DIALOGUE RADIO -IN THE DARK-

日曜の深夜。全てのしがらみから離れて
本当に「独り」になっている特別な時間。
人は誰もが不安や悩みを持っているはず。
この番組は、自分の心と対話することの大切さを伝え、
明日への活力を求める人への応援メッセージを
発信するラジオ番組です。

EVERY SECOND SUNDAY

25:00-26:00 ON AIR

真っ暗闇の中で、心と対話する時間を。
志村 季世恵の写真

志村 季世恵

バースセラピスト

板井 麻衣子の写真

板井 麻衣子

J-WAVE NAVIGATOR

MESSAGE TO STUDIO

MESSAGE

人は他人と比較してしまう生き物だと思います。
人より、恵まれていると喜んだり、
人より、うまくいかないと落ち込んだり、
SNSが生まれたことで、自分を誰かと比較する機会も増えてきました。
そんな今だからこそ自分の心と対話する時間を大切にしたいと思います。
何をしたいのか、何が悩みなのか、何に希望を持つのか。
その積み重ねが幸せを感じる近道なのではないかと思います。
幸せは、自分の心の中にある。


2019.12.08
GUEST

第18回のゲストは周防正行さん


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DIALOGUE

せとせっと(アテンド):そしたら音を手掛かりに、実はこのどこかに季世恵さんがいるはずかな・・・?ちょっと読んでみましょうか。
周防:はい。季世恵さーーん!
志村:はい。こちらにおりまーーす。
周防:ほうほう。
志村:先に暗闇のBarに来ています。
周防:はい。暗闇のBar?
志村:はい。こちらにいらしてください。この辺です。
周防:(白杖で探しながら歩く)
志村:杖のつく音が近づいて来た。あー近い・・!
周防:・・・あー来た。はい!
志村:来たー。握手を。
周防:はい!
志村・周防:よろしくお願いします。
志村:えっと、私このイスがあって、周防さんのイスも近くにあると思うんですけど・・。
周防:はい、足に当たった。
志村:はい、そこに・・。
周防:あった!あった!はい、ありました。
志村:腰掛けてみてください。テーブルがあると思います。
周防:テーブル・・あ、あった。
志村:木のテーブルです。
周防:はい。ありました。
志村:はい。
せとせっと(アテンド):ようこそ!暗闇のBarにお越しいただきありがとうございます。
周防:すごいね・・・・はい。
せとせっと:それでは、こちらではお飲物があります。それではメニューをご紹介させていただきます。まずは温かい飲み物が2種類ございます、コーヒー、紅茶。本日は香りと味をそのまま楽しんでいただきたく思っておりますので、ブラックコーヒー、ストレートティーをお出ししております。それから冷たいものですけども、りんごジュース、アルコールと致しましてはビールを用意しております。
周防:はい。じゃあコーヒーをいただけますか?
せとせっと:はい、かしこまりました。
志村:じゃあ私もコーヒーにしようかな。
せとせっと:コーヒー。かしこまりました。そうしましたら色んなもの触られましたのでおしぼりをお渡ししておきましょうかね。
周防:はい。ありがとうございます。
せとせっと:季世恵さんも。
志村:ありがとう〜〜。
せとせっと:では準備してまいります。
志村:今どんな感覚を1番使っていらっしゃいますか?耳ですか?
周防:耳ですね。今コーヒーを多分淹れる音?あと空調の音ですね。
志村:あー、そうですね。
周防:うん。
志村:質感とか、だんだん後からついて来てて、例えばこのテーブルですけど、
周防:木ですよね。
志村:はい、これを触ると実は穴が空いてたりとか、
