J-WAVE SELECTION

SHIMIZU KENSETSU

DIALOGUE
IN SILENCE

  • 2018.07.29
  • SUNDAY
    22:00-22:54

体験型ワークショップ「DIALOGUE IN SILENCE」。
聴覚障害者や聴覚障害のあるガイドや
トレーナーの助けを借りて、
参加者が⾮⾔語表現のレパートリーを
発⾒する静けさの中の体験です。
この番組は「サイレントラジオ」と題し、
YouTubeでの⼿話による同時放送を実施します。

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SUPPORTER

INTERVIEW

今年2年目を迎える「DIALOGUE IN SILENCE」を支えるアテンドスタッフの大橋ひろえさんをフィーチャー。
大橋さんの半生を追いながら、言語を超えたコミュニケーションの先にあるものを探っていきます。

大橋 ひろえさん
手話通訳の樋口 真弓さん
大橋 ひろえさん
ナビゲーター板井 麻衣子
志村 真介さん
志村 季世恵さん

SILENT RADIO

言葉の壁を超えた対話を楽しむエンターテイメント
2018年7月29日22時からラジオと同時放送

⾳のある世界で⼈と⼈のつながりをつくるのがラジオです。
それではなぜ私たちJ-WAVEが、⾳のない世界のソーシャルエンターテイメント「ダイアログ・イン・サイレンス」を応援するのか?
それは、ラジオとは真逆の世界を知ることで、「つながる」意味を改めて学べるのではないかと考えたからです。
グッドデザインをテーマに放送を続ける私たちの新たなチャレンジが「サイレントラジオ」。
ダイアログ・イン・サイレンスの特別番組を⼿話通訳で届けます。
ラジオは、⽿だけではなく瞳でも楽しめるはず。
より良い社会をつくるソーシャルグッドな試みとなることを祈っています。

ダイアログ・イン・サイレンス」公演,チケット情報はこちらへ

ON AIR ARCHIVE

番組で放送した内容をテキストでもお楽しみいただけます。

【板井麻衣子ナレーション】
まずは、5秒間、「音のない世界」を感じてください。
(5秒間、空白)
この「音のない世界」が、今夜の番組の舞台。そして、「音のない世界」でコミュニケーションをとる達人、聴力に障害のある ひとりの女性の物語をお届けします。

こんばんは、板井麻衣子です。今週のJ-WAVE SELECTIONは、音のない世界で言葉の壁をこえた対話を楽しむエンターテイメント、きょうから新宿のルミネゼロで スタートした「DIALOGUE IN SILENCE」。このイベントにまつわるスペシャルプログラムです。

「DIALOGUE IN SILENCE」とは、静けさの中での‘対話’。 音を遮断する高性能のヘッドフォンをして、完全な静けさのなか、12人の参加者が さまざまな体験をしていきます。その体験をガイドしてくれるのは、聴力に障害のある方。
そんなアテンドスタッフと一緒に、1時間30分ほど、音のない世界では 物事をどんな風に感じるのか? 声を使わずにコミュニケーションするには どうすればいいのか?こうしたことを考え、発見し、気づく時間。これを、とても素敵にデザインされた、ひとつのエンターテイメントとして提供しているのが「DIALOGUE IN SILENCE」です。

今夜は、この「DIALOGUE IN SILENCE」のアテンドスタッフ大橋ひろえさん、彼女のこれまでの歩みをたどりながら、「DIALOGUE IN SILENCE」の持つ意味、可能性、そこに込められたメッセージに迫りたいと思います。
そして、今夜の放送は、「サイレント・ラジオ」 と題して手話と字幕による同時放送も実施しています。こちらは、J-WAVEのホームページの中にある「DIALOGUE IN SILENCE」のページで ご覧いただけます。手話を必要としない皆さんにもぜひ観ていただきたいなと思ってます。手話の 手の動きのステキさだったり表情の豊かさを感じていただける映像になっていてそれが放送とシンクロしています!ぜひJ-WAVEのホームページにアクセスしてください。

J-WAVE SELECTION SHIMIZU KENSETSU DIALOGUE IN SILENCE、板井麻衣子のナビゲートでお送りしています。
音のない世界で対話を楽しむエンターテイメント「DIALOGUE IN SILENCE」。今夜の主人公は、このイベントで、音のない世界の案内人をつとめるアテンドスタッフ、大橋ひろえさんです。
ひろえさんは、ダンス、という表現にも力を注いでこられ、それはのちにミュージカル、という形で実を結んでいくんですが、まずは、この「ダンス」との出会いについて、お話をうかがいました。

【大橋ひろえさんインタビュー】
(板井麻衣子)
ひろえさんが ダンスを始めたのはいつ頃のことだったんですか?

