことごとく教えてくれたのは父だったの。だから私は両方を見せてもらったなって思って。ある時から"見せる自分でいられることの強さ"を身につけたいって思ったんだよね。そして"見せてもいいよ"ってことを、言っていい自分になりたいと思ったんだよね。今日藤巻さんとお話していて、私も随分忘れていた記憶だったんだけど、そんなことが思い出されて来ちゃって。
藤巻:は〜…この話よくしてくださいましたね。
志村:なんかね。
藤巻:あ〜なるほどな〜…。

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志村:音楽とかってのは、いつ頃から自分の中で生まれた来たんですか?
藤巻:なんかね、楽器屋さんも遠かったんで、近所のお兄ちゃんが通販でギターを買って、それを格好いいな〜って思って中2でギターを買ったんですけど、そこから色んなコピーバンドみたいなのを始めて、大学に入って19歳ぐらいの時に、人と比べるも比べる(笑)自分自身もなんだかよく分かんないしなにがやりたいかも分かんないし、ただエネルギーだけは渦巻いてくるし、その内側に渦巻いてくるものと、本当に上手くそのエネルギーを処理できないっていう…そういう時期あると思うんです。
志村:ありますよ。
藤巻:内側にグワーって渦巻いてたものが、どこに出していいか分からない時期があって、ある時初めてギターを握って、19歳の時に一曲作ったんでよ。だからね、内側に向かってグルグルグルって渦巻いてたベクトルが、逆になったんですよね!外。自分の外に向かって、なにかエネルギーが開いて行ったんですよね。
志村:すごい。
藤巻:それがぼくにとって人生で一番大きな出来事で。
志村:すごい。今「生まれ出づる悩み」って本があって、あれを思い出しちゃった。
藤巻:へー、どういう本なんですか?
志村:人って、生まれる前って多分きっと、エネルギーがマグマみたいにいっぱい渦巻いてて、それが決してプラスなことではなくてネガティブなこともどっちもあって、もうぐるぐるになってて、そういう時なんかこう、噴火するんだろうな〜みたいな。
藤巻:そうボール蹴るんですよね、多分(笑)でもねそういう意味で最近本当に思うんですけど、ミュージシャンになるってことを、自分が選べたか?って言ったら、選べてなくて、"作る"みたいな時にもし自分が満たされてたら、曲を作ることにそんなにのめり込まなかったんでしょうけど、最近になって思うのは、よく20代前半ぐらいまでの時かな?そこに戻ってあーしといたらよかったとか、もう一回戻ってあそこであーいう風にしたいなとか、当時の自分にとって失敗と定義してることが多かったんで、「なんでなんでなんで!」って思ってたんですけど、今38歳になると、なんかあの時に戻りたいって感覚が全然なくて、なぜなら全部よかったって思うことも含めて、その時その時の自分になってるから、あの時に戻りたいなってことは本当に無くて、もう一回同じ辛いこと経験するのいやだし、そういう中で色んな感情とか色んなものに自分の心が揺れ動いたりするわけじゃないですか、揺れ動いてまた違う気持ちの重心って変わっていくわけですよね、その揺れ動いて行くってことをとてもポジティブに受け入れて、新しい重心でしか出会えない感覚とか人とかいるだろうし、その中で自分が出来ることを精一杯やっていきたいなってすごく思いましたね。
志村:そっかーその話いいですね。私藤巻さんのお作りになった歌で、禅宗の歌だよね、「日々是好日」ってタイトルでしたよね?あれってよく禅のお師匠さんがおっしゃる言葉だなって思ってるんだけど、今そのお話を聞いて思い出したんですよね。
