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イギリスと日本は、庭を「作ること」と「見ること」に関心を寄せる唯一の国。

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PROFILE
 
 
 今井秀治 - 写真家 -
1955年東京生まれ。武蔵野美術短期大学中退の後、赤坂スタジオ勤務を経てフリーカメラマンに。広告や雑誌を中心とした活動のかたわら、英国庭園の撮影に取り組み、ガーデンローズをはじめとする庭園植物、および庭園撮影で活躍。著書にライターの妻との共著「イギリス家庭のガーデニングアイデア200」「イギリスのバラに逢いに行く」、ポストカードブック「LOVERY ROSESかぐわしきイギリスのバラたち」「OLD ROSES麗しのオールドローズ」、CD-ROM「イングリッシュガーデン」などがある。
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5時頃行くと、本当に美しい庭が僕だけの物なんですよね。(今井)

今井さんが『イングリッシュ・ガーデン』と出会ったきっかけ、そしてその撮影を始めたきっかけは?

カナダに別の仕事で行っている時に、旅関係のPR誌の編集者の方と知り合いになり「今井さん日本に帰ったら、よかったら一度来て下さい」と声をかけていただいたんです。帰国してから訪れたら「“旅の本”で、何か面白い企画があったら出して下さい」と言われました。そして家に帰って家内に「こんな企画の事を言われたよ」と話したんです。

なるほど。

当時、家内はフラワーアレンジに興味をもっていました。日本だとお花屋さんで買ったお花でアレンジするんですよ。でもイギリスは“自分の庭のバラ”を朝摘んで、それをお客さんの為にアレンジするんですね。それを何かの本を読んで影響されたらしく、彼女はそれに憧れていました。

はい。

だから「『麗しのイングリッシュ・ガーデンを訪ねる』という企画書を書けば?」と僕が言ったら、彼女が本当に書いて…。

いいですね。やりたい事があったらすぐに企画書を書いて、なんとなくそれが企画として通ってしまうという事が!

そうですね。その企画が本当に通ったんですよ。そして家内が文章を書いて、僕が写真をそれを撮る事になりました。チケットからアゴアシまで付いて「2週間どうぞ行って下さい」と。でもその時はイギリスがどれほど綺麗か知らなかったんですよね。

“庭”に一番魅せられた原因は何ですか?

魅せられたというか…庭やバラを撮るというのは朝早く撮りはじめたりするんですよね。

撮影が早いんですよね。

そうです。庭の綺麗な“BB”というのがあるんですけどね。

ベッド&ブレック・ファーストの意味ですよね。日本で例えると民宿みたいなものですか?

そうですね。そういう所に泊まっていて一人で5時頃起き庭に行くと、本当に美しい庭が僕だけの物なんですよね。

贅沢ですね(笑)。

そうなんですよ。少し濡れた芝生の横を歩きながら。

わかりますねぇ。匂いがまた、たまらないですね。

草の匂いとか本当にバラが沢山咲いていて、いい匂いがするんですよ。その時の空気感みたいなものが良いというか、幸せな気分になりますね。

またホテルではなくて、B&Bというところがいいんでしょうね。

イギリスにはB&Bは星の数ほどあるんですけどね。『B&B For Garden Lovers』という小雑誌を見つけたんですよ。庭を愛するB&Bの為の本ですね。95年に企画書が採用されて…

ご夫婦で一番最初にされた仕事ですよね。

その旅行の時に『B&B For Garden Lovers』を、帰る日の前日か前々日に見つけたんですよね。それで慌てて「行ってみよう!」と本に出ている宿に電話していったんです。偶然『シャーリー・プールス・ファーム』が空いていたのでお店の人から「どうぞ」と言われて伺いました。

ラッキーですね。

そしたらそこはとても綺麗なお庭で、家内と2人で荷物も下ろさずいきなり庭を見て周りました。有名な『モティスフォント・アビー』や『バートン・ハウス・ガーデン』といった大きな庭は、何人もガーデナーがいて手入れをされているから美しいのはよくわかるんですけどね。個人の庭で、B&Bのオーナーが一人で手入れをしているのに物凄く綺麗なんですよね。

素晴らしいことですね〜。

キャシー・ドットという若いオーナーなんですけど、日本人が泊まったのは初めてだったそうです。「あなた日本から飛行機で13時間かけて庭を見にきたんですよね」と驚かれました。こちらは一生懸命に写真を撮ってるし、もう一人は一生懸命ノートに色々書いているので、オーナーが手伝ってあげなきゃと思ったらしくて、1時間ぐらい付き合って案内してくれましたね。

