J-WAVE SPECIAL
SESSIONS

2020.04.29 WED. [HOLIDAY]
18:00-20:55 ON AIR
朗 読
クリス智子
2020.04.29 WED. [HOLIDAY]
18:00-20:55 ON AIR
朗 読
クリス智子
今、人に会いたい。
話を聴く力。書き、人々に伝えること。
作家・沢木耕太郎が出逢った人々の物語。

沢木耕太郎は、「旅をする人」だ。
読み継がれる名作『深夜特急』からずっと、旅をしてきた。
その旅は、「人に会う旅」でもあった。沢木耕太郎はこれまで、大勢の人々と出会い、交わり、言葉を交わし、インタビューし、作品を作ってきた。
この番組は、全4巻からなる対話集『沢木耕太郎SESSIONS<訊いて、聞く>』(岩波書店)の刊行を記念して、沢木がこれまで出逢ってきた数々の著名人たちの物語をお届けする。高倉健、美空ひばり、井上陽水、檀一雄、モハメッド・アリ、山野井泰史、尾崎豊……。「時代の表現者」たちを、沢木耕太郎が語る3時間。

高倉健、武田鉄矢
1977年、山田洋次監督の映画『幸福の黄色いハンカチ』に出演した武田鉄矢。海援隊でシンガーソングライターとして活躍していた武田鉄矢にとっての映画初出演作であり、「演じること」の苦労や重さ、歓びを知った映画だった。映画公開からしばらく後に沢木耕太郎は武田鉄矢と対談。芸能界きっての読書家でもある武田は当時から沢木の著書の愛読者でもあった。武田から、その映画の主演、高倉健の演技や佇まいについて話を聞いた沢木は、その後、当時自身がパーソナリティを務めていたラジオ番組で、高倉健にインタビューする。以来ずっと、高倉健と沢木耕太郎の関係は続いた。2015年4月から16年8月まで朝日新聞に連載され大きな話題を読んだ小説『春に散る』の主人公で元ボクサーの広岡を、沢木は高倉健をイメージして書いたと言われる。「いつか沢木脚本の映画で主演を」と願っていた高倉健であった。
美空ひばり
沢木耕太郎は、エッセイ集『銀河を渡る』の中に、「冬のひばり」と題して、美空ひばりとの出逢いの想い出を綴っている。出逢うまで、美空ひばりという大スターへのあるイメージを抱いていた沢木だが、実際に会うと、先入観が打ち砕かれていく。一方で、芸能界随一のスターとしての彼女の姿もわかる。実際に会うことでしかわからないこと、会って話を聞くことで初めて知ることがあるのだ。
井上陽水
1996年から98年にかけて、沢木耕太郎のロングセラー『深夜特急』がテレビドラマ化され放映された。『劇的紀行 深夜特急』である。沢木を演じたのは大沢たかお。このとき主題歌「積み荷のない船」を歌ったのが、井上陽水であった。沢木は、テレビドラマの関係者から、井上陽水に主題歌を「お願いしてもらえないか」と頼まれる。沢木が井上に話をもちかけると、井上はこう切り返したという、「沢木さんが歌詞を書いてくれたら曲をつける」。沢木は歌詞を書けたのか、書かなかったのか。
山野井泰史
世界的なクライマー、山野井泰史と山野井妙子夫妻による、難峰ギャチュカン登頂の記録と記憶を描いたノンフィクション小説の傑作『凍』。実は沢木には、当初、山野井夫妻にインタビューしたり、そこからノンフィクションを書こうというようなイメージはなかったという。いつ、どんなきっかけで沢木は山野井泰史と会い、どんな理由からこの作品を書き上げることになったのか。
尾崎豊
尾崎豊が亡くなったとき、沢木耕太郎は日本にはいなかった。北米、そしてヨーロッパへと続く、2か月にも及ぶ取材を兼ねた旅の途中、偶然、沢木は尾崎の死を知ったという。沢木は、生前尾崎と何度か会い、言葉を重ねた。亡くなる少し前にも、尾崎から連絡をもらっていたという…