(大橋ひろえさん)
小学6年頃かなと思うんですが。ただ その前に 小さい時によく習い事があるじゃないですか、あれでバレエをやっていました。

(板井麻衣子)
その ダンスを学ぶ音を感じなきゃいけないと思うんですけど。どういうふうに最初・・・

(大橋ひろえさん)
そうですね バレエの時はやっぱり音というものが分からないので

(板井麻衣子)
うんうん

(大橋ひろえさん)
いつも隣りの人が踊ってるのを横で見ながら マネしてる。マネすることが楽しかったんです。

(板井麻衣子)
なるほど

(大橋ひろえさん)
だから ほんとに その頃の写真って私だけが はっきり横 向いてます。

(板井麻衣子)
それが実際 自分で表現するダンスとなった時はどういうふうに学んでいったんですか?

(大橋ひろえさん)
学ぶという意識じゃなくてマネた中でリズムが生まれてくる。踊りながら体を動かしながらそういうふうにリズムが生まれてきたことで、それが喜びに変わって楽しいというふうになって。これが初めて踊ることなんだというふうに実感をしたんですね。
それで小さい頃そういう気持ちがあったからそのあと しばらくしてから、小学校6年の頃に2つ離れた姉がいたんですよ。姉がいつも毎日毎晩毎晩 観てた番組があって。それが 「ベストヒットUSA」

(板井麻衣子)
あっ 「ベストヒットUSA」

(大橋ひろえさん)
そう アメリカの番組で。「ベストテン」みたいなやつで。いつも姉が観てたんですよ。それで私も横でこう観てたんだけど。あれで初めて。日本で字幕がついてるんですよ。あれ。

(板井麻衣子)
字幕が

(大橋ひろえさん)
字幕があったんです。それまでは ほかの番組は、字幕が全くなかったんですね。で 字幕があって それで感動して、さらにダンスというものが映像がいっぱいワァーッと出てくるんですよ。例えばマイケル・ジャクソンとか、ジャネット・ジャクソンとか マドンナとか。そういう人がいっぱい・・・

(板井麻衣子)
全盛期のね 彼らの

(大橋ひろえさん)
そう! あの頃

(板井麻衣子)
はははっ

(大橋ひろえさん)
分かりますねぇ。その頃に私も観て、それを また さっきの小さい頃と同じように彼女らの踊ってるのを体にマネて踊り始めて。あっ 懐かしいダンスはまたこんなに楽しいんだぁ〜!と思って、そこから少しずつ自分なりの自己流的なダンスをやり始めたんですね。

(板井麻衣子)
改めてひろえさん自身が自分でダンスで表現する魅力っていうのはどこにありますか?

(大橋ひろえさん)
体で感じるソウル、スピリットみたいなものを感じて。そして そこから自分でダンスのサークルみたいなのを立ち上げたんですよね。

(板井麻衣子)
サークルを ご自分で?

(大橋ひろえさん)
そうです そうです 立ち上げて

(板井麻衣子)
めちゃくちゃアクティブ

(大橋ひろえさん)
んー それで 聞こえない人たちにもダンスに ちょっと、一緒に喜ぶ・・・ 何ていうの?楽しいという経験を共有し合おうということで、サークルの中には必ず聞こえない人もいて聞こえる人もいるということで一緒にやるということで。それでやったんですね。

曲  Material Girl / Madonna


【板井麻衣子ナレーション】
大橋ひろえさんがダンスを始めるきっかけになったアーティストのひとり、マドンナのナンバー、ひろえさんに選んでいただきました、「Material Girl」

ひろえさん、生まれつき聴力に障害がありますが、子どものころから、口話(こうわ)=声による会話を お母さんの特訓で学びご自身の声でインタビューにお答えいただいています。私の質問は、手話通訳の樋口真弓(ひぐち・まゆみ)さんに 手話で伝えていただいています。

