ON AIR DATE
2016.08.07
BACKNUMBER
  • J-WAVE
    EVERY SUNDAY 20:00-20:54

Let's travel! Grab your music!

TUDOR logo

Theme is... DANCE


『Travelling Without Moving』=「動かない旅」をキーワードに、
旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。


★★★★★
番組前半はリスナーの皆さんからお寄せ頂いた旅のエピソードと、
その旅に紐付いた曲をオンエア!

そして、後半のテーマは、「ダンス」。
映画監督で親友のスパイク・ジョーンズと過ごしたパリでのひと時、
パーティーで踊ったエピソードを語る。夏の夜の「ダンス」のススメ。



★★★★★
番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
ドライブ旅で聴いた曲なども教えてください。

旅に紐付いた「リクエスト曲」をオンエアさせていただいた方には
図書カード1,000円分をプレゼントします!
3曲セットの「ミュージック・ストリーム」セレクションでもOK!

番組サイトの「Message」から送信してください。
手書きのハガキ、手紙も大歓迎!
日曜日の夜に聴きたい「ゆったりした曲」をゼヒお寄せください。


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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna* TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛

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2016.08.07

MUSIC STREAM

旅の記憶からあふれだす音楽。
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
1

This Ain't Living / G. Love & Special Sauce

ヴォーカル&ギター、ハーモニカのG・ラヴをメインとした3人組バンド。1994年にリリースされたファースト・アルバムから。

2

Aquarela Do Brasil / Joao Gilberto

ブラジル人アーティストで、「ボサ・ノヴァ」を生み出した一人と言われるレジェンド、ジョアン・ジルベルト。1981年のアルバム『Brasil』に収録されている曲で、邦題は「ブラジルの水彩画」。

3

Blue Moon / Elvis Presley

リチャード・ロジャースとロレンツ・ハートの名コンビが生んだスタンダードで、多くのアーティストが取り上げている名曲。エルヴィス・プレスリーのヴァージョンは1956年にリリースされた記念すべきデビュー・アルバムに収録されています。

4

Twin Peaks Theme / Angelo Badalamenti

映画監督のデヴィッド・リンチが手掛け、1990年代初頭に大ヒットを記録したアメリカのテレビ・ドラマ『Twin Peaks』のメイン・テーマ曲で、アンジェロ・バダラメンティは映画音楽の作曲家として有名な人物です。

5

Sweet Memories / 松田聖子

1983年にリリースされた14枚目のシングル『ガラスの林檎』のカップリングとして収録された曲で、主にアレンジャーとして松田聖子の作品を手掛けている大村雅朗が作曲した珍しい作品です。

6

Talking 'Bout Hey Love / De La Soul

ニューヨーク出身の3人組ヒップ・ホップ・グループで、1990年代にヒット曲を量産したデ・ラ・ソウル。1991年リリースのセカンド・アルバム『De La Soul Is Dead』から。

7

Close To Me (Closer Remix) / The Cure

ギター&ヴォーカルのロバート・スミスを中心としたスコットランド出身のロック・バンド、ザ・キュアが1985年にリリースしたアルバム『The Head On The Door』に収録されている曲のリミックス・ヴァージョンです。

8

Got To Give It Up / Marvin Gaye

伝説のR&Bシンガー、マーヴィン・ゲイのアルバム『Live At The London Palladium』に収録されている唯一のスタジオ・レコーディング曲です。

9

Everyday / The Avalanches

オーストラリアのエレクトロニック系グループ、ザ・アヴァランチーズのデビュー・アルバム『Since I Left For You』の日本盤にボーナス・トラックとして収録されている曲です。

2016.08.07

ON AIR NOTES

野村訓市は、どこで誰に会い、
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。

Kunichi was talking …


★★★★★★★★
夏といったら、酒飲んで酔っ払って踊るというのが定番なんですが、先日パリにいった時も踊りについて楽しい夜がありました。僕はパリで映画監督のスパイク・ジョーンズという人と待ち合わせていました。スパイクとは毎年夏にどこかで必ず合流して最低でもご飯を食べよう、もしくは小さい旅行をしようということになっています。今年はどうしようかという話になったときに、僕が『これからパリに行く。』と言ったら、『俺も行くよ。』ということで、日程を少し合わせて合流することになりました。ベースが僕は東京で、彼はニューヨークなのですが、互いの街と違う場所で会うというのは新鮮でとても楽しいものです。そこでご飯を食べてお酒を飲みながら近況報告。近況と言ってもたわいもない、プライベートな話やどうでもいい話なんですけども。スパイクというのは本当に才能ある素晴らしい映画監督で、僕は彼の映画作品を見ながら育った一人なわけで、そんな人と酒を飲みながらくだらない冗談を言ってるというのがすごく不思議な気分ですが。彼のなにがすごいって、スケートボードのビデオからキャリアをスタートして、MTVで数々の傑作ビデオを撮り、それから企業コマーシャル。それもカンヌで賞を取るような素晴らしいものを撮り、そのあとハリウッドに進出して映画を撮るようになった。今では珍しくないですが、昔は監督になるというと、誰かの助監督をやったり、スタジオで働いてから正規の形で映画監督になる人が多かったんですが、スパイクは独学で始めて、好きなことだけをやりながら映画にたどり着いた。僕ら世代のDIY的な生き方の先駆者の一人です。予算の大小に関係なく好きなものだけをやっていくというスタンスは本当