DIALOGUE RADIO -IN THE DARK-

日曜の深夜。全てのしがらみから離れて
本当に「独り」になっている特別な時間。
人は誰もが不安や悩みを持っているはず。
この番組は、自分の心と対話することの大切さを伝え、
明日への活力を求める人への応援メッセージを
発信するラジオ番組です。

EVERY SECOND SUNDAY

25:00-26:00 ON AIR

真っ暗闇の中で、心と対話する時間を。
志村 季世恵の写真

志村 季世恵

バースセラピスト

板井 麻衣子の写真

板井 麻衣子

J-WAVE NAVIGATOR

MESSAGE TO STUDIO

MESSAGE

人は他人と比較してしまう生き物だと思います。
人より、恵まれていると喜んだり、
人より、うまくいかないと落ち込んだり、
SNSが生まれたことで、自分を誰かと比較する機会も増えてきました。
そんな今だからこそ自分の心と対話する時間を大切にしたいと思います。
何をしたいのか、何が悩みなのか、何に希望を持つのか。
その積み重ねが幸せを感じる近道なのではないかと思います。
幸せは、自分の心の中にある。


2021.11.14
GUEST

第41回のゲストは貝沼航さんでした

第42回のゲストは高濱正伸さん


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DIALOGUE

志村:貝沼さん、こんばんは。
貝沼:こんばんは。
志村:そうこそ、暗闇へ。
貝沼:ありがとうございます。
志村:今この暗闇に入られて、どんな感覚を使っていらっしゃいますか?
貝沼:そうですね、この暗闇に何度か入らせていただいてるんですけど、いつも何人か、10人ぐらいで入るじゃないですか、今日は季世恵さんと2人だけなので、何かいつもよりも暗闇が広い感じがして、何かどこまでも広がる暗闇の中に2人っきりみたいな感じで、宇宙の中に2人っきりでいるみたいな感覚になってます。
志村:確かにそうかも、本当だ〜。
貝沼:うん〜。
志村:人の気配がいつもしてますもんね〜。
貝沼:そうなんですよね〜。
志村:いやあ、ちょっと無に放たれた生き物みたいな感じですよね〜。
貝沼:そんな感じです。でも不思議と居心地いいですね。
志村:居心地いい?
貝沼:う〜ん。
志村:あ〜。あのう、貝沼さんと初めてお会いしたのが、多分今から11年前でしたよね?
貝沼:そうですね〜。
志村:うん。あのときって、貝沼さんも私も社会をよりいいように変えていきたいとかっていうのは、集いの中で出会ってるんですけど、私はダイアログの活動を通してその思いを伝えていて、貝沼さんは・・・その
貝沼:漆を、はい、もっとこの現代の暮らしの中で漆が生きるようにっていうことを広めていきたいなと思って、はい、そんなことを話させていただきましたね。
志村:そうでしたよね〜。漆の世界をだいぶお話いただいていて、すごく感動したんですよね。
貝沼:ありがとうございます。
志村:今は職人さんも数少なくなっていてってこととか、いろいろお話いただいていて・・・そして、貝沼さんのお仕事を教えていただいてもいいですか?
貝沼:はい。一番簡単に言うと、漆器の企画販売の仕事をしていて、産地にたくさんいる職人さんたちと一緒に物作りを考えて、それを器にして、皆さんにお届けするっていう、まあコーディネーターとかプロデューサーみたいな仕事をしています。
志村:なるほど〜そうでしたか。でもいつ頃から貝沼さんって、漆のことをそんなに頑張っていらっしゃるんですか?
貝沼:そうですね、今私は会津っていうところにいて、会津漆器に携わってるんですけど、生まれも会津ではないですし、家業が漆器だったわけでもないので、大学卒業後に入った会社でたまたま漆器の世界に出会って、そこから惚れてしまって、会社から独立してっていう感じで、大体27歳ぐらいのときからだんだん漆器の世界に入って行ったという感じですね。