周防:空いてました!
志村:あ、空いてましたか・・!
周防:はい、空いてました。
志村:そう。なんか、で、テーブルの上と裏側とかも触ってみると、あ、同じだったんだとか分かったりして。
周防:そうそう、そうですね。
志村:普通触らないですよね、テーブルって。
周防:触らないですね。
志村:はい。
せとせっと:はいお待たせ致しました〜。
周防:いい香りだ!は〜〜。
志村:ふふふ。
せとせっと:ありがとうございます。
周防:はい。
志村:あ、香りがいいですね。
周防・志村:いただきます。
志村:あ、そうだ、私ね、今日こんな物もお持ちしたんです。ちょっと手に取っていただいていいですか?
周防:はい、はい。
志村:・・・(物を渡す)はい。
周防:はい。あ、キャラメル?
志村・周防:(笑)
志村:私、映画の試写会を拝見して。
周防:今すぐに、推測ができました!多分そうだろうと。やっぱ推測も大事ですね。
志村:大事ですね〜!
周防:あ、じゃあせっかくだからいただいてみる。
志村:はい、暗闇の中で味わってみれたらいいかなーっと思って。
周防:はい。でもね、映画館も暗闇ですもんね、実はね。
志村:だいぶ暗いですよね。
周防:うーん。じゃあいただきますね。・・・あ・・・でもこれもあれですよね、自分で経験してないと、どういう状況かってなかなか、キャラメルがどういう風に包装されてるとか、そういうイメージがないと大変ですよね・・!
志村:そうですね、包んであるとかね。
周防:はい。あー久々のキャラメル・・・。
志村:あ〜〜、良かった〜〜〜〜。
周防:う〜〜ん。
志村:すんごく映画楽しかったんです。
周防:あー、ありがとうございます。
志村:ほんとに楽しくて、私、未だに活動弁士の人が日本にいるって知らなかったんですよね。
周防:はい、はい。
志村:うーーーん。
周防:・・あ、失敗したなあ!キャラメルなめたら喋りにくい・・
志村:ほんとだ!そのもごもごの感じで喋ってるだけでもいいかなと思って。
周防:はい。大丈夫です!もう今、慣れました!!ははは。
志村:どんな味ですか?キャラメル、暗闇で・・?
周防:やっぱ1つ1つあれなのかな?資格情報が無い分、一生懸命探ろうとすること?だからきっと音に敏感になったりするのもそうだし、香りとか、味とか、きっと1つ1つ際立つのかもしれないですね。
志村:集中しますもんねー。
周防:そうなんです、だから資格情報ってものすごく・・例えばスキーでもなんでもそうですけど、見えないと一歩も進めなくなっちゃいますけど、逆に見えることで逆の感覚を邪魔することもきっとあるんだろうなと思って。改めてそんなの感じますね。
志村:あーーーー、そっかーーーー。そうですねーー。なにかこう、ながらって出来ないんですよね、暗闇の中って。
周防:あーなるほどね。
志村:食事をするにしても、やっぱりスマホ見ながら食べようとか出来ないですし、なので自分の今知ってる行動を、1番集中しながら感じてくるんでしょうから、それが余計に際立つのかもしれないですね。
周防:うーーん。僕最初に、暗闇の中でイメージしてた、思い出したのって『暗くなるまで待って』っていうテレンスヤングっていう監督がオードリーヘップバーン主演で撮った舞台劇の映画があるんですよ。オードリーヘップバーンが盲目の女性で、ある悪漢3人に自宅へ押し込まれるんですね。その時にオードリーヘップバーンがやったことは、明かりを消すことなんです。真っ暗闇にしたら、自分の方が動けるっていう。
志村:なるほど・・・・
周防:っていうサスペンス映画が。
志村:知らない〜そうでしたか〜〜!
周防:そうなんです!ぜひご覧になってください!
志村:観たいですね〜!
周防:オードリーヘップバーンの演技が素晴らしい。
志村:あーそうですか〜。