藤巻:そうなんですよね。30代って色んな出会いがあって、レミオロメンってバンドで20代を駆け抜けたので、まあ割と音楽ばっかりやってたんですけど30代になって藤巻亮太としてソロになった時に音楽以外の出会いが増えて行って、例えばアルピニストの野口健さんに出会ってたくさん色んな山に登ったりとか、自分でフットサルチームを作って、そしてら今度は同級生ぐらいの友達がすごい増えて行ったりとか、音楽活動だけじゃ学べなかったものがたくさん学べて。で、そんな中で日々好きな言葉があるとケータイにメモっておくんですけど、「日々是好日(ひびこれこうにち・にちにちこれこうにち)」って禅の言葉なんだって思って、勉強してみたら禅の老師と出会って、人の悩みっていうのはほとんどは「無縄自縛」か「自縄自縛」って話をされていて、「無縄」っていうのは無い縄で自分を縛って、うー苦しいって言ってるから、「自縄」の自分の縄で自分を縛ってあー苦しいって言ってるかのどっちかだって話になって、誰かにグルグルグルって巻かれてる悩みってあまり少なくて、実は自分自身で自分を「こうじゃなきゃいけない」とか「こうあるべきだ」「こうあらねばならぬ」「こうであって欲しい」みたいなことで自分自身を巻いていたりとか、なにも本来ないもの、本来ない縄で自分を縛ってたりして、あ、結局音楽を作って行くことに直結して行くんですけど、やっぱりその縄を解いて行くってことが音楽を作って行くことだなって30代ですごく思うんですよね。
志村:あーそうだったんですね〜。
藤巻:「こうじゃなきゃいけない」とか「レミオロメンを作んなきゃいけないんじゃないか」とか、逆に「レミオロメン」とは違う藤巻亮太みたな音楽を作んなきゃいけないんじゃないかみたいなことって、正しく「自縄自縛」で(笑)思えば思うほど自分を縛って、どんどんどんどん苦しい方に行ったんですけど、あ、そんな自分らしなんてものは自分が言ってるだけで、本来無いんじゃないかって思った時に、「そういう"らしさ"やーめた!」って思えた時に、そういう"解いていく"時に一曲一曲生み出した気がして。
志村:あーそうだったんだ〜。じゃあ自分で縄を解き、一曲生まれ。
藤巻:そう、でもねー、今思うとなんですけど結局そういう時期って縄で縛らなかったら自分で立っていられない時期でもあるんですよね
志村:あーそれはありますよね、それが逆に自分を立たせているのかもね。
藤巻:そうそうそうそう!今思うとそんなにあ悪いものじゃなくてそれを縁(よすがい)にしてしかたてない時期ってあるんですよね。
志村:すごいね、お坊さんみたいな人だね、藤巻さんって。
藤巻:あのう、老師の受け売りですねこれ全部(笑)でも共感できました僕はその話。
志村:分かります、本当にそう思う。

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藤巻:今、むしろ今その暗闇さえなにも気にならなくなって来ているというか、頭の中に色んなものが浮かんでくるって言うことが、3.11の震災があって、その後に、弾き語りととかで歌いに行かせていただいた時期があったんですけど、それはそれはすごい光景だったので、かける言葉も無いし、歌っていいのかなっていうのもあったんですけど、それをどう評価するかは一個置いといて、そこで感じたのは、「私はあなたじゃない」っていう。やっぱり同じ経験をすることは人と人は無理だし、だけど私はあなたじゃないのに触れ合えるもの、例えば体っていう物理的なもの、気持ちっていう精神的なものを超えて行けるものが、人間にあるから存在してるんでしょうねきっと。
志村:そうなんでしょうね〜。私はあなたじゃないから出来るんだもんね。
藤巻:そう、やっぱりそうなんですよね〜。普段そんなことを思いながら生きてるんじゃないですけどね。ただ、そういう事実を受け入れた上でしか飛び込めないところもあって。
志村:そうなんですよ、私セラピストとかしてるとね、心に悩みを抱えている人とか、末期のがんの人とかを、看取ったりするのね。例えば自分が関わった人から一回も言われたことないんだけれども、もし私の関わってる人が「あなたなんかに私の気持ち分かるわけないって言われたらどうしますか?」って質問される時があるの。例えば取材とかで。でも私はその時に「そうですって言います」って。なぜかというと、だって私があなただったら、助けられないよって。違う状態だからこそ、お互いが違う感覚で、物事を感じられて、そして前に進むことも出来るんだよねって。だから私とあなたが違うことがとっても尊いことなんだって言ってるんですよ。