本当に お会いした瞬間もう その場がパッと明るく元気になるようなひろえさん。とってもエネルギッシュな方でお話 聞いていただいても分かると思うんですけど、テレビ番組「ベストヒットUSA」の影響で、ダンスが好きになった ひろえさん。でも、音楽については、この世界からなくなればいい、と思ったこともありました。そして、そのあと、ある曲と出会って、また気持ちも変わるのですが、そのあたりのことを教えていただきました。

【大橋ひろえさんインタビュー】
(大橋ひろえさん)
私 小さい時に 音楽というものを楽しめなかったんですよ そもそも

(板井麻衣子)
うんうん

(大橋ひろえさん)
音楽というのは耳で聞くことで楽しむわけじゃないですか。だから ほんとに“音楽”という漢字を見ると“音を聞いて楽しむ”って書いてありますよね。でも私にとっての“おんがく”というのは“音を聞いて学ぶ”

(板井麻衣子)
あっ お勉強だった

(大橋ひろえさん)
そう 勉強なんですよ。だから この音は何の音なのかっていうふうに試されるんですよ いつも。で 聞こえないのにこの音は分からないとかって言うともっと それで一生懸命訓練されちゃう。でも これ 難しいことなんです。で 学校も よく音楽の授業もテストがあるじゃないですか。歌のテストとかあと笛のテストとか。

(板井麻衣子)
普通の いわゆる一般の方々と同じ学校にひろえさん 通ってらしたんですものね。

(大橋ひろえさん)
そうなんです。だから聞こえる人のやり方と同じようにやらされてるので。やっぱり私はできないんですよ。どんなに頑張っても。こんな音楽は楽しめない。絶対無理って。もう世界中 音楽なんかなくしちゃえばいいという意識のまんまで 大人になったんです。ところが社会に出て自分がやっぱり居場所がないということもあって、その苦しみをどっかですごくモヤモヤしてるものをどっかぶつけられたらいいなと思ったのがたまたまビデオで映画を観てアクション映画を観ながらストレス発散できるんじゃないかなと思って、レンタルビデオに行ったんですね。そこ行った時にここが不思議でしょうがないんだけど、本当は映画のレンタルをするつもりで行ったのになぜかCDのほうにコーナーにいたんですよ。自分が。

(板井麻衣子)
へえ

(大橋ひろえさん)
で その時にCDのコーナーを見ていろんな写真みたいなのいっぱいあるじゃないですか。

(板井麻衣子)
はい。ジャケットたくさんありますもんね。

(大橋ひろえさん)
それで たまたま1枚の絵が、クレヨンのパステルみたいな色があって。なんか雰囲気がものすごく優しい雰囲気だったんですね。何だろう このCDはどういう音楽が流れるんだろうと思ってまあ 試してもいいやということで借りたんです。 それを借りて家に持ち帰って聞いてみたんですよ。でもやっぱりそれも分かんなかったんです。

(板井麻衣子)
その時はお部屋に鳴らすんですか?それとも ヘッドフォンみたいな・・・

(大橋ひろえさん)
ヘッドフォンです。たぶん私ヘッドフォンなしだったら・・・

(板井麻衣子)
あっ 大きな音で聞くことで ちょっと こう 感じる部分があるんですね?

(大橋ひろえさん)
そうです。それで ヘッドフォンで聞いて最初のほうは雑音しか聞こえなかったんです。ザーッ なんか こう音が分かんなくて。あぁ もう これやっぱり私 音楽は楽しめないんだな、もう しょうがないなぁと思った時にそこから なんか ふっとした時に空気が、なんか変わった感じを感じて。あれ? この音何だろうこの音 なんかすごい優しいなぁと思ったんですよ。で それを聞いてるうちにこの曲何だろうと思って歌詞カード見たら「Imagine」だったんです。

(板井麻衣子)
それが・・・

(大橋ひろえさん)
「Imagine」って何だろうと思って歌詞を見た時に“想像してごらん 天国も地獄もない”って。全部歌詞を読んだ時になんか その時に歌詞カードが読めなくって歌詞カードの下にもうね クシャクシャになってるんですよ。というのは私 泣いてたのよ。ずーっと自分もビックリしちゃって。

