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『わたし、定時で帰ります。』は、どう生まれた? 原作者・朱野帰子に聞く

画像素材:PIXTA

『わたし、定時で帰ります。』は、どう生まれた? 原作者・朱野帰子に聞く

J-WAVEで放送中の番組『TOPPAN FUTURISM』(ナビゲーター:小川和也・南沢奈央)。7月7日(日)のオンエアでは、話題の人気テレビドラマ『わたし、定時で帰ります。』の原作者、朱野帰子(あけの かえるこ)さんをゲストに迎え、「定時で帰る働き方」をテーマに考えました。


■働き方が両極端なふたつの会社を経験

朱野さんはもともと、マーケティング会社で働いていました。繁忙期には長時間労働が多かったと言います。

朱野:「長時間労働が楽しい」と陶酔するタイプの人が多く、いざ仕事が多くなると一気にブラック企業になってしまうという感じでした。私もいつ忙しくなるかわからないから、自分で自分の時間をハンドリングできない時間が長くて、体調を壊したり、睡眠障害になったりがたまにありました。

「猛烈に働けば結果が出る」という意識の延長線上で不況に陥った日本社会。結果が出ないまま無謀な仕事を繰り返しやっていく時代だったと振り返ります。

朱野:傷の自慢をする傾向にあり、どれだけ徹夜したとか、何回倒れたとか、それがカッコいいというマインドに酔っていました。

その後、朱野さんは定時で帰ることが当たり前の食品会社に転職します。

朱野:「この状況はまずい」「いつまでもこんなことをしていられない」と転職しました。もともと小説を書きたかったので、転職後はできれば定時で帰れる会社に行きたいと思ってはいたけれど、それにしてもホワイトな働き方をする会社で、最初はすごく戸惑いました。
小川:両極な働き方をする会社の経験があったから、それを小説の題材にしようと思ったんですか?
朱野:当時は会社員の話がネタになるなんて全く考えていませんでした。ただ、会社員時代に、全く異世界の物語も楽しいんだけど、自分と同じ境遇の人の話を読みたい、同僚と飲み会で話すような感じで書きたい、という思いがありました。そういったリアルな仕事ものの物語やドラマは日本になかったのでそういう気持ちと、1社目から2社目に移って受けたカルチャーショックをもとに小説を書いたら面白がってくれる人がいるんじゃないかなと思ったことがきっかけでした。

このような経緯で、小説『わたし、定時で帰ります。』(新潮社)が生まれました。

南沢:「そういう人っているよね!」と思わせるキャラクターがたくさん出てきますよね。
朱野:そうですね。仕事を絶対に休まない同僚や、「ブラックになったらすぐ辞める」と話す新人、赤字案件を取って来て、部下を死ぬまで働かせて帳尻を合わせようとする上司など、どこにでもたくさんいそうな人が登場します。
南沢:この小説はドラマ化もされて、共感する視聴者も多いようですね。
朱野:「全ての登場人物がうちの会社にいる」とか「自分も仕事を絶対に休まないキャラクターそのもの」とか。私のまわりから拾ってきたキャラクターだし、自分の中にいるキャラクターなので、その部分を共感してもらえたのかなと思っています。

いま注目を浴びる、定時に帰る働き方。朱野さんは、経営者には、「持続可能な働き方」の設計を目指してほしいと語ります。

朱野:長時間労働で突っ走れるのは、若いときなど、特定の条件がそろわないとできません。でも今は、70歳まで働かなくてはいけない時代です。あまり息切れして消耗することなく持続可能な感じで働きたい。経営者には、そういう視点で頭を使ってもらいたいと思っています。

■定時で帰るためには…

最後に、「定時で帰る働き方」のカギは、そのままズバリ「定時に帰ること」だと朱野さん。

朱野:よく「仕事が終わらないから定時で帰れない」という意見があり、私も会社員時代はそう考えていましたが、仕事が終わることは永遠にないと思います。だから「定時に帰る」と決めて、そこから逆算して仕事を組み立てていく。そうすれば「この仕事はいらないな」とか「やり方を変えなきゃいけないな」とか、「上司や取引先との付き合い方を考える必要がある」など、そういう考えになっていくと思います。

「短時間で成果を出すことはビジネスの基本」とし、そういう意識で頑張るしかない……と朱野さんは話しました。皆さんも、ぜひ『わたし、定時で帰ります。』を読んで、自分の働き方を見つめてみてはいかがでしょうか。

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【番組情報】
番組名:『TOPPAN FUTURISM』
放送日時:毎週日曜 21時-21時54分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/futurism/

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