志村:なるほど。漆器って、漢字で書くと「漆の器」って書きますよね?
貝沼:はい、漆器って言ってもピンと来ない方もいらっしゃるかもしれないんですけど、今言っていただいたように「漆の器」って書く通り、その素地になるのが、木ですね、木材。これで作った素地の上に、漆っていう塗料を塗り重ねていくっていうことで出来るのが漆器ですね。
志村:漆と聞くとですね、多分多くの方は、かぶれちゃうあれだねって思われると思うんですけど、あと真っ赤に紅葉している、そのう・・木にくるくるっとツタがあって、それに触るとかぶれるよとかっていう、あの漆とはまたちょっと違うんですよね?
貝沼:そうなんですよ、今季世恵さんがおっしゃっていただいたのは、日本の山に自生しているツタウルシとかヤマウルシって木で、今ぐらいの時期になると本当に真っ赤に綺麗に紅葉する木なんですけど、あの木からは残念ながら漆の液っていうのは取れないんですよ。漆の液を取る木はそのまま漆っていう木で、それは人が育てないと育たないので、漆の畑を作って、それから15年ぐらい育てて漆の林に育ててから、漆の液を取るっていう形になります。
志村:あ、なるほど、自然には中々育ちにくいんですね?
貝沼:そうなんです、すごく繊細な木で、他の植物に覆われてしまったり、日光が届かなくなると、すぐに枯れてしまうっていう木なので、人が管理っていうかお世話をしてあげながら育てていくっていう木ですね。
志村:そっか。でもそもそも漆って、人の手が介在しなかった昔々の時代なんかも、希少価値だったんですかね?
貝沼:そうですね、元々は縄文時代ぐらいから日本では使われていて、日本の中で最も古く見つかっている漆の木っていうのは1万2600年前の漆の木っていうのが見つかってるんですけど、その頃は日本は最終氷期って言って、ちょっと今よりも寒い気候だったので、他の植物が育ちにくい、そういう環境だったので、漆の木も残ってたんじゃないかって言われるんですけど。
志村:あ〜なるほど、そうだったんですね〜。
貝沼:はい、でもそれ以降はだんだん、縄文時代も中期ぐらいになると暖かくなってきて、他の植物も旺盛になってくるので、その頃からは日本人がやっぱり育てて残してきたっていう木ですね。
志村:縄文時代の頃から漆を育ててる縄文人がいたってことなんだ〜。
貝沼:いやそうなんですよ、縄文遺跡からも、漆を採ること「漆を掻く」っていうんですけど、漆を掻いた傷のついた木っていうのが出土していて、縄文人も私達と同じように、まあ当時は黒曜石で傷を付けてたらしいんですけど、幹に傷を付けて漆を採るっていうのをやっていたんですよね。
志村:う〜ん。それだけ需要があったってことですね?必要性があったというか。
貝沼:そう、必要性があったんですよ。っていうのは、日本は木の国なんですね。生活の道具を何でも木で作るっていうのが日本の文化のベースにあると思うんですけど、縄文人も暮らしのいろんな物を木で作ってきたんですけど、やっぱり木って、唯一にして最大の弱点っていうのが、そのままコーティングしないで使うとだんだん腐ってきちゃったりとか、水が漏れてきちゃったりするので、木を暮らしの道具として使うっていう上では、やっぱり木を守ってあげるっていうのが大事で、じゃあその木を守るための材料、まあ当時は自然の中にしかなくて、その自然の中を探したときに、かぶれるけれども漆の木から出る樹液っていうのが、もう最高のコーティング剤になるっていうことを縄文人も発見して使ってきたっていうことなんですよね。
志村:いや〜すごいですね、そんなに古くからあったものが、今も受け継がれているってことなんですね。
貝沼:そうですね〜。
志村:へえ〜。

