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Letter #22 Bluey(Incognito)
僕が手紙を送ったのは、IncognitoのBluey。
【Bluey Profile】
Incognitoのリーダーで、ギタリスト。
Incognitoは、1979年、ジャン・ポール・'ブルーイ'・モーニックによって、
イギリス・ロンドンで結成されたジャズ・ファンク・バンド。
多くの実力派ボーカリストを迎えた彼らの楽曲は音楽ファンを魅了し、
アシッドジャズ・ムーヴメントを牽引する存在として、世界中で愛され続けています。
社長:
親愛なるブルーイ。
あなたとジャイルス・ピーターソンによる新たなプロジェクト、STR4TAの話をしたい。
ある日、GillesがRhythm in your mindをBBCでプレイして以来、
僕はまるで、身体中に電気が走ったかのようにSTR4TAの虜になった。
本当に素晴らしいプロジェクトだ。
アシッドジャズの源流としてのBrit Funkのフィーリングを
今の時代にアップグレードしたサウンドプロダクション。
そしてブルーイが書く美しいメロディラインとが相まって、
懐かしさだけではない、最新のダンスミュージックと並べても全く遜色ない存在感を示すバンドだよね。
なぜ今Gillesとタッグを組んでBrit Funkを再解釈するバンドを始めたの?
そのきっかけを教えてほしい。
Best Regards, 社長
Bluey:
やあ、社長!
君がGilles Petersonと以前から親交があることは知っているよ。
そして私に君らのバンドを紹介してくれたのも、彼だった。
Gillesと私は長年の友人でコラボレーターなんだ。
パンデミックの間、私たちは一緒に散歩していたんだけど、
いつも音楽への情熱のことばかり話していたよ。
Gillesは、私達2人が関わってきた時代の、生の、瞬間瞬間の音を再現するというアイデアを思いついたんだ。
世界が止まっていた時代に、楽しむことだけを目的に再び火を灯すようにね。
私はブリット・ファンク・サウンドと、そのサウンドが生まれたロンドンの
ジャズ・ファンク・シーンの中心にいたから、その音楽の作り方がはっきりと解っていた。
Gillesの役割は私やミュージシャンが生身の人間であり続け、
物事があまり洗練されないようにすることだった。
彼が言う批評は全部、腹が立つほど正しかったから、もう私は笑うしかなかった!!
GillesはDJとして、Atmosfear、Hi-Tension、Light of the World、Freeezといった
グループ(後の2つのバンドは私もメンバーだった)が最初に開発したサウンドに
斬新な切り口を与えることで、
新しい世代に重要なイギリスの音楽のストーリーを紹介することができると解っていたんだ。
面白いことに、私たちはちょうどセカンド・アルバムを完成させたところなんだけど、
このアルバムは80年代初期をちょっと蘇らせつつ、
ファーストアルバムで聴いた70年代後半のブリット・ファンクのヴァイブスに忠実なんだ。
Emma-Jean Thackeray、Theo Croker、Omarといった豪華なゲストも参加している。
日本のアーティストも同じようなペースで作品作りをする?
Best Regards, Bluey
社長:
親愛なるブルーイ、返事をありがとう。
日本のアーティストが、どんなペースで作品を作っているか…ということなんだけど、
メジャーレーベルと契約しているアーティストは大体1年に1枚くらいのペースでアルバムを出しているんじゃないかな。
僕たちも昔はそのペースだったし、今でも1年半に1枚ほどのペースでリリースをしている。
最近はアルバムではなくて、
5、6曲入りのEPを、年に数回リリースするようなアーティストも増えているように感じるし、
いずれはそれが主流になるのかな、なんて事も思う。
サブスクリプションがマーケットの中心だしね。
僕たちはアルバムというフォーマットにもう少しだけ拘っていきたいと思うけどね。
ブルーイが音楽を始めてからきっと40年くらいが経とうとしているんじゃないかな。
ロンドンから音楽を発信し続け、新しいチャレンジをしながら
常にトップランナーで居続けているあなたのことを、心から尊敬しています。
そんな40年、色んな経験をしていると思うけど、
ロンドンの街や文化の変化したところ、そして変わらないところを教えてほしいな。
Best Regards, 社長
Bleuy:
親愛なる社長へ
長い音楽活動の成功の秘訣は、忙しくしているのが好きだということ。
私は旅行が趣味で、最近まであまり睡眠を必要としていなかったんだ。
でも、もうこの歳になると、そうとはいかないけどね。
でも正直なところ、何かを創っているときに生きていると実感するんだ。
私の地元のことはというと、、、
ロンドンがロンドンであり続けているのは、常に変化し続けているから。
常に変化し続け、時代とともに動き、新しい文化を受け入れ、クリエイティブな実験をし、限界を押し広げていく。
私の目には、世界の中心であり、エキサイティングな都市に映っている。
他の国や都市から革新的で新鮮なアイデアを拝借することも恐れていない。
でも、拝借した時さえも、結局はロンドンらしさが強く出るんだ。
それはアート、建築、ファッション、音楽にも言えること。
ロンドンはとても折衷的で、常に新しいフレーバー、色、音、アイデアが
ミックスされていて、それが他の国にも影響するんだ。
間違いなく、人を動かす能力のある人たちのための場所だよ!
ロンドンと言えば、社長。この美しい街でショーをする予定はあるかい?
どうか愛する日本のみんなに、私の愛を伝えてください。
Best regards, Bluey
【PLAY LIST】
Rhythm in your Mind / Str4ta
When you Call Me / Str4ta
There's Nothing Like This / Omar
Sexual Healing (Wait In Vain Mix) / Marvin Gaye
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