自動運転技術を専門家が語る! 未来の車と人間は共存できるのか?

2018年12月27日

J-WAVEで放送中の番組『BRIDGESTONE DRIVE TO THE FUTURE』(ナビゲーター:ピストン西沢・松嶋初音)。12月23日(日)のオンエアでは、交通コメンテーターの西村直人さんをお迎えし、自動運転の未来について伺いました。


■自動運転の3つの枠組み

西村さんによると、自動運転は次の3つの枠組みに分かれるそうです。

西村:1つ目は乗用車。2つ目はトラック、バスなどの商用車、3つ目は公共交通機関、カーシェアリングといった“MaaS”(Mobility as a Service:マース)です。日本だけではなく世界中で、この3つの領域で進んでいきます。乗用車は、ACC(アダプティブ・クルーズ・ コントロール)やレーンキープといった先進安全技術のレベルが、どんどん上がっていって使いやすくなります。
西沢:人間がやることが少なくなっていくというわけですね。
西村:長距離運転でも体の疲労が少なくなったり、渋滞が少し減るという効果も実際にみられています。
西沢:渋滞は減るんですか?
西村:坂道での“サグ渋滞”って聞いたことあります? 上り坂になった時に、後ろの車との距離がどんどん開いて渋滞になってしまいます。
西沢:スピードが落ちるんですよね。
西村:例えばACCがあると、坂道でも勝手にアクセルを踏んでくれます。首都高速の羽田空港の周辺に緩やかな坂道があり、そこでは昨年までカーナビに「ACCで実証実験をやっているので、ついてる車はスイッチをオンにしてください」という表示が出ていました。実際に渋滞削減効果のデータがとれています。


■“カルガモ走行”が現実化

自動運転技術の発展により、商用車にはどんな変化が訪れるのでしょうか。

西村:大きくトラックとバスに分かれていて、共通しているのはACCやレーンキープがつくということ。面白いのは大型トラックで高速道路上に限定されますが、カルガモ走行が2020年以降に行われます。
西沢:今の技術だとついていけますよね?
西村:ACCやレーンキープがあるとついていけますが、じわっと加速したり、もっと俊敏に動いてほしいと思いませんか?
西沢:車が間に入ってきちゃったり。
西村:そこに通信技術を入れようとしています。前の車がアクセルを踏むと、その情報が瞬時に後ろの車、さらに後ろの車にも流れるので、電車のようにずっとついていけるわけです。
西沢:カルガモ走行では、後ろの車には人間は乗っているんですか?
西村:しばらくの間は2台目、3台目にもドライバーが必要ですが、日本政府は2025年以降、具体的には30年以降になると思いますが、ドライバー無しでも一定区間の高速道路ならOKということを目指して開発しています。
西沢:“ドライバー不足”といわれてる中では、大きな武器になりますね。
西村:とても大きいです。おしなべてドライバーの方は高齢なんです。
西沢:おまけに仕事時間が長いし、きついですよね。車にずっと乗ってなければならず、運転していい時間も決まってるということは物流にとって切り札ですよね。
西村:さらに、運転手がいる状態でもこの技術が入るだけで、ドライバーは少し楽ができます。高速道路を走っている間に、これまでだったら事務所に戻ってから事務処理していたものを、社内でタブレットを使ってできたりします。
西沢:手を離していいわけですからね。
西村:そういうのを“サブタスク”といいますが、それができることになるのも自動運転技術があるから、ということです。
西沢:なるほど!


■技術をどう使いこなすか

MaaSについてもお訊きしました。

西村:公共交通機関、路線バスやタクシー、カーシェアリングの車の領域にも、自動運転がどんどん入り込んできます。
西沢:具体的には、どんなことになるんですか?
西村:例えば、今はさまざまなタクシー配車アプリがありますよね。それにUberからもう1歩進んで、ドライバーがいない車も呼べたりします。指定の時間に指定の場所に来てくれて、目的地までスマホで登録しておくとそのまま行ってくれるという。今はその技術ができた、というところです。技術はできたけど、使いこなすにはどうしたらいいか、という問題があります。
西沢:自動運転の中には、ドローンでの配達も領域として入ってくるんですか?
西村:4年前にドイツで取材をしてきましたが、実際に荷物を積んで、さらにドローンも積んで、配達の拠点に行きます。半径5キロにお客さんがいて、そこからドローンで運んでいくというのをプランニングしている会社もあります。
西沢:中国の農村部では、既にドローンでの配達は行っているようですね。中国はよくも悪くも規制が甘いということに尽きるんですかね?
西村:やってみるといろいろと蓄積が出てくるので、僕は中国のこの先はすごく注目しています。
西沢:自動運転に関しても同じですか?
西村:中国は電動化が進んでいると言われていますが、自動化に関してもある街を自動運転の街として、2年前から国の主導でテストをしています。信号機、家の駐車場など、何から何までネット回線でつなぎます。ただし、ネットに依存すると何かあった時に対応できません。ですので、アナログの状況もわかった上で、デジタルを使いこなせないといけない。つまり、自動運転も自分で運転する能力がないと使いこなせないですね。
西沢:自動運転の怖いところとして、ハッキングの問題がありますよね?
西村:世界中でタッグを組んで、セキュリティを強化しようということを、2014年からしっかりと枠組みを組んでやっています。ただ、セキュリティガードを作っている、ということを外に出したら、それをハッキングするものが開発されるため、表に出されていません。
西沢:テロにもつながってきますよね。無人で走っているタンクローリーを、どこかの国の官邸に突っ込ませるとか。
西村:人が作ったプログラムだから“絶対”という状況はないと思うんです。それをどうしていくかというのも、これから考えないといけないところです。
西沢:今までは車というものが、オイルメーカーやダンパー、ゴムやそういった物だけに囲まれていたものが、未知の領域まで囲まれてるっていうことですね?
西村:目に見えないものと繋がることで、我々を守ってくれる技術もあるんです。D-Call Netといって、車がぶつかった時に車についたセンサーが衝撃の強さを計算するんです。運転席に座ってるのか、助手席に座ってるのか、当たった速度、ベルトはしていたか、そういった情報が瞬時にセンサーに流れて「危ない事故だ」となると、すぐにドクターヘリを手配するんです。これはトヨタとホンダの車に搭載されています。これも、自動運転の技術があるからできるんです。知らない間に、我々の周りは自動運転の技術で少しずつ埋められてきいます。
西沢:今までは、例えばエアバックが開くと、救急から電話がかかってくるというのはありましたけど。
西村:今は車がぶつかった瞬間に判断されるので、救命率が上がります。治療開始まで17分ほど短くなるというデータがあるんです。


