
日曜の深夜。全てのしがらみから離れて
本当に「独り」になっている特別な時間。
人は誰もが不安や悩みを持っているはず。
この番組は、自分の心と対話することの大切さを伝え、
明日への活力を求める人への応援メッセージを
発信するラジオ番組です。
EVERY SECOND SUNDAY
25:00-26:00 ON AIR
人は他人と比較してしまう生き物だと思います。
人より、恵まれていると喜んだり、
人より、うまくいかないと落ち込んだり、
SNSが生まれたことで、自分を誰かと比較する機会も増えてきました。
そんな今だからこそ自分の心と対話する時間を大切にしたいと思います。
何をしたいのか、何が悩みなのか、何に希望を持つのか。
その積み重ねが幸せを感じる近道なのではないかと思います。
幸せは、自分の心の中にある。

第89回のゲストは、武田裕子さんでした

12/14 第90回のゲストは、綱川泰典さん
〜 プレゼント 〜
番組初となる著書、
『暗闇ラジオ対話集-DIALOGUE RADIO IN THE DARK-』を
番組をお聴きの方の中から2名の方にプレゼントします。
ご希望の方は、この番組のサイトにある
【 MESSAGE TO STUDIO 】の欄から
番組の感想をお書き添えの上、ご応募ください。


志村:武田さんこんばんは。
武田:こんばんは。
志村:暗闇の中へようこそ。
武田:はい、お招きいただきありがとうございます。
志村:ありがとうございます、お忙しいところ。
武田:とんでもないです。
志村:今、暗闇に終わりにお入りになって、どんなお気持ちですか?
武田:あー、そうですね・・・もちろん緊張はしていますけれど、最初の暗闇のお部屋に入ったときに、匂いっていうか、あーこれは何の匂いなんだろうってちょっと思いました。
志村:あー、そうですよね。匂いとかがすごく豊かに感じますよね。
武田:そうですね。
志村:今日はですね、たくさんのことを伺いたいと思っていらしていただいたんですけれども、武田さんは順天堂の病院で仕事をなさっていらっしゃいますよね。
武田:そうですね、病院よりは医学部で教えたり研究をするほうが主なんですけど。
志村:あ、なるほどなるほど。そうすると学生さんに教えていらっしゃるわけですね。
武田:そうですね。
志村:どのようなことを?
武田:私のテーマは健康格差なんですけど、社会的な要因によって健康に差が出てくるっていうところを学生に知ってもらいたいなと思って教育をしているんですね。例えばそうですね、肺がんになったのはタバコを吸ってたからだよとか、病気が良くならないのはちゃんと外来に来ないし、自己責任だよねって、まあそういうふうに思いがちなんですね。特に今の日本の社会の中で自己責任論ってすごく強いなって思うんですけれども、病院でも結局患者さんの責任っていうふうに言ってしまうところがあったりするので、そうではないっていう、本当に本人の力ではどうしようもできないような構造的な要因というか、社会の中の仕組みが健康に影響するし、病気もつくるし、治療が続けられないような状況にもなるっていうことを学生に知ってもらう。患者の自己責任だって言わない意思を育てたいなと思って取り組んでいます。
志村:あー、それは大事ですね。もうただでさえ病気になったときって、自分でも自分のことを責めていらっしゃる方が多いので、そういうときにまた医療者の方からそう言われてしまうと、結構きついですよね。
武田:そうですよね、本当に。何て言うんでしょう。医療者の言葉って、本当にその一言でずーっと自分を責めたり落ち込んだりとかもするし、逆に本当に希望になって、力強く歩める、そういうパワーをも得られるような言葉だなっていうふうに思っています。
志村:本当ですね。本当に救われるような言葉をいただく場合もあるし、時にはそうじゃない場合もありますけど、大切なお役目を持ちの医療者の方からの言葉ってやっぱり大事なんだなと改めて思ったんですけど、それをなさろうと思ったのはどんなきっかけがあったんですか?
