「博士の愛した数式」は良心のこもった秀作2005年10月31日

TIFFが終わり、次の映画祭は東京フィルメックス
結構曲者の作品を揃える映画祭なので、映画フリークの人は要チェックです。

さてTIFFで特別招待作博士の愛した数式を見た。上映後には主演の寺尾聰、浅岡ルリ子等の舞台挨拶もあったのだが、さっきまでスクリーンで名演を披露していた俳優たちが登壇すると、自然と涙がこみ上げた。 そう、大泣きではなく自然とこぼれる涙がこの映画への賛辞なのだ。

寺尾聰演じる天才数学博士は、ある交通事故の後遺症で記憶が80分しかもたない。その世話をする家政婦(深津絵里)と彼女の10歳の息子との交流を軸に、博士の義姉(浅岡ルリ子)の葛藤を織り込みながら物語は静かに進んでいく。
原作は本屋さんたちが選ぶ本屋大賞の栄えある第1回大賞に輝いたベストセラーで、読まれた方もいるだろう。

これは決して派手な映画ではないし、驚くようなどんでん返しもない。しかし一途な気持ち・生き方の登場人物達がもつ温かみと優しさを確実に伝えてくれる秀作だ。 特に息子と二人で歩む芯の強い母を演じる深津絵里! アップ顔を映す角度が決まっているトレンディドラマ等とは一線を画す見事な演技に女優としての奥深さを感じ脱帽。 この点は前回書いたリーズ・ウィザースプーンと同じだな。
しかし深津絵里さん、あなたは右から映しても左からでも正面でもホント美しいです!

今回も公開は来年1月下旬以降の作品です。少しお時間を・・・
J-WAVEのヒロシでした。

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TIFFでみた招待作品「ウォーク・ザ・ライン」2005年10月28日

いよいよ「サードウォッチ6」ファイナル・シーズンが始まった!1回目を見て期待以上!!これは必見です!!!

さて開催中の東京国際映画祭。多くの来日映画関係者に交じってトミー・リー・ジョーンズが劇場公開作としては初となる監督兼主演作の特別上映のため会見をすると知り、生身の彼を知りたくて記者会見だけ参加した。僕は彼の出演作が結構好きで見てきたが、映画を通じて想像したとおりジョーンズ氏はかなりシニカルな方で、関係スタッフは大変だったろうなあ・・・とため息。 こんな事も感じられるTIFF、さすがに国際イベントだ。

そんな中で同じく招待作品として上映された「ウォーク・ザ・ライン」を見た。
これは一昨年亡くなったアメリカの人気歌手ジョニー・キャッシュの半生を描いた作品で、ジョニー・キャッシュ役はホアキン・フェニックス(かなり似ている)。その伴侶ジューン・カーター役はリーズ・ウィザースプーンが演じている。

時代は1950年代、ジョニーがデビューしてエルビス・プレスリー、ロイ・オービソン、ジェリー・ルイ・ルイス達といわゆる歌謡ショーのようなツアーで各地を転々としていた頃のエピソードを中心に、一人の男として自覚をもてるようになった60年代までの物語だ。

実話とはいえ、とても意志が弱く、正妻以外の女性に溺れ、ドラッグ中毒に悩むジョニー・キャッシュ・・・ストーリーの大半はそんな音楽以外にとりえの無い、情けない男の話で、これだけだったら勘弁してちょうだい!となってしまう。 まあそのダメダメ振りが本物と思わせるホアキン・フェニックスは役者として見事なんだけど、ここまで主人公を駄目男に描いてしまって彼の遺族から文句は出ないのか心配だ、なんて余計なお世話だけどね。
そんなジョニーには嫁も子供もいたのだが、同僚の女性歌手ジューン・カーターに熱烈に求愛し続けて周囲を悩ます。結局ジューンは彼と再婚して、文字通り死ぬまで支え合うのだが、ジョニー・キャッシュという人はジューン・カーターがいなければアメリカ音楽史上に名を残せなかったと言われる位、彼女にあらゆる面で依存していたようだ。 