周防:はい。もちろん映画だからね、明かり消してほんとに真っ暗になったら何も映んないんで(笑)
志村:そりゃそうだ(笑)
周防:そこは演出ってことなんですけど、1960年代の映画だったと思うんですけど。
志村:あーー、そうでしたかーー、いや、全然知らなかったーもうすぐに観ます。
周防:ヘップバーンだから意外にみんな知ってるかなと思ったんですけど、そうでもないんだ。あ!そうそうもう1つ!
志村:はい。
周防:今もう僕思わずご覧になってくださいって言おうとしたんですけど、映画も、今一応、目が不自由な方のために音声ガイドとかを付けるようにしてるんですね。その時に、目のご不自由な方たちが、やっぱり、映画を「観る」って言い方をするので、すごい感動したんです。
志村:そうそうそう。そうなんですよ〜。
周防:あ!聴くんじゃないんだ!観るんだ!!と思って。すーーごいそれ感動したんです。
志村:あーーー、嬉しい。
周防:それを聞いた時に、もう音声ガイドってもうちゃんと作んなきゃなってほんと思いました。
志村:はーーーーー・・・。
周防:ただ説明するっていうよりは、そのシーンで監督が1番大事だと思ってること?その映画のポイントになるようなことって必ずそのシーンの中にあるっていうか、仕掛けるんですよね。だからそれで必要なシーン・必要じゃないシーンっていうのがあって、だから必要なシーンで構築されてるんで、その必要だっていうのを資格情報でパッと観て分からない人にはやっぱ音声でその映画のちゃんとした本当に伝えなければいけないポイント?は、それを言っていかなければいけない。全部を音声で描写することは不可能なので。何がそのシーンのポイントか。だからこれは監督が参加しないといい音声ガイドにはならないって思って。
志村:ほんとですね。
周防:だから今回も『カツベン!』の音声ガイドの作業には、少し参加させていただくんですけど。
志村:あーそうでしたかーー!
周防:はい。だからもっとね、あの、僕他の監督がどういう作業してるか分かんないんですけど、もっともっと積極的に監督が関わって、自分の作った映画のポイントっていうものをきちんきちんとワンシーンずつ、示していけるといいんじゃないかなと思うんですけどね。
志村:いいですねー、私聴いてみたいです・・!ふーーーんそうだったんだーーーー。あのう、私何本か映画を拝見していて、周防さんの作品って、勝手に解釈しちゃってるんですけど私質感がすごく伝わってくる感じがしていて、1つ1つが絵とか写真とかじゃなくって、指で感じるとか、質感みたいなものをすごく感じるんですよね。
周防:それ嬉しいです。質感っていうか、僕は空気って。
志村:はい、空気。
周防:そこにちゃんとそこの空間の空気があるのかないのかって、ものすごく気にするんですよね。いい映画って、その場所の空気感、雰囲気って、きちんと伝わってくるっていう風にファンとして観てて思ってたので。だからちゃんとその空気を作る。要するにやっぱり作り物のセットであることが分かっちゃえば、そこは撮影所っていう空間になっちゃうんで。
志村:あーそうですね〜〜。
周防:何が作られたセットで、ここがロケセットって言うんですけど、本物にある場所で撮った絵と同じようにしないと。仕掛けが見えちゃうってやっぱり白けちゃうんで。だからほんとどうやって空気を作るか。それって資格情報だけじゃなくて、音楽も含めて物音?SE・・SEってサウンドエフェクトって。セリフだけではない色んな音がしてるので、それをやっぱり作る。ほんとはだから音響設計って、ものすごく大事で、そこまだ日本映画遅れてるかなって思うんですけど、物の聞こえてくる聞こえ方とか、そういうのをもうちょっと気をつけないといけないなとは思うんですけどね。
志村:うん、そうなんですね。空気・・・いやー・・すごいなーーー。