曲  Imagine / John Lennon


【板井麻衣子ナレーション】
大橋ひろえさんにとって、とても大切な1曲、ジョン・レノン、「Imagine」でした。

さあ、続いては、ひろえさんが、ダンスや演劇、エンターテイメントの中心、アメリカへ初めて行かれたときのエピソードです。

【大橋ひろえさんインタビュー】
(大橋ひろえさん)
アメリカに1人で初めて行った時にはあの時の私は 全く英語ができなかったんです。もうね 自分の名前を言うだけで精いっぱいのレベルだったんです。そのレベルで行っちゃったんですよ怖いもの知らずだったんですよ。

(板井麻衣子)
ふふふっ。

(大橋ひろえさん)
なので 行ったら行ったで 向こうのアメリカの入国審査で引っかかったんですよ。“あなたの来た目的は何ですか?”って英語で言うじゃない?あれ 全然 分かんなくて。何言ってんだ この人と思って じーっと見てたら、それで 私も英語が言えないから日本語で頑張って言ってたんですよ。「もう1回 ゆっくり話してください」とか。だけど やっぱり それが通じなくって途中から連れていかれて 別の部屋に

(板井麻衣子)
別部屋に・・・ ふふっ。

(大橋ひろえさん)
これはマズい マズい マズいと思って雰囲気もただ事じゃなかったんですよ。というのは 私のほかにも何人かいてものすごく暴れてるんですよね。

(板井麻衣子)
結構 ほかに 周りにいらっしゃった方がほんとにヤバそうな方だったっていうこと?

(大橋ひろえさん)
そう そう。

(板井麻衣子)
あははっ。

(大橋ひろえさん)
なんで私 ここにいるんだろうと思ってどうしようと思って。そこで私は 一生懸命誰か日本語が分かる人いませんか?と一生懸命 言ったんだけど。雰囲気かな伝わったのか分かんないんだけどいきなり向こうから車いすを持ってこられたんです。

(板井麻衣子)
車いす いらないですよね 全くね。

(大橋ひろえさん)
そう いらないですよ。だけど 車いす持ってこられて。何だろうと思って。私 歩けますよって言ったけど「ノー 乗れ」って言われて。あまりにも怖いからしかたがなく乗ったんですよ。そしたら その時に車いすを押してた人は黒人で しかもデッカくて女の人だったんですよ。で 車いすを押す時にタイミングがね何ていうのかなリズミカルだったんですよ。こういう なんかこう押してくるって感じで。

(板井麻衣子)
それさえもちょっとブラックミュージックのこう基礎が感じられる。

(大橋ひろえさん)
そうです。それで乗ってる私もなんか気持ちよくって。ここがアメリカなんだ。わぁ いいな、アメリカって いいねぇって思いながら。

(板井麻衣子)
はははっ。

(大橋ひろえさん)
やっとアメリカに入ったんです。

(板井麻衣子)
はははっ・・・。

【板井麻衣子ナレーション】
これ、体験する人が違えば結構深刻なお話だと思うんですけど、なんかそこがひろえさんの元来の明るさというかポジティブさなのかな。ほんとにその時の絵が浮かぶようなお話ですよね。車いすの押し方がリズミカルだったという。それで入国審査の時のわずらわしさも吹き飛んだということなんですよね。そんなふうに足を踏み入れたアメリカでひろえさんが感じたことはどんなことなのか教えていただきました。