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志村:貝沼さんが漆器に惚れてしまって、会社を辞めて独立をした。そこまでの魅力はどんなところだったんですか?
貝沼:まあ自分の中ですごく漆のスイッチが入ったのが震災前後。その辺りで、やっぱり価値観とか生き方っていうのがすごく変わったっていうのもありますし、その時期に会社も1回ちょっと畳んで、家庭も失くしてみたいな、人生どん底だった時期があるんですけど、そのときに何か漆器ともう一度向き合う機会があって、すごく救われた気持ちがしたんですよね。
志村:う〜ん、どうして?なにか・・・?
貝沼:そうですね、二つあるんですけど、一つは改めて漆器の職人さんの工房に見学っていうかお邪魔しに行ったときに、三浦さんっていう木地師さんが会津にいらっしゃるんですけど、木地師さんの工房の奥に行くと、木地の粗型って言って、まだ器の状態になる前のざっくりした形の木の器がたくさん並んでて、もう本当に数万個っていう単位で
志村:たくさんありますよね〜!
貝沼:はい、本当にたくさんあるんですよね〜。そこで話を聞いたときに「これ何でこんなにあるんですか?」って聞いたら「漆器の木地っていうのはすぐには使えないから、やっぱり子の代、孫の代まで考えて用意しておくんだ」って話をされていて、特にこんなに増えたのは、先代のおじいさんが、孫が生まれたときにたくさん作ったんだっていう話をしていて、自分の為じゃなくて孫の為を考えて仕事をしてるっていう、その時間間隔の長さっていうのに触れたときに、何かすごく目の前のことで悩んでるっていう自分がちょっと馬鹿らしくなって、何かそういう長い時間軸の中で物事を捉えられたらすごくいいなって思って、救われたことがあったのが一つと、あともう一つは、その頃に漆の木を育てるっていう活動をやり始めたんですよ。植物を本当に1から植えて育てて15年お世話してっていう、何かその原料をゆっくり、それも長い時間15年かけて育てていくっていうことに携わったときに、本当に命に触れている感覚がすごくあって、何かそういうところで、何か漆って本当にこれからの時代にこそすごく可能性があるし、大切なことを教えてくれるなと思って、そこからすごくもうハマって行ったっていう感じですね〜。
志村:あ〜わかる気がするな〜。実は私も三浦さんとお会いしたことがありましたよね〜。
貝沼:はい、そうですよね〜。
志村:つれて行っていただいたときに、やっぱり本当にものすごい数の粗型を見せていただいたときに、同じお話をしていただいたんですよね。で、漆のその漆器を作る過程を見せていただいたときにびっくりしたんですよね。ものすごい長い、数多くの工程があるって。35工程でしたっけ?
貝沼:そうですね、数え方にもよるんですけど、そのぐらいありますね〜やっぱり。
志村:うん。そもそも木地師さんが木を切って来たものを形にする作業がいくつもあって、その後に漆を塗っていくわけですよね。
貝沼:そうですね。漆器は人の体に例えると理解しやすいんですけど、素地になる木が、人で言うと骨の役割。で、表面の漆塗りっていうのは、人で言うと美しい皮膚とか肌っていう感じで、実はその間に下地っていうのが隠されていて、下地が人でいうと筋肉の役割をするんですけど、見えない部分になるんですけど、下地っていうのをしっかり何度も丁寧にしてあげると、筋肉ががっしりついた、長く使ってもへこたれないっていう丈夫な器になりますね。
志村:その下地の部分っていうのは、木のところの世界からまた漆に塗って行く作業の中にもあるわけですよね?
