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日雇い労働者の街だった東京・山谷、今は生活保護者が多く…支援のひとつ「思いやりコーヒー」とは?

日雇い労働者の街だった東京・山谷、今は生活保護者が多く…支援のひとつ「思いやりコーヒー」とは?

J-WAVEで放送中の番組『JAM THE WORLD』(ナビゲーター:グローバー)のワンコーナー「UP CLOSE」。7月24日(火)のオンエアでは、火曜日のニュース・スーパーバイザーを務める青木 理が登場。福祉と観光の視点から、かつてのドヤ街「山谷(さんや)」について考えました。


■街の様子も大きく変わった「山谷」

一昔前まで「ドヤ街」と呼ばれた、東京・山谷。簡易宿泊所が立ち並び、日雇い労働者が集まる場所でした。1964年の東京オリンピックの担い手となった建設労働者なども集まっていた地域です。

ところが、最近は外国人観光客が増え、街の様子も大きく変わったといいます。そんな山谷で、福祉と観光の視点からホームレス支援を視野に入れた街づくりに取り組んでいる一般社団法人「結YUI」の代表、義平真心さんをお迎えし、お話を伺いました。

「結YUI」は、山谷に観光客向けの簡易宿泊所「ホテル明月」「ホテル寿陽」、生活保護受給者向けの福祉宿「ありあけ」の、3つの簡易宿泊所を運営。3月にはユニークなシステムのカフェ「さんやカフェ@寿陽」をオープンしました。

青木:かつての山谷は、日雇い労働者の人たちが、場合によっては路上で酒を飲んでいるなど、「ちょっと1人で歩くのは怖いかな」って印象を持っている人も多いと思います。今はそんなことはないですか?
義平:今もありますね(笑)。
青木:でも、今増えているのは、外国人観光客だと聞いています。これは、安宿があるからですか?
義平:ほぼみなさん宿泊代の安さを目当てに訪れていると聞きます。典型的なホテルより、ちょっと地域を知りたい人とか、バックパッカーで訪れる人もいます。


■日雇い労働者は高齢化で生活保護者へ

かつての山谷は、早朝に日雇い労働者が集まって、小さな建設業者から仕事をもらい、その日に稼いだ金を宿泊代と酒代に使うという印象がある……と青木は話します。

青木:そういう人たちは今でもいるんですか?
義平:ほぼ、日雇い労働者はいないですね。皆さん高齢化して生活保護者になっています。その人たちは「静かに余生を送りたい」という人がほとんどですね。
青木:日雇いの仕事はもう山谷にないのですか?
義平:ないわけではないと思います。でも、寄場(よせば)から日雇い労働者を募集する機能が失われていますし、募集する側も若い労働者を雇うと思うので、かつての日雇い労働者は引退していますね。
青木:昔からあった山谷の寄場の機能は、山谷以外の所に移ってしまったということですか。
義平:そう思って、ほぼ間違いないと思います。

一昔前は多くの日雇い労働者が宿泊していた簡易宿泊所も、現在は外国人をはじめとする観光客向けの宿泊施設や、福祉宿となっています。

義平:今は山谷全体で約140件の宿泊施設があり、旅行客向けの宿は20件前後で、それ以外の約120件は生活保護者向けの福祉宿です。
青木:では観光客が増えてきたといっても、生活保護者が多いのが現状なんですね。その方たちは、元々は日雇い労働者だったのですか。
義平:そういう方も多いですし、他の区で生活保護を受けた人が、そのエリアに生活保護者向けの施設がないから、山谷にくる場合もあります。

「結YUI」が山谷で運営する観光客向けの簡易宿泊所「ホテル明月」「ホテル寿陽」は1泊3200円から、福祉宿「ありあけ」は1泊2000円からの設定になっています。

青木:福祉宿「ありあけ」は「見守り型簡易宿泊所」と呼んでいるそうですが、これは他の福祉宿と違うんですか?
義平:専門職の生活相談員を置いています。宿泊する生活保護者向の相談事を聞き、いろいろなサポートをしています。高齢の方もいるので、無事かどうかの見守りも毎日しています。

■気軽に生活保護者への支援ができる「思いやりコーヒー」

3月にオープンした「さんやカフェ」について伺いました。

義平:山谷は地元の人たちと生活保護者たちとの理解がないまま、多様に広がっています。でも、バラバラに広がっていくよりは、その間をちょっと取り持つことをしたいなと思い、また善意で山谷に訪れる方も結構いらっしゃって、目印となるような、山谷の入り口になれればと、このカフェをオープンしました。
青木:オープンして約4カ月、反応はどうですか?
義平:朝食が安いので(500円から)、周辺の簡易宿泊所の宿泊者が来たりしています。ランチくらいから外の人たちや、山谷へ働きに来ている人たちが訪れています。
青木:このカフェには「思いやりコーヒー(サスペンデッド・コーヒー)」など、独特な特徴があるそうですね。
義平:「思いやりコーヒー」は、自分のコーヒーを買うときに、もう1人分のコーヒーを買うことによって、そこに訪れた生活保護者などがそれを無料で飲める仕組みです。
青木:気軽に生活保護者への支援ができるわけですね。

山谷に訪れた際は、ぜひ「思いやりコーヒー」を買ってみてはいかがでしょうか。「結YUI」の活動や山谷に興味を持った方は、「結YUI」の公式サイトをチェックしてください。

さて、次週の『JAM THE WORLD』は、野球評論家の野村克也さん、文部科学省の前事務次官・前川喜平さんらをゲストにお迎えします。詳しい内容は特設ページをご覧ください。

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【番組情報】
番組名:『JAM THE WORLD』
放送日時:月・火・水・木曜 19時-21時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld

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