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岡本太郎を支えた、妻の振る舞いとは? 甥が明かす「褒めるんじゃなく、喜ぶんです」

岡本太郎を支えた、妻の振る舞いとは? 甥が明かす「褒めるんじゃなく、喜ぶんです」

J-WAVEで放送中の番組『TRUME TIME AND TIDE』(ナビゲーター:市川紗椰)。7月14日(土)のオンエアでは、岡本太郎記念館・館長/空間メディアプロデューサーの平野暁臣さんをゲストにお迎えしました。

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■太陽の塔、もともとは潰す前提で…

芸術家・岡本太郎のパートナー、岡本敏子さんの甥である平野さんは、本業である「空間メディアプロデュース」と並行しながら、岡本太郎の代表作である「太陽の塔」などを現代に蘇らせる活動に精力を傾けています。今年3月に太陽の塔の内部が公開されたときも、平野さんが指揮をとりました。市川は、内部公開の予約を3回ほど挑戦したそうですが、残念ながらだめだったと話します。

市川:なぜ、今まで太陽の塔に入れなかったのでしょうか?
平野:大阪万博が終わったあとに潰す前提でしたが壊せずに残ってしまい、万博から5年後に、外側だけ永久保存が決まります。内側は当初から閉鎖の方針がありました。

太陽の塔は、恒久的な展示施設としては公開するには不十分であることと、公開のために造られていないことが理由だと平野さんは話します。

平野:太陽の塔の中は壮大な地下空間の展示があり、そこから塔内に入り、塔内を上に上がって大屋根の空中展示に進むんです。
市川:そんな経路だったんですね。
平野:大きな展示空間の真ん中に一部分として組み込まれていて、塔だけが残ってしまい、入り口と出口どうするかと話があり、公開ができなかったんです。

太陽の塔の内部を公開するにあたった経緯についてお訊きすると……。

平野:永久保存が決まり、塔だけ残ってしまいました。東日本大震災があって耐震補強をしないと危ないということになり、補強作業が先に決まったんです。せっかく補強するなら中も造り変えて、恒久的な展示施設として公開ができないかと検討があり、その結果なんとか今年公開することができました。

先日大阪府北部地震がありましたが、耐震補強をしていたため、びくとも揺れなかったそうです。


■「明日の神話」は、未来に向けた決意を表した作品

岡本太郎さんのもう一つの代表作といえば、「明日の神話」です。渋谷駅の山手線と井の頭線を結ぶ連結通路で見ることができます。

市川:「明日の神話」がマークシティ内で展示されるには壮大なドラマがあったと伺ったんですが……。
平野:メキシコのホテルのために創った作品なんです。1968年のメキシコオリンピックに間に合わせるために、中南米で一番大きいホテルを建てると考えていた実業家から頼まれていたんですね。ホテルは完成する前に実業家が倒れてしまい、作品はほったらかしに。いろんなところに引き回されて、行方不明になりました。

30年後にメキシコ郊外の資材置き場で作品が見つかり、修復プロジェクトがスタート。2005年に日本に持ってこられ、愛媛での修復作業を経て、現代美術館へ。そして2008年に渋谷に飾られました。

市川:「明日の神話」に込められた意味やメッセージとは何でしょう?
平野:真ん中に主人公のような骸骨がいて、自ら焼かれている境遇を自ら笑い飛ばしているんです。原爆に関わる芸術作品はたくさんあり、痛い、苦しい、辛い、悲しい作品が多いんですが、この作品は、「悲惨で最悪な凶悪な出来事さえも人間は乗り越えていける。乗り越えた先に明日の神話が拓かれる」といったメッセージが込められています。人間が持つ生命力や未来に向かっていく決意や覚悟を新たに表わしている作品で、単に原爆の悲惨な記憶をしている作品ではありません。


■岡本太郎を支えた敏子さんの存在

市川が気になったのは、岡本太郎や奥さんの敏子さんと平野さんが、どんな会話をしていたのかということ。まず、岡本太郎が岡本太郎であることをキープし続けられた理由は、敏子がいたからだと平野さんは明かします。

平野:敏子は、ずーっと太郎のそばにいたんですね。太郎が行くところに一緒に行き、太郎が会う人に一緒に会い、食べるものも一緒に食べる。太郎が何かを創っているとき、敏子はものすごく喜ぶんですね。褒めるんじゃなく、「わーすごい! 先生、次何を見せてくれるの?」と、飛び跳ねて喜ぶんです。これが太郎をどれだけ安定させたかと思うんです。想像者はみんな孤独で、口に出して言わないけど、「俺の才能は枯れたんじゃないか……」と思っていたり。表現者にとってモチベーションを高めてくれることは、一番身近にいる人間が「それでいい」と言ってくれることだと思うんです。

この話に市川は「すごくシンプルです。芸術家でなくても普通のお仕事をしている人でも感覚はわかります」と共感しました。

他にも、平野さんのプライベートや「太陽の塔」に込められた思いなどをお伺いしました。渋谷駅を利用したときには「明日の神話」を見て、日本の未来について考えてみてはいかがでしょうか。

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【番組情報】
番組名:『TRUME TIME AND TIDE』
放送日時:毎週土曜 21時-21時54分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/timeandtide/

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