DIALOGUE RADIO -IN THE DARK-

日曜の深夜。全てのしがらみから離れて
本当に「独り」になっている特別な時間。
人は誰もが不安や悩みを持っているはず。
この番組は、自分の心と対話することの大切さを伝え、
明日への活力を求める人への応援メッセージを
発信するラジオ番組です。

EVERY SECOND SUNDAY

25:00-26:00 ON AIR

真っ暗闇の中で、心と対話する時間を。
志村 季世恵の写真

志村 季世恵

バースセラピスト

板井 麻衣子の写真

板井 麻衣子

J-WAVE NAVIGATOR

MESSAGE TO STUDIO

MESSAGE

人は他人と比較してしまう生き物だと思います。
人より、恵まれていると喜んだり、
人より、うまくいかないと落ち込んだり、
SNSが生まれたことで、自分を誰かと比較する機会も増えてきました。
そんな今だからこそ自分の心と対話する時間を大切にしたいと思います。
何をしたいのか、何が悩みなのか、何に希望を持つのか。
その積み重ねが幸せを感じる近道なのではないかと思います。
幸せは、自分の心の中にある。


2020.01.12
GUEST

第19回のゲストは野村萬斎さんでした

 

2月9日 第20回のゲストは坂本美雨さん

*野村萬斎さん主宰の狂言会
「狂言ござる乃座」は、
3月20日(金・祝)、3月25日(水)
国立能楽堂にて開催されます。
http://mansaku.co.jp/


*1月12日放送の収録場所は、
三井ガーデンホテル
神宮外苑の杜プレミア内にオープンした
DIALOG IN THE DARK
「内なる美、ととのう暗闇。」でした。
https://did.dialogue.or.jp/totonou/