この映画で僕が一番印象に残ったのはリーズ・ウィザースプーンの演技力。
男運がなく歌手としても女性としても自分に自信を持てないでいたジューンの微妙な心理を、リーズ・ウィザースプーンは見事に演じ切っていてホントに素晴らしい! 
僕は彼女には「キューティー・ブロンド」のイメージしかなく、正直全く興味がなかった。しかし、映画は食わず嫌いじゃ駄目で、見なくちゃ本質はわからないということをリーズ・ウィザースプーンに教わった気がした。そのくらい、この映画は彼女の演技力が光る作品だと思う。

ちなみに劇中でこの二人はかなりの曲数を歌うのだが、吹き替えは一切使わず、全部自分たちで歌ったそうです。ジョニー・キャッシュに興味がなくても音楽が好きな人なら一見の価値ある作品、日本公開はいつなんだろう・・・
J-WAVEのヒロシでした。

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ハリー・ポッターは成長してタッキーになった?2005年10月27日

クイーン+ポール・ロジャースがとても良かった!さすが英国のトップ・アーティストのコラボは貫禄が違うと唸ったJ-WAVEのヒロシです。気になる人は土日の横浜アリーナ追加公演へGO!

 さて今週ハリー・ポッターの新作「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」がマスコミに公開された。まあストーリーや出来栄えについて熱く語るタイプの映画ではないし、僕も見て十分楽しめたのだが、今回は他愛も無いところに目がいってしまった。それは成長!
毎回同じキャストで製作するから、子役も当たり前に成長するのだが、それにしても魔法学校の生徒達はみんな背が伸びて8頭身の小顔・足長さんになっていて驚いた。会話も大人びてきたしねえ。
 映画で見る限りハリーだけは背があまり伸びていなさそうだが、代わりにバッチリ筋肉が付いた逞しい体になっていた! まるでタッキー!または小ヨン様だと思ったのは僕だけでなかったようだなあ。 しかしなぜそんな事が判ったかといえばハリーの入浴シーンがあるからで、泡で下半身を隠しながらのサービス・カット(まあ、オッサンにはあまり関係ないが・・・)。これに象徴されるように今回は内容もかなり大人向けになった印象だ。
 勿論基本はファンタジーなのだが、スリラーの部分は子供だけで見たら泣いちゃうぞ、と思う恐ろしい場面も結構あってドキドキなのだ。まあカップルでディズニーランドに行くような感覚で見るデート・ムービーとして外しは無いと思うし、今回も大ヒットするのだろうね・・・

さて来週月曜のBOOM TOWNを聞くとハリー・ポッター・ファンには朗報が?
いや是非!!

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「エリザベスタウン」はやっぱり面白かった2005年10月25日

なかなか完成せず関係者の気を揉ませた「エリザベスタウン」。以前書いたように8月に未編集版の内覧を見た時点でも十分楽しめたが、完成版はやはり出来が違う。

今人気のオーランド・ブルームを主役に迎えキャメロン・クロウ監督が描いた人間世界は、エリザベスタウンという実在の町での監督本人の体験がベースになっている。
キャメロン・クロウ自身が父親の葬儀で訪れたエリザベスタウンは美しい田舎町として心に深く刻まれたそうで、そのときの遠縁の人達との触れ合いがこの作品の脚本を書くモチベーションになったようだ。 それを知った上でこの映画を見ると一層理解が増すと思う。

・・・事業に大失敗、そう失敗でなく大失敗した主人公ドリューは、追い討ちのごとく父の死の知らせを聞き、遠いケンタッキー・エリザベスタウンでの葬儀に出かける。 その夜間飛行のフライト・アテンダント(キルスティン・ダンスト)との出会いを経て、辿り着いたエリザベスタウンの人々は荒んだドリューに少しずつ微笑を取り戻させて・・・ と進行するストーリー。

