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Letter #39 LAST ON AIR
最終回の今夜は、今までやりとりしてきた手紙の中から、
特に印象に残ったものを読み返していきました。
4月に登場してくれたRob Gallagherには、
90年代当時のUK Acid Jazzムーヴメントの景色を振り返ってもらいました。
Rob:
親愛なる社長
Acid jazzを語るにはある一人の男に尽きると思う。
彼はacid jazz界のKaiser Sosayであり、GallianoのBrother Spryを僕に紹介してくれた。
Solid Bondのスタジオで、若い弟子たちのエンジニアリングをしていたのも彼だった。
彼はKRS1と仕事をしたり、Kid Creoleとつるんだりしていたニューヨークから戻ってきた。
実は彼は、今や伝説となったRebel Soulsというルーツ・レゲエ・バンドのライブのエンジニアだったんだ。
Style CouncilのMick Talbotが実はMystic Tであることを見抜いたのも彼だった。
Freezeの「AEIOU」のビデオからMutumbiのジャズ、Dennis Bovell、Slits、
そしてNorma Winstoneへと直接つながっていることを彼は見抜いていたんだ。
君の友人の沖野修也さんが、以前、彼こそがacid jazzで最も重要な人物だと言っていたけれど、その通りだと思う。
もちろん、Dillip Harris、Demus、Senior Demus、Runock、Felix Bantonのことだよ。
彼は多くの名前を持っているけど、acid jazz movementの音の職人であり、火付け役なんだ。
そして、彼は今日もその仕事を続けているし、これからもずっとacid jazzであり続けるだろう。
Best Regards, Rob
6月に登場してくれたJamie Cullumからは、
「パフォーマンスの最中に感じられるマジカルな瞬間」についてこんな返事が。
Jamie:
親愛なる社長
社長はこの感覚、この魔法をとてもうまく説明しているね。
でも、根本的な問題は、音楽は言葉では表現しきれない感情の入れ物を作ってしまうことだと思うんだ。
無限の喜びと苦しみが合わさっている…。
その力は、あまり複雑なことを考えずに、人々が一体となって何かを楽しむときに発揮されると思う。
そこに魔術があるんだ。
パフォーマーの仕事は社長もよく知っていると思うけど、その魔術に何らかの形で奉仕することであって
それをあたかも権力の座にあるかのように見てはいけないんだ。奉仕する立場。
楽器を習うことが誰にとってもいいことだと思うのもそのためさ。
世界がひとつになるための希望を与えてくれるのだから。
でもあまり深刻に考えすぎてもいけない。
同時に技術に関しては、かなり真剣に取り組まないといけない。
説明するのが難しいね。また一緒にステージに立つのが待ち遠しいよ。
Best Regards, Jamie
7月に登場してくれたEmma-Jean Thackrayからは、こんな印象深い手紙が…。
Emma:
親愛なる社長
今朝、自分が自分ではないような気がしました。
周囲から切り離されたような感じがして、いつもより頭の中が騒がしかったのです。
そして、ここ数日、木を見ていないことに気がつきました。
今や大都市に住むことは人間にとってごく普通のことですが、
自然から切り離されることは普通ではありません。
私たちは何千年もかけて自然と直接関わりながら進化を遂げてきました。
今では蛇口をひねれば水が出るしオンラインで料理を注文すれば玄関まで届けてくれる様になったのです。
ここロンドンには、沢山の緑地があることに感謝しています。
現代の暮らしはアンバランスになりがちですが、緑は、生活のバランスを取ってくれます。
あなたは、今の暮らし方ついてどう思いますか?
自然から切り離されたことが、私たちに悪影響を及ぼしていると感じますか?
それは私達のメンタル・ヘルスにダメージを与えているのでしょうか?
Best Regards, Emma
11月に登場してくれたMatthew Halsallからは、こんな手紙が…。
Matthew:
僕にとってコミュニティはとても大切なものなんだ。
物事をより良い方向へ変えたいと思っている、似た考えを持つ人同士が集まるグローバルなコミュニティも。
それから、自分の近くで成長を助けてくれて共に前進していける人達が集まる地域コミュニティも。
僕は、15年前のマンチェスターで、ジャズクラブ「Matt & Phreds」を拠点にした
エキサイティングなジャズシーンの中にいられたことはとても幸運だったと思っている。
僕やNat Birchall、John Ellis、The Cinematic OrchestraのドラマーLuke Flowers、
そしてJohn Thorn…といったミュージシャンが、共に演奏し、ブルーノートのクラシックス・カバーや、
その場で即興してオリジナル楽曲を作ったりしとても、おもしろいことが起きていた。
だからあの場所は、マンチェスターそして英国北部に住む音楽家の希望のような場所だったんだ。
だから、最近僕は、似たようなことを試みたくなり、
マンチェスターのクラブ「YES」で、地元ミュージシャンを集めて、
マンスリーのセッションを開催したりもしているんだ。
ローカルの音楽家と新しいバンドを作って、いろいろなカバーを演奏したり…
そうそう数ヶ月前に、SOIL&"PIMP"SESSIONSがアレンジしたバージョンの
「A Wheel within A Wheel」を演奏したんだ。
素晴らしい構成でホーンのアレンジメントとエネルギーが最高だよね。
こうして、僕らは楽しく演奏をしているんだ。
Best Regards, Matthew
【PLAY LIST】
Ease Your Mind / Galliano
London Skies / Jamie Cullum
Lazy Days (feat. Emma-Jean Thackray) / STR4TA
A Message to You Rudy / The Specials
Spotifyの番組公式プレイリストはこちら!
今回で最終回を迎えた「BEST REGARDS」。
番組は終わってしまいますが、これまでやりとりしてきたお手紙のアーカイブは
しばらくホームページに残りますので、ぜひ、読み返してみてください。
リスナーのみなさま、これまでお聴きくださり本当にありがとうございました!