【大橋ひろえさんインタビュー】
(大橋ひろえさん)
まず得たことは自分のアイデンティティーが確立してること。私はこういう人なんだ というのをそれぞれが持っていること。私、それがなかったんです。誰でも相手に合わせるみたいな、受け身の立場だったんですね。やっぱり それは小さい頃から染みついていた性格でもあり、これが聞こえない人たちにも共通してるところなんですよ。だけどアメリカはそれじゃ通用しない。自分を出さないと見てくれないんですよ振り向いてくれないんです。あとは「聞こえないから こうしてくれます?」っていう「すみません聞こえないのでこれやってもらってもいいですか?」という姿勢がアメリカにはないんですよ。「聞こえないけどだから何?」って。「何が手伝ってもらいたいの?」っていうすごい対等的な目線で 姿勢でいてくれるんですよ。これが あまりにも気持ちよくって。「あっ 私っていていいんだ」っていう実感できる場所だったんですよね。だから、もうフィフティで対応ができる私のこと受け入れてくれるんだとその喜びが大きくて、もうどこにも外国行っても英語ができなくても、人と人の対話が通じるんですよ。で、あきらめないんです。私は英語ができない。「じゃあ 何ができるの?」と聞かれると「身振りなら 」みたいな。あっ じゃあってこういうふうにやってくれるんですよ。相手に合ったお互いのできることを探しコミュニケーションをとるということは日本にはあり得ない。日本だったら絶対断りますよ「あっ ごめんなさい 私 時間がない」って逃げちゃいますよ。 みんな。でもアメリカは絶対 それがなかったんです。もう感動して。私。こういう関係がやっぱ一番の本当の関係だよねっていうことで。それが今の“サイレンス”につながっているところなんですよ。

曲  I Just Called To Say I Love You / Stevie Wonder


【板井麻衣子ナレーション】
音のない世界で対話を楽しむエンターテイメント「DIALOGUE IN SILENCE」で、案内人をつとめるアテンドスタッフ、大橋ひろえさんへのインタビュー、お送りしていますが、アメリカではみんながコミュニケーションを決してあきらめないというお話がとっても印象的でしたよね。
「英語ができないの?」じゃあ 「身振り手振りでどうにか会話する?」というふうにお互いができる方法をどうにか探して対話をしていくこと、対話をやめないこと。ひろえさんのお話にもありましたが耳が聞こえようが聞こえなかろうが、私がここにいるっていうのをアピールしないと始まらないというようなフィフティ フィフティの関係が、その時のひろえさんにはとても心地がよかったと。そのすばらしさを感じてそれが「DIALOGUE IN SILENCE」にもつながっているとそんなお話でした。

この「DIALOGUE IN SILENCE」については番組の後半でもお伝えをしますが、大橋ひろえさんはアメリカに行ったあとその経験をもとに“サインアートプロジェクト.アジアン”という名前で演劇やダンス ミュージカルなどさまざまな舞台を作るという活動を始められます。こちらについてはお知らせのあとご紹介します。

板井麻衣子がナビゲートしています、「J-WAVE SELECTION SHIMIZU KENSETSU DIALOGUE IN SILENCE」今夜は、新宿ルミネゼロで開催中、音のない世界での対話をテーマにしたエンターテイメント「DIALOGUE IN SILENCE」、こちらにアテンドスタッフとして参加する大橋ひろえさん、聴力に障害を持つ彼女の歩みをたどりながら、「DIALOGUE IN SILENCE」の可能性、意味、そこに込められたメッセージに迫るスペシャルプログラム、お送りしています。

そして、この番組は、「サイレント・ラジオ」 と題して手話と字幕による同時放送も実施しています。こちらは、J-WAVEのホームページの中にある「DIALOGUE IN SILENCE」のページでご覧いただけます。大橋ひろえさんの言葉、そして、私がお話している内容もすべてを手話で同時にお伝えしています。ぜひご覧ください。

さて、番組前半では、ひろえさんの子どものころのこと、成長する過程で出会ったダンス、音楽、そしてアメリカのお話、ご紹介しましたが、さまざまな経験をして、特に、アメリカで感じた、聞こえる人、聞こえない人の対等なコミュニケーション、そのときに感じた自分の居場所。そうしたことをきっかけに、ひろえさんは、2005年、「サインアートプロジェクト.アジアン」というプロジェクトを立ち上げました。

【大橋ひろえさんインタビュー】
(大橋ひろえさん)
私だけではなくて聞こえない人たちも聞こえる人も一緒にものを作ることの大切さをこの演劇を通してやっていきたいという気持ちですね。立ち上げて その時に自分で半生を書いた本があるんですねそれが 「もう声なんかいらないと思った」この本をミュージカルにする。ミュージカルにタイトルを変えると「Call Me Hero!」というタイトルでやったんです。そこからオーディションを始めそしてキャスティングして台本も書きで、そこで1年後にそれをスタートしたんですね。ミュージカルだからその中にお芝居もあって歌もあってそしてダンスもある。それを聞こえない人と聞こえる人が一緒に1つになってそれをお客様に伝えるということが私にとっては、すごいいい経験させていただいたきっかけになりました。