貝沼:そうですね。漆っていうのは生きてる塗料で、ペンキとか絵の具とかが乾いたり固まったりするのとは全く逆の性質を持っていて、乾燥してる状態だと乾かないんですよ。っていうのは、漆にラッカーゼという酵素が含まれていて、その酵素が元気に働くことで固まるっていう、不思議な塗料なんですよね。なので、ムシムシしたサウナみたいな環境で固まるんですけど、それもその酵素が気持ちよく自然に固まるような環境を整えてあげなきゃいけないので、そういう天候とか、その年に採れた漆の性質を見極めながら、塗師さんが塗っていってあげるっていう感じですね。
志村:あーそうなんですね。何かその、日本の気候に本当に適してたんですね、蒸し暑かったりとか、大体湿度が高いわけだしそもそも。
貝沼:あ、そうなんですよ、本当にそうですね〜。
志村:ね、自然にあるもの、日本って本当に木がいっぱいあって、そして漆があって、蒸し蒸ししていて〜とかっていうのが全部。
貝沼:いや本当に。本当に日本の自然の中から生まれて、日本の食文化の中で自然に使われていくっていう、すごく理に適ってる器だなって思いますね〜。
志村:本当ですね〜。で、そういうことがあって、貝沼さんは魅せられ続けながら、漆のことを探求しながらお仕事をしていらっしゃるんだけど、でも今いわゆる伝統工芸っていうのは、だんだんこう・・・寂しい感じというかですね、何か先細りという感じのイメージがあるんですけど、これどんな感じなんですか?
貝沼:そうですね、私自身はその伝統工芸の衰退って言われてるものに関しては、ちょっと違う見方を持ってまして
志村:あ〜そうなんだ〜。
貝沼:最盛期が大体バブル期ぐらいで、その頃から比べると確かに今って大体7分の1ぐらいに落ち込んでるんですけど、やっぱり日本がそういう高度経済成長からバブルまで大量生産・大量消費して来たっていう頃に、すごく肥大化していった。伝統工芸もそういう側面があって、そこから急激に落ちたので、衰退の危機とか後継者不足とかって言われちゃうんですけど、でも考えてみると、その「伝統」っていう言葉自体が明治以降に実は作られた言葉で、それまでは別に普通に伝統工芸というよりは、もう日常使いの器だったので、伝統なんて言葉は無かったんですよね。
志村:あーそうでしたよね、新しい言葉だって聞きました。
貝沼:そう〜。
志村:でも何で伝統ってつけたたんだろう?
貝沼:多分だからその、日本が西欧化したりして、そういうものが過去のものにどんどんなっていったので、それを定義する言葉として伝統っていうのは生まれたんだと思うんですけど
志村:あーそっか〜。
貝沼:だからそれだけやっぱり暮らしから離れてしまったっていうことだと思うんですけど、でも僕は先程から言っているように、縄文時代から暮らしの中とか自然の中に、理に適ったものとしてあったっていうところが魅力だと思うので、明治以降のその何ていうか、大量生産・大量消費っていうところの尺度で測るよりも、むしろもっとそっちの本来あった形に戻した方がいいなと思うので、そういう意味ではよく「伝統を守る仕事してますね」って言われるんですけど、逆に言うと明治以降の伝統っていうものが生まれた、いわゆる「伝統工芸」っていうものは、むしろそっちは壊した方がいいような気がしていて、もっと本質に立ち返るってことが自分はしたいなと思いますし、後継者不足ってよく言われるんですけど、実は今20代の若手の職人さんたちってすごく増えてるんですよ、しかも女性の方が今すごく増えていて、稼ぐ仕事っていうよりは、生き方だったり、何か自分が大切にしたいものの一つとして、伝統工芸というか漆の仕事をしていきたいっていう若い世代が増えているので、そういうところにすごく僕は希望を持ってますね。
志村:うーん。