武田:そうですね、最初に気づいたのは、私は沖縄の琉球大学で5年ほど勤務していたことがあるんですけれど、外来に来られる患者さんたちからすごく教わったことが大きいなと思っています。例えば、あるとき離島の方からご兄弟で見えて、お兄さんが弟さんを引っ張って来られたんですけど、この弟は朝から酒ばっかり飲んでしょうがないんだ、なんとかしてくれみたいな、そういうことで見えたんですね。お兄さんが、ダメなんだこの弟は、仲間と酒ばっかり飲んで、みたいに言われて、よくよくお話を聞くと、まだお若い奥様を病気で亡くされて、それで本当につらい気持ちもあり、小学生のお子さんが2人いらしたんだけど、とても自分でも育てられなくて子供はまた別の島のおばあちゃんに預けてみたいな状況で、大変だなと思いながらお聞きしてたんですけど、ふとお兄さんに、今仲間と朝から酒ばっかり飲んでるって言われたんですけど、皆さんお仕事とか行かなくていいんですか?って聞いたんですよね。そしたらお兄さんが、あーもうこれだから本土の医者はわかってないってきっと思われたかなと思ったんですけど、離島に仕事なんかないよって言われたんですね。その時すごくハッとして、朝やるべきことがある、行くべき仕事があるっていうことが、そんなに直接的に影響するんだなっていう、アルコール依存ってよく孤独の病とかって言われたりするんですけれど、その置かれた状況、しかも自分の力ではどうしようもできないような仕事があるかっていうところで影響を受けるんだなっていうのをしみじみと思ったことがあるんですね。それからちょうど沖縄にいる間に、アフガニスタンに米軍基地から戦闘機が飛び立っていってっていうようなことがあったんですけれども、当時ですね、ちょうどセプテンバーイレブンで、ニューヨークの貿易センタービルが攻撃をされて色々あった時に、風評被害で沖縄は修学旅行が全く取りやめになったり、観光で成り立っているところの大きい県なのに、本当に経済的に大きな打撃を受けるようなことがあって、やっぱりその時に本当にみんな元気をなくしていたっていうか、まあ普段高血圧だったり高脂血症だったりでかかっていらっしゃる患者さんも、本当に気持ちが晴れないような状況があって、それで外に出るとあまり基地の方に行くことはなかったんですけれど、やっぱり銃を構えた兵士が立っていたりとか、それがすごくこう何て言うんでしょうかね、目に見えない形でも影響を受けているなというのをすごく感じました。
志村:うーん、そうだったんだ、そういうふうなところからまずはお感じになったんですね。
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志村:私はお尋ねしたかったんですけれども、今は耳のきこえない・きこえにくい方々のためのことも知っていこうということを学生さんたちにもお伝えなさっていることを私は知っているんですけれども、それは今の沖縄のところから始まって、そしてだんだんもうちょっと違ったお立場のことまで意識が広がっていったんでしょうかね。
武田:そうですね。実は琉球大学の後、今度は東京大学の医学教育国際協力研究センターというところに移動になりまして、そこで、で、その時までにアフガニスタンの復興が始まったんですね。それで医学教育センターでJICAのプロジェクトに関わることになったんです。カブール医科大学っていうすごく歴史ある大学で、もう本当に都市は破壊し尽くされているような状況だったんですけれども、そこでどうやって医師を養成するかっていうところに関わるプロジェクトに参加させていただいて、やっぱりそこで本当に改めて健康っていうのは、まあWHOの定義でも、身体的、精神的、社会的に良好な状態が健康だって書かれているんですが、本当に社会的に良好な状態でなければ健康って得られないなって感じましたね。当時また今も戻ってしまいましたけれど、タリバン政権によって教育が受けられない女性がたくさんいたり、それから外出もできないとか、いろんな不自由さがある中で、夫を失ってしまったらもう生きていく手立てがないというか、日本のような生活保護制度もない中で、女性がお子さんを抱いて道路で物乞いをされている様子とかも見たんですね。いやー、本当にこの社会の影響っていうのを思って、東大の後、三重大学に移動になって、今度は地域医療に関わることになったんですけれど、地域医療の中で国際協力と地域医療ととても共通するものがあるなと思って、2010年にロンドンの大学院へ仕事を辞めて学生に戻って学んだんです。そこで健康の社会的決定要因、SDHって言うんですけれども、Social Determinants of Healthの略なんですが、それを本当に初めて学んだんです。そこで初めて沖縄のあのアルコール依存になってしまった弟さんであったりとか、本当に沖縄に住む方々が影響を受けてしまったニューヨークのテロだけでなく、歴史的に基地があるっていう状況そのものからいろんな困難が生じていることであったり、カブールで出会った女性や子どもたちのことも、あ、これが原因だったんだなというふうに思い当たって、そのSDHという考え方を、まだ当時は日本の医学教育の中で教えられていなかったので、それを持って帰って広めたいなと思って帰ってきました。それが2014年になるんですけれど、それから取り組みをしていて、なので本当に言葉、言語っていうのも一つの社会的要因、特に今は日本では外国から来て働いている人が10年前に比べて3倍になっているとか、東京ですと20人に1人が外国籍だったりするような状況になっていて、そうするとやっぱり日本語が通じないから病院にかかりにくいとか、頑張って受診をして処方も受けたけれど、よくわからないのでもう薬も飲めずにそのままになっている方もいらっしゃるっていうお話を聞いて、それで「やさしい日本語」っていう、そういう日本語があるんですけど、それを広める活動を始めました。
