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2008年05月03日
「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」★★★★★

主演のダニエル・デイ=ルイスが今年のオスカーを受賞した映画「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」。アカデミー賞が発表になった時点で作品を見ていなかった私ではあったが、デイ=ルイスの演技力を考えれば受賞も納得、だと思っていた。しかし、実際、映画を見てみると、彼の演技は私の予想を遥かに超えていた。何なんだ、一体。この気迫は…。上映時間は2時間38分。私は、デイ=ルイス演じる主人公プレインヴューの、地下から吹き出す石油の如くどす黒い欲望に、完全に飲み込まれてしまった。そして見終わった後、ぐったりした。凄い映画だった。もう一度見られるか? いや、今はまだその準備ができてない。なぜならば、普通の体力では耐えきれない程の、ヘビー級のパワーを持った映画なのだ。

20世紀初頭のカリフォルニア。しがない鉱山労働者だったプレインヴュー(ダニエル・デイ=ルイス)は石油を掘り当て、巨大な富と権力を手に入れる。ある日、「石油が眠っている」という新たな情報を得たプレインヴューは幼い息子H.Wを連れ、アメリカ西部の小さな町にやってくる。そこで見事、油田を掘り当てるプレインヴューだが、地元の狂信的な牧師イーライ(ポール・ダノ)との間に確執が生まれてしまう。

まず、冒頭20分が凄い。映し出されるのは何かに捕われたかのように、ただただ土を深く掘り起こしていくプレインヴューの姿。台詞はまったくなく、聞こえるのは心をざわつかせる不協和音のみ。レディオヘッドのギタリスト、ジョニー・グリーンウッドが手掛けた音楽は、主人公の不気味さを見る者の心に植え付けていく。音楽と映像だけで生まれるとてつもなく濃厚なテンション。この時点で、とんでもない映画を見てしまった、という気持ちになった。

作品に描かれるのは、シンプルに言えば“アメリカン・ドリーム”だ。それも正統の真逆を行く、息が出来ないほどの強欲さで塗り固められたアメリカン・ドリーム。火山のように大地から噴出する石油はまさに悪魔のようで、黒い液体を掘り当てるたびにプレインヴューは人としての道を逸脱していく。神はもちろん、自分の子供ですら信じられない。利益の為ならどんな汚い手もいとわない男。そんなプレインヴューにとって唯一の疎ましい存在。それが、カリスマ牧師イーライなのだが、この人物もただ者ではない。プレインヴューの権力と富への怨恨を募らせ、地元住民の救いの手となるも、次第に見えていくイーライの本性。ポール・ダノの演技が素晴らしく、牧師の狂信ぶりは時に恐ろしさを感じさせ、クライマックスでのプレインヴューとの対峙シーンは、2人の演技の凄さに、驚愕を通り越して笑いが出てしまうほどである。「リトル・ミス・サンシャイン」の無口な青年役だった彼が、デイ=ルイスにひけを取らないなんて。ポール・ダノという俳優を世に知らしめる作品であることは間違いない。

ちなみに、クライマックスで「お前のミルクシェーキを飲んでやる!」という有名な台詞が出てくる。すでにサタデー・ナイト・ライブでパロディをやっていて、これがかなり笑える。映画を見終わったら、ぜひ、そちらの方も一度見ていただきたい(先に見ちゃうと、映画館で大爆笑することになるのでご注意を)。

2時間半以上に渡る、ダニエル・デイ=ルイスの独り舞台とも言える「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」。モンスター級の俳優をコントロールし、新境地を築いたポール・トーマス・アンダーソン監督の才能にも酔いしれていただきたい。


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