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志村:私はたまたま自分の家に、漆器が多かったんですよね。当たり前にちっちゃな棚には、お椀とかお皿とかもあるわけですよ。それで小ぶりなものが多くて、おままごとに使えるのがちょうどいいんですよ。
貝沼:あ〜可愛い〜(笑)
志村:で、小皿のような・・会津で言うと、こづゆっていう食べ物ありますよね?
貝沼:はい。
志村:お正月とかに皆さん召し上がるみたいな、お野菜煮た感じのもの?
貝沼:はい、そうですね〜。
志村:それを入れる器があって、私はね、お外に出ると原っぱとかで花とかを拾って来て、それを入れておままごとをしてたの。
貝沼:え〜めっちゃ素敵ですね〜!それは何か本当に素敵な遊びですね〜。
志村:何かね、おままごとセットもあったはずなんだけど、そっちの方が気持ちいいんですよ、手で触っていて当然。
貝沼:あ〜〜〜、いや何か、本当にその触った気持ちよさっていうのは、本当に子供の記憶ってすごく残ってますよね。
志村:そう、そうなんですよね〜。でもきっと子供たちってね、それはどんな子供たちも、目以外の感性豊かなので、触って気持ちいいものとかを選ぶんですよね。
貝沼:あ〜。
志村:それは当然だったんだろうなと思うんだけど、でそれで、傷が付くからやめなさいってことを言う祖母じゃなかったので、遊ばせてもらってたんです普通に。
貝沼:あ〜素敵〜。
志村:それが何か私の中での漆器の世界だったので、大好きだったんですよね。それで貝沼さんと11年ぐらい前に出会って、そこでお互いの大切なものがわかり合えて、ダイアログ・イン・ザ・ダークで目が見えない人たちの指先の感性と、職人さんの感性が合わさったらどうなるか?っていうのを今展開してるわけですよね、きっとね。
貝沼:そうですよね〜。
志村:私のだから、たまたまの漆器好きってところと、貝沼さんのご活動と、あとはダイアログのアテンド達の培っているその感性が上手く重なったときに、次の幕が開けたのが、多分「めぐる」という作品だったんだなと思ってるんですけど。
貝沼:はい、本当ですね〜。
志村:はい。「めぐる」というものをちょっとご説明した方がいいかな。
貝沼:はい。「めぐる」というのは、11年前に季世恵さんたちと出会ってやりとりをする中で、アテンドの皆さんの触覚、持ち心地とか口当たりっていうことのすごく繊細な感覚をお借りしながら、漆器を作ってはどうか?っていうお話をいただいて、あーなんて素敵なアイディアなんだって思ったところからスタートしたんですけど、開発は2年ぐらいかけましたもんね。
志村:かかりましたね〜。丁寧に丁寧に。
貝沼:本当に丁寧に作ってきたんですけど、何回も会津にアテンドの皆さんにお越しいただいて、職人さんたちも丁寧にアテンドの皆さんに手取り足取り漆器のことを教えてくださったりして、で何回もアテンドの皆さんが心地いい!っていう形を目指して、もう試作しては改良してっていうのを何回も繰り返して作ったっていう漆器ですね。
志村:暗闇にもね、職人さんに実際に入っていただいて、よかったですよね〜。
貝沼:いや、そうでしたね〜。
志村:お互いの感性をフルに使って、掛け算ですね、足し算っていうよりも。職人さんとアテンド達の力と、新しいデザインも出来ていって。で、何で「めぐる」っていう話になったかと言うと、先ほどお伝えいただいた三浦さんという木地師さんの、その何代も使うことが出来るよってことを伺ったときに、あ、一代で終わるものじゃないんだなと思ったんですよね。で、20年30年、もっと長く使っていける。そうすると私が使ったものを、またはおばあちゃんが使ったものを、孫にも受け継いでもらうことが出来る。でなんかね、めぐってるんだなぁ〜と思って「めぐる」って名前を付けましたよね。
貝沼:いや〜本当に。「めぐる」っていうその3文字に込められたものが、ある意味全てというか、その言葉というかその名前に向けて、本当にもうずっと続けてるっていう感じですよね〜。
志村:うん。後もう一つはね、貝沼さんが生産するっていう、物を作っていくってときもすごく丁寧だし、昔みたいにたくさん作るじゃないポリシーを持っていらっしゃるでしょ?何て言うのかな、あの考え方も私は大好きだったんですよね。
貝沼:あ〜。そうですね、漆器は本当に長い時間をかけて丁寧に作られるので、大量生産出来ないし、すぐにも作れないので、この「めぐる」っていうのを本当にどういうふうに届けていったらいいかなっていうのを悩んだ時期があって、まあ通常の商品だと商品を作って在庫を持って販売してっていう形なんですけど、やっぱり1年ぐらい時間をかけてゆっくり作るので、それをどういうふうに、迎える方にも協力してもらって届けていくか?っていうのを季世恵さんにご相談したときに「それはもう十月十日だね」っていう言葉が即答で返ってきて、もうそれで一気に道が開けたっていう感じがあったんですけど
