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スマホ普及で広まる「ゲーム障害」、WHOも疾病として認定…その対処法は

スマホ普及で広まる「ゲーム障害」、WHOも疾病として認定…その対処法は

J-WAVEで放送中の番組『STEP ONE』(ナビゲーター:サッシャ・寺岡歩美)のワンコーナー「BEHIND THE SCENE」。7月5日(木)のオンエアでは、依存が世界的に広がっている「ゲーム障害」に注目。 その実態についてITジャーナリストの三上 洋さんにお話を訊きました。

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■朝から晩までずっとプレイ…

WHO(世界保健機関)が、日常生活よりゲームを優先してしまう「ゲーム障害」を、新たな疾病として認定しました。その一方で「病気と認めるには時期尚早ではないか」など、世界的論争を呼んでいます。

三上さんご自身も、あるゲームのヘビーユーザーだと、以下のように明かしました。

三上:今日は、私はジャーナリストじゃなくて、患者としてやってきました(笑)。『艦隊これくしょん-艦これ-』というゲームが好きなんです。4年間半、1日数時間プレイしています。イベントが年に4回あるんですけど、そのイベント期間は仕事を断るようにしています。でも、それより上がいて、『艦これ』を朝から晩までずっとやってる大学生の友人は、ずっとそれだけで生きていて、大学もほとんど行かず、課金も躊躇せず、それを「ニコニコ生放送」で配信しています。それを、同じ依存の人がずっと観ているという、仲間がいるくらいですね。


■「ゲーム障害」とは?

三上:「ゲーム依存」ではなく、「ゲーム障害」というのが病気の名前で、WHOが決めたと。どういうことかというと、単純に依存しているだけでなく、仕事が全くできなくなる、食事や風呂などの日常生活もできなくなるくらい深刻なものです。
サッシャ:人間的な生活に支障が出ているものを障害と呼ぶということですね。数字は出ているんですか?
三上:まだ「こういう病気にしましょう」ということを決めただけで、調査はこれからです。ただWHOは、世界に数百万人いるであろう、熱中しているゲーマーたちはたぶん病気ではなく、もっと少ない、全体の0.5パーセントとか0.7パーセントとか、そんな数字を想定しているのではないかと言われています。


■「ゲーム障害」3つのポイント

サッシャ:それこそオリンピック種目にこれから入るeスポーツとか、それを言い始めると難しいですよね。じゃあ1年中サッカーをやっている人は「サッカー障害」なのかと。それでプロサッカー選手になっている人もいるわけで。「ゲームやアニメだから悪い」みたいに言っちゃう単純な論理になってしまうと話が違いますよね。
三上: WHOはわりと定義をはっきりしています。ポイントはみっつあって、ひとつめは「ゲームをしたいという欲求をコントロールできない人」。重要なのが終わるまで外に出られないとか、朝起きたらやっちゃうとか。ふたつめは「ゲームの優先度が自分の生活上の興味より上にいってしまう」。みっつめは「家族関係、仕事、学習などにも悪影響が出ている」。極端に言うと「社会、家庭、学業に著しい障害が出ているかどうか」です。

ゲームの設計にも問題があると、三上さんは言います。

三上:スマホゲームの設計は、ずっとやらせるように作ってあるんですよ。昔のゲームは熱中させてずっとやらせるように考えられていましたけど、スマホゲームは1回やったら10分間は他の行動ができないようになっていて、「1〜2時間経ってからやりましょう」「1日何時にログインするとアイテムがもらえます」など、ずっとじゃなくて毎日習慣づけるんです。
サッシャ:毎日ログインするたびに何かアイテムがもらえて、10連続でログインすると大きなアイテムがもらえるとかありますよね。
三上:それって、優しいようで依存させようとしているんです。
サッシャ:確かに、強迫観念がありますよね。
三上:それはスマホのソーシャルゲームのやり方で、カードやアイテムを集めたり、モンスターと戦ったり、パズルをやったり、夢中になると課金をいっぱいしてしまう。課金をどんどんして、自分の生活ができなくなるくらいの人は、障害と言えるかもしれません。あと、パソコンのオンライン対戦ゲームが一般化したことも大きいですね。今『PUBG』とか『荒野行動』といわれる対戦型ゲームでは、人と人との対戦で、グループを作って戦うと仲間意識が生まれて、「つながっているんだ」という帰属意識が芽生えてくるんです。
サッシャ:「すごい」って言われと、「褒められて嬉しい」みたいなところも出てくるわけですよね。
三上:「実は家庭に居場所がない」「学校でうまくいってない」「仕事で困っている」という人にとっては、そこに居場所ができるというのはいいことです。いいことだけど、本業や家庭や学業が全部ひっくり返ってしまったら「病気だよね」ということですね。


■「ゲーム依存」の外来も登場…対処法は?

サッシャ:国がガイドラインを作るのも四角四面的だし、自己責任といわれればそれまでなんですけど、ゲーマーである三上さんとしては、どう思いますか?
三上:まず、WHOの「病気にします」という認定は、日本の先生がかなり主導的立場をとっています。「独立行政法人 国立病院機構 久里浜医療センター」院長・樋口 進さんという方がこのジャンルの第一人者なんです。今回の認定でも手助けされていて、その方が書いた本『スマホゲーム依存症』(内外出版社)に、具体的にどういうものが障害でどういうふうに取り組んでいけばいいかということが書いてあります。あと、ダイエットと同じで、「何時間何をやった」とレコーディングダイエット的なやり方で改善するとも言われているんです。ゲームの中で無駄なことをやっていることに気づいて「もっと効率的にやらなきゃ」と。私みたいにゲームに夢中になると、極限までやろうと思うんです。そういうすると「一番上のクラスにいけないか」、「トップ20まで頑張る」とかすると、とても普通の人じゃできないレベルなんですよ。
サッシャ:ハマり尽くさないとダメということですか?
三上:ハマり尽くしても、反射神経とか能力とか、そういうのを見ていくと、「これはどこまでいっても無理だな」と、ふっと力が抜けて「その人たちには敵わない」となります。まずは記録すること。あと、やるんだったら思いっきりやってみて、それから考えてみるというのもよいかもしれないです。「楽しい」とか「どうしてもやりたい」と言っているうちは依存じゃないです。もう人生とか生きがいなので、「好きか嫌いか」とかじゃないんです。
サッシャ:ここに行ったらお医者さんが診てくれるとかはあるんですか?
三上:先程紹介した「独立行政法人 国立病院機構 久里浜医療センター」には、「ゲーム依存」の外来があって、ここでは「ネット依存」の相談もできます。

身に覚えがあるという方は、三上さんが紹介した本などを手にとってみてはいかがでしょうか?

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【番組情報】
番組名:『STEP ONE』
放送日時:月・火・水・木曜 9時-13時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/stepone/

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