【「Call Me Hero」の様子】
(出演者1)
私は笑っただけで男の子に どなられたことがある。“変な声だ”って笑われたこともある。いつも周りの顔色をうかがってビクビクしていた。でもダンスができるって分かってうれしかった。ダンスができなくなったらほんとに居場所がなくなっちゃう。

(出演者2)
私も自分が嫌いだったわ。でもダンスをして変わったの。踊ってる私はかっこいいもの。あんたもそうでしょ ヒーロー。

(出演者3)
ヒーロー。あなたのために何もできない私を許して。代わりにささやかな歌を歌うわ。あなたの力に少しでもなれれば いいんだけど。

【板井麻衣子ナレーション】
お聞きいただいているのは、大橋ひろえさんの本『もう声なんかいらないと思った』を元にしたミュージカル『Call Me Hero』の模様です。Heroというのは、大橋ひろえさんの名前、ひろえ がアメリカでは発音しづらく、Heroと呼ばれていたことにちなんだタイトルですが、このミュージカル、聞こえない人、聞こえる人が一緒に作った作品だと言うお話がありました。ひろえさんに、旗揚げ公演を振り返っていただきました。

【大橋ひろえさんインタビュー】
(大橋ひろえさん)
初め 旗揚げ公演をやった時に聞こえる人と聞こえない人、一緒にやったんですが、聞こえる人たちは みーんな手話を全く知らない人たちだったんです。で、聞こえない人たちは やっぱり聞こえる人と一緒に仕事をする経験があんまりない人だったんですね。これをどうやって1つになっていくのかという この過程がものすごくいい勉強になりました。やっぱり最初は2つに分かれてたんですけども。やっぱり1つのものを作るためにはお互い必要なんですよ。必要だからじゃあ どうしたらいいかということで聞こえる人のほうが歩み寄り始めてから、「手話はどうやってやるの?」とかそういう会話から始まって。で、聞こえない人たちも、「聞こえる人はどういうふうに音を感じるの?」「この音は強いの? 弱いの? 速いの?教えて」というふうにお互いいいところをシェアできる現場がだんだん、だんだん大きくなっていって。それで 「Call Me Hero!」ができたんですよ。

曲  What A Wonderful World / Louis Armstrong


【板井麻衣子ナレーション】
ミュージカル「Call Me Hero」の中でも使われたナンバー、ルイ・アームストロング、「What A Wonderful World」でした。

J-WAVE SELECTION、ここからは、新宿ルミネゼロで開催中、音のない世界での対話をテーマにしたエンターテイメント「DIALOGUE IN SILENCE」について、総合プロデューサーの志村季世恵さん、そして、志村真介さんの言葉をまじえてご紹介していきます。

聞こえない人、聞こえる人が一緒にものづくりをする、という大橋ひろえさんのこれまでの活動とも深くリンクする部分がたくさんあるイベントなんじゃないかなと思いますが。あらためてご紹介しますと、「DIALOGUE IN SILENCE」は、音のない世界で、12人の参加者が、聴覚に障害があるアテンドスタッフの案内のもとさまざまな体験をし、コミュニケーションの方法、違いをのりこえていくこと、自分とは違う立場の人の気持ち、そうしたことを感じていく、というイベントです。

去年第一回が開催されたんですが、今年の第2回を前に、先月、杉並区の高円寺で、大橋ひろえさんが中心となって去年のアテンドスタッフや手話通訳のみなさんで「DIALOGUE IN SILENCE」の継続開催に向けたチャリティトークイベントがひらかれました。

登壇した志村真介さんから、アテンドスタッフのみなさんに、こんな質問が投げかけられました。

【トークイベントの様子】
(志村真介さん)
アテンドして、ご自身が変わったことは何ですか?