それで日本に帰ってきた後、再び行く事になるんですよね。

あまりにも綺麗だったので家内と「また来年も行きたいね」と言っていて。行くにあたってはこれを仕事にしないといけないという事でね。

あはははは。そうですね。

撮ってきた写真を色々な出版社に持って行ったら評判が良かったので『B&B For Garden Lovers』をテーマにして30〜40件取材しようかと思いました。日本でもガーデニングが流行りそうだったので自分ではタイミングがいいかなと思いました。そして以後3年くらい続いていくんですけどね。



街中なのにゲートを開けた瞬間に別世界ですね。(今井)
イギリスは自然の残し方がうまいですよね。(葉加瀬)

そして翌年は本格的にB&Bを回られる事になるんですよね。

『B&B For Garden Lovers』を取り仕切っていた、スーさんという人がいるんですけど。2年目の時に自分達で3軒ぐらいB&Bを選んで回った時に、それぞれのお宅で「そんなに一生懸命やっているのなら、時間を作ってスーに会った方がいい」と言って頂いて、それでスーに会いにいきました。突然行ったので会えなかったんですけどね。その時期はテニスの『ウィンブルドン』の時だったから。

イギリス人らしいですね(笑)。

その時に簡単な手紙を書きまして“是非スーさんにいろいろな事を伺い、出来たら日本で一冊の本にしたいですけど”などと書いて、結局会えずに帰ってきました。そして次の冬に「あなたに全てスケジュールを合わせますので御願いします」と。

「コーディネートして下さい」と言ったんですね?

そうです。そして翌年スーの所に行くんですよ。3日間かけて取材するんですが「この日はここに行きます」という具合に彼女が連絡をしてくれたので、何も心配もなかったです。“どうやら日本人のカメラマンと奥さんが来るらしい”というのを既に皆さん知っていましたから。

今井さんの訪れた中で、凄く印象に残っているお庭や場所、もしくはB&Bなど。幾つかあげるとしたらどこですか?

ヨークシャーのリッチモンドですね。『ミルゲート・ハウス』というのがあり、そこは男性2人で経営しているんですよ。小学校の英語の教師をしている2人なんですが、その庭の手入れが素晴らしいんですよ。イギリスは『オープン・ガーデン』というのがありましてね、2ポンド払って庭を見せて頂くんですよ。それは全部チャリティーになって『N・G・S』(ナショナル・ガーデン・スキーム)という団体に寄付されるんです。

へぇ〜、寄付されるんですか!

それが交通遺児の基金になっていく。「イギリスらしいな」と思いました。そこに『ミルゲート・ハウス』も協賛しているんですよ。僕達が行った日はオープン・デイで庭が一番奇麗な時。1日1,000人のお客さんが来園されるぐらい有名なB&Bなんです。

なるほど。

でもそのお客さん達が帰って翌日僕達が訪ねた時は、僕達しかいないんですよ。

あはははは!

ピークから1日しか経ってないから庭はもの凄く綺麗なんですよ。この写真なんですけど…この3階建てのクラシックな建物なんです。

(写真を見ながら)「一面グリーン」と言う一言ではもったいないぐらいなんですが…、庭の向こうは川になっているんですね。

ずっと田園風景になっているんですよ。これは何が素晴らしいかと言うと、リッチモンドはとても大きな街なんですよね。

はいはい。

駅前の大きな通りに面している所に『ミルゲート・ハウス』の入り口があるんですよ、グリーンの扉が。街中なのにゲートを開けた瞬間に別世界ですね。

別世界ですねぇ〜。

この写真はとても街中とは思えないんですけどね。

イギリスは庭もそうですけど、自然の残し方が素晴らしいですよね。まるで200年、300年と時が止まっているような景色がどこでもすぐに見られる所ですよね。

そうですね。イギリスで「何が綺麗でしたか?」と聞かれると“庭”はもちろん皆さん綺麗なんですが、どうして綺麗なのかというと、この奥の田園風景。カントリーサイドの風景がいいんですよね。緑の丘陵で羊がメーメー鳴いてそうで。突然このような大きなガーデンがあったり。

はい。

建物は古くてムードもあるし、そこに腕のある人がバラを咲かせていますから。これはもう太刀打ち出来ませんよ。

全てがトータルでパーフェクトなんですもんね。



庭が好きなジェントルマンは、日本の庭が好きなんです。(今井)

『シシングハースト・キャッスル・ガーデン』。これはガーデナーのサンクチュアリ=聖地と言われてるそうですね?

