安田純平さんの“自己責任論”は「議論に具体性がない」 シリア人ジャーナリストが指摘

2018年11月06日

J-WAVEで放送中の番組『JAM THE WORLD』(ナビゲーター:グローバー)のワンコーナー「UP CLOSE」。11月5日(月)のオンエアでは、月曜日のニュース・スーパーバイザーを務める津田大介が登場。シリアで拘束され、3年4ヶ月ぶりに開放された安田純平さんをめぐる自己責任論について、海外ジャーナリストはどのように受け止めたのでしょうか。日本やアジアのニュースをアラブ世界へ伝えるリサーラ・メディア代表で、在日のシリア人ジャーナリスト、ナジーブ・エルカシュさんにお話を伺いました。


■自己責任論の前に…知るべきことがある

ナジーブさんは1973年生まれ、シリアの首都ダマスカス出身です。ナジーブさんに、先日の安田さんの2時間を超える会見の感想を伺いました。

ナジーブ:(内容は)よかったと思います。ただ気になったのは安田さんよりも、日本のジャーナリストたちから、彼にシリアで何の取材をしたかったのかという質問が少なかったことです。自己責任論がある前に、安田さんがどんな取材をしたかったのかを訊くべきだったのではないでしょうか。目的や計画があってシリアに入ったはずですから。
津田:もしナジーブさんが会見場にいたら、どんな質問をしていましたか?
ナジーブ:「自分の仕事がなぜ重要だと思うのか」を訊きたいですね。そのことについての話が少ないと思います。安田さんの仕事の内容、実際どのような取材ができるのか、どのようなことを伝えたいのかなどを知った上で、安田さんの仕事が重要か重要じゃないかを判断してほしいです。自己責任論だけで、議論に具体性がないんです。法律の話や国家の話などをやっているんですけど、安田さんのようなジャーナリストがどのような情報を持ってくるのかには興味がなさそうで、ちょっと驚いています。

一部テレビのワイドショーなどでは安田さんの会見について「長く話しすぎて質問時間が短くなった」との批判もあったようですが、ナジーブさんは、会見で安田さんが語った内容について全く違う印象を持ったようです。

ナジーブ:安田さんの話で私はシリアへの愛も感じました。大げさに自分が大変だったとは言わないんです。本当にあったこと、経験したことをドラマチックにしようとしないで冷静に語ったのは素晴らしかったし、彼は自分のなかでシリアに対して愛があって、だからシリアに入ろうとしたんだと思いました。


■市民として「多様性のある情報を手に入れるべき」

メディアやネット上で湧き上がっている安田さんに対する「自己責任論」について、ナジーブさんはどのように感じているのでしょうか。

ナジーブ:ネットの議論は感情的なものが多く、あまりにもレベルが低いですね。ジャーナリストは危険な国に入るときに、全力を尽くして自分の安全を確保しなければなりません。(ガイドに対してなど)安田さんが警戒したかはわかりませんが、甘かったのであれば反省すべきですが、「危険な国に入らない」というのは、私にとってはとんでもない話です。ジャーナリストは、やっぱりそういうところに行かないといけないです。私たちシリア人にとっても、フリーランスで独立性のあるジャーナリストや彼らの情報は非常に重要だと思っています。

さらに、日本にとっても独立性のある情報は重要だと話します。

ナジーブ:日本人は全て政府に任せようとしますが、市民は市民として独立性をもって多様性のある情報を手に入れたほうがいい。そうすると、政府のやり方に疑問を感じたり、安田さんの行動にも疑問が湧いたりするかもしれません。シリアに対しても疑問を持って日本に来るシリア難民に対する情報なども含め、できるだけ多くの情報を手に入れないといけないと思います。

「日本は平和だから関係ないと思いがちですが、世界はつながっている」とナジーブさん。北朝鮮とシリアとの密接なつながりや、中国とシリアのつながり、安田さんを一時拘束したのが国籍は中国となるウイグル人だったことなどを挙げ、日本と遠い話ではなく、ジャーナリストがシリアに行くという行為は、全く意味がないことではないと語りました。

シリア内の紛争でヨーロッパへのシリア難民が増えることにより欧州の経済が揺れ、欧州の経済が揺れると日本の経済、世界の経済、そして欧州に拠点を持つ日本メーカーなどにも影響が波及します。ナジーブさんはシリアで起きていることについて「決して遠い国のことだと思わないでほしい」と語り、現地の現状を伝えるジャーナリストの重要性を強調していました。

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【番組情報】
番組名:『JAM THE WORLD』
放送日時:月・火・水・木曜 19時−21時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld
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