2010/1/22 「サロン・デュ・ショコラ」のHidden Story

今週は、毎年この時期に開催されるチョコレートの祭典。
今年は、およそ70ものブランドが出店する「サロン・デュ・ショコラ」のHidden Story。

フランス、パリの秋。
チョコレート職人=ショコラティエが一同に会し、自慢のチョコレートを披露します。 それが、「サロン・デュ・ショコラ」。
日本でも、2003年から伊勢丹が毎年この時期に開催。
大きな人気を博しています。

こちらのイベントは、フランスのパリで90年代からやっているイベントなんですね。 それが成功しているという話は聞いていて、日本ではまだチョコレートというものが、チョコレートという名前ではよく知られていましたが、フランスに実際行ってみると、少し違うステージにあることが分かったんですよ。 嗜好品というところで、子どものお菓子ではない、嗜好品であるということを我々も発見して、だったら、一番たくさんのチョコレートが集まるサロン・デュ・ショコラというイベントを開催できないかなと思ったんですね。

そう語るのは、伊勢丹での第一回開催のときからイベントに携わる上野奈央さん。
当時、「ショコラ」という言葉は、耳馴染みのないものでした。
そんな日本に、フランスから一流のショコラティエを招聘する。
これはそう簡単なことではありませんでした。  

本当に初めは、海千山千のところから始まるわけですよね。

フランスに行くと、たくさんチョコレート屋さんはありますから。
それはパリに行ってもたくさんありますし、パリ以外の街、どこに行ってもたくさんあるわけですね。
そのなかで日本のお客様が好きなのはどこだろう?とか、フランスのショコラティエの世界におけるトップはどこなんだろう?と、探しまわるところから始まっています。 それはもう足でかせぐ以外の何ものでもなくて。

例えば、我々は出張に年に2〜3回行くんですが、だいたい12日間くらい行くんです。
その中で20ブランドくらいを訪ねるわけです。

その中で、1ブランドにつき20〜30個のチョコレートを試食させていただいて帰ってくるわけですが、そのくらい足を使って、舌も使って、胃袋も使って、それで「こういうチョコレートがおいしいし紹介したい」というところに行き着く訳ですね。
それではじめて交渉の場に持って来て、これを輸入させてほしい、ショコラティエの方には来日してほしい、と交渉するんですね。


フランス出張の間、1日に食べるチョコレートは60種類以上。
毎日、職人さんの門をたたいて、交渉にのぞみます。
なかには、こんなショコラティエも。。。。

向こうのショコラティエさんというのは、日本でいう人間国宝の方ですとか、職人のトップの方が多いんですね。

例えば、今年来るショコラティエさんは、いきなり20種類くらいをど〜んと出してくるわけですね、何も言わずに。
一粒出していただいて、私がいただくと、「これは何の味だ?」。 シーンとするわけですよ。
私も本当に頭を使って「バニラですね」。「じゃあ、これは?」「ミントですね」。 なかには難しいのがあるんですよ。
トンカマメっていうスパイスの一種なんですけど、そういうものが出てくるわけですよ。
「トンカ?」って自信なさげに言うと、「うん、そうだ」。
「これだけ分かるんだったらキミに売ってあげてもいいや」っていうような感じになってくるんですね。


伊勢丹が開催するチョコレートの祭典「サロン・デュ・ショコラ」。
集まるのは、一筋縄ではいかない腕利きの職人さんばかり。
バイヤーの上野奈央さんいわく、「開催までの道のりは、難しいことだらけ」。



それこそ、フランスでは第一人者の集まりなので、主張が強い部分があります。
例えば、隣りのお店はまっ黄色にしたい、隣りはまっ緑にしたい。
でもそうするとハレーションを起こすこともあるわけですよ。
そうしたときの調整はどうするのか?

装飾1個1個、買い方1個1個、かなり長時間の話し合いが必要になります。
もちろん、出張時に全部つぶしていきます。
だから、他の催事をやる場合は図面と言ってラフ図で確認してもらうんですけど、サロン・デュ・ショコラの場合は、立面図を作って、それに色も塗って、材質も指定して、これでいいですか、という承認までとります。
そこまで話し込んでやっと完成するという形なので、本当に1年間、2年間、エターナルにやるようなお店を作るような作業が必要なんです。


百貨店を改装するのと同じくらいのレベルで6日間のためだけの店舗作りが進められます。

フランスにチョコレートの買い付けで出張。
それは羨望のまなざしを浴びる仕事ですが、でも、そこには、とてつもない移動距離と、果てしない交渉と、いくつもの決断が待っています。
毎年、そんな壁にぶつかりながら、それでも日本の人々に伝えたいこと。
上野奈央さんの言葉です。

チョコレートというアイテムが、他のお菓子とちょっと違うアイテムだなと思っています。 要素がたくさんあるんですね、チョコレートって。

カカオ豆っていうものが、実際にはフルーツのような甘いものなんですが、それが加工するまで、チョコレートという苦いものになるまでの過程って、これは奇跡のようなものだと思っているんですよ。

これは中南米やアフリカで行われている作業ですが、それをヨーロッパ、日本、アメリカのショコラティエさんが、そこにクリームを入れたり、スパイスを入れたり、フルーツを入れることによって、全然違うものに生まれ変わって行く。
それと本当にひとつの工程のひとつのさじ加減で、素晴らしい物にもなれば、特徴のない物にもなる。
単なる茶色の丸や四角ですが、その中に、すごくたくさんの人の努力であったり、すごくいろんな人の選択、決断が全部集約されているものなんですね。


それは、単に、四角い粒、あるいは丸い粒ではない。
そこには、歴史が育んだ技、そして、連綿と続く努力、さらに、ショコラティエの一瞬の決断が詰まっているのです。

サロン・デュ・ショコラ。今年は、およそ70のブランドが集結。
伊勢丹新宿店で、1月27日に開幕します。
   
さて、今年も開催が近づいていますが、出店予定の中から特に注目の1軒。
バイヤーの上野奈央さんに教えていただきました。

今回初来日されるショコラティエ、3名いらっしゃいますが、特に、ジャック・ジュナンさんという方をおすすめしたいんですね。 パリのマレ地区に2008年にお店を開いた方なんですが、とても繊細な素晴らしいチョコレートを作る方です。

普通のボンボンショコラは10グラムくらいあるんですが、この方は5グラムなんですよ。なんでそうなっているかというと、口にいれたときに、小さいので溶けるスピードは速いんですね。
そうするとあまりかまないですむ。 すると、香りがダイレクトに鼻を抜けて行く。
だから、香りを感じやすいショコラなんですね。

どうですか? 口の中ですぐ溶けて、香りが鼻を抜けて行く。
ジャック・ジュナンさん。。。 これはチェックじゃないですか!

ちなみに、「男性のお客さんも多いそうなので、女性だけでなく男性の方も気軽にお越し下さい」とのことでした。
サロン・デュ・ショコラは、伊勢丹新宿店で1月27日から2月1日までの開催です。

» サロン・デュ・ショコラ