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DIALOGUE

・・・水が滴る音・・・

志村:もしよかったら、椅子とテーブルを用意してますので、そちらに移動しますか?
野村:がいいですね。
志村:はい。あ、たえちゃん?私たちはどこに移動したらいいですか?
たえ(アテンド):では、こちらの方にお椅子をご用意してますので。
野村:はい。
志村:じゃあ、立ちます。
野村:立ちました、私は。
たえ:はい。ではこちら私の声の方に・・
野村:声の方に行っていいですか?
たえ:はい。
野村:・・・すごいね、ぶつかっちゃいそうな気がする・・・。
たえ:私までの間には何もありませんので、よろしければ板目に沿って歩いて来ていただけると真っ直ぐ歩けます・・!
野村:板目に沿って・・・。
たえ:はい。で、私の両側に椅子があります。(椅子の音を鳴らす)
志村:あ、早いね、もう着いてる・・・!
たえ:はい〜。
野村:はい、取れました・・。
たえ:この、木と、真ん前ぐらいに椅子が・・
野村:はいはい、音で分かりました。いいですか?座って。はい。
たえ:季世恵さんが・・・。
志村:私は・・・ここ?
たえ:左・・これ右側の椅子です。
野村:あ分かった、これか。
たえ:ここにもう1つ椅子がありますね。
野村:あー分かった分かった。
志村:座ります・・。
野村:はい、座った。
たえ:で、実は、少し背が低いんですが、この前に小さな木の板が。
志村:はい、ありましたありました。
たえ:確認していただいてもよろしいですか?
志村:じゃあまずここにテーブルが・・ちっちゃい・・。
野村:四角いテーブル?
たえ:そうですね。
野村:はい。
志村:で、ここにマイク・・マイクがありますね。
野村:マイク・・・。
たえ:マイクが・・ちょっとじゃあ、
志村:ここにね、最初に触って、
たえ:ここからずっと曲がっていって、少しこちらの方を向いてますので。
野村:あーありました、すごい、スポンジ部分に触った(笑)
たえ:はい、そこだけ。季世恵さんはそこです、こちらです。
野村:ここに向かって喋る・・はい。
志村:いやー、さっきのお話私すごい嬉しかったーー。お聞き出来て。
たえ:そうですね・・・!
志村:体のバランスが整うと、色んなことが変わってくるんだろうなっていう風に思ったりしてるんですけど、それが私含めて今の忙しい人達は忘れがちかなと思って、もうちょっとこうお腹から下の方を意識できたらいいなーなんて、思ったりしてるんですね。
野村:うん。
志村:あと、面白いなって思うのは・・まあ面白いって言い方変なんですけど、アテンドのたえちゃんと私で電車に乗っていて、目が見えてない人達って、あんまりつり革に掴まらないんですね。電車の。
野村:うーん。
志村:たえちゃんそうだよね?
たえ(アテンド):そうですね・・あったら掴まりますけど無くてもいいやって思ってますね、割と。
2人:うーん。
志村:で、掴まってない人も多くて、それがつり革がどこにあるか分からないってこともあるんでしょうけど・・私よりも揺れないんだよね・・?
たえ:そうですね、揺れない方法を知ってる感じです・・ね・・!地に足がついているとバランスが取れるので。
野村:うーん。それは僕もそうですね。あんまりつり革掴まらなくても大丈夫っていう・・なんかそれを楽しんでたりすることがありますね。
志村:そうですよね。そういう風なことがきっとなにか・・・・。
野村:そうそうだから僕らだったら面をつけたりすると、本当に自分がどういうバランスで立ってるんだ?って初めて気がつくというか・・どうしても自分でも、ね、かけ慣れてても面をつける度に自分をしっかりと保とうっていう意識が働いて、今自分は真っ直ぐか。そうすると直立してるより少したわんでる方が、なにかこう、前後左右に対して意識があるような気がするんですね。
志村:うん。たわんでるっていうのはどういう感じですか?
野村:ジグザグ立ってる感じですかね〜。
志村:あ〜〜〜なるほど〜〜〜〜。
野村:ですから、一本線でバレエのように立ってると大体電車の中で揺れたら倒れちゃいますよね?
志村:はい。
野村:ですからこう前後左右にベクトルを感じながら、その平均値の中で立つ。つまり前にこう、後ろにこう、感じながら。その均衡の上に自分は今前後に倒れることなくいるっていう感覚を持ってるわけですね。
志村:うーーーーん。
野村:ですから前に電車の揺れで負荷がかかる途端に、ものすごい急でそれに合わせるように後ろに重心をかける。まあふるいこのような、なにか原理、体幹というものを能楽師は身につけてるっていうことですね。
志村:そうですね〜〜〜。体幹・・・へぇーー・・・!
野村:面をつけるととにかくこういう状況に近いですね・・・・!
志村:うーん。あの、面も小さいですよね?
野村:そうですね、お祭りでかけるよなお面と違って、本当に、そうですね、小指の直径ぐらいしかない。まあ人によってそれも違う、女性の小指の直径ぐらいしかない面もありますしね〜。
志村:あーそうですか・・!
野村:うーん。
たえ(アテンド):失礼いたします。
2人:はい。
たえ:よろしければお飲み物をご用意させていただきたいと思うのですが。
2人:はい。
たえ:本日ですね、温かく香りの高いお茶、そして甘酒ですね、生姜とともにお出し出来ます。そして冷たいものがよろしければ炭酸水もございますが、いかがいたしましょうか?
野村:1番おすすめはなんですか?(笑)ここで飲むべきは・・・!
たえ:どうでしょう〜?
野村:甘酒の生姜っていうのもなんとなくリラックスするような気がしますよね。
たえ:そうですね〜!はい。
志村:いいですね。じゃあ、萬斎さんは甘酒の生姜になさいますか?
たえ:よろしいですか?
野村:はい。
志村:じゃあ私は・・・炭酸水にしてみようかな?
たえ:かしこまりました。
野村:ちなみに甘酒にアルコールは入ってるんですか?
たえ:入ってないですね〜。
野村:分かりました。
たえ:それではご用意させていただきますね〜。
野村:はい〜。・・・・・・ふ〜わぁ〜〜っ。昨日マッサージに行ったせいもあって非常にリラックスして眠くなっています。
志村:いいですね〜〜。普段お体のメンテナンスも随分なさいますか?
野村:だからね、これが結構まああれですけど、要するに面をつけたりして、体の平衡感覚を常に気にしてしかもその身体を人に見せなきゃいけないんだね。綺麗な姿を見せなきゃいけないし、綺麗な声も出さなきゃいけないっていうことになると・・まあやっぱりその自分の平衡感覚なり体を保とうという意識がものすごく働くので、まあかなりの緊張感っていうのが体に強いられるわけですね。でそれがまあ中々こう・・ほぐす、アフターのなにかリラクゼーションをすればいいんですけれども、忙しいと中々そういうわけにも行かず・・。人の手を借りて体をリラックスさせてもらうという感じですね〜。
志村:大事な時間ですね〜。あのう、どこにも隙がないという風な言葉を使っていいのか分かりませんけど、本当に全くもって全身をピシッとされていらっしゃるじゃないですか?前からテレビを拝見していても。
野村:おっしゃる通りですね、僕ら構えるっていうのは、隙なく立つっていうのはどっちにでもすぐ動けるし、どこから押されてもすぐ対応できるとか、まあそういう意味でも平衡感覚に対してすごく意識があって。しかもそれを人に見せて美しく見せるって、そういうことですかね〜〜〜。
志村:そうですよね、私、目が見えない人たちと20年間ずっと活動をしてきて、今仲間が30人ぐらいいるんですけど、多分本当に、朝起きてから夜寝るまで、また別の意味で生きていく中で隙のないことなんだろうなって思ってるんです。
野村:おお〜〜〜〜。
志村:その・・・
野村:お、(たえさんがドリンクを)入れてる入れてる(笑)