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志村:大正4年の所から始まった『カツベン!』の映画を観ていて、私自分の父が大正4年生まれだったんですけど、
周防:あーーそうなんだ!私の父が大正14年なんです。
志村:あーそうですかー!
周防:そう、それで、大正14年が舞台にしたかったっていうのもあるんです。大正4年から14年。一気に飛ぶので。
志村:はい、そうでしたね〜〜。
周防:じゃああれですね、あなたのお父様が生まれた年と、私の父が生まれた年が・・!この映画に・・!
志村:すごい、そう、それでその空気っておっしゃってましたけど、もう父は他界してますが、あーこういう時代だったんだなーっていうのが、聞いていて話と合わさっていくのがまた楽しくて・・・!
周防:ほんとに?あ、良かった。
志村:はい。それをこう、観てたんですよね。映画のシーンと自分が耳で聞いていた、頭の中で浮かんでいたシーンが重なっていくのが面白くって、なんか色んなものが合いまったを感じたんですよねー。
周防:うーーーーん。でもね、ほんっとに、僕だって大正4年の空気って知らない中で作るじゃないですか。ほんとに、あくまで僕が考えた大正時代。だからほんとにその時代を生きてた人に僕の作った大正時代はどうですか?って、ほんとに話を聞きたい。
志村:でもすごい私はピタッとあった感じがして、それも幸せだったんですよね。会えない人と会ってる感じがしていて、なんかそれが見えてるとかそういう色んな、あ、それがさっきお伝えした質感とか空気なんでしょうけども。色んな監督の映画ってそれがリアルに感じることができるのが面白いなーっていつも思ってるんです。
周防:そうですねー、そう、どんな映画でもその監督の空気とか時代の空気とか、そういうものを作り出せるとほんとに映画に奥行きっていうかね、ほんとに意味でもリアリズムが出るのかなって。映画はそこが1番大事だっていうか重要だっていうのが、においみたいなものなんですけど、そういうものをどうやったら作り出せるのかって、具体的なやり方っていうのが多分それぞれ監督によって違うんだと思うんですけど。でもそのことはいつも意識してますね。なんかその場所、その時の流れてた空気感っていうもの、肌で実感できるようなもの、そういうものが映画から伝わってくると1番いいなーと思いながら作ってます。
志村:はーーーーー・・・・!あのう、そもそも周防さんが映画を作りたいなって思われるようになったのって、いつ頃からなんですか?
周防:映画監督になってみたいと思ったのは大学生ですね〜〜、大学2年とか3年とかですね。もちろん映画ファンとして子供の頃から映画は観てますけど、そんなに映画監督になるってことを意識して映画を観ていたわけではなくて、どちらかと言うと自分って一体何者なのだろう?と、若者の自分探し的なところ。要するにどうやって生きていけばいいんだとか、そういうことを考える1つの世界として、例えば本を読んだりとかね、あと僕の場合は高校生ぐらいから演劇?お芝居を観に行ったりとか。で、映画っていうのは子供の頃から怪獣映画が大好きでずっと観てた歴史はあるんですけど、新たに中学生ぐらいで読書をすごく量的にするようになったり、高校生になって芝居を観始めたり、要するにこの世の中にある色んな創作物っていうか、そういうものに触れ初めて。で、一体自分は何をしていけばいいんだ?出来ること、自分の好きなことってなんだろう?っていう風にして大学生になった時に、たまたま大学の一般教養の授業だったんですけど・・・一般教養って言い方して今の大学にあるのかな・・(笑)僕の時代には一般教養っていう専門課程みたいなのがあって。で、一般教養の中に映画表現論っていう、蓮實重彦さんっていうフランス文学者で映画評論家の。蓮實さんが持ってる授業があって、そこに出ているうちに、映画をどう観るかっていう授業だったんですね。映画の見方。映画をあなたたちはどう観てきましたか?っていう、そういうことを問いかけられる授業だったんですけど、実は映画の撮影技術であるとか、映画の作り方を学ぶ授業ではないのに、なぜかその授業に出ていた人たちはみんな映画を作りたいと思い始めるような授業だった。
志村:あーーー、面白そうですねーーーー。
周防:だから、先輩・同期・後輩含めて、ほんとにたくさんの映画監督が生まれた授業だったんで、やっぱその授業をきっかけに「映画を作る」っていう形で映画を見始めましたね。
志村:わ!作るっていう形で見始める・・・!う〜〜〜〜ん・・・!
周防:うん、だからその時にサイレント映画もたくさん観てるんです。
志村:あーーそういうことなんですねーーーーーー。