『シシングハースト〜』は中世の廃墟になったお城を、ヴィタ・サックヴィル・ウエストという詩人が旦那と二人でお城を購入して経営しているんです。旦那がデザインをし彼女が植栽してお庭を作っているんですよ。

はい。

『シシングハースト〜』は生垣で小部屋の様に区切っているんですよ。イギリスは「秘密の花園」 というのが好きで、入り口正面から見るとバラの庭なんですけども、横をふと見るとハーブだったり、他を見ると芝生のロング・ボーダーがあったりして、それぞれテーマ別に区切っているスタイルなんですね、そういう典型的な美しいガーデンの一つが『シシング・ハースト〜』なんですね。

そうなんですか。

『ホワイト・ガーデン』というのがありまして、そこは白い花だけで作っているんですよ。ちょうど7月になるとバァーッと白い薔薇が咲いていて、手前側もズーッと白い花が咲いているんですね。それが日本でも“ホワイトガーデン”という名前で人気になっているんです。日本人がイギリスに行くと『シシングハースト・キャッスル・ガーデン』が一番人気があります。

1つづつテーマで庭を区切るという事は、なかなか日本人では発想できませんね?

そうですね。イギリスに行ったらどこでも言われるんですが。お庭が好きなジェントルマンは大体、日本の庭が好きなんです。

ほ〜…。

「世界中で一番日本の庭がいい」と言いますね。例えば京都の庭など。ヘルマン・ヘッセの本の中でも“日本人がどんなに素晴らしい庭を作るのか、お前は知らないのか”と息子に言うシーンがあるんですけど。イギリスのインテリであればあるほど、京都や鎌倉の庭とかに詳しいんですよ。

へぇ〜、そうなんですか。

僕は京都の庭を見ていないので、逆に何でイギリスで日本の庭が評価されているのか分からないけどね。

全然違う感覚なんでしょうね。

イギリスの人から言わせると「庭に哲学を持ち込むのは日本人だけだ」と言うんですよ…それ自体が哲学的で僕には解らなかったんですが。

ハッハッハッハッハ! それはいいコメントですね(笑)。

僕は単純にオールド・ローズが好きなんですよ。オールド・ローズが咲き乱れる庭を求めて行くんですけど。イギリス人にしてみれば「何であんなに素敵な庭があるのに、わざわざイギリスにバラを撮りにくるのか」と言う人さえいます。

「君たちには苔があるじゃないか」みたいな感じですか(笑)?

そうですね。

でもそれはそう思いますね。僕はイギリスの庭も日本庭園も両方を美しいなと思いますけど、あまりにも“庭”に対する作るもののイメージが違いますからね。

共通しているとすれば、イギリス人も日本人も“庭を作る”ということに非常に重きをおき、庭を見る事に非常に一生懸命になるということですね。それに関してはイギリスと日本は唯一の国だと思います。

かもしれませんね。

田舎町に行って初めて見る庭でも、持ち主に「僕は日本人だ」と言うと、「入ってお茶を飲んで行きなさい」とか言ってくれるんです。イギリスの庭好きな人は日本人の事を評価されていて、勝手に日本人の事を“京都のように落ち着いた庭が好きだ”と思ってるんですよ。カメラを持ってイギリスの伝統的な庭を撮っていると「何しにきたんだ?」と非常に興味を持って見られますね。

なるほど。



陽が沈んでから20〜30分。凄く柔らかい光の時間がある。(今井)
夕方の、なんとも言えない雰囲気の頃がいいんですね。(葉加瀬)

専門的に“写真家”としての今井さんにお話を伺いたいんですけど。1日の時間の中では、やはり朝が一番美しいのですか? “庭”というのと“バラ”というのは。

朝の光というのは比較的に無色透明感があって、カメラマンとして“あるがままを写す”みたいな所があります。一方、夕方の光は青みや赤みがあり凄く柔らかい光ですね。自然の光ではないので花の色は多少変わってしまうんですよ。

そうなんだ。初めて伺いました。

イギリスの6月は夜8時位まで明るいので、陽が沈む瞬間から沈んでから20〜30分くらいは本当に「ふぉあぁ〜」ってもの凄く柔らかい光の時間があるんですよ。そのような時に薔薇園で一人で写真を撮っていたら、とっても幸せな気分になるんですよね。それは“自然な写真か”と言うと違っていて、着色されたような独特な写真になってしまいますね。

イギリスの夕方は遅いですからね。

イギリスの6月というと暗くなるのも21時、22時ですからね。

陽が沈んだ後の夕方の、なんとも言えない雰囲気の頃がいいんですね。

そうですね。その時間が僕は一番好きですね。晴れている日は毎日綺麗な光の時間帯が必ずあるので、その時はイギリスにいて「幸せだな」と思う瞬間なんですけど。

でも結構雨にもやられてもいるんじゃないんですか(笑)? やはりイギリスは雨がとっても多い国なので。晴れた日に写真を撮ろうとすると、雨の日はお仕事を休みにせざるをえない日が多いんじゃないですか?