・・・遠くからドリンクを注ぐ音がする・・・

志村:そうですね〜〜。いい音・・・。そうですね、感覚のその・・なんだろう、世界で生きてますよね、目じゃないもので目の代わりにしてるっていう・・。あの、全然体の使い方違うかもしれませんけど、どこかこう、なにかバランスの取り方とかに共通点とかはあるかなって思ったりとかする時があります。
野村:うん。
志村:うーん。
野村:僕らはね、やっぱりもの真似芸なので、根本はね。やっぱり人の真似をする。ですから目の見えない方の演技をしないといけない時に、今ね僕らこめかみでものを聞けって、よくその感じで言うんですけど。
志村:こめかみですか〜・・・!
野村:ええ。普通だと顔を見るとかそっちの方に表情を読もうっていうさ、意識も働くから絶対顔をそちらに向けるはずなんですけど、別に表情は読み取れないわけですから。かと言って耳を向けるわけでもなくて。ちゃんと聞こえるので。なんとなくやっぱりこめかみで聞くくらい演技でやってるのか、それは習性になってるのか・・でもこめかみで響いてくる感じがしますね、声が。
志村:あ〜〜〜〜〜。そうか、こめかみでって・・・初めてですねーー。でも確かにそうですね!
野村:さっきでも杖のある暗闇での歩き方で、杖を使うっていうことと、やっぱりその杖の本当の先が、指先ぐらい意識があって、だから杖はものすごく軽く握ってなきゃいけないっていうか。握ってないと繊細な床、板・・平らな板なのか砂利なのかということが瞬時に杖の先でまず分かるっていう感覚なんだろうなと。普通の人は足を乗っけた途端にやっと分かるんでしょうけど。杖の先でまず感じ、それからそうそう、手の平じゃなくて手の甲を前にかざして歩くっていうのは一応型なんですけどね、それも。まあ理に適ってるんだなーなんてことは教訓になりました。
志村:うーーん。本当ですね〜。
たえ(アテンド):失礼します。こちらで生姜を剃らせていただいてもよろしいですか?
野村:あー面白い。すごい・・・・感度が増しますね〜〜〜。
志村:そうですね〜〜〜〜。