周防:で、それがなんでかっていうと、やっぱりサイレント映画って絵だけで人にものを伝えていく。そういう作業なので、それこそ視覚だけを問題にすると。だから映画の本当の基本ですよね。だって初期の映画は音がなかったわけだから、視覚で人に物語を伝えるっていう、そのためにはどういう風に絵を撮って、どういう風に編集していけばいいんだっていう。その試行錯誤がサイレント映画には如実に表れてるわけですよね。要するに音声が無いんで。絵だけで伝えなければいけないっていう縛りがある中で、監督がどんな工夫をしたんだろう。っていうことで僕はサイレント映画を観に行っていた。だから、活動弁士もいない、音楽の伴奏もない上映をずっと観てたんです。
志村:わーーーーーーー。
周防:それが、サイレント映画の正しい見方だって信じて!もう今思えば映画洗脳の思い込みってすごいなって思ったんですね。
志村:はい。
周防:だって、明治の終わりから大正、昭和初期の日本の無声映画って、日本で公開される無声映画って全てに弁士の説明がついてたんです。音楽伴奏もあったんです。だからその当時無声映画を作った映画監督は、自分が撮った無声映画が公開される時には、弁士の説明がついて音楽もつくことを知ってた上で作ってるんですよ。
志村:あーーーそうかーーーー・・・・。
周防:だから純粋に絵だけでって思ったって、純粋に絵だけで見せる場所がないから、あ、ここに解説が入るんだって分かってて作ってた。だとするならば、そうやって活動弁士の説明が入った映画を観る方が元々の監督の意図に沿った見方なんじゃないか。っていうことに気が付いたんですね。
志村:うーーーーーーん・・・!そうか、はい、はい・・!
周防:それで、僕自身が活動弁士の存在を無視してたっていうのは、やっぱり映画監督としては非常にまずいことだと思って。罪滅ぼしでもないんです!ほんとに映画が、日本映画がどうやって始まったのかをちゃんと勉強したい。自分も勉強したいっていう意味を込めて、今回の映画を作ったんですね。
志村:わーーーそれはすごい・・・そうだったんですねーーーー・・・・!
周防:うーん。今回は、シナリオが用意されていても、実際自分でその世界を実感できなきゃいけなかったので、無声映画の弁士付きの上映を観に行ったり、他に語り芸で講談とか落語とか浪曲を改めて聴きに行ったりとか、そういうこともしたので、それなりにやっぱり準備に時間はかかりました。
志村:うーーん。大切な時間ですね。
周防:うん。やっぱり人に、なんて言うんですかね、ある1つの世界を作り上げて観てもらうんで、その世界を作り上げる時に自分で分からないことはあまりにも多いと、あまりにも無責任じゃないですか。なるべく作り上げようとする世界にはもう断片でもなんでもいいからとにかく知っておきたい。自分で決めてることは要するに知らないで嘘はつきたくないと。知ってて嘘をつくならいいと。本当はこうなんだけど、映画的な表現の上ではこうしたほうがいいから敢えて嘘をつくんだ。と思ってつく嘘とは、僕はしょうがないと思ってるんですね。しょうがないって言うかそれがないとなかなか物作りはできない。
志村:作品になりにくいですもんね。
周防:ならないですよね。だって、本当の人生の時間の流れそのままになんか・・ならない、2時間ぐらいで1人の人の人生を伝えなければいけないって言うのがあるから。それはやっぱりどこかで映画的な嘘は必要だろうと。ただ、知らないでね、映画が出来上がってから、あれ違いますよね?って指摘された時に、え!って自分が嘘をついたことを知らないって言う状況が嫌なんですよ。だから知ってて嘘はつく、確信犯的な嘘はいいけど、ただ単に調べれば分かることを知らなかったばっかりに嘘になってた!みたいなね。結果として嘘になってるって言うのは嫌なんですよね。だから、なるべく取材はしようと思ってるんです。
志村:はーーーーーー。分かりますなんとなく。この暗闇の空間も、今はただただ広い暗闇なんですけど、常設をしている一般の方たちの体験できる暗闇って、森のシーンがあったりとか、橋が渡っていたりとか、丸太橋とか。公園があったりとかするんですね。で、真っ暗の中で森を歩くって言うのは、普通はなかなかしにくいんですけど、その度に私が何をするかと言うと、何年間も真っ暗い中で山を歩くんですよね。そうしないと、やっぱり真っ暗闇の中に森は作れなんです。
周防:おお・・なるほど。
志村:で、丸太橋を渡って、目が見えない人たちにも来てもらって、真っ暗闇の中の森を歩いてもらって、丸太橋を渡る。で、見えない人たちは晴眼者の人たちは丸太橋なんて渡れないだろうって思うわけですよね。でも渡れるんですよ本当は。でもそれを、自分たちは知らないと暗闇の中のコンテンツは提供できないんですよね。なのでおこがましいですけどなんとなくその今の監督の話が・・分かります。
周防:そう言うことですよね。うん。
志村:うん。
周防:実感しないとね。ほんとに自分が。なかなか伝えられないですよね。

