ON AIR DATE
2017.11.26
BACKNUMBER
  • J-WAVE
    EVERY SUNDAY 20:00-20:54


☆☆☆☆☆☆☆☆


訓市がantenna*からセレクトした記事は・・・

数十年でクルマをすべて電気自動車に──「ガソリン車廃止」を目指す世界各国の思惑


TUDOR logo

Theme is... Vehicle Breakdown


『Travelling Without Moving』=「動かない旅」をキーワードに、
旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。


★★★★★
番組前半はリスナーの皆さんから手紙、ハガキ、メールで寄せられた
旅にまつわるエピソードとリクエスト曲をオンエア!

後半のテーマは「車の故障」。
バックパッカー時代、スペインのフェスを満喫した後、
南フランスへと向かう道中に訓市が体験した
「車」にまつわる過酷だったエピソードについて語ります。



★★★★★
番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。

この番組では一度オンエアした曲は、二度と選ばない!
という鉄のルールを勝手に設けていますが・・・
一年の終わり、12月というこてとで、
過去にオンエアした曲のリクエストも受け付けます。

今年、番組で聴いたお気に入りの曲、
過去にかかっているけど、もう一度聴きたい曲などなど、
ぜひ、お寄せください。

さらに、年末年始の「お悩み相談」特集!
旅のこと、恋愛のこと、仕事のことなど、何でもOKです。
アナタのお悩み、相談、質問を送ってください。
訓市が愛を込めてお答えします。

手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
メールの方は番組サイトの「Message」から送信してください。

リクエスト曲がオンエアされた方には番組オリジナル図書カード、
1000円分をプレゼントします。
皆さんからのメッセージ&リクエスト・・・ お待ちしてま〜〜〜す!!!


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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna* TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛

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2017.11.26

MUSIC STREAM

旅の記憶からあふれだす音楽。
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
1

Across The Universe / 10 CC

2

There She Goes / Sixpence None The Richer

3

Gone Till November / Wyclef Jean

4

Space Cowboy / Jamiruquai

5

光と影 / ハナレグミ

6

Here's Where The Story Ends / Tin Tin Out feat. Shelley Nelson

7

Say What You Want / Texas

8

Perfect / Alanis Morissette

9

November Rain / Guns N' Roses

2017.11.26

ON AIR NOTES

野村訓市は、どこで誰に会い、
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。

Kunichi was talking …


★★★★★★★★

車の故障というと、古いフォルクスワーゲンのバンが走っているときに火を噴いたりとか、普通に事故って廃車になったとか、むちうちになったとか。いろんな思い出がありますが、一番思い出深い話をしたいと思います。それはもう20年近く前になりますが、スペインの南で行われていた3日間のフェスに行ったときのことです。ひと夏中遊びながら各地を転々として、フェスに行ったり人の家に居候したりしていたので、お金はないし、常に腹はすいてるし、暑いしで、夏の終わりの頃にはもうすっかり痩せて、この後どこに行こうかと考えても何も浮かばないような状況でした。しかも、フェスが終わった日、行くあてもなくどうしたものかと考えていると、夕方になって突然、雹まで降ってきました。あれはもう体に当たるとめちゃくちゃ痛いんです。知らない人の車のバンの扉の下で雨宿りしながらやり過ごしたんですが、そうこうしてるうちに友達の友達というフランス人が、素晴らしい提案をしてきました。『みんな家に来るかい?』彼はメガネをかけた、ちょっと変わった格好したヒッピーの子で、スペインから見たら、ピレネー山脈を越えた反対側に古い城を持っているというのです。城ですよ、シャトーですよ。貴族の末裔だか何だかということで、その山の中にある城に一人で住んで、好きなアートを作って暮らしているらしくて、人ならたくさん泊まることができるというのです。あっという間に10人以上、そこに行きたいという仲間が集まりました。日本人は僕とその最後まで一緒に残った相棒2人の3人。あとはイタリア人やカタルーニャ人やイギリス人、アイリッシュなど、バラバラな仲間でした。夏の終わりのフェスでそのまま自分の国には帰りたくない。まだまだ友達と一緒に馬鹿騒ぎがしたいというさびしんぼうクラブにとって、こんな魅力的なオファーはありません。早速、車に分乗して南仏を目指そうということになりました。もう辺りは暗くなっていたので、今すぐ出たとしても着くのは夜中過ぎ。各自、雹が小雨になったのを見計らって、急いでテントをたたみ、バックパックを持ち寄りましたが、そこで一つ問題が持ち上がりました。それは、誰がどの車に乗るかです。