・・・生姜を剃る音・・・

たえ:生姜の香りが立ちますでしょうか?
野村:あーしてきたしてきた。
たえ:はい。これを少し・・・・失礼いたします。それでは甘酒を今左側に置きました。手で確認していただいてもよろしいでしょうか?
野村:はいはい、はい。これ下からいかないとね・・・手ぶっ込んじゃうからね。
たえ:そうですね。
野村:はい、大丈夫です。お茶請けがあって、それでここに湯呑み、あ、まぁるい湯呑みですね。
たえ:はい。こちら炭酸水でございます。失礼いたします。
志村:はい、ありがとう。いただきまーす。
野村:いただきます。・・・・あ〜〜、生姜の香りがしますね。
たえ:ごゆっくりどうぞ〜。
野村:ありがとうございます。
志村:はい〜ありがとう〜。いや〜、すごいな〜。あの、だいぶびっくりしていて、予想していたんですけど、お面をつけていらっしゃることとか、目を使わないことで演じていらっしゃることは何度か拝見していたので。でもここまでスムーズに暗闇を歩かれる方は本当に滅多にいないので・・・びっくりしました。
野村:この間ね、ロボット工学の明治大学の黒田先生という方とお話しした時にもね、あのね、面をつけると足元が見えないから、どこがエッジである、端っこであるっていうことは途中から全く見えないんですね。もちろん逆サイドの端にいれば、そのまた逆の端っこは見えるぐらい見えてるんですけど、残り3歩ぐらいは見えないんですね。そうすると5歩ぐらい前から、後2歩で止まらないと、落ちるとかっていう風に予測をして、見えないけど、でも5歩手前だとちょっといい位置に行けないと。5歩行ったら落ちるけど、3歩まで行くとちょうど端っこ・・ではないけど角に立てるとか。そういう風にこうね、予測しながら行動するっていうことがあるんですね。
志村:はぁ〜〜〜予測ですね〜〜〜。もうそれは記憶の中でやっぱり入ってるんですね?
野村:そうですね〜〜〜まあそれは三間四方という、畳の長い方が一間ですけれど、まあ180cmぐらいですね、大体。その掛ける3ですから、まあ5m40cmぐらいの四方の正方形っていうのが能舞台のサイズなんですけど。まあその中でずっと修行してると大体の歩数でどっちに行くとどうなるとかっていう広さは体に身についてるんですね。
志村:はぁーーそっかーーー。
野村:ただ方向感覚っていうのは、実はやっぱり音か視覚で、まあ囃子方(はやしかた)がいるとか、お客さんがいる方が正面だとか、お囃子がなってる方が後ろだとかあったりするし、やっぱりでも細かい所は分からないので、能舞台には柱があるんですよーー。
志村:うーーーん。
野村:柱があることでまあ目印にするんで「目付け柱」なんて言うのがあって、それがお客さんにとってはものすごい見えにくい存在なんですけど、それを取ると舞台から役者が落ちてしまうというか。そういうことなんですね〜。
志村:それで目付け柱って言うんですね〜。
野村:そうなんですよ。
志村:そうだったんですね〜〜。いやー、色んな工夫があるんですね〜〜。
野村:そうなんですね。でも予測しながらコンピュータのロボットの大体ここで曲がるっていう予測をして行動をするみたいなね。そんなことがそのロボット工学の先生と話して盛り上がったんですけど。
志村:萬斎さんは、すごいそのロボット工学の先生とか、あとはライゾマティクスさんとか色んな方達とコラボレーションして、その狂言の世界とか展開してますよね・・!
野村:そうですね、まあ。
志村:違うかもしれませんけど、私今ふと思ったんですが、やっぱり体のバランスが整ってたりすると、なにかあった時、例えば不測の事態とかに落ち着いていられるものですか?パニックになりにくいとか、緊張していてもそれを動じなくいられるとか・・?腹にこう・・。
野村:あーなるほどね〜〜〜〜。うーーん・・・そうでしょうか・・。でもまあそりゃ性格もあるのかもしれないけど、うーん動じないというか、逆にすごいバランスを取ろうとする感覚はあるかもしれませんね。パニックになりそうな時ほど冷静にっていうギアがものすごく入る?また違う感覚を研ぎ澄ませようとするスイッチっていうのはありますし・・そうですね、普通の人よりとにかく足の裏の感覚も多分あるだろう思うし。僕らそうそう、足袋がね、足袋が特注なんですよ。
志村:あっ、そうですか!どんな風に?
野村:まあみなさんどうやって足袋作られるか、まあオーダーメイドの靴作るようなものですね。オーダーメイドの足袋を作って、やっぱりその時の床と足袋の・・つまり足袋の底の厚さとか、感覚っていうのはものすごく重要で、そこの素材にこだわったりとかね。するんですよ。
志村:薄そうに感じたんですけどそうでもないんですか?
野村:薄そうで厚そうで、厚そうで薄いかもしれないですね。
志村:うーーーーん。そうなんですね〜〜。そうかーーーー。
野村:まあ綿でないと困るんですね。コットンですね。化学繊維だとなんだか・・・うーんなんだろうね?床を掴めないというか。
志村:うん。
野村:そうそう、僕ら指で床を掴みますよ。
志村:ぎゅっと?
野村:ぎゅっと。そういう感覚。
志村:今私やってます・・・!大体こう、少し前屈みですものね?
野村:そうですね。やっぱりそれは、前にプレッシャー・・お客さん
が前にいるので、圧を少しね、お客さまに与えるっていうこともあるのかもしれませんし、前だと手がつけるとか、後ろはやっぱり無防備なので、まあ前に重心かける方がいろんな意味で安心したり安定するんでしょうかね〜。それとか腰を引くとかね。顎を引くとかね。肘を引くんですよ。胸は張る。膝も前に折る。額は出して顎は引く。胸は張って、肘は引く。・・とかね。
志村:はっ、今やってみてます・・こんな感じかな・・・
野村:うん。で、腰は引いて膝はわたす。かかとは後ろに引いてつま先に重心をかける、7分ぐらいかける。
志村:7分ぐらい・・つま先に・・・そうすると、足の指もぎゅっとしてきますね。
野村:そうですね。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