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志村:このね、ラジオを聴いてくださる方って、まあ夜中なのでやっぱり色んな気持ちを・・まあ楽しくて聴いてくださる方もいらっしゃるでしょうけど、なんかちょっと寝にくくて寝れないなーと思いながら聴いてくださってる方もいらっしゃるんですね。で、失敗したなーとかつまずいたなーと思うときは、どうやってそれを乗り越えていらっしゃるんだろうってお聞きしてみてもいいですか?
周防:乗り越える・・・っていう感覚を自分で持つことはあまりないんですけど、でも人、他人、ずっと人を見て来て思うのは、実は起き上がり方が問題なんだっていう。転ぶことは誰にでもあると。そこからどう立ち上がるのかで、やっぱりそれぞれ差が出来てします。で、いっぱい転べば多分いっぱい学べるんですよ。そこからどう立ち上がるのか。ずっとそのことを後に引きずるかもしれない。で、引きずるなら引きずっちゃっていいと思うんですよね。でもそれ1つの経験になっていく。結局失敗しない人、いないんで。
志村:そうですね・・・!
周防:転んだ時に、どう立ち上がったらいいかなっていうのも、自分でやっぱり経験していくしかない。子供の頃からたくさん失敗した方がいいんだ!って思うんですよね。あのう、そうやって慣れていく。色んなことに慣れていく。あ、あの時も大丈夫だったから今回も大丈夫だろう。例えば、スポーツ選手が、本当に大きな試合、オリンピックなら、その時に緊張しないはずないじゃないですか。でもその時に大体拠り所になるのは、あれだけ練習したんだからっていう。自分がやって来たことに対して自信を持つっていうことがすごく重要なので、転んだ回数が多くてその都度なんとかして生きて来たわけだから。また転んだって大丈夫さって思える。そう簡単に人間ダメにならないんで(笑)!
志村:そうですね〜〜。
周防:僕は、失敗は当たり前。だからそこからどう回復していくのかっていうのを、これもだから自分で考えるよりしょうがないことだとは思うんですね。あのだから、そりゃそうですよ〜誰にだって、うわーもうこれ以上の苦しみはないとか、あーもうダメだと思うことはありますよね。
志村:うん・・・・。
周防:すごい分かりやすい例で、失恋って考えてみれば、多分子供の頃から、若い時からそういう思いが通じなかったりせっかく仲良くしてたのにそれが上手くいかなくなったりって経験たくさんしてると思うんですよね。そういう経験ね、していくと、次にどうしたらいいんだろうっていうことをやっぱり学ぶんですよ人間って。
志村:そうですよね〜〜〜。
周防:その時はもうこの世のお終いだって思えることも、時間とともにやっぱり薄れていったり、それが実はある時からいい思い出になったりとか、そういうことがあるので。でもね、そんなことを年寄りが若い人に言ったってなかなか通じないのは当たり前なので、もうね、苦しい時はその苦しみにどっぷり浸かってください・・・もう泣くなり、わめくなり、友達に話すなり・・・もう、そういうことをする。要するに、自分で抱え込まないことが1番いいと思いますね。
志村:あーーそっかーーーーー。
周防:人に相談したって、正解がないのは分かるけど、でも自分のことを話すことで結構客観的に自分を見れるようになっていくんで。
志村:そうですね〜〜。
周防:うん。だからそこは話して欲しいですね。自分で溜め込まない。失敗した時にやっぱりどんなに恥ずかしいことでも、誰かに言う。それってすごく大事だなって思います。だからいいんですよ、新聞とかテレビとかラジオの人生相談でも何でも!そこで、なんか自分の納得できる回答が得られるかというより、第三者に伝えるっていうこと。自分の苦しみを第三者に伝えるっていうことで、自分が自分を客観視出来ていくっていう。そういうものを身につけていけると思うんでね。それがもしあるとしたら、壁の乗り越え方ってやっぱそうやって自分で抱え込まないことなのかなって思います。
志村:ほんとですねーーー。
周防:うーーーん。
志村:いや私なんて失敗大魔王みたいな感じがして来たんですけど。
周防:(笑)
志村:はい。ほんとそう思います。結構こういう呼び方も慣れて来ますもんね。
周防:そうです。あ、僕そうそう、1回、父親が戦争に行ってた人なんですけど、台湾で飛行機の戦闘機乗りだったんですけど、台湾で買ったっていうサングラス。操縦する時に必要なサングラスを買ったっていうのをずっと父親は持ってたんですね。それがあんまりかっこいいんで僕もらったんですよ。
志村:はーー。
周防:そしたら、僕それ失くしちゃったのね。そしたら父親が言ったのが、形あるものはなくなる・・・って言ったんですよ。
志村:うーーーん。
周防:で、そうやって大事な物を失くすって経験をしていくと、その失くした時はショックなんですけど、そりゃもう、そういうことってあるさ!って風に思えるようになっていく。そういうの大事だなって思いますね。で、そうなんですよ、形あるものはなくなるし壊れるんですよ。っていう当たり前のことも、自分でそういう喪失感っていうのを味わいながらやっぱり学習していくんだなって。だから父親はかっこよかったですね、「何で失くしたんだ!」って言わないで「形あるものはなくなる」って言われた時にすげーーかっこいいなって思いました。
志村:本当ですねーーーー。そうかーその寛容であるというか、1回そうやって受け止めてもらえるっていう経験って、大きいですねーーー。
周防:大きいです。やっぱり失敗を重ねたり悲しいことが多い人は人の心を思いやれますよ。本当に。ね、言われ続けていることで、なかなか苦しみのどん底にある人には伝わらないけれど、本当に、その分、他人のやったことに対して色んな想像力を巡らせることが出来る。喪失感であるとか、そういうことの共感ってやっぱり出来るんですよね。そういうこと知ってる人は。
志村:本当ですね。
周防:それがすごく大事だと思うんで。

