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「親は大切にしなきゃならない」幻想は捨てていい…虐待を生き延びたサバイバーの手紙とは

「親は大切にしなきゃならない」幻想は捨てていい…虐待を生き延びたサバイバーの手紙とは

J-WAVEで放送中の番組『BOOK BAR』(ナビゲーター:大倉眞一郎・杏)。毎週ナビゲーターの2人が「今読むべき本」として、おすすめの本を持ち寄っています。11月24日(土)のオンエアでは、杏が『日本一醜い親への手紙 そんな親なら捨てちゃえば?』(dZERO)を紹介しました。虐待の報道が絶えないなか、衝撃的な一冊が伝えるメッセージとは。


■「親からの虐待を生き延びたサバイバー」の手紙

杏が「ショッキングな本」として紹介したのは、『日本一醜い親への手紙 そんな親なら捨てちゃえば?』。「親からの虐待を生き延びたサバイバー」が書いた親への手紙を募集し、100通をまとめた一冊です。

:同書は、心理的、身体的、性的、ネグレクトと、大きく4つのカテゴリーに分かれています。他にも、抑圧だったり、全ての行動を管理されたり。最近では「毒親」という言葉もありますが、もしかしたらそれも“文化的”な虐待なのではないかと思います。
大倉:虐待って意外と表には出ないんだけど、切実な問題ですよね。
:子どもの頃は、これが虐待だと思わなかったりするみたいなんですね。他の家庭をなかなか見られなかったりするから、「みんなこうなのかな」「自分がおかしいだけかもしれない」と。この本の募集を知り、自分の子どもの頃を思い返して書いたという寄稿は10代、20代、30代だけではなく、40代も目立つんです。
大倉:その歳で親になり、ハッとすることもある。
:そう。そこで忘れていたことがフラッシュバックしたり、なかには55歳になってはじめて「僕は虐待されていたんだ」と気がついたり。根深い問題だし、本当に読んでいてつらいんですね。でも、やっぱり目を背けたらいけない。

杏は、「私は虐待をしない」と思えば済む問題ではない、と語ります。

:例えば、まわりの友達とか恋人、配偶者が「親だから大切にしようよ」と、本人の意思とは関係なく親と連絡をとってしまったとか。善意の行動なんだけど、それが暴力的なものとなって、本人を二次的に苦しめてしまうこともある。他の国も虐待問題はあると思うけど、日本は「親だから感謝されるべき」などの意識をもたらす家長制度があります。それがいい風に作用すればいいけど、根深く悪く作用してしまう場合もある……と、この本にも書かれていました。


■親からは、逃げていい。人と人だから

「自分のまわりに虐待を受けている人はいないはずだ」と考えることは非常に危ういと杏はコメントします。

大倉:虐待を受けている人はけっこういるはずですよ。言えないじゃないですか。うちの家はこうだから、とか。
:言ったところで「親だから心配だったんだよ」ってね。
大倉:結局、「親は大切にしなきゃね」って言われたら、その時点で何も言えなくなるからね。
:「そんな親なら捨てちゃえば?」の「そんな」の部分は、悩みを抱える人たちも「親だから大切にしなきゃいけない」っていう幻想を持たなくてもいいよ、という意味も込められていると思います。
大倉:「そんな親なら捨てちゃえば?」はふたつの意味があるんですね。
:ちょっと反抗期で「親なんて」って時期の子どもに、その言葉を言ってしまって道を間違えてしまう危険性もあるけど、人と人だから「逃げてもいいんだよ」と。
大倉:逃げた方がいいんですよ。テレビなどで「逃げちゃダメ」とか言われることもあるけど、「逃げなきゃダメ」ということの方が僕は多い気がします。
:この本を読んで、「こんなに大変な思いをしているから、自分は大変じゃないのかも」と思わないでほしい。それぞれの苦しみのかたちは違うから、「自分はまだ大丈夫かもしれない」とも思わず、フラットに心に向き合いたいですね。

さらに大倉は「一概に言える事ではないけれど、男親と息子の関係の場合は割と逃げやすいんですよね。一番苦しむのは母親と娘のケース。共依存の形になってしまうと、いくら嫌でも逃げ出せない」とも話しました。杏は、「なにか、タイトルがこの本と重なる」(杏)と、Queen『Save Me』を流しました。



自分は虐待には縁がない。そう感じている人も、この一冊を通して大きな気づきがあるかもしれません。ぜひ手にとってみてください。

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【番組情報】
番組名:『BOOK BAR』
放送日時:土曜 22時-22時54分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/bookbar/

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