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2017.01.15
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  • J-WAVE
    EVERY SUNDAY 20:00-20:54

Let's travel! Grab your music!

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Theme is... From The Window




『Travelling Without Moving』=「動かない旅」をキーワードに、
旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。


★★★★★
番組前半はリスナーの皆さんからお寄せ頂いた旅のエピソードと、
その旅に紐付いた曲をオンエア!
後半のテーマは「窓からの風景」。
もはや苦痛となっている飛行機での移動中で唯一の楽しみが、
窓から見える外の景色・・・
夜便の機内からマンハッタンの夜景を観て感じたこと。
そして、ロサンゼルスに向かう時に観たものとは?



★★★★★
番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。

リクエスト曲をオンエアさせていただいた方には
図書カード1,000円分をプレゼントします!

番組サイトの「Message」から送信してください。
手書きのハガキ、手紙も大歓迎!
日曜日の夜に聴きたい「ゆったりした曲」をゼヒお寄せください。


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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna* TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛

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2017.01.15

MUSIC STREAM

旅の記憶からあふれだす音楽。
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
1

Me / Dido

2

Paranoid Android / Radiohead

3

Budapest / George Ezra

4

Make You Feel My Love / Adele

5

Zoot Kook / Sandii

6

Mrs. Cold / Kings Of Convenience

7

Choosen / Blood Orange

8

Omstart / Cornelius

9

Kissing A Fool / George Michael

2017.01.15

ON AIR NOTES

野村訓市は、どこで誰に会い、
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。

Kunichi was talking …


★★★★★★★★

去年の11月と12月に弾丸でニューヨークに行ってきました。まずニューヨークで2泊して、そこからロンドンに行き、またニューヨークに戻ってきて2泊して東京に帰るという、もうほぼ苦行のような出張です。それから日本に1週間いて、そのあとロスに2泊してからサンフランシスコに3泊という出張にも行きました。昔は本当にどんな時差も平気で、ハードな日程を組んでもまったく関係なかったんですが、いまでは時差が1時間あるだけで時差ボケになるくらい堪えるようになってきました。それが俗にいう加齢のせいなのか。僕の体は人の家のカウチで寝泊まりする時期が長すぎたのか、いまになって急速にガタがきてるなぁとしみじみ実感します。20代の頃はヨーロッパに行くのに片道30時間以上というのはザラでした。とにかく安く飛べて、できるだけその滞在先に長くいるというのがモットーだったので、乗り継ぎ4回とかいう無茶な安チケットで行ってましたが、いまは時間もないので、飛行機に一番お金をかけて、速攻で帰るというスタイルになってきました。飛行機もビジネスクラスというのがありますが、よく使います。“いいなぁ、思ったよりお金持ってるんだなぁ”と勘違いする人も多いんですが、なんのことはない、マイルを死ぬほど持っているんです。使い切れないくらいマイルが溜まってしまうんですよね。これだけ乗ってステータスが上がっていくと、1.5倍くらいつくので、どんな時でもアップグレードができてしまうんです。海外の友達に『訓はすごい飛び回ってるなぁ。お金貯まった?』って聞かれると『金は貯まらないけど、マイルは貯まった。』と。みんな笑いますけども、これが“ジェットセッターでいいわね”、の実態です。ビジネスクラスというのは体を横たえることができるので楽になんだろうと思われていますが、ぜんぜんそんなことはないです。横になっても、ミイラみたいに動かずコチコチに固まって寝てるので、降りると身体中痛いです。あと僕は気圧の変化にすごく敏感で、飛行機の気圧が少しでも低いと頭痛になるので、飛行機に乗るというのはそれだけですごく憂鬱です。薬を飲んだりするのでお酒も飲めないですし。そんな飛行機ですが、1つだけ好きなことがあります。それは窓からの景色。今回の旅は久しぶりに夜便が多くて、普段見れない景色が見られてすごく楽しいものでした。ニューヨークには普通に行ったんですが、ロンドンに向かう時は夜便で向かいました。ニューヨーク発の夜便に乗るのがすごく久しぶりで、夜遅くざわざわする出発ロビーを抜けて飛行機に乗り込んで、飛び立ったばかりの飛行機の窓から眼下に広がるマンハッタンの夜景を眺めていました。飛行機は旋回していくので傾いた時に地上がぐわっと大きく見えるんですけど、やっぱりニューヨークのあの街並みのライトは本当にすごいというか、地上から見る時とはまた違う趣がありまして、それがだんだん離れていくにつれて自分の意識も遠のいていくような、そんな不思議な気分でした。ただ、ロンドンからニューヨークに戻る便も到着が夜だったんですが、今度は近づいてくる街の明かりが“現実に帰っておいで”という道標のようで、“あぁ、やっと現実に帰ってきたぞ”っていうそんな気分になりました。出発する時の明かりもすごく綺麗ですが、帰ってくる時の夜景のあかりというのは“お疲れ様でした”というような、すごくあったかい光のような気がしました。