志村:あ〜なるほど、いやあれもね、期間はどのぐらいかかりますか?ってお話をしたら、10ヶ月ぐらいかなっておっしゃったんですよね。でそのプロセスを聞くと、まるでお腹の中で赤ちゃんが育っていく段階と似てるなと思ったんですよ、それで、これはもう赤ちゃんが育つようなものが「めぐる」なんだと思うと、やっぱり十月十日しかないなと思ったんですよね。それでそれを、今のお母さんたちは超音波写真をもらえるんですよね、産婦人科に行って、助産師さんにも見てもらったりしながら、今こんな状態です赤ちゃんは〜とか、それで超音波写真をもらって、赤ちゃん今はこうやってだんだんしっぽが取れてきたよ〜とかね、そう言う過程があるでしょ?そうすると、何かそういうふうな過程まで写真を撮って皆さんにお見せすると、器に対しても愛情持てるかな〜なんて思ったりしてたんだけど、そういうふうに育つ器、買い手の方と共に育てる器があるんだなぁと思ったんですよね。
貝沼:いやー本当に、そこの発想の転換というか、そうやって使っていただく方にも、作る工程から参加していただいて仲間になっていただく。まるで我が子を育てるように器も育てていただくっていうことが出来たのが「めぐる」は本当に大きいなと思いますね〜。
志村:うーん。
貝沼:その物のデザイン、形のデザインっていうことだけじゃなくて、物と人の関係性のデザインだし、時間のデザインでもありますよね。
志村:あー本当そうですね〜
貝沼:うんうん。
志村:そうそう、だからそういうふうなものを、今貝沼さんが大量にじゃなくて、今の時代とか、漆の木が希少価値であったりとか、何だって漆は1本の木から180mlしか採れないんですもんね?
貝沼:そうなんですよ〜。
志村:そうするとそんなにたくさん採れないし、適したものを作っていくってことは、やっぱり今の私達にはとても必要な暮らし方の一つなんだろうなと思ったりして。
貝沼:そうですね〜。何か最近僕思うんですけど、やっぱり一番大切にしたいベースというか、考え方の出発点にしたいことが、これからの時代に物って本当に必要なのか?っていう、何かそういうところに立ち返りながら、物を作ってお届けしたいなっていう思いがあって、今までのね、社会も経済も発展していくっていう世の中は、物が足りない時代だったので、どんどん消費していくっていうのがある意味時代の中で一つの正解だったと思うんですけど、やっぱりこれからは物を本当に作っていくってことが、地球だったり自分たち自身が本当に心地いいかどうか?っていうのをやっぱりもう一度立ち返らなきゃいけないなと思っていて・・・っていうと、やっぱり無尽蔵に作って、1個でも多く販売していくっていう、それがもう消費されて、また新しいの買ってもらえばいいみたいな、そういうことではないなと思っていて、特に大量生産・大量消費っていうところからどう脱却するか?っていうところはすごく自分もテーマにしたいし、伝統工芸も全くそこは同じ課題だと思うんですよね。なので、そういう意味で言うと、やっぱり消費からどうしていくかっていうときに「消費」の反対語が「循環」じゃないかなと思っていて、まさに「めぐる」なんですけど、なので今その十月十日っていう形で「めぐる」はお届けをしてるんですけど、もう一つ大事にしてるのが「適量生産・適速生産」っていう言葉を掲げていて「適速生産」というのは本当に1年間の日本の四季のリズムの中で、自然に物をベストなタイミングで作ってお届けするっていう、それが自然環境のリズムとも合っているので、年1回だけ受注をして、皆さんの分を1年間まとめて十月十日かけてお作りするっていうやり方ですし、「適量」っていうのも「作りすぎない」ってことをすごく意識していて、「めぐる」は年間300セットだけなんですよね。っていう形で、そうすると素材になるトチノキだったり漆っていうのも、良い材料をちゃんと使い過ぎず確保できますし、作る職人さんたちも無理なく作っていけるっていうところですし、使う方の顔もちゃんとわかる人数でコミュニケーションができるっていうところで、みんなが幸せに無理なくできるようで、長く続けていくっていうことの方が大事かなと思って、そんな作り方とお届けの仕方っていうことにチャレンジしていますよね。
志村:あーいいですよねー。私はそのう・・・そう、そういう世界をね、暗闇の中で感じてもらえないかなーと思って、それで今ダイアログ・イン・ザ・ダークの中では会津漆器を入れていて、それで今の考え、その今の私達が本当に必要な物を必要なだけ大切に使っていく、でそれには理由があるんだよーってことを知ってほしいなと思ったりしていて、まず感じること。まず地球に生えてる木があって、会津のその場所に生えてるトチノキがあり、それを触ってもらって、その木がだんだん器になって行く工程も暗闇の中で触ってもらって、そしてそれが器になったときに、まるで本当に漆って人の肌に似てますよね・・・!
貝沼:いや〜そうなんですよ〜、もう吸い付いて来ますよね!
志村:本当に赤ちゃんのほっぺとかお尻を触るとね、手がピタッと吸い付くんだけど、あれなんですよね〜。
貝沼:うんうん。
志村:それが暗闇だとさらに感じやすいんですよ、目が邪魔しないから
貝沼:そうですね〜うーん。
志村:そう、そうすると「こんなに気持ちいいものがこの世にあったのか」そして「こんなものが実は地球に、または会津の方にあったのか」って、まあ漆器は他の国にもあるし、日本にも色々あるけれども、それを感じてもらった上で、あー知らなかったなーとか、あー気持ちいいって何なんだろう?っていうのを感じてもらえたらいいなと思ってやってるのが、今回のコラボレーションなんですよね、ダイアログとの。
貝沼:はい。