志村:萬斎さんは、能とか狂言の世界に自分が知らない内に自然に入っていったわけじゃないですか?きっと。
野村:はい。
志村:もう、意識なくというか、逆にそれを意識し始めた頃っていつ頃からなんですか?この例えば姿勢だったり今お話しされたこととかも、ご自分の中でこういう風に伝えられるようになったのは、いつ頃なんですか?
野村:うーーん・・・。まあでもね、小学校の教室で1人だけ授業参観とか父兄参観とか・・・父兄参観ってなんで男しかいないんだろうね・・・?
志村:本当に。
野村:お母さんが行かない・・。
志村:そうなんですよ。父と兄ですからね。
野村:ねー・・・そんなのいいや(笑)あのー、そうそう、1人だけ頭が突き出てものを書いてる少年がいるっていう・・なんかね。
志村:頭が突き出て?
野村:書道をやる時に鉛筆で書く姿勢とは違う風に体を引いて書くでしょ?
志村:そうか〜。
野村:ああいう感じに、1人上半身がかなり直立したまま字を書いているっていうね。普通の子はみんな前屈みになっちゃうっていうね。
志村:そうですよ猫背的な感じで。
野村:うん。そこら辺から、あ、僕は特殊なんだとか、小学生の時に相撲が異様に強いとかね。
志村:あ、お相撲も強かったんですね?
野村:前から5番目の背の低さなのに横綱になったとかね。
志村:え〜そうだったんだ・・!
野村:体の大きいやつを投げ飛ばすっていう、それは結構気持ちよかったですけど。
志村:へ〜〜、そうか〜〜、お相撲もやっぱり強くなりますか〜。
野村:ま、体幹とそれこそ下半身の強さ、重心のかけ方、で、相撲も結局バランス感覚がすごく重要なので、投げ飛ばすっていう時はつまりプレッシャーを与えておいて外すと向こうが勝手に倒れてくるわけですよね。
志村:そうかーーー。
野村:ですから自分の体幹とかバランスを考えてるから、相手のバランスを崩せばいいわけですよね。
志村:なるほどね〜。こちらの力ではないですもんね?
野村:まあ自分の力でもちろん投げ飛ばすこともあるでしょうけど、その相手の力をどれだけ利用するかってことをしない限り、小さい人は大きい人には体重で負けてしまうわけですね。
志村:そうですね。合気道みたいですね、ちょっとなんとなく。
野村:なるほど、合気道もそうかもしれないですね。
志村:うーーん。あでもお相撲もきっとそうですよね。そうか〜〜。
野村:小さい人間が勝つためにはそうしきゃいけないとは思いますけどね〜。
志村:はい。それをもう、意識なくというか、体で出来ていたんですよね?あんまり考えなくても。
野村:まあ・・まあ、特に僕は狂言や能楽師の中でもそういうのが特殊に発達してたのかもしれません。
志村:うーーーーん。あーそうか、てことは既に小学校の頃にはそういう風な体も持っていらっしゃって、その頃からご自身で分かってくるわけですね〜?
野村:はい。今私は椅子の上で、まるでヨガのように安座をして、手を上に向けています。
志村:衣擦れの感じが変わりましたもんね。
野村:うん。
志村:この狭い所で・・・(笑)
野村:狭いの?これ。
志村:これ、意外と狭くないですか?椅子とか。
野村:あ、椅子はね。
2人:(笑)
野村:椅子は狭いけど・・。
志村:私もやってみようかな。
野村:大丈夫ですか?後ろにひっくり返らないように。でもそれは自分の平衡感覚を研ぎ澄まさせていかないといけないですよね〜〜。
志村:出来ました。
野村:出来ました?
志村:はい。
野村:俺なんかな〜〜だんだん目が慣れるはずがないのに天井や壁を感じるんだけど。
志村:感じます?
野村:うーん・・・なんでだろう?
志村:どんな感じに?
野村:そんなことあるのかなー?
志村:いや、もしかしたら本当に感じていらっしゃるかもしれないですね。
野村:なんかすこーしだけ白く感じる・・・。
志村:ほんと??
野村:うーん。今壁に我々は・・壁から2mぐらいの所にいるんじゃないかって・・・(笑)
志村:後で確認してみましょうか・・!(笑)
野村:天井は・・うーん、今この椅子の高さから・・・どうだろう?2.5mあるのかな?壁の方が近くて天井の方が高い気がする・・。もしかしたらね、音の返りで分かるのかもしれない。
志村:いや〜〜〜、見えない世界にいる人達と同じことしちゃいますねー。
野村:あー、音の反射で?
志村:はい。
野村:そうそう、壁を感じ始めるのかなあ?(手を1回叩く・・「パン!」)なるほど、私たちの背中の後ろの方に空間が抜けてますね。今跳ね返って後ろに行きました。
