総合開館30周年記念 ペドロ・コスタ インナーヴィジョンズ
- 2025年08月28日(木) 〜 2025年12月07日(日)

総合開館30周年記念 ペドロ・コスタ インナーヴィジョンズ
東京都写真美術館では、ポルトガルを代表する映画監督ペドロ・コスタ(1959-)による、日本最大規模で、東京では初めてとなる美術館での個展を開催します。コスタは、2018年にポルトのセラルヴェス美術館で開催された「Companhia(コンパニア)」(ポルトガル語で「寄り添う」および「仲間」の意)展や、2022年から2023年にかけてスペイン各地を巡回した「The Song of Pedro Costa」展など、映画だけでなく展覧会という形式においても国際的に高い評価を受けてきました。
本展は、コスタが10代の頃に出会い深い影響を受けた、スティーヴィー・ワンダーのアルバム『インナーヴィジョンズ(Innervisions)』(1973)と同名のタイトルを掲げています。音楽を通して社会と個人の関係に迫ろうとしたこのアルバムの精神は、彼の映像制作の方法論とも深く響き合っています。
旧ポルトガル領アフリカのカーボ・ヴェルデから移住し、リスボンのスラム街フォンタイーニャス地区で暮らす女性の過酷な日常を映し出した『ヴァンダの部屋』(2000)は、日本では2004年に劇場公開され、新たなドキュメンタリー表現として、大きな反響を呼びました。このようにコスタの映画は、暗闇と光の強いコントラストと、静謐かつ緻密な画面構成のなかに、現実の断片をすくい上げ、社会構造に鋭く切り込み、新たな視座を提示してきました。
今回の展示では、ポルトガルで暮らすアフリカ系移民の歴史を照らし出した『ホース・マネー』(2014)など、コスタ作品において重要な役割を担う、ヴェントゥーラをはじめとする登場人物たちや、彼らが生きる場所に関わる映像作品に加え、東京都写真美術館のコレクションも紹介します。
コスタの映像表現とその背景にある歴史的・社会的文脈に触れることで、「インナーヴィジョンズ」という主題を考察していきます。
また、会期中には美術館1階ホールにて、コスタ自身が選定した映画を紹介する上映企画「カルトブランシュ」や、代表作の特別上映も予定されています。映画の持つ力とペドロ・コスタの映像世界の奥行きを、新たな角度から体験する貴重な機会となることでしょう。
ペドロ・コスタ
1959年、ポルトガル・リスボン生まれ。リスボン大学で歴史と文学を学び、映画学校では詩人・映画監督アントニオ・レイスに師事。1989年の長編デビュー作《血》がヴェネチア国際映画祭で注目を集め、その後《骨》(1997)や《ヴァンダの部屋》(2000)で国際的評価を確立。カンヌ国際映画祭やロカルノ国際映画祭など受賞歴多数。《ホース・マネー》(2014)でロカルノ国際映画祭最優秀監督賞を受賞。《ヴィタリナ》(2019)はロカルノで金豹賞を受賞。アントン・チェーホフの戯曲『三人姉妹』に着想を得て制作した短編ミュージカル映画《火の娘たち》(2023)は第76回カンヌ国際映画祭で特別招待作品として上映され、各国で高い評価を得ている。
- イベント名
- 総合開館30周年記念 ペドロ・コスタ インナーヴィジョンズ
- 開催日時
- 2025年8月28日(木)-12月7日(日)
休館日:毎週月曜日(月曜日が祝休日の場合は開館し、翌平日休館)
- 会場
- 東京都写真美術館 B1F展示室
- 料金
- 一般 800(640)円
学生 640(510)円
高校生・65歳以上 400(320)円
※( )は有料入場者20名以上の団体料金、当館映画鑑賞券提示者および各種会員割引料金。
※中学生以下および障害者手帳をお持ちの方とその介護者(2名まで)は無料。第3水曜日は65歳以上無料。
※学生、高校生・65歳以上の方、各種お手帳をお持ちの方は、いずれも証明できるものをご提示ください。
※各種割引の詳細はご利用案内をご参照ください。
※各種割引の併用はできません。
- 後援
- J-WAVE
- 備考
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公式ページ