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志村:はい、よかったな〜今日お迎え出来て。あのね、実は毎月お招きしたゲストの方にお聞きしてるんですけど、明日ね、まあ今日はもう日曜日の夜遅くて、本当は日付変わっていて月曜日なんだけど、まだ起きていらっしゃる方がこれを聞いて下さってる。
貝沼:はい。
志村:で、明日を迎えるでしょ?月曜日、新しい一週間が始まるわけなんだけど、何かね、あ、明日もいいぞっていうふうに思えるような言葉を皆さんからいただいてるんです。
貝沼:はい。
志村:貝沼さんにもお聞きしてもいいですか?
貝沼:はい。あのう、最近私、子供が生まれまして、可愛い女の子が生まれたんですけど
志村:おめでとうございます!
貝沼:ありがとうございます!(笑)その子が生まれたときに、どう生きて行って欲しいかな?って考えたときに、あるすごく好きな歌のフレーズが浮かんできて、それが「幸せになる為に生まれて、そして誰かを幸せにする為に生きていくんだ」っていう歌詞なんですよ。
志村:わ〜いい歌詞〜。
貝沼:そう、何かそういうふうに生きて行ってくれたらすごくいいなぁと思いますし、どっちかだけでも駄目っていうか、小さくてもどっちも両立してるっていうことだと本当に幸せなのかなっていうふうに思って、何かそういう1日に明日がなって行くといいなーっていうふうに思います。
志村:あ〜〜〜やっぱりこう・・・新しい命をお迎えした、お父さんの言葉ですね。最高に素敵ですね。毎日それが続くわけだもんね。その今生まれた赤ちゃんに送る言葉は、本当は毎日毎日それが繋がっていく毎日だもんね。
貝沼:そうですね。
志村:わ〜すごくステキ〜・・・。そうすると、誰かと明日出会うのが楽しみになりますね。
貝沼:あ〜そうですね〜確かに。
志村:うーん。私は今日ここで会って、こんな深夜に貝沼さんとお話が出来て、今幸せです。
貝沼:あ〜、僕も幸せです・・・!
志村:やった〜。
貝沼:11年前に出会って、本当にあのう、季世恵さんって僕が漆器をどういうふうに伝えて行ったらいいかな?とか「めぐる」をどうして行ったらいいかな?っていうときにいつも相談するのが季世恵さんで、季世恵さんってそういうときに、何かすごく3年先ぐらいにポッと明かりを灯してくれる、暗闇の中にポッと明かりを照らしてくれるような言葉を下さるなと思っていて、あー何かいつもその3年先の光を目指して、僕はいつも歩いてる感覚があるんですけど
志村:あー本当?
貝沼:はい。でも「めぐる」なんかは本当に3年先かと思ってたら、近づくほどに遠くなっていく100年先の炎みたいな、100年先の明かりみたいな感じがするんですけど、そんな季世恵さんと今日ゆっくりお話が出来て嬉しかったなと思います。
志村:ありがとうございます。そうそう、やっぱり職人さん達もね、3年先、または30年、300年先を見て物を作っていらっしゃるでしょう?
貝沼:はい。
志村:うーん。そういうこう・・・何だろうな、考え方が出来ると、今、今日ちょっと何かあってもね、今痛いな・・・って思うところも、もしかするとそれが糧になってる場合ってありますよね。
貝沼:いや、そうですよね〜本当に。そう何か、大きい循環の中に自分が生かされていて、生まれて死ぬみたいなことも、大きい存在の中から生まれて、そこに帰って行くんだ、みたいなことで捉えられると、ふっと何かこう楽になったり、物事の捉え方が変わったりっていうことはすごくあるなって最近感じますね〜。
志村:そっか。
貝沼:うーん。
志村:いや〜、よかったです、お話し出来て。
貝沼:本当に。
志村:はい。ありがとうございます。



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