身近な人に「LGBTをカミングアウト」されたら、どうすればいい?

2019年03月14日

ゲイであることを同級生に暴露(アウティング)された男子大学生が大学の校舎から転落死した「一橋大学アウティング事件」について、亡くなった男子大学生と同じ一橋大学出身で、ゲイを公表している認定特定非営利活動法人 グッド・エイジング・エールズの代表・松中 権さんと考えました。アウティングとは、本人の了解を得ずに、公にしていない性的指向や性同一性などの秘密を暴露することです。

【3月13日(水)のオンエア:『JAM THE WORLD』の「UP CLOSE」(ナビゲーター:グローバー/水曜担当ニュースアドバイザー:安田菜津紀)】 http://radiko.jp/#!/ts/FMJ/20190313202139


■LGBTにとっての「アウティング」の怖さ

2015年4月、一橋大学の法科大学院に通っていた男子学生Aさんがクラスメイトの男性BにLINEで交際を申し込みました。Bさんは「付き合うことはできないけれど、これからも良き友だちでいてほしい」という旨を返事。しかし、2015年6月になってBさんは、いろいろな人が参加するグループLINEに、Aさんがゲイであることをアウティング。Aさんは心身に不調をきたし、2015年8月に大学校舎の6階から転落死しました。

この事件を聞いたときのことを、松中さんは「自分のことのように感じてしまい、全身の血が引いた」と振り返ります。

松中:LGBTの当事者にとって、自分のセクシュアリティはセンシティブなことです。いろいろな差別や偏見もあります。望まないかたちでバレてしまい、仲よく築いてきた友人関係などが一気に崩れ、居場所がなくなり、ひとりになってしまうこともある。本当にアウティングは怖いものだと思います。
安田:社会状況は少しずつ変わってきてはいますが、いまだにカミングアウトのハードルが高いと感じる人は多いのでしょうか?
松中:誰もが自分のまわりの人たちと仲よく過ごしたいという気持ちがあります。仲のよい人だからこそ、その人が偏見や差別を持っていると、カミングアウトしたときに良好な関係が作れないと感じてしまう。その場合は、隠した状態で良好な関係を築いていきたいと思ってしまうケースがあります。


■「アウティングされた」相談に、大学の対応は適切だったのか

一橋大学アウティング事件では、亡くなったAさんの遺族が「アウティングの被害を受けたあとの対応が不十分だった」として、大学側を提訴しました。

Aさんはアウティングされたことについて、担当教官などに相談をしましたが、「当事者同士の問題だから自分たちで解決しなさい」と悩みを聞いてもらえず、クラス替えの提案などにも掛け合ってもらえませんでした。大学内の健康センターに相談するも、そこで紹介されたのはゲイではなく、トランスジェンダーの人たちを多く診ている診療所でした。

しかし、遺族側の訴えは東京地方裁判所で2月に棄却。傍聴席でこの判決を聞いた松中さんは、この内容をどう捉えているのでしょうか。

松中:人が命を落とすことが起きているのになぜ棄却なのかと、頭が真っ白になる感覚でした。原告は、「アウティングに関することがどれだけ重要だったのか、当事者にとって性的指向を知られることがどれだけ重要なことなのかを、大学側が把握していなかった」と訴えていたのですが、裁判所は深掘りせず、「大学は適切な対応をしたのではないか」というだけで、判決が終わってしまいました。
安田:アウティングの危険性に、大学がどんな意識を持っていたのか、あるいはなぜ持てなかったのか、ということが掘り下げられなかったということですね?
松中:そうです。本来なら、大学側は学生や教職員などそこにいる全ての人が自分らしく安心して過ごせる学びの場を作ることが役割だと思いますが、そこには触れられていませんでした。


■もし、身近な人にカミングアウトされたら?

では、身近な人から「レズビアンだ」「ゲイだ」などとカミングアウトされたときに、どのような受け止め方が望ましいのでしょうか。

松中:「この人だったら大丈夫だ」と思って一対一でカミングアウトをしている場合が多いと思うので、「大事なことを伝えてくれてありがとう」など、素直に受けとめてもらうことが大切です。ただ、カミングアウトする側も「相手はビックリするだろうな」と思っている部分もあるので、無理に「伝えてくれてありがとう!」と熱く語らなくても「ちょっとビックリした」と伝えてもいいかなと思います。

また、「何か手伝えることがあるか」「何かあったら言って」などと伝えることもよく、カミングアウトされた瞬間だけではなく、そのあと対話を続けてほしいと松中さんは話しました。


■アウティングが人生を傷つけてしまうと知ることが重要

筑波大学は昨年の3月、故意や悪意によるアウティングをハラスメントとして対処していくことを決め、4月には東京都国立市が全国ではじめてアウティングの禁止を盛り込んだ条例を施行するといった動きがでています。今後、アウティングのない社会にするために、私たちは何をするべきでしょうか。

松中:筑波大学や国立市のようにアウティングがひとりの人生を傷つけてしまい、そのあとの生き方に関わることだと知ることが大事です。LGBTに関する取り決めや方針のひとつとして、アウティングを加えることは非常に重要だと思います。加えて、アウティングが起きてしまったあとに、どのような体制でサポートができるのか。当人同士では解決できない可能性が高く、カミングアウトした側はもちろん、アウティングした側も安心して相談できる場所も必要だと思います。

松中さんが代表を務め、「LGBTと、いろんな人が、いっしょに楽しめる未来へ」というコンセプトを掲げる認定特定非営利活動法人 グッド・エイジング・エールズの活動もぜひご覧ください。

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