藤巻:は〜なるほどな〜。うわ…なんか今日、今暗闇の中にいて、普段視覚に頼ってるので、ほとんど視覚で色んな物事を決めてるんでしょうけど、こうなった時に、世界がどこまで広がってるか、分かんないじゃないですか、今。
志村:分かんないですね。
藤巻:分からないってことが怖いんですよね。
志村:本当そう。
藤巻:で、その時に手を握ってくれたじゃないですか、あ、ここまで世界があってここに人がいるんだって言われた瞬間にすごく安心したんですよね。だから、世界がどこまであるんだろうっていう人の恐怖に対して、ここまであるよ、みたいなことが結局僕はあなたじゃないし僕はあなたじゃないけど、その不安事の縁にいてあげられること。ここまで行ったらここに僕がいるよっていうのが、すごく大事な事なのかもしれませんね。
志村:本当にそう思う。やっぱり一緒にいるよとか、一緒に考えてるよとか、ずっと一緒じゃなくてもやっぱりそこにいるっていうのは。ひとりじゃないってすごいなって思う。私は今この時間に眠れないなって人がいたり、明日どうしようって人がいると思うんですよね。私もよくそうなるもんね。でも世の中にこう思ってる人がいるんだろうなーって思うとやっぱりひとりじゃないなって思ったりとかね。今の藤巻さんのお話聞いてるときに、この言葉を聞いていただいていた方達が、「あ、そっかー」って思ってくれてる人がいるんだろうなってすごく想像してるの。
藤巻:ここの経験ってもしかしたらちょっと自分の中にあるいつもフィルターにかかってる奥のものが出てくる可能性ありますね(笑)
志村:ありますね、なんか出てきそうですね。いいですね、やっぱり明日って日があるのはすごいと思うんですよ。やっぱり明日があって、明日がいい日か悪い日かじゃなくて、"明日がある"っていうの、なんかすごいなって思うんですよね。ちょっと明日辛いなって思っても、それでも明日があるってすごいと思うんですよね。
藤巻:なるほどな〜、そうですね…。
志村:明日藤巻さん、ちなみになにするんですか?
藤巻:僕はですね、富士山の開山祭っていうのに出て、その流れで人生二度目の富士登山に行く!ってタイミングなんですよ(笑)
志村:そうなんだ〜!どんな風景なんだろう?富士山上った事ないんだけど…。
藤巻:僕は一回上ったんですけど、ぱっと振り向くと、富士山からの眺めが見えるわけですね、例えば1〜2時間歩いて、ぱっと振り向くと、世界がちょっとずつ変わっていくんですね。元々は、河口湖とか、富士五湖っていうんですけど、それぐらいしか見えなかったのが、今度はその向こう側の甲府盆地が見えて来たり、もう少し上がると長野県が見えて来たりするんですよ。
志村:上がれば上がるほど変わってくるんだ!
藤巻:変わるんですよ!あれはなんかねー、振り向いた時のご褒美っていうか、わーなんかすごい、結構日本って広いんだなっていうね。
志村:それいいですね。
藤巻:結構富士山って遠くまで見えるって言うじゃないですか。ということは逆にそこからそのぐらい見えてるんですよね。
志村:そうかー。
藤巻:そういう目線も面白かったですね。
志村:それいいですねー。それが明日のチャレンジなんだ!
藤巻:そうですね!明日のチャレンジ、富士登山!変なタイミングですね!
志村:素晴らしいですよ。いやなんか、すごいいっぱい素敵なお話をいただきました!
藤巻:いや、こちらこそ、とても楽しい時間ありがとうございました。
志村:ありがとうございます。私今日すごい、お会いできてよかったです。
藤巻:なんか暗闇って不思議ですね。心が開くっていうか…。
志村:…笑っちゃいますね。
藤巻:(笑)
志村:お名残惜しいね。そろそろきっとこのお店は閉店かな?
ハチ(アテンド):はい。私もものすごいたくさんのお話が聞けました。
志村:よかったー。よかったですね。
藤巻:よかったですね。すごく研ぎすまされた時間を過ごさせてもらって、ありがとうございました。
志村:ありがとうございました。
ハチ:どうもありがとうございました。



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