志村:あー、「やさしい日本語」って、テキストとかを拝見したりすると、あ、こうやって伝えたら本当に明確に伝わるわっていうのがたくさんありますよね。
武田:そうですね。
志村:なんかこう、主語がない喋り方も本当によくないことだと思いますし、なんでしょう、私なんか自分の喋っている言葉が全然優しくないわって思った時があります。これはもう直した状態でちゃんと伝えなきゃいけないみたいな、そう思ったことがあるんですけど、それは実は優しい日本語と手話を使う方々も似てますよね。
武田:はい、私はそのことに最初全く気づいてなかったんですね。その「やさしい日本語」を特に医療者に広めるっていう活動をしているんですが、最初は外国人のためって思って始めたことが、実際その研修を受けた医師や看護師の方から、いやいや、自分は外国人を見る機会はあまりないけれど、やっぱり高齢な方で耳が遠くなってしまったとか、理解力が低下している方とかに、この「やさしい日本語」はすごく役に立つって言っていただいて、 あ、そうなんだってまず気づいたんですけれど、で、それからしばらくしてコロナ禍になって、やっぱりコロナ禍では外国人の方は本当に苦労されたので、「やさしい日本語」に言い換えて、例えばコロナの検査であるとか、予防接種とかが受けられたらいいんじゃないかっていうので、教材を作ったりしたんですね。そしたら職場で手伝ってくれている事務職員の方が、これすごくきこえない人に役に立つから、コピーさせてくださいって言ってくださったんです。それで、え、どういうこと?って、気づいてなかったんですけれど、手話言語っていうのが、もう私たちが話している日本語とは異なる文の構造だったり、言語体系なんだっていうことを教えていただいて、その職員が、こうやって書かれていることを事前に見ることで、何が起こるかも分かるし、それからこれを持っていったらその場で指差しをしてもらえると、今自分に何が求められているのかが分かるから、とても役立つって言ってくださって、いや、本当にそこで初めてきこえない人が医療機関で遭遇する困難というか、大変さっていうのを知りましたね。
志村:本当に大変なんですよね。きこえない状態っていうのはもう同じ国の中に生きていたとしてみても、もう本当に路頭に迷っちゃう気持ちになるぐらい分からないんですよね。私、実は自分が一時的に突発性難聴できこえなくなった時があったんですね。その時に耳鼻科に行ったりとか通うわけですけど、何にも分からないんですよ。タクシーに乗っていても、ちょうどコロナ禍だったんですけど、相手の言ってることが分からなかったりとかしちゃっていて、あ、こういう風になっているんだなっていうのを身に染みて思ったことがあったんですけど・・・なので、それを武田さんがなさっているのが私はすごく嬉しくて、手話の病院の動画を見たことがあったんですけど、あれも素晴らしかったですね。
武田:あー、ありがとうございます。手話の病院っていうのは、これは筑波技術大学の大杉先生に教えていただいたんですが、アメリカのロチェスターっていうところにある大学で行われている医学教育の一つなんですけど、体験をして学ぶということで、ロールプレイをするんですね。どんなロールプレイかというと、病院の職員はみんなきこえない人なんです。受付から医師から薬剤師から。で、ロチェスターの場合、入学したての医学生が患者として受診をするという設定になっているんですね。いろんな自分の症状であったり、何をしてもらいたいという患者さんの設定が書いてあって、それによってまず受付をする、次に医師の診察を受けるというふうに回っていくんですが、やっぱりきこえる側がマイノリティーになるというか、相手の言っていることが理解できないっていう体験をするんですね、学生が。実際、研究費をいただいて、ロチェスターに視察にも行かせていただいて、それを順天堂大学の医学部で、ゼミの中で始めました。
志村:あー、医療者の方が、きこえているんだけども、きこえていない、要するにお医者さんとか医療者の役目をする方たちが、耳がきこえてない方たちがそれをなさるんですね。普段と逆転してるわけですね。
武田:そうなんです。
志村:うんうん、それは結構・・・身につまされますね、きっとね。
武田:そうなんですよね、本当にそれですごく深い学びを得られるというか、よく相手の立場に立って考えるということを言われますけれども、やっぱり体験をして初めて気づくことっていうのがたくさんあって。
志村:そうですよね、それは本当に自分がそうなってみないと、悪気はなくてもわからないんですよね、本当にね。初めてなってみて、あ、そうだったんだと思うみたいなことがたくさんありますものね。
武田:そうですね。
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志村:そんな大切なお役目をなさっている武田さん、今年はちょうど2025年で、デフリンピックがまもなくあと5日後ですね、開催されます。デフリンピック100年の歴史の中の大きなイベントですけど、それが日本でできる、私の場合はダイアログ・イン・サイレンスもここでやっていますので、きこえない人たちといっぱい仲間であり友達でもあるんですね。その方たちのことを知れば知るほど、あ、手話って本当に第二外国語にしてほしいぐらいに大切な言語なんだなと思ったんですけど、今ご活動なさっている武田さんのお立場からすると、今回デフリンピックはどんな感じに思っていらっしゃいますか?