(アテンドスタッフ)
音がない世界で手話も使わないでコミュニケーションをする。その中で私たち同様聞こえない人の参加もありました。補聴器をずっとしていた人が補聴器もはずさなくてはいけない、手話も使えない、最後に補聴器をつけて、「あ、私は、補聴器がない世界でも大丈夫なんだ」って言ってくれた人がいたんです。今までは補聴器をとることに不安を持っていたんだけれど、って話してくれたんです。そのときの気持ちを聞いてすごく大事だと思いました。だから、聞こえる人 聞こえない人、関係なく一緒にいられる時間だと思いました。

(アテンドスタッフ)
お客様と一緒にサイレンスをやるなかで私の感じたことは魔法使いになった気持ち。みんながサイレンスに参加すると、自分も魔法が使える。人とコミュニケーションができる。心が開けなかったのが、素直に開ける。なので、これからも私は魔法使いとしてみなさんと一緒に遊びたいと思います。ぜひ来てください。

【板井麻衣子ナレーション】
「DIALOGUE IN SILENCE」のアテンドのみなさん、今夜は、大橋ひろえさんに注目していますが、ほかのみなさんも「DIALOGUE IN SILENCE」では、本当に豊かな表現力で、音のない世界でのコミュニケーションをうながしてくれるんですよね。ぜひ、みなさんにも体験していただきたいと思いますが、総合プロデューサー、志村季世恵さんは、アテンドスタッフのみなさんが、イベントを通してこんな風に変わっていくのではないかと考えています。

【志村季世恵さんコメント】
自分たちってほんとはすごい文化を持っているんだってことを感じられると思うんですね。マイノリティとされる方たちって、少数派だから障害って言われているかもしれないけど、そうではなく、いろんな自分の持ちうる力を全て使って生きていると思うんですね。それをポジティブにとらえなおすチャンスだと思っています。障害者だからできないことがたくさんある、ではなくて、障害者だからこそ、自分たちがつちかった文化を伝えてあげるよ、みたいな。そして、お互いの文化が交流できれば、もっといいことがあるんじゃないか、そんなことをきっと感じるんじゃないかなと思うんですね。

【板井麻衣子ナレーション】
聞こえない人が得意なコミュニケーションの方法。それは、顔の表情、手の動き、体全体を使った表現です。その豊かさ、そしてさらに、言葉を使わずにコミュニケーションをとることができる。そんな可能性を知るきっかけにもなる「DIALOGUE IN SILENCE」。総合プロデューサー、志村季世恵さん、そして志村真介さんに、「DIALOGUE IN SILENCE」の開催に込めた想いをうかがいました。

【志村季世恵さん、志村真介さんコメント】
(志村季世恵さん)
多様な方と出会える場があったらいいなと思っているんですね。私たちって何かと条件をつけがちで、例えば、英語ができないから英語圏の方とはしゃべれないんだとか、手話ができないから耳が聞こえない方とはしゃべれないんだとか、こうしないとできない、というところがあると思っていて、でもDIALOGUE IN SILENCEはそうではなくって、目と目を見合わせれば関係性をつくれて、おしゃべりもできてしまう、通じるんだ。誰とでも友達になれておしゃべりできる。そんなことを感じてもらえたらいいなと思っているんですね。

(志村真介さん)
自分も含めて、無表情なんですよね、自分たちって。でもコミュニケーションって感情を伝えることが大事で、身振りとか表情でもっと違うことが人には伝わると思うんですけど、でもどうしても無表情になる自分たちがあえて言葉を使わず、身振り素振りで感情を伝えていく。人って、言葉じゃなくても通じるんだというのは、すごい発見だと思います。

【板井麻衣子ナレーション】
アテンドスタッフ、大橋ひろえさんに、最後にこんな質問。「DIALOGUE IN SILENCEの魅力を教えてください」

【大橋ひろえさんコメント】
私ね、このサイレンスのプロジェクト、この流れが手話もない、声も出さない、赤ちゃんのような状態から始まってだんだん部屋がかわるにつれて、大人になっていくんですね。最後は、自分がどういう人か分かる、という流れになっているんです。その流れをつくることで、私は、もしかしたら、これは人間のリセットができているんじゃないかなと思うんです。コミュニケーションの。それまでは先入観があるなかで暮らしているわけじゃないですか。だけど、そこからサイレンスに参加することで人間のリセットができるんですね。それがサイレンスの素晴らしいところなんです。

