トランプ大統領就任から2年、支持者たちの今に迫る

2019年01月31日

J-WAVEで放送中の番組『JAM THE WORLD』(ナビゲーター:グローバー)のワンコーナー「UP CLOSE」。1月29日(火)のオンエアでは、火曜日のニュース・スーパーバイザーを務める青木 理が登場。朝日新聞ニューヨーク特派員の金成隆一さんと電話をつなぎ、トランプ大統領の支持者たちの今を訊きました。


■政治不信から何か新鮮なものを求めていた

2016年のアメリカ大統領選挙の震源地となった、アメリカ中西部の「ラストベルト(錆びついた工業地帯)」でトランプ支持者たちの取材を続けている金成さん。昨年には『記者、ラストベルトに住む−トランプ王国、冷めぬ熱狂』(朝日新聞出版)を上梓しました。

金成さんは実際に、ラストベルト地帯である製造業と製鉄業が盛んだった労働者の街・オハイオ州ウォーレンにアパートを借りて、3カ月ほど生活しながら取材をしました。

この街では「このままいくと自分は良くても、自分の息子世代は自分たちのような暮らしができないんじゃないかと」と不安に襲われている人が多いと金成さん。とはいえ、今でも家に行けば十分に裕福な暮らしが垣間見え、まだまだミドルクラスで余裕があると感じるとも話しました。

青木:世界から見るとトランプ政権は、ポピュリストである種の排外主義で政治経験がなく、アメリカのメジャーメディアは「アメリカ政治をめちゃくちゃにするんじゃないか」と批判しています。そんななか、金成さんの本を読むと、オハイオ州などラストベルトにいるトランプ支持者はごく普通の善良なアメリカ人という印象を受けます。
金成:そうですね。取材を受けてくれる人たちは、「これまできちんと朝から働いて週6日、時には週7日と働いてきた」という勤労者が多かったですね。

もともと金成さんの取材地域は、労働者層の色が強い民主党支持が当たり前。「親もずっと民主党だから自分も」という人が大多数でした。それが今や、お金持ち層の色が強い共和党を支持するようになったといいます。

青木:ヒラリー・クリントンが象徴的なのかもしれませんが、これまで民主党を支持してきたけど、きれいごとだけで何もしてくれないという不満が積もり、トランプ支持に移っていったわけですよね。極論、それだとトランプでなくてもよかったのでしょうか。
金成:何か新鮮なものを求めていたことは間違いないですね。長年、政治家をやっていた人、たとえばヒラリー・クリントンは上院議員もやって国務長官もやってきたけど、大統領になって突然変化をもたらせるのか、という疑問が生まれてしまう。ヒラリー・クリントンに限らず、次の大統領選挙に向けてオバマ政権時代の副大統領だった民主党のバイデンの名前もあがっていますが、彼もいざ出馬したら、ヒラリー・クリントンと同じような目を向けられ、選挙に勝つことは難しいのではないかという指摘も出ています。

続けて、「長年の政治不信がトランプ大統領の誕生につながった」と金成さん。

金成:トランプは、普通の政治家だとなかなか言い切れないことを堂々と繰り返し言い続けたので、面白そうじゃないかと。「彼はビジネスマンだし、常識のある人間に大統領をやらせると、どうしても分かりやすい場所に落ち着いてしまう。でも、トランプくらいむちゃくちゃな人間だと、常識を振り切ってでも何か変化をもたらしてくれるだろう」という願望のようなものも感じます。


■中間選挙の取材で感じたトランプ支持者の変化

金成さんが取材を続けているオハイオ州ウォーレンの人たちは、2年が経ったトランプ政権をどう捉えているのでしょうか。

金成:ニューヨークに戻ると、トランプ政権に批判的な人が多くて、テレビを付ければトランプ政権の問題点を指摘する番組がほとんどです。そうすると私もそう思ってくるんですが、いざウォーレンに戻ると、現地の人たちはそこまで全てのニュースをフォローしているわけでもないので、むしろ「これだけ批判を受けても平然と、彼は私たちに約束したことを実現しようと頑張っているじゃないか」と言う声があります。でも中には「やっぱりトランプはめちゃくちゃだった」と心が離れている人もいます。
青木:ロシア疑惑や人種差別的・性差別的な発言など、トランプ政権の問題点を、現地の人はあまり感じていないということですか?
金成:おそらくみなさんが思うほど、深刻に受けとめていないと思います。そもそも「彼なら人種差別的・性差別的な発言はするだろう」と、モラル上のリーダーとして期待されていないという側面もあります。

金成さんは「地域によってトランプ政権の支持・不支持の流れは違うという状況はあまり変わっていない」としながらも、中間選挙の取材を通してあることを感じたといいます。

金成:地方都市周辺の郊外に住む、比較的所得が高い、とはいえそこまで政治に関心があるわけでもないような層が、トランプ政権に飽きはじめている気がします。最初は「新鮮な人だから、こういう人にやらせてみよう」と投票をしたわけですけど、もう2年が経ち新鮮ではなくなってしまった。そういった考えからトランプ政権を厳しい目で見始めるようになり、少し風向きが変わってきたと感じています。

1月20日で4年間の任期の後半に入ったトランプ政権。ラストベルトの支持者たちにどのような変化が訪れるのか。ぜひ金成さんの『記者、ラストベルトに住む−トランプ王国、冷めぬ熱狂』も手に取ってみてください。

次週2月5日(火)の「UP CLOSE」は『銃』『教団X』などの作品で知られ、近年、社会問題に対しても積極的に意見を発信している芥川賞作家の中村文則さんが登場。今の日本、今後の日本について、青木と徹底議論します。どうぞお聴き逃しなく!

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【番組情報】
番組名:『JAM THE WORLD』
放送日時:月・火・水・木曜 19時−21時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld
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