武田:あー、とっても楽しみですよね。70カ国以上から見えてくださるっていうので、つい私たちはいろんな困難があって大変だなっていう思いで見てしまいがちなんですけれど、とってもいろんな場面をすごい楽しまれるなっていうのも見ていて思うことがあって、とてもにぎやかで、すごく活発に人生を楽しまれているっていうところを拝見することがあったりするので、きっといろんな国の方との出会いが、すごい楽しい、新しいものを生んでくれるんじゃないかなっていう、そういう期待もありますね。
志村:本当ですね。たくさんのきこえない方が今日本にいらして、手話を目の当たりにすると、あ、いいなって思う方もいるかもしれない。そうして興味を持っていただけると、全然また変わった楽しみ方も起きるかもしれないしなと思っているんですけど、例えばうちの仲間でも、病院になかなか行きにくくて、つらくても自力で治すんだって人がいたりとか、それから重たい病気でも救急車を呼べなくて、当時はですね、転がるような思いで歩いていて、やっと病院に着いたらもう心筋梗塞だったとか、そんな人も結構いるんですけれども、これが先生の活動によって広がっていくと、みんなが健康になれて幸せになれるんだろうな、なんて私思っているんですけど、そんな時にデフリンピックがあると、目に入らなかった方々のこともテレビを見たら、あ、手話だなとか、そんな風になると、病院だけに任せるんじゃなくて、私たちも声をかけやすくなったりとか、そんなこともできるんじゃないかなと思ったりしているんですけど・・・
武田:そうですね、都内でも10カ所以上全部だと、県外も含めると19カ所くらいですかね、会場がたくさんあって、いろんな競技がなされていて、入場無料!なので、本当に多くの方に行ってほしいですね。
志村:本当ですね。
武田:順天堂はスポーツ健康科学部というのがあって、スポーツの領域でもたくさん選手がいたり、教員も教育、あるいは選手のサポートをしているんですけど、このデフリンピックの日本選手団のチームドクターの1人に、スポーツ健康科学部の塩田有規先生っていらっしゃるんですね。その先生にどうですかってお聞きしたら、本当にたくさんの方に応援に行ってほしいって言われていました。じゃあ手話を覚えて頑張れとか、応援の手話を覚えていかないとですねって言ったら、選手の方とかコーチの方がおっしゃるのには、やっぱり声援を感じる、何て言うんでしょう、ワーって盛り上がってもらえるとそれを感じるそうなんです。だから本当にたくさんの方に行っていただいて、大きな声で応援してほしいっておっしゃっていました。
志村:あー、いいですね、そうか、ありがとうございます。なんかこう武田さんがなさっているご活動が、本当に世の中に広がっていったらいいなって思ってるんですけど、いま順天堂でなさっていることが全部のクリニックに広がっていったらどうなるでしょうね?