【板井麻衣子ナレーション】
板井麻衣子がナビゲートしてきました、J-WAVE SELECTION SHIMIZU KENSETSU DIALOGUE IN SILENCE。新宿ルミネゼロで今日からスタートした「DIALOGUE IN SILENCE」。アテンドスタッフ 大橋ひろえさんのこれまでの歩みをたどりながら、「DIALOGUE IN SILENCE」の持つ意味、可能性、そこに込められたメッセージを考えてきました。「DIALOGUE IN SILENCE」は、8月26日までの開催となっていますので、ぜひお出かけください。

ひろえさんの言葉の中に“赤ちゃんのような状態から始まる”というのがありましたが、私もちょうど去年体験をし今娘が1歳半ぐらいになるんですけどちょうど言葉が出始めている頃で、確かに対娘とのコミュニケーションに通ずるなと。大人になるとそして ラジオの仕事をしているとついついなめらかな対話を求めがちなんかこうよどみなくスムーズなのがよいなんか そんな部分もあるんですけどもちろん それがコミュニケーションの楽しさっていう意味もあるんだけれどもでも対娘、共通言語がないでも伝えたい思いがここにあるっていう時に、どうにか工夫して何とか分かり合えたかもっていう時の喜びといったら。そういうプリミティブな原始的な喜びがとても便利な世界だからこそより大切に感じられるそんな印象なのでぜひ皆さんにも体験してみていただけたらなと思います。

  チケットのご予約は、「DIALOGUE IN SILENCE」のオフィシャルサイトからお願いします。
そして、今回、取材させていただいた、アテンドスタッフの大橋ひろえさん。ご協力ありがとうございました。

オープンにお話をたくさんしてくださいましたがひろえさん もちろん聴覚は聞こえない状態なんですけどその分 感覚がとても外に向いて開けている人だなという印象を受けて、なーんか彼女の前に座ると自分自身も素直にならざるを得ないなと。ウソはつけないな。みたいなそういう印象を受けた方でとってもステキなひろえさんでした。

最後に、「DIALOGUE IN SILENCE」の総合プロデューサー、志村季世恵さん、そして、志村真介さん、さらに、いつも、手話通訳としてひろえさんのそばにいらっしゃる樋口真弓さんにコメントをいただいています。質問は、「大橋ひろえさんは、どんな人ですか??」

【志村季世恵さん、志村真介さん、樋口真弓さんコメント】
(志村季世恵さん)
ダンサーであったり、俳優であったりとか、そしてそのまとめ役を担っていたりとか、アメリカにも行っていて、自分を高める努力もしていて、そういう風に知らない間に努力をしている。しかも、その努力が想像をこえていて、で、それを、彼女はこんな苦労をしていたとか、こんなつらい想いがあるとか、障害者のことを分かってくれないとか、そういうことをおくびにも出さないんですよね。全部ポジティブに伝えているんですね。

(志村真介さん)
なぜかすごいリーダーシップがあって。リーダーシップがある人って、きっと過去につらいことや耐えられないことを何らかでクリアした経験があると思うんです。その経験を元にして人に対する丁寧さ、優しさ、あったかさ、それが体全体から出ているんですよね。だから聞こえるとか聞こえないとかそういうことを飛びこえて、すごい人ですよね。

(板井麻衣子)
手話通訳を担当されている樋口さんにもひとつ質問をさせていただきたいんですけど、いつも大橋さんの手話通訳をされていて、どんな風に感じられていますか?

(樋口真弓さん)
大橋さんはものすごくエネルギッシュな女性、なんですよ。ですけれども、まわりの人にすごく細かい気配りができる、私にとっては太陽であり・・・

(板井麻衣子)
いま、ひろえさんが、そっと、「そんなことないよ」とおっしゃっていますが、そんな方だと思っています。

【板井麻衣子ナレーション】
太陽のような人。やさしく、あたたかく、ポジティブな人。想像をこえる努力をしてきた人。
「DIALOGUE IN SILENCE」でも、そのリーダーシップでチームを引っ張ります。

彼女のミュージカル『Call Me Hero』にちなんで女性ではありますが、大橋ひろえさんのことを、こう呼びたいと思います。彼女は、ヒーロー。太陽のように、人の心をあたため、未来を明るく照らしてくれる、私たちのヒーロー。