一言で表現すると「絶望して悲しんだら、あとは前に進むしかない!」というのがこの作品のテーマで、ホントに美しく映るエリザベスタウンとともに自然な・ワザとらしくないポジティブ・パワーを見るものに与えてくれる。その点はキャメロン・クロウの代表作「あの頃ペニー・レインと」と共通するところだろう。

やっぱり前向きな気持ちになれる映画は後味が良いね!ということで本作をお奨めします!
明日のJ-WAVE RENDEZ-VOUSの試写会に当選された方はお楽しみに!
(一般公開は11月12日です。)
J-WAVEのヒロシでした。

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「クラッシュ」はヘビーな傑作2005年10月23日

阪神が、ヴェルディが、そして横浜FCが負けた・・・応援するチームがみんなダメで落ち込むJ-WAVEのヒロシです。

落ち込むといえば、最近題材が重くて落ち込む映画を多く見ている。見終わった後、「いかがでした?」と宣伝担当氏に問われるのが辛い。しかし仕事で見せてもらっているから答えをなんとか探すが、自然と暗い表情で試写室から出てきてしまうんだ。
そんな作品のひとつだが、良い意味でハマッた「クラッシュ」。今年5月の全米公開時の評判の高さを聞いて以来、とっても見たかったのだが、これは紛れもなく傑作だ。

「ミリオンダラー・ベイビー」の脚本家ポール・ハギスの初監督作となる「クラッシュ」。 ロサンゼルスを舞台に、ある二晩の間に起こった様々な出来事を、あえて主人公を特定せずパズルのように淡々と、しかし濃密に描いている。演じているのはマット・ディロン、ドン・チードル等多くの演技派俳優だ。

物語はある夜の交通事故現場から始まるのだが、それはキッカケに過ぎず、色々な重い事件や出来事が同時進行で起こる。その全ての出来事のテーマになっているのが「心の内外にある人種差別と善悪」。人はどんな国籍だろうとも他人種と解りえない部分があるし、見下す対象を作ってしまうのは事実だが、この映画はそれを多国籍人種の街ロサンゼルスに映し出しながら鋭く突いてくる。そしてもうひとつ「善人も心に闇があり、悪人にも良心はある」という事も訴えてくる。 
例えば〜マット・ディロン演じる物凄い差別主義者の悪徳警官はホントに嫌な奴だが、彼も大きな悩みを抱えて辛い人生を歩んでいる・・・みたいに登場人物達それぞれの二面性が上手く描かれていて、劇中で何度も頷いてしまった。

個人的には「トラフィック」や「21グラム」のような印象に近いモノを感じた「クラッシュ」。万人向けでは決してないが、作品として問いかけてくるものが大きいし、映画好きな人は絶対見て欲しい傑作です。
(公開は来年1月予定です。)

STAFF| 14:38 | カテゴリー:

グウィネス・パルトロウの女優魂を見た2005年10月19日

「プルーフ・オブ・マイ・ライフ」。この作品のエンドロールを眺めながら「ああ、いい映画を見たなあ」と実感した。 素晴らしい作品だ。

これは東京を含む世界各地で上演された舞台劇「プルーフ/証明」の初映画化だそうで、映画に先んじてジョン・マッデン監督がグウィネス・パルトロウを主演に迎えてロンドンの舞台で上演しているとのことだ。

ジョン・マッデン監督とグウィネス・パルトロウといえば「恋におちたシェイクスピア」でアカデミー賞7部門を獲得したコンビ。これに名優アンソニー・ホプキンスが加われば間違いなし!そう確信して試写に臨んだが、久々にビンゴ!!深―い重―い内容を1時間40分に凝縮した無駄のない、「人の生と死、生きる証〈プルーフ〉とは何か?」を考えさせられる作品だった。 そう、確かに重い、しかし希望の持ち方を提示してくれる映画なんだな。

今日は詳しい内容には触れず、見終わった感想のみに止めるが、東京国際映画祭では特別招待作として上映されるそうなので、まず見てください。グウィネス・パルトロウが全てをさらけ出す、凄みのある演技で惹きつけてくれます。 
(一般公開は来年1月とかなり先です。)
J-WAVEのヒロシでした。

