BEST REGARDS

20220812

Letter #20 Bluey(Incognito)

僕が手紙を送ったのは、IncognitoのBluey。

【Bluey Profile】
Incognitoのリーダーで、ギタリスト。
Incognitoは、1979年、ジャン・ポール・'ブルーイ'・モーニックによって、
イギリス・ロンドンで結成されたジャズ・ファンク・バンド。
多くの実力派ボーカリストを迎えた彼らの楽曲は音楽ファンを魅了し、
アシッドジャズ・ムーヴメントを牽引する存在として、世界中で愛され続けています。

社長:
親愛なるブルーイ。

インコグニートのファンは、ここ日本にも多くいるし、
日本のラジオチャートを賑わせた名曲が本当に沢山あるよね。

そんな中でも特に僕が好きなのはSummer Endedと、Still A Friend of Mineかな。

特にSummer Endedとの出会いは、とてもよく覚えている。
あるツアーの空き時間、いつものようにロンドンのブリックレーンにある古着屋をはしごしていたとき。
ライブ会場に行く時間になって、地下鉄に乗ろうと駅に向かったんだ。
そしたら駅前の広場でフリーマーケットをやっていて、レコード屋が目に入った。
全部見たかったけれども、ライブリハの時間も迫っているし、
「1列だけ箱を掘ってみよう!」と思って、一番近くの箱を見始めた。
そしたらそこに、この12インチがあったんだ。

この曲は、アルバムにも収録されていない12インチオンリーの曲だったから、
まさか出会えると思っていなくて、とても驚いた。今でも大切に聞いてるよ。

Still A Friend of Mineについては、昔、この曲が出来たストーリーをインタビューで読んだ事があって、
とても素敵な話だと感じた思い出がある。
今あらためてその話を聞かせてほしいな。

Best Regards, 社長

Bluey:
親愛なる社長

よく覚えているね!ハハハ!
「Still A Friend of Mine」は今まで作った曲の中で一番早く書き上げた曲なんだ。

元々は90年代にバートナーに宛てた別れの手紙だったんだ。
ある朝起きて、送る前に手紙を読んで思った。
「これは歌にしたほうがいいんじゃないか」ってね。
友達として始まったんだから、
二人の友達として尊敬と理解をもって人生のこの章を終えようじゃないか、
という心情だった。 
もっとメッセージを隠喩的にするために、もう少し言葉を加えたんだ。
例えば冒頭の「木々は高く、秋に葉が落ちるように、時には楽園に雨が降り、どんなに温かい心でも氷に変わることだってある」とかね。

その日、私たちはパリでライブをするためにフランスに向かったんだ。
ドーバーからカレーに向かうフェリーの中で、輪になって座り、
私が簡単なメロディとコードを弾いてバンドに聴かせたんだ。
そうしたら、全員がハーモニーを奏で始め、アレンジに協力してくれもんだから、
その晩に演奏することにしたんだ!
この曲はバンドのアンセムとなったよ。

「Summer's Ended」について質問があったね。
あれはIncognitoの最初のレコーディングだった「Parisienne Girl」のB面だったね。 

Paul “Tubs” Williamsと私が前日の夜にベッドルームで思いついたメロディとベースラインをもとに、自然発生的にスタジオでジャムしたものだった。
この曲は2日前にパブで出会ったNeil Metcalfeの素晴らしいフルートのソロが特徴なんだ。
彼はプロのスタジオでレコーディングをしたことがなかったのに、ワンテイクでやってのけたよ!
「Parisienne Girl」の後にコントロール・ルームで聴き返してみると、
夏が終わって秋風が吹き始めたような音だったから「Summer's Ended」と名付けたんだ。

社長も作曲やレコーディングをしている時、同じような自然発生的な体験をしたことがあるかい?

Best Regards, Bluey

Bluey:
親愛なる社長へ

私はミュージシャンという仕事の性質上、平均的な人よりも二酸化炭素の排出量が多いことは十分認識している。
それを意識して世界中に植樹するために寄付をし、
政府が再生可能エネルギー、太陽光発電、風力発電、グリーンエネルギーに切り替えるよう、
さまざまな団体を支援しているんだ。 
休日にはゴミ袋を持ってビーチに行き、缶やペットボトルなど、海に悪影響を与えるものを回収している。
今では、住んでいる地域でもやっているよ。
家族も私もリサイクルには熱心に取り組んでいる。

この世界に何か変化をもたらしたいのなら、まず自分から始めなければならないと思っています。
サステナビリティのために率先して行動する人は本当に素晴らしい。

だから、私もインドネシアのロズリン孤児院を支援している。
この施設では、子どもたちにシェルターや教育、希望を与え流だけではなく、
自給自足のための野菜作りまで教えているんだ。
私は昔からこのテーマに取り組むバンドやシンガーが好きだった。
Tower of Powerの「Only So Much Oil In The Ground」、Stevie Wonderの「Journey Through the Secret Life of Plants」等。 
だから私のソロ・アルバム「Tinted Sky」に入っている「Floating World」を
どうしても書きたくなったんだ。

ところで世界の権力者たちは地球を救うために十分な努力をしていると思うかい?
それと、社長はどんな変化が起きたらいいと思う?
元気でいてくれよ。そして君の友情に感謝するよ。

Best Regards, Bluey

社長:
親愛なるブルーイ、返事をありがとう。

ミュージシャンとして考える「サスティナビリティ」…とても大切なことだよね。
そういえば…、今 日本は「音楽フェス」のシーズンなんだけど、
先月開催された「フジロック・フェスティバル」は本当に「クリーンなフェス」だと思う。

周辺の森林環境を守るためのプロジェクトや、
例えば会場で出た使用済みの紙コップがトイレットペーパーになる「イベント内資源循環サイクル」を実施していたり。
他にも、地球温暖化を防止するための「国際環境基金」へのサポート、
ステージ電力の一部を、バイオディーゼルや太陽光といったクリーンエネルギーでまかなう…など。

こういった『自分たちで出来ること』を積極的に促してくれるフェスで
僕たちミュージシャンと、音楽リスナー達が、素晴らしい夏の時間を共有出来ることに、
いつも心が高鳴るし、出演という形でサポートすることを誇りに思うよ。
   
さあ、ブルーイからの質問…
世界のトップにいる人たちが地球を救う努力をしていると思うか、
そして、どんな変化が必要か…ということだけれども、
世界のトップにいる人たちが救う努力をしてくれているかどうかは、正直、わからないよね。
変化ができるのは自分だけ。
そして、自分と、一番身近なコミュニティが変わっていくことが、大きな変化につながっていくと信じている。

Best Regards, 社長

【PLAY LIST】
Pete's Crusade / Light of the World
Still a Friend of Mine / Incognito
Only So Much Oil In The Ground” / Tower of Power
Emergency on Planet Earth / Jamiroquai

Spotifyの番組公式プレイリストはこちら