★★★★★★★★

一度日本に帰ってきて、今度は羽田からロスに向かったんですけど、出発が夕方だったので、ものすごく綺麗な富士山が見えました。雲海の上にポコーンと出た富士山が夕日を浴びているというのはあまり見たことがなくて。僕は常々、風景写真を撮るのはiPhoneの容量の無駄だと思って撮らないんです。撮ると現実に見えてる風景とあまりに違ってがっかりするというか。でも旅行中ってそれでも撮るじゃないですか。あとでMacとかにつないで全部見たときに、『なんだこのわけのわかんない写真は?』そういうのが10枚くらい続いてたりするとうんざりするんです。でも、その景色はそんな僕でさえ思わず撮ってしまうような綺麗な風景でした。いろんなことがあって、最後はジョージ・マイケルやレイア姫まで亡くなってしまった2016年でしたが、その富士山は、“なんだか悪くない年なんじゃないか”と一瞬でも思ってしまうほど、素敵な風景でした。風景といえばロスに行った翌日に友人の結婚式に出たんですけど、その会場がシルバーレイクというところからちょっと山を登った頂上にあるすごく古いお屋敷でした。男性はタキシード、女性はちゃんとドレスを着てたんですが、牧師さんの話があるときは外で。もう死ぬほど寒くて、隣にいる女性なんていうのはちらっと見ただけでわかるくらいサブイボだらけで、“助けてくれー!こんなところじゃ寒くて気がおかしくなってしまう!”と言って、浴びるように酒を飲んでましたけど、夕暮れ時になったときのLAの景色というのがとにかくすごくて。冬は空気が澄んでるじゃないですか。こんなに綺麗だったっけな?っていうような景色で、寒い寒いって言ってた周りの人たちも、その夕日の時はいつまでたっても建物の中に入らずに眺めてました。
ロスの次はサンフランシスコに行きました。僕がロスに行くといつも泊めてくれる友人がいるんですけど、僕が古い建物好きなのを知っているので、『開発から取り残されたような大通りを走っていこうか。』と言って、マンチェスターという通りだったと思うんですけど、そこをずっと流してくれました。LAもおしゃれになっちゃったところは、もう2度と行かないぞって思うくらいの街並みになってしまっているんですが、LAとかサンフランシスコはサインペインターという、お店の名前とかを壁に手書きで書く人たちがサインを手がけるんですけど、そういうのが全部残ってまして。僕が最初にアメリカに行ったのはロサンゼルスで、その中学の時に見た当時のロスの風景がフラッシュバックしてきて、すごくノスタルジックな時間を過ごすことができました。ロスのいいところは、平家とか2階建ての家が多いので視界を遮るものがないところ。特に大通は1階が店舗で、その上に大きい看板がたってるじゃないですか。夕方になるとあれがギャラリーみたいに見えるというか、広告自体がアートみたいな。それと、要所要所見えるヤシの気の影が本当に最高だなと。
サンフランシスコにはサンタクルーズという町があって、そこから森に入ったところにアーティストのトーマス・キャンベルが住んでいます。僕の大好きなサーフィンの映画を撮ったり、音楽レーベルをやったり絵を描いたり、なんでも自分で作っちゃう人なんですけど、彼のところと、ソノマにあるワイナリーを尋ねました。ハイウェイワンという古い高速があってLAまで行けるんですけど、それで行くといまの直通の高速に比べて倍くらい時間はかかってしまいますが、海岸沿いの崖の端を走るようなハイウェイで、僕はここを20年位前にフォルクスワーゲンの古いバンを買って友達とずっとキャンプをしながら走ったことがあります。車から見える景色を見ているとそのことをすごく鮮明に思い出してきて、無人のビーチで昔、自分が停めたところを見つけると、そこに車を停めてぼーっと水平線の向こうを眺めたりしてしまいました。美しい景色というのはそれ自体もすごく美しいんですが、特に一回訪れたことのある場所というのは、また違う景色が見えると思います。そして今の自分とかつての自分。同じ場所から同じ方向を見ているんですが、何も変わってなくて、変わったのは自分だけという、とても寂しい現実なんですが、10年後にまたこの道を走ることがあったら、いったい自分はどんな風になっているのか、なんともぼんやりした気分のドライブでした。