そうですね。以前『シシング・ハースト・キャッスル』へ行った時に雨が降ってきちゃいましたね。凄く寒い日で冷たい雨だったんですね。その時は観光バスなども来ていて混雑していたんですけど。雨が激しくなったのでレスト・ハウスで休んでいたんです。僕はもともと『シシング・ハースト〜』が綺麗なので撮りたいと思っていたんで、雨が上がるのを待っていました。雨が上がって庭に戻ってみたら観光バスの人達は帰ってしまって、広い『シシングハースト〜』に家内と2人だけになったんですよ。

贅沢な時間ですね。

雨上がりはもの凄く光が綺麗なんですね。

そうでしょうね。

花は濡れているからアップの写真は難しいのですが、『シシング・ハースト〜』の庭全体を撮る写真としては綺麗な光で撮れるんですよ。

濡れているからそれぞれが光ったりしてね、輝きを持つというか。その 『シシング・ハースト〜』にはどうやって行けばいいのですか? 結構大変なんですか?

場所的にはケント州といってロンドンから1時間30分位の所です。電車で行って最寄り駅からタクシーで行くという人もいますが、日本の駅みたいに“駅へ行けばすぐタクシーがある”という場所ではないので。

そうですよね。イギリスは大概はありませんよね。

結構それで失敗したという話をよく聞きます。僕達はレンタカーを借りて行くんですがね。だからロンドンから『シシング・ハースト〜』だけではなく“ガーデンを巡るハトバス”みたいな1日バスツアーがあるので、ツアーを使って行った方が無駄がなくていいと思います。

なるほど。



イギリス人はバラを見たらまず匂いを嗅ぐんです。(今井)
あんなに甘い香りの花はないですよね。(葉加瀬)

今後の予定というか、またイギリスには行かれるんですか?

そうですね。今年も是非、バラの聖地を巡っていい写真を撮っていきたいと思ってますね。

今井さんが思う“いい庭”とはどういう庭ですか?

僕はバラが好きで、特にオールド・ローズが大好きなんです。日本でもオールド・ローズのバラ園はたくさんありますが、やはりイギリスの“古いレンガの壁に蔓バラが咲く”といったシチュエーションが見られるカントリーサイドは素晴らしいんですよね。気持ちいい空気や、夕方の凄く綺麗な光の中にあるオールド・ローズを見に行くのが好きなんです。

今井さんにとって“バラの魅力”というのは何ですか? 僕はバラというと一番に匂いを思い浮かべますね。あんなに甘い香りがする花も珍しいですよね?

最近日本でも「香りのバラ」という特集があったりするんですけど。日本人とイギリス人のバラの根本的な選び方の違いは、イギリス人はバラを見たらまず匂いを嗅ぐんです。見てても皆さん花を鼻元に近付けます。日本の人はバラの匂いを嗅ぐんですが、顔に付けないんですよ。

そうですね。

特に女性はそうですけど、香りの一番好きな物を買うんですよ。玄関の入り口や奥さんが出入りする台所口に植えてあるバラは、その家の奥さんが一番好きな香りのバラを植えるというんですよね。色とか形じゃなくてね。

へぇ〜!

それくらい香りの事をとっても大切にするみたいですね。

あれほどいい香りのものはなかなかありませんからね。ところでこれからのシーズンで一番お勧めの“お花”や、“お勧めの庭”はありますか?

僕はそれほどスコットランドの事はよくわからないんですけど。7月になったらスコットランドも花が咲くので行ってみたいんです。スコットランドのいろいろなお庭には凄くいいオールド・ローズがいっぱいあるそうなので。

うわぁ〜、ぼくも行きたい。連れてって下さいよ(笑)。僕はウィスキーも大好きなんですよ。“モルト・ウィスキーと庭を求めてスコットランドを旅する”なんて、なかなか素敵ですね。

スコットランドはイギリス以上に情報もありませんし、それ以上に訪れるお客さんも圧倒的に少ないので、”行ったら僕達しかいなかった”という事が随所にあるらしいですよ。そこで咲きこぼれるオールド・ローズの匂いを存分に嗅いで写真を撮ってというのがいいですね。

いいですねぇ。是非連れてって下さい。そういう企画書を書いて下さい。

それ是非やりたいですね。

ありがとうございました。


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