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志村:そうかー、今の時代を平成から令和に変わって、その時代がどうやってなっていくのかなってみんなも思ってるでしょうし、12月ってことを考えると、今年1年どうだったんだろう?ってまあ振り返って、新しいどんどん重なっていく令和の時代が・・と思うんですけど。やっぱりなんか、その寛容であるというか、失敗したっていいんだよとか、さっきおっしゃった形あるものは壊れるんだよっていうような、そういう大人が増えていけばいいなーって今思いました。
周防:そうですよね。
志村:うーん。
周防:今ほんとに寛容じゃないことを感じるのが多いんでね。人は失敗するんだ!っていうね。人は間違えるんだ!っていうのも、やっぱりみんなちゃんと分かってないと。間違えた時にどうするか。っていう。それが1番大事でね。それは間違えないでいられれば幸せだけど、それはあり得ないんで。絶対人は間違えるし失敗するし。
志村:そう思います。
周防:そうなんですよ。だからそれ前提に考えないとダメですよね。
志村:ほんとですね〜〜。なんだか今日はすごく、私の中では心が温かくなっています、色んな意味で・・・!
周防:あ〜、はい。
志村:う〜〜〜ん。あの、監督はこれから映画を撮って、映画で何かこう発信する時に、色んな思いがあると思うんですけど、世界に向けて今後どのようなことを発信されたいとかって、あるんですか?
周防:えっとね、僕はもうほんと、振り返ったんですけど、全部で今共通してるのって、出発点が驚きなんですよ。
志村:驚き。
周防:うん。今回も活動弁士っていうのは、実はね、今まで僕無視してたのに、実は日本に映画が入って来た初期30年間。これ無声映画時代ですけど、ほぼその30年間って、活動弁士が支えてたんですね、日本映画を。
志村:ほんとですね。
周防:で、僕にとったら驚きなんですよ。要するに、日本にほんとの意味でサイレント映画は無かったんだっていう・・これ稲垣浩さんっていう映画監督の言葉で、日本には真のサイレント時代は無かったって言っていらっしゃったんですけど、正にそうで。無声映画っていう言葉から想像される映画の存在っていうのが、実際は音あったんだ!っていう驚き。え、映画館が音のない時代の映画館が、あんなにうるさかったんだ!観客が自分たちの声?感情を表に出さなくなったのって、映画が音を持ってからなんですよね。
志村:はーーーそっかーーー。
周防:静かに観るっていうマナーを身につけざるを得なかったんです。映画が音を持った時から。
志村:あーーそうだーーー・・・!
周防:だから、無声映画時代って、もちろん活動弁士は喋り、生演奏の音楽があり、そこに野次も飛び、歓声も飛んだんです。なんて言うんですかね、映画の途中で、「日本一!」とか「いいぞー!」とか、そういう声が飛んだんですよ。だから日本人は決して感情表現が苦手というか、そういうことをしないんじゃなくて、環境?そういうことが許される環境ではお客さんはのびのびと自分の気持ちを吐露してたんだっていう。撮影現場でもね、無声映画時代はお客さんっていうか野次馬が撮影を見てるでしょ?お芝居がいいとおひねり投げたんですって。そんなん・・カメラの前に写っちゃうんだけど、もうお客さんっていうか野次馬はそのお芝居に夢中で、いいぞ!って意味でおひねり投げた。これがすごいなーと思って。
志村:はーーーーーー・・・・・!