志村:はーーー・・・たえちゃん、すごいね。
たえ(アテンド):そうですね〜。
志村:たえちゃんと同じことをしてる方がいらっしゃるよ!
たえ:そうですね〜。私と同じことをおっしゃってますね〜!(笑)
野村:そうですかーいやいや、私はまあ適当なことを言ってるだけです。
志村:面白いな〜〜〜すごいな〜〜〜。音、吸収・・あ、例えば、じゃあお客さまが能の舞台にいらっしゃった時に、人がいない時とやっぱり音の響きって違いますよね?きっと。
野村:そうですね。
志村:人が吸収するというか。
野村:うん。
志村:うん。
野村:その代わり熱気もありますからね〜。
志村:うーん。
野村:自分で稽古してる時はこういう感じですねーなんか。1人、僕は夜によく稽古するんですけど。
志村:あーそうですか〜。みなさんが寝静まってから。
野村:でやっぱりね、自分がどう見えてるかっていうことを体内から感じる・・(笑)
志村:体外から・・?
野村:体内から感じる・・(笑)
志村:あ、体内からね!うん。
野村:つまり普通自分はどう見えてるかって鏡に映すじゃない?
志村:はい。うん。
野村:鏡に映して自分はこう見えてるって、お化粧だってその基本ですよね?
志村:そうですね〜〜。
野村:まあけどお化粧はそう、色とか細かいこととかもそうですけど、体幹とか体つきとか、自分のどういうポージングをしてるとかフォルムであるとか、もちろん鏡も必要な時もあるんだけど、やっぱりその自分の中の体内の平衡感覚を研ぎ澄ましている中でこう見えてるっていう風に分からないと。特に面つけてる時に自分がどう見えてるかっていうのはもう体の中の感覚で表現してないといかんわけね。言ってる意味分かりますか・・?・・(笑)
志村:・・分かる気がします・・!体の中・・でもそれって、だいぶ・・難しいですね・・?
野村:そうですね。すごい難しいです。
志村:ね〜〜!
野村:ですからそれを身につけるための修行をずっとしてきているっていう気がしますね。
志村:はーーーそうか〜〜〜。体内からっていうのは・・・いやーすごいなーーー。
野村:だから今僕が、偽ヨガポーズを実は椅子の上でやってるんですけど、
志村:どんな偽のポーズされてるんですか・・・(笑)
野村:ちゃんと習ったわけでもないのに、単にあぐらをかいて、手で韻を結ぶというか丸を人差し指と親指でオッケーサインを付けて上に向けてるみたいなことをしてるわけですよ。
志村:はい・・(笑)
野村:どういう形状になってるかっていうことは自分の脳内の鏡に映るわけですね。
志村:脳内の鏡・・。
野村:で、脳内の鏡に映すには自分の中でちゃんと型が平行であるとか、膝頭が平衡感覚を保ってるとか、あでもちょっと足組むの難しいなと今思ってて、ここは変に映ってるだろうなって思うんですよ。
志村:うーん。私も今、右足が上がってるのがこの場所だとすると、はい、感じてるんですけど。うーーーん。その、体内の自分の中で自分を感じるって、本当はすごく大切なんだろうなって。私は今分かる気がしますってお伝えしたのは、頭では分かる気がするんだけども、体の中で分かってるかっていうと私分かってないなって思ったんですね。
野村:うん。
志村:うーーん。
野村:そういう回路を作る。やっぱり人間、色んな意味で五感の回路を作るっていうか使ってないことって多いし、今本当に視覚に頼っている部分が多いでしょうから、まあ、自己の体内に・・まあ瞑想するってヨガではそういうことも言うんだけどね、やっぱり体内に自分を、自己の宇宙に向けるって言う感覚?がすごく、なんだろうね、今しないじゃない?
志村:うーん、しないですね〜〜。
野村:それをこう、それにまたスポットを当てたいですよね。
志村:本当に本当に。それ、多くの人がしようとしてるんだろうなーってものすごく思います。私は、今お話を伺っていて、自分が求めてるところっていうのは、今その自分の中にっていうのが、自分自身っていうよりは自分を知ったことによって相手のことを知れる力が出てくるのかなって思ったりするんですけど。
野村:うーん。
志村:特に2020年になって、もっと今色んなことが起きるんだろうなって思うんですよね。賑やかになったりとか、スピード感がもっと上がったりとか。でもその時だからこそもう少しその今おっしゃっていた、体内に目を向けていきながら外を見ることが出来るといいなーなんて思いました。
野村:うーん。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