武田:そうですね、実際今日、SDHっていう健康の社会的決定要因の話をさせていただきましたけれど、医学教育の中では、すごく認識されるようになってきたんですね。最初にこの言葉が医学部で教えなければいけない項目に入ったのは2016年だったんですけれども、医学教育モデル・コア・カリキュラムっていう文部科学省が出している、そういう学ぶ項目が列挙されたものがあるんですけどね、それが2022年に改定されて、2016年の時にはSDHを概説できるっていうその一言だけだったんですが、2022年には健康の社会的な決定要因を見出して、かつ働きかけることができる、あるいは健康格差っていう言葉であったりとか、それからそういうことで困難を抱えている方のアドボケイトになる、アドボカシー、アドボケイトっていう言葉も初めて入ってきたんですね。
志村:あー、その頃だったんですね。
武田:はい、だから医学の領域でもとっても大事なことだっていうふうに認識されつつあると思います。例えば糖尿病ってよく聞く病気だったりしますけれども、経済的に苦しい方ほど糖尿病になりやすいとか、治療を中断しがちであるとかっていうことを、やっぱり臨床の現場でドクターが実際に見て知っていることなので、そこにそのSDHっていう言葉が入ってきて、あ、そういうことだったんだなと、だらしない患者さんだとか、そう思ってたけれどもそうではないんだっていうことに気づいた。それからSDHという言葉を広められたマイケル・マーモット先生ってロンドンにいらっしゃるんですけど、その先生がよくおっしゃるのが、SDHは病気の原因の原因だって、それを放っておいて、どんなに正しい診断、あるいは治療法があったとしても、それで治療したとしても、その原因を放っておいたら意味がないと。また同じように具合が悪くなったり、治療を継続できなかったりということがあるということを言われていて、多分それはいま診療している医療者は感じるところなんじゃないかなと思うんですね。特にコロナ禍になって、すごく困窮する方が増えたりとかというところもあるので。
志村:うーん、本当にそうですね。患者さんとなる病気を持った方と、治す側の医療者の方々が、やはり同じラインで膝を突き合わせたらいいなと思うことがいっぱいありますね。
武田:そうですね。
志村:それが健康になる一番の秘訣なんですもんね、本当はね。
武田:そうですね、うーん。
志村:あー、いいお話たくさんいただきましたけど、あのね、いつもゲストの方にお伺いするんですけど、明日を元気でちょっと朝迎えられそうとかっていうのがあったら、なにかギフトしていただけることありますか?
武田:そうですね、私もこの時間はいつもつらくてですね(笑)
志村:あ、そうでしたか(笑)
武田:はい、何て言うか、いつもいろんな仕事に追われ、宿題もたくさんあり、この週末こそ片付けるぞと思いながら過ごすんだけれども、日曜日の夜になって、あ、やっぱりできなかったって思って、また新しい一週間が始まるのかっていう気持ちになったりするんですが・・・(笑)
志村:私と同じ(笑)
武田:でもですね、私よく思い出す言葉が2つあって、1つは、「始めてしまえば半分は終わっている」っていう。なので全部できてなくても、あるいは自分で不十分だなって思うことがあっても、取り掛かっていればもう半分は終わっているって思うことと、それから私の好きな作家に三浦綾子さんっているんですけど、三浦綾子さんがエッセイの中で書かれているのが、「ホームランを打つ人は空振りも多い」って書いてあって、なので、まあうまくいかないことがたくさんあっても、それはホームランを打つ人には起こるんだって思ってですね、それで一週間をなんとか始めればそれなりに動いていくので、きっとなんとかなります、ということをお伝えしたいですかね。
志村:よかったー、私も元気出ました。確かにそうだ、始めていればほとんどそうですよね、半分は終わるに近い、確かにそうですね。いいお言葉をいただきました。ありがとうございます。
武田:何て言うんでしょうね、もう十分頑張っているので!本当に(笑)
志村:本当ですよね。本当だ、皆さんいっぱい頑張っていらっしゃいます、本当に。いやー、ありがとうございます。なにかこれは話しておきたかったとか、ありますか?
武田:今日はこうやって暗闇の中でお話させていただいてますけれども、ぜひ皆さんにもこのダイアログの場に来て体験していただきたいなって思いますね。最近、研究室の秘書が交代して新しく来てくださった方がいらっしゃるんですけど、お子さんが難聴なんですって。で、今回ここに呼んでいただいたっていうのを知って、それでこの場所の検索をしてですね、ダイアログ・イン・ザ・ダークと、ダイアログ・イン・サイレンスと。それで、これ自分も行きたいって言っていました。ご主人と2人で来たいって。子どもがどんなふうに感じているのかとか、子どもの世界をここに来ることで知ることができると思うって言われていました。
志村:あー、そうですか・・・役に立てるとアテンドたちもとっても嬉しいと思います・・・うーんそうか、ありがとうございます、お待ちしています。
武田:いえいえ。
志村:たくさんお話いただきまして、ありがとうございました。
武田:とんでもないです。