ON AIR DATE
2017.02.26
BACKNUMBER
  • J-WAVE
    EVERY SUNDAY 20:00-20:54

☆☆☆☆☆☆☆

Let's travel! Grab your music!

TUDOR logo

Theme is... Around The World




『Travelling Without Moving』=「動かない旅」をキーワードに、
旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。



★★★★★
番組前半はリスナーの皆さんからお寄せ頂いた旅のエピソードと、その旅に紐付いた曲をオンエア!
後半のテーマは「世界一周の旅」。
訓市が26歳の時、初めて他人のお金で購入した
地球2週半分の航空券を手にして向かった先とは?
その体験をベースに作り上げた一冊の雑誌に込めた、ダサいけど熱い思い・・・
改めて、その当時に書いた自分の文章を読んで感じた
17年前と今の自分について語ります。



★★★★★
番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。

リクエスト曲をオンエアさせていただいた方には
図書カード1,000円分をプレゼントします!

番組サイトの「Message」から送信してください。
手書きのハガキ、手紙も大歓迎!
日曜日の夜に聴きたい「ゆったりした曲」をゼヒお寄せください。


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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna* TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛

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2017.02.26

MUSIC STREAM

旅の記憶からあふれだす音楽。
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
1

By Your Side / Sade

2

Sad Vacation / Johnny Thunders

3

Valerie / Amy Winehouse

4

White Blood / Oh Wonder

5

今日まで そして明日から / 吉田拓郎

6

You And Your Smile / Chris Bell

7

That Look You Give That Guy / Eels

8

Self Control / Frank Ocean

9

Wake Up / Arcade Fire

2017.02.26

ON AIR NOTES

野村訓市は、どこで誰に会い、
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。

Kunichi was talking …


★★★★★★★★

先日、渋谷の本屋さんで写真についてのトークショーに呼ばれました。僕が生まれてはじめて連載を持ち、自分自身の文章を人に見せるということで、恥ずかしくて身悶えた“relax”という雑誌があります。そこで編集をしていた湯沢さんという方が僕にジョブをくれた大変ありがたい人で、その湯沢さんの提案を快く受け入れてくれたのが当時の編集長の岡本さん。その岡本さんがトークショーに呼んでくれました。日曜の朝10時からだったのですが、Instagramで“時間通りに来るかこんなに心配したのははじめて”という投稿を、前の日の夜、酒を飲んでいるときに気づきまして。先輩にこんな思いをさせてはいけないなと思い、そのグラスでやめて朝ちゃんと行きましたが、時間通りに行ってこんなに喜ばれることってあるのかなと。トークショー自体はまばらな笑いもあり、なんとか無事に終わりました。しかも、岡本さんに面と向かってはじめて『実は君の仕事をとても評価していたんだよ。』って褒められて、年上の人に褒められるというのはいくつになってもいいものだなぁと。できれば朝昼晩ほしいなと思いました。夜になってまたInstagramを覗いたら、岡本さんが“トークショーで使うのを忘れた”と添えながら、僕が26歳のときに世界一周チケットを買って取材をして、はじめて作ったインタビュー雑誌、Sputnikの序文をあげてくれていました。僕は自分が書いたものや作ったものをほとんど見ることがありません。作っているときが一番たのしい。終わったものに興味がないというのもあるんですが、あとで見るとだいたいこそばゆかったり、なんだこの中途半端なものは、と思ったりすることも多いので、全く見ないんです。なので、この序文を見たときに僕はものすごい衝撃を受けてしまいまして。というのも、それは自分が自分の名前で世の中に出したはじめてのもので、その時ものすごく悩んだことを思い出したからです。書いた本人からしたらすごく寒い内容なのですが、それでも当時、自分がインタビューした、忙しいのに時間を割いて付き合ってくれた人たち、そのインタビューがなんで作られて、なんの目的があるのかをちゃんとしなければ、誰も手に取らないんじゃないのかとすごく真剣に考えまして。しかも、周りの助けにすごく頼りながら1年以上をかけて作ってきたもので、はじめて他人のお金でチケットを買った旅行。かっこつけたくない、無理をしたくはない、というのが常でしたが、この時ばかりはかっこつけてると思われようと、熱いとかクサイとか言われようが、とにかくこの目的を伝えなければいけない。それなりに僕は必死な気持ちでこの序文を書きました。


★★★★★★★★

僕はその、はじめて書いた序文というものを、岡本さんという編集者の方のインスタで17年ぶりに目を通しまして、それは過去の日記を読んでいるかのような、または昔の自分から17年かけて手紙が届いたような気がしました。随分、必死だったんだなぁ、肩肘張ってるなぁというのがまず思ったことですが、その本を作る時に出会った人たちのことを思い出しました。ちょうど1年で地球一周を2回半分のチケットを買いまして、全部で40万くらいだったのかな。すごい安い時間ばかりかかるコネクションフライトで、一人リュックを背負って移動を続けました。僕はよく何をしているんだと聞かれますが、なにかを0から生み出すアーティストでもなければ、メッセージを発信しようという人でもありません。自分が好きなように時間を過ごして、見たものや出会った人たちとの時間のなかで、自分が素敵だなと思うことをただミラーのように反射してみなさんに見せるといいますか、インプットがないとアウトプットができない人間です。そしてそのインプットのほとんどを僕は旅に頼ってきてるんだなぁということを思いました。その本を作っている時は、自分に作りきれるのか、インタビューでなにを話すのかという心配をしたり。でもその心配より、誰かと出会えるという好奇心が勝って無計画に突撃していった日々。僕は旅をしてずいぶん助けてもらったんだなぁと。そして旅をしている時に、実は無駄な時間を過ごしているんじゃないかとか、疑問をたくさん持っていましたが、その答えを見つけたような気がしました。無駄な時間は1秒たりともなかったと。遠くの場所で一人で過ごし、知らない環境の中で過ごす1分1秒というのが、自分が普段の生活の中で見つけられない、考えもしなかった思考とアイディアをくれたんだと。なので、その機会をくれた出版のイデーという会社にもすごく感謝をしました。まさか自分が17年前にもらったその機会をそのまま引っ張って17年もやるとは思っていませんでしたが、まだ同じような視点を持っているのかなぁと、疑問にも思ってしまいました。恥ずかしいですがその序文をここで披露したいと思います。本はSputnikといいまして、自分は人工衛星みたいに意味もなくまわるけど、人工衛星みたいにものが見れたらいいなという、そういう思いを持って付けた名前です。

『人工衛星の視点で世界を見ることができれば、すべてがありのままに見えるだろう。この本の目的は、ライフとは何かに焦点を当てることにある。ライフとは僕たちがしていること、好きなこと、そして意思を映し出す鏡のはずである。衛星の視点を持ち、カテゴライズすることなく互いの良いスタイルを学び、取り入れることができれば、自分自身の新しいスタイルを創り出せる。自分自身の行き方を求め、その経験を皆と分かち合う人のために編集されたのがこの本。』

偉そうなことを考えています。気持ちは同じはずなのですが、今の自分を17年前の自分が見たらどうなのかなぁと。フラットな目線を持ち続けるためにもこれからもどこかに長く旅に行きたいなあ。