■自動運転を駆使した便利なサービスも

自動運転の中で重要なのは、カメラやレーダー、地図情報などと西沢は話します。そのほか、自動運転で重要になってくることは……。

西村:あとは、周辺の情報を車に送り込むこと。例えば、この建物のここに柱があるとか、よくここから人が出てくるといった情報を、電子地図の上に乗せていくことも必要です。
西沢:それを作っていくのは、今までの自動車メーカーではないですよね?
西村:自動車メーカーは「こういう要望があるよ」と、部品を供給してくれるサプライヤーさんの方々と一緒になって作っていく、ということだと思います。
西沢:自動運転のベンチャー企業がたくさんありますよね?
西村:こちらも日本だけでなく、世界中にあります。あるセンサーに特化したベンチャーがあったり、車そのものを作り出すことに長けているメーカーもあります。ドイツの場合は国をあげて自動車産業を下支えしようということで、大学に対するリクルーティングもやっています。実証実験もかなり進んでいて、例えばメルセデス・ベンツとボッシュは協業して、目的地に行ったら勝手に車を入れてくれて、スマホで操作すると入口まで持ってきてくれるということを自動でおこなう実験もしています。
西沢:これは便利ですよね。チップもいらないし。


■タイヤに求められること

それでは、タイヤは何か新しい展開はあるのでしょうか。こちらについてもお訊きしました。

西村:今まで専用タイヤは聞いたことがなかったんですけど、この先はできてくると、さまざまなメーカーで言われています。自動車メーカーも要望を出してるみたいです。どんな要望なのかというと、ステアフィールらしいんです。
西沢:大事ですよね。
西村:自動運転は、機械がハンドルを司るから、すごく乗り心地がいいとか、緊急時はよく止まるとか、タイヤが全然減らないとか、ものすごく特徴のあるタイヤが求められます。
西沢:ファン的な要素はいらなくなるんですね?
西村:絶対にパンクしないけど、めちゃめちゃ乗り心地がいいとか、そのかわりすごく重いとか。スポーツカーで重いタイヤはNGですけど。
西沢:なるほど! さまざまなものに特化していくわけですね。


■人と車の共存

人間が運転する車と自動運転と、どう共存していくのでしょうか?

西村:“自動運転”というと、機械が100パーセントやると考えがちです。僕もしばらくそう思っていましたが、どうやらそうでもないらしいんです。日本でも二輪車を含めて9千万台くらい車がありますが、そういう車の動きを読み取って協調しながら運転するのが自動運転のあり方ではないかと。つまり、周りを見て空気を読みながら自動運転をしていくというのが、現実的な自動運転の開発だと言われています。
西沢:通信ができるということでいうと、ブレーキランプを見てからブレーキを踏んでも間に合わないものも、相手のブレーキをこちらのブレーキが察する機能が、人間が運転しててもできるんだったら安全ですよね。
西村:混雑したところだと、Bluetoothのスイッチがオンになってる場合は、自動運転の車の周囲500メートルのどの方向に人がいるかが分かります。そこに子どもがいるとなると、「道路に飛び出すかもしれない」と人工知能が考えたりするわけです。さまざまなシミュレーションをしながら安全に運転していくのが自動運転の車ですが、我々は第六感を働かせながら「誰かが飛び出してくるかもしれない」と思ってブレーキに足を乗せて運転する。いずれにしても、“事故を減らしてスムーズに運転していきましょう”というのが、自動運転の狙いです。

オンエアではその他、2019年のモーターショーの注目ポイントについてもお届けしました。

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【番組情報】
番組名:『BRIDGESTONE DRIVE TO THE FUTURE』
放送日時:毎週日曜 19時−19時54分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/drivetothefuture/
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