★★★★★★★★

出発するときに誰がどの車に乗るか、大きなバンが確か2台ありました。どちらも仲良したちが乗り込むことになって、1台は旅好きのスペインの女優が自らハンドルを握ってまして、それに乗りたかったんですが、そうするともう1台のほうが余ってしまうということになりました。持ち主は、イビザの主の一人と呼ばれていた、完全強面のおばさん。といっても、今の僕と同じ歳ぐらいなんですが、彼女でした。『私は一人じゃ運転しないよ。誰か付き合え。』と、みんなが楽しそうに乗り込むときにそう発言しました。彼女は知り合いと言うほど話したこともなく、筋肉質で日焼けしていて、全身タトゥーが入って英語は片言という人で、どちらかというと話が弾むというよりかは、詰まるタイプでした。けれども、最後に参加を決めた僕らがその彼女のバンに乗れば全てがうまく収まるという雰囲気をプンプンに漂わせられてしまいまして。タダで乗る身としてはそれに乗り込まないわけにはいきませんでした。しかもツイていないことに、僕が一番元気だということで『助手席に座れ。』と言われました。出発してすぐ、後ろの2人は雨に濡れる心配もなく、長旅の疲れもありまして窓に頭を寄りかけて、本当に数分で爆睡してしまいました。それに対して僕は、アマゾネスのようなおばさんと、疲れて眠いというのに必死で話をしなければなりませんでした。じゃないと眠いって言うんですよ。これは本当に辛かったです。まったく会話も弾まない、怖いおばさんと夜道を走る。疲れたときの助手席っていうのは本当にまずい席だなと実感したんですが、やがて、夜道を走るバンはピレネー山脈を抜けるトンネルにさしかかりました。これはフジロックに向かうときの関越のようなものすごい長いトンネルらしくて、確か手前だかなんかに国境もあったと思います。ガタガタ走ってるうちに、暗いのでウトウトしてしまいました。ピレネーを超えたらお城はそんなに遠くないといいな。早くゆっくり寝たいな。そう思いながら気絶していますと、『起きろ』とアマゾネスから低い声が発令されまして、びっくりして飛び起きました。本当にここはどこだっていう感じの場所で、『どうしたの?』聞くと、ガス欠だと。トンネルは10キロだか20キロだか忘れましたが、その長いトンネルのど真ん中で、日曜の夜で、車も全然通らないんです。『どうするの?』と聞いたら一言、『押せ。』と。まさかピレネー山脈のど真ん中で、人力で車を押すとは夢にも思っていませんでした。よだれを垂らして寝ていたうちの一人を何とか叩き起こして、ドアを開け、2人で必死に押しました。人間どんなときでも火事場のなんとか力っていうのはあるもので、どのくらい押したのか、どのくらいの長さだったのか記憶も定かじゃありませんが、トンネルを抜けガソリンを入れました。アマゾネスは当然、ハンドルを握らなきゃいけないというので1mも押してません。確実に彼女の方が力は強いと思うんですけど。その後、気絶して寝てしまいましたが、さすがに彼女も何も言いませんでした。そして結局、夜明け近くに城に着いたんですが『着いたぞ。』と言って起こされ、その彼女自身が最初にお茶を入れてくれました。そこから仲良くなったというわけじゃないんですが、なぜか目配せで『お前を認めたぞ。』と言われた気がしました。
車の故障っていうのはいろいろあると思うんですが、何気に怖いのは、このガス欠っていうやつで、海外に行って走っていると、何十キロも次のガソリンスタンドがなかったり、対向車と出会わないということがあります。皆さん、出かける前は忘れずに。