STAFF| 04:18 | カテゴリー:

ジミヘンのウッドストック隠し撮り!?2005年10月10日

ロック・シーンで語り継がれる元祖野外フェス、ウッドストック。69年8月に行われたこの伝説を映画や長編DVDで見た人も多いと思うが、ハイライトは何といってもアメリカ国歌をピースサインと共に演奏するジミ・ヘンドリックス。悪天候やら予想以上の人出など様々な理由で進行が半日以上押しまくった為、大トリのジミヘンがステージに立ったのは月曜朝9時過ぎ。大半の客は疲れ果てて帰路に着き、閑散としてゴミと泥まみれの中での演奏だったが、ジミヘンは手を抜くことなく2時間近い奇跡の演奏を届けてくれたわけだ。

そして、当時その演奏を勝手にステージ上でビデオ撮影していた男子学生がいた!
誰にも咎められずステージにあがり三脚で固定してビデオ撮影・・・。彼は後日ジミヘンの家に押しかけ、この映像を本人と一緒に鑑賞したという。隠し撮りを容認するだけでなく、楽しんでしまうジミヘン、いくら自由な時代だとは言え、これは凄い。
更に驚いた事に、その映像が30年以上も未発表のまま大事に保管され続け、今回リリースされたジミヘンの2枚組ウッドストック特別版DVDに収録されているのだ。
 
最近は発売30周年とか、25周年とか言って未発表曲やライブ音源をプラスした再発が多すぎる。明らかにオリジナル盤を持っているオッサン達にまた買わせて儲けようとする魂胆が見え隠れするものも多いが、このジミヘンのウッドストックは事件といってよい。音楽のスタイルは進化するが、ライブ・パフォーマンスは錆び付かない。36年前のジミヘンはそれを実証してくれる。 
これは映画ではないし、少し高いけれど、映像作品として是非購入されることをお奨めします。
ゴン中山ファン!J-WAVEのヒロシでした。

ジミ・ヘンドリックス

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ドミノは強烈なバイオレンス・ハードボイルド2005年10月03日

実在した主人公ドミノ・ハーヴェイの職業は賞金稼ぎ。逃亡犯や仮釈放中の身柄を拘束するプロだった。 身長170cm超・ブロンドヘアでモデルとしても将来を嘱望されるようなルックスだったドミノ。彼女が自分自身のストーリーを35万ドルで映画監督のトニー・スコットに売ったことで映画化が実現したのだが、ドラッグ中毒に悩んでいた彼女は撮影終了後の今年6月に亡くなってしまった。

こんな背景があるこのドミノ、主演のキーラ・ナイトレイがショットガンを担いでいるメインビジュアルだけでも、強烈なインパクトを放っているし、見る人を選ぶタイプの映画だ。
実際に相当なバイオレンス・シーンを含むだけにR−15指定になっているが、映画としてはとても良く出来た一級品だと断言しよう。これは一重にトニー・スコット監督の力量によるものだと思う。カット割りの多さやコミックの噴出し風テロップ処理が今時なテンポを生み出していて斬新だし、発想もユニークだ。また彼の前作マイ・ボディガードにヒスパニックでセピアっぽい映像や雰囲気が通じる部分も多い。ミッキー・ロークやクリストファー・ウォーケンも引き続き大事な役を好演しているので、「マイ・ボディガード」好きな人は絶対気に入ると思う(それは僕のことだ!)。

そして主演のキーラ・ナイトレイ。サッカー好きな僕は「ベッカムに恋して」で彼女を知ったのだが、過去のどの作品よりもブチ切れていて本当の意味で演技力が光っていると思った。
繰り返すが強烈な作品なので、このタイプが好きそうだなと思う人にピンポイントでお奨めします。
J-WAVEのヒロシでした。

ドミノ HP

STAFF| 09:25 | カテゴリー:

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