志村:あのう、萬斎さんにとって2020年ってすごく大きな年なんでしょうけれども、でも今それをご自身の中で大切にしようとしてらっしゃることってありますか?
野村:・・・まあ2020年僕の頭の中は今はもう東京2020の大会のことばかりが気になっていますけどね。
志村:はい。
野村:この体内の宇宙みたいな話ってことは各クリエイティブディレクターにもすごくよく話をしてるんですけど、外側で人間は争ったり違いをすごく・・・・するわけですけど、なんか体内の宇宙に自分が入っていくと、まあ・・なんでしょうね、こうやって今落ち着いて人間話せたりとか、同じ人間として帰っていく原初の部分で向かえ合えるとか・・・うーん、なんかうまく言えないですけど、そういう人間の根源、生命の尊厳とか、生命の根源とかっていう意味で言うと、あー自分の中で今内臓が動いてたり、なんかだんだん細胞レベルにまで意識が行くじゃないですか。
志村:はい。
野村:その細胞レベルでそんなに人間は変わるわけもなし。
志村:うん。
野村:なんか、外側ばかりじゃなくて、内なる宇宙というかな〜。なにか人間の存在、そしてみんなこの人間存在を辿っていけばみんな祖先は一緒のところにくるわけでしょ?
志村:そうですね、本当にそうですね。
野村:地球という生命の誕生。太陽があって、偶然水の惑星があって、その結果生命が生まれたっていうね、その中で我々は自然の一部としているんだっていう、そういう感覚っていうものをこう・・・特に日本はそういう自然との共生感覚っていうのは僕はどちらかというと優れてる方の、優れてるというよりもそういうことをして来た?文化があるので、やっぱり、ある意味世の中これから豊かになって行く・・・豊かな部分ってあるじゃないですか?色々。僕はこの間、中村哲医師の話なんかもすごく気になっていて、やっぱり物がないと奪い合う・・という時に、実りがあって豊かであれば、分け与えることは別になんでもなくなるっていうね。水を引くこと自体は今技術的には出来るわけじゃないですか。そういうことを進められた・・・狂言にも五穀豊穣を願う三番叟(さんばそう)という舞があったりするんですけど、なんとなくなんだろう?実りを祈るって、それはなんか単純に豊作を祈るという概念が、最近は豊作・・・まあ実りがあるってことは争いがなくなって平和に繋がるっていう、すごく根源的なことだなと改めて思ったりしていて。
志村:はい。
野村:食べるための実りじゃなくて、もっと平和のための実りっていうことがあるんだなーなんてことを感じていますね。
志村:そうですね。その実りがあって、それを分かち合って、そしてそれを感謝出来て、自然や色んなものにその繋がりをもう1度感じるってとても大切なことですよね。
野村:そうそう。我々もそうやって変な話色んな遺伝子やら細胞やら、種やら、なにかそういうものの中で生きているいち存在であるという、まあ、感覚・・・これはまあ本来日本の縄文以来の感覚かしら?なんて思ったりもして。
志村:ほんっとにそう思います。私三番叟(さんばそう)を拝見した時に初めて、だいぶ若かった頃ですけど、涙が止まらなかったんですよね〜〜。
野村:お〜よかった、ありがとうございます・・というかよく分かんないですけど・・(笑)
志村:うーん、なんでだろう?と思った時に、えっとうちは、まあ、朝日を見て、手を合わせて、夕日を見て、今日もありがとうございましたっていう風な祖母いたりとか、朝お水を神棚や仏壇にあげてとか、お茶をお供えしてとか、初物があったらそれもまた先にお供えしてとかって、常に自分以外のものを感じながら暮らして来た?それがなんかこう・・うーん、ピタッと三番叟(さんばそう)を拝見した時に重なって、ありがたさとその大きな中に包まれた感じがして、不思議な感じがとてもしたんですよね。で、あー日本人でよかったなーってその時に思ったんですけど。この文化のある、その祈りがある、色んな祈りの対象がある中にいてそれを感じたんです。このDIALOG IN THE DARK「内なる美、ととのう暗闇。」って、ちょうど明治神宮の敷地内にある建物なんですけど、それも今回このコンテンツで本当に感じていただきたくって作ったんですね。なので、萬斎さんに今日来ていただいて、このお話をしていただけたことは・・・もう宝物のようです・・・ほんっとに。
