『カメ止め』上田監督、ホームレス時代も!?「あやしいビジネスにそそのかされて…」

2018年12月21日

J-WAVEで放送中の番組『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』(ナビゲーター:別所哲也)のワンコーナー「ZOJIRUSHI MORNING INSIGHT」。12月18日(火)のオンエアでは、『カメラを止めるな!』の監督・上田慎一郎さんが登場。同作がヒットするまでの衝撃の過去や、次回作について語りました。


■「今の心境」を確かめる暇もなく動いた1年

『カメラを止めるな!』は、わずか300万円の制作費、最初は2館からの上映スタートでしたが、口コミで評判が広がり、今や興行収入が30億円突破という空前の大ヒットに。その理由を、自身ではどう分析しているのでしょうか。

上田:作品そのものも自信を持ってお届けしましたけども、作品をめぐる“外の物語”も含めて観ていただいたのもあるかもしれないですね。無名の俳優たちと新人の監督が低予算で作った、という。また、100日以上にわたって、一日も欠かさず舞台挨拶とかをしていたこととか。
別所:SNSも駆使されていましたよね。
上田:宣伝費がございませんでしたので……(笑)、できることと言えば、自分たちでビラを配ったり、SNSで発信をしたりということだったので。
別所:そしてこうやって、2018年、平成最後を彩るヒットになりましたね。

上田監督に“今年の漢字”を書いてもらったところ、別所と同じ「動」でした。

上田:偶然ですね! 別所さんは、なぜ「動」なんですか?
別所:激動の時代だったなと。僕自身も動きがあったけど、暴動などの世界情勢も含めて「動」だったなと。上田監督はなぜ?
上田:僕は『カメラを止めるな!』一色の1年だったので、「止」にしようかと思ったんですけど、それだと止まっている感じがするので。カメラを止めないと言ってますけど、僕自身も止まらない1年だったので。よく「今の心境は?」と訊かれるんですが、心境を確かめる暇もなく動いています。こうやってラジオにも出させていただいて。動いて動いて動いた1年でした。


■あやしいビジネスで借金!? 『カメ止め』以前の人生

上田さんが今のヒットに恵まれるまでの道のりは、平坦ではありませんでした。ホームレスだった時代もある、と話します。

別所:映画監督になるためにヒッチハイクで上京したって本当ですか?
上田:そうです(笑)。単純にお金がなかったので……大阪から。
別所:人生、波乱万丈だったと聞きました。
上田:中学生の頃からハンディカムで映画を撮り始めたりしたんですけど、20歳から24歳くらいまで、まったく撮ってなくて。ちょっとあやしいビジネスにそそのかされて借金をしたり……。
別所:あら。つらい……。
上田:家も友だちも失って、代々木公園でホームレスをしていた時期もありました。22、23歳くらいですかね。ホームレスをしたあと、24歳のときに書いた小説を出版したんですが、それも出すときにお金が必要で、また借金をしたんですけど、当時はまったく売れず。借金と在庫の山だけが残って。そのあと、映画に集中し始めて、短編を作り始めて。
別所:そして、今に至ると……今、何歳でしたっけ?
上田:34歳です。10年は映画をひたすら作り続けてきました。

別所は「いやあ―……」「そうですか……」と痛ましげに相槌を打ちましたが、上田監督はたんたんと明るくトーク。“修羅場をくぐってきた感”が漂っていました。

ここまでのヒットになると、気になるのはお金のこと。別所が「ぶっちゃけ、『カメ止め』のヒットでどのくらい手元に入ったんですか?」と訊ねると……。

上田:興行収入に関しては僕には入ってないんです。
別所:ええっ!?
上田:一般的に映画監督は、最初にギャラを受けて、興行収入は入らないパターンが多いんです。
別所:まあ……そうなんですか……夢の億万長者になってくれたのかと思ったのに。
上田:いやー(笑)。でも、DVDとかBlue-rayが出たら定められた%は入りますし、あと追加報酬もいただきました。死ぬほど仕事も増えましたし。
別所:あっ、よかった、よかった!


■過去作がゾンビのように息を吹き返した!

そんな上田さんは、トークでも語られた、24歳のときに発表した唯一の小説『ドーナツの穴の向こう側』が新装版として再刊行されました。実はこの小説は、『カメ止め』にもつながりがあるのだそうです。

上田:「ドーナツ」がモチーフとして出てくる作品です。初期の短編映画『恋する小説家』にもドーナツを持った女子高生が出てくるんですが、その役を演じてくれたのが、秋山ゆずきちゃんという『カメラを止めるな!』のヒロインなんです。ドーナツを持ってくれた女の子が、10年後に『カメラを止めるな!』のヒロインをやって、当時全く売れなかった小説が、『カメ止め』のヒットに便乗して刊行、という形です。
別所:息を吹き返した感じですね。
上田:そうですね、ソンビのように(笑)。

どういったストーリーなのでしょうか。

上田:18歳の女子高生のもとに、父親の死をきっかけに、不思議が舞い込む話です。キスがない世界で、トマトを握り潰しあいながらキスをする“トマンチキス”しかないとか、マラソンがなくて炊飯器を担いで走る“炊飯器マラソン”だけがあるなど、ちょっとだけ日常がズレている世界に迷い込んでしまうという、『不思議の国のアリス』の現代版みたいな作品です。いつか映画にしたいですね。
別所:映画関係者のみなさーん! 略称は「ドナ穴」ですかね。
上田:「アナガワ」?
別所:それは地名があるからやめておこう(笑)。


■『カメ止め』リピーターが多かった理由は

『カメ止め』はリピーターも多く、上田さんの知る限りでは「劇場で120回観た」という人もいるとか。別所は「短編映画が重なっていくような世界観」と表現しました。何度も観に行きたくなる理由を、次のように語りました。

上田:2回目以降の人って、スタッフ視点で来てくれるというか、『カメラを止めるな!』を観に来ているお客さんを観に来ているというところはあるかもしれませんね。
別所:サスペンスと一緒で、「もう一度観て、検証したい」と思うような作品ですよね。

すでに次回作の制作も発表、オリジナル長編を撮ることが決定しています。一般の人からキャストを募集し、ワークショップを経て撮影するという、『カメ止め』と同じ方法で撮影するそうです。気になる内容ですが、「どんな作品を撮るかは決めていない」とのこと。

上田:『カメ止め』のときもそうなんですけど、キャストをどんな人たちでやるか決めてから、どんな映画でいくか決めていたので。候補の企画は幾つかありますけど、どの企画でいくかは出会ったキャストの顔をみてから決めようと思っています。
別所:楽しみですね。『カメ止め』の先、上田慎一郎はどこに向かうのか!

番組では、『カメ止め』の主題歌だった、謙遜ラヴァーズ feat.山本真由美の『Keep Rolling』をオンエア。タイトル同様、転がり続ける上田監督に注目です!

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【番組情報】
番組名:『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』
放送日時:月・火・水・木曜 6時−9時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/tmr/
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