周防:あとだから映画がどういうものだっていう共通の理解がない時代の話ですけど。なんかそれぐらい、日本人も自分の感情っていうか感じたことを素直に表現できてたんだっていうのは、今回やっぱり驚きでしたよね。
志村:あーーーほんっとにそうですねーーー。
周防:うん。だから『それでもボクはやってない』は、日本の裁判の現実っていうのが、僕が漠然と考えてたのと違うっていう驚き。出発点だし、社交ダンスをこんな風に日本人が楽しんでたんだって全く知らなかったので、それも驚き。素敵な驚きですよね。あ、こんな日本人の顔があるんだっていう驚き。だからそうやって、僕が生きていく中で、驚いた!こんなにすごいこと、面白いことがあるよ!とか、こんなにひどいことがあるよ!っていうそれを感じた時に、やっぱり映画にしていくっていうのは変わらないなって思ってます。
志村:驚き。はーーーすごいそれって大事なことですね。
周防:はい。
志村:素敵なお仕事ですね。
周防:いやいや分かんないですけど。仕事だとはあんまり思ってない部分があるので。
志村:うーん。私もそうやって、お仕事って口にしていいのかなって思いながら口走ってました。
周防:はい。
志村:活動と言っていいのか、なにか分かりませんけど・・。いやーでもすごい。あのう、最後に、なにか一言リスナーの方に、明日月曜日という時に、明日の月曜日をより豊かに迎えられるようなメッセージ、なにかありますか?
周防:そうかー明日月曜なんだ〜。もうねー明日月曜って、今はほとんど曜日の感覚がなくなってる仕事なんですけど、小学生・中学生の頃、日曜日の楽しみにしてた番組がなくなると、うわーー、明日学校だ・・・と思ってすごく暗い気持ちになったの今思い出しちゃいました・・・!
志村:私もです・・!
周防:月曜辛いな・・・って。でも、それもですね、いい思い出になっちゃうんです。振り返れば。
志村:ほんとですねーーー。
周防:人間って不思議で。で、多分月曜楽しみに待ってる人もいると思います。本当に、仕事の中で自己表現ができるっていう、その喜びを持つ人もいると思うし、でもまたこれも、日曜日がお休みで月曜日から仕事だって人ばかりじゃないんで。
志村:確かに。
周防:月曜が休みって人もいるんですよね。だから、まあ、月曜だろうが、なんだろうが、やっぱりその楽しみ方を身につけていく。どうやったら楽しくなるのか。それを考えれば、自然に身についていくものだと思うんですね。ただただ流れに身を任せるんじゃなくて、明日っから辛いって思うんならじゃあどうやったら楽しく思えるんだろう?っていう工夫をして欲しいなって、思います。あの、変わるんです!なんだって。考えて行動すれば、変わるっていう。そのことの実感が今あまりにも世の中に無いのかなって思うんですね。全部しょうがないで流されていく?まあそういう感じの社会になってるのかなーと思うんで。自分が考えて行動すれば、色んなことが変わっていくんだっていう。そのことをみなさんに実感して欲しいなって思います。
志村:そうですね、しょうがないで諦めてしまうんじゃなくて、思いが変われば行動が変わっていくこともたくさんありますもんね。
周防:あります、はい。
志村:あーいいお話・・・。ありがとうございました。
周防:はい、ありがとうございました。
志村:いやーー・・素敵だったー・・・。



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