野村:いやいやいや。
志村:2020年が、私たちがそれを感じて生きていけて、そして大勢のみなさんが日本中に集まって来る時にも、その気持ちを忘れずにいられたらいいなーって思ったりしました。
野村:そうですね〜〜。
志村:うーん。お忙しいとはとても思うんですけど、でも、いや、萬斎さんにオリンピック・パラリンピックを日本として整えてもらえることがすごく今嬉しいなと思っていて・・ちょっと私今うるうるしちゃって変な声になっちゃってるんですけど・・(笑)
野村:いえいえいえ。まあね、とは言えね、中々やっぱりこういう環境に今まさしく漆黒の闇の中に身を置いたりするとすごくそういうことに素直になれるのが人間のような気がしますんで、とてもいいプロジェクトだなって思いつつ、お天道さんの下に来て物が見え始めると・・欲望がむくむくと湧き上がるのかもしれないですしね〜(笑)
志村:時々こうやって自分以外の物もだけど、自分のことも見つめることが出来る時間があると、やっぱりいいですね〜。
野村:そうですね。なんか両方、その意味でもバランスをやっぱりずっと持つ?まあ人間働かないとまた生きていけないですから働いたり、もちろん豊かになろうっていう意識はそりゃもちろん重要ですけども。時になにか、ちょっと生命の根源みたいな所に帰ることでね、楽になれることは多いんでしょうね〜。
志村:そう思います。いやー、今日はお会いできて本当に嬉しかったです。
野村:そうですか?ありがとうございます。こちらもなんかこういう空間でね、でももうちょっと空間に対して、なんか・・・(笑)初々しさを出したかっ・・出した方がよかったかもしれないですけど(笑)
志村:既にそれはもうあのう、十分お開きになっていらっしゃったんだなという風に思いました(笑)
野村:でもだからそうそう、僕は普通の、まあね、何度もやっていらっしゃるでしょうから普通の初めてここに来られる方がどんなものなのかなっていうね、それの方が、
志村:興味あります?
野村:興味ありますね〜。
志村:じゃあぜひこの次は大勢のみなさん、一斉になって参加していただければ・・(笑)
野村:なるほど。
志村:だいぶみなさん迷われて、ここは意外と単純に、まあ空間がありますけど、今年がまた1つ暗闇の世界とか、今度聞こえない世界とかも作るんですけど、
野村:聞こえない世界・・!?
志村:そう、耳が聞こえない方が案内人になって、目は見えるけれども耳は聞こえないっていう空間を作るんですね。
野村:は〜〜〜。
志村:真っ暗闇と聞こえない世界と、全くもって対象的ではあるかもしれませんけど、でも日本でも3回開催していて、今年それも丁寧に時間をかけてやっていく。今までより時間も調節できるように今準備してますけど。
野村:へぇ〜〜〜。
志村:はい。なので、その2つで色んなことを感じていただけたらいいなと思います。
野村:なるほど。
志村:はい。なのでその時はぜひ、あ、ちょうどお忙しい時期だとは思いますが、それが終わった時にみなさんの反応をご覧になってみてください・・(笑)
野村:そうですね。
志村:はい。たえちゃん、そろそろ時間ですか?
たえ(アテンド):はい。そうですね、そろそろお時間でございます。
2人:はい。
野村:では参りましょうか。
たえ:はい。ありがとうございます。
志村:ありがとうございます。
野村:はい、じゃあ杖を・・
たえ:はい、それではもう少しこちらに来ていただきますと・・手を出していただいてもいいですか?
野村:はい、分かりました。
たえ:今、白杖の先が段の下です。こちらの。
野村:ここのね。
たえ:そうですね、はい。
野村:分かりました。
たえ:これで一歩降りていただくと〜。
志村:はい。
たえ:こちらですね。
野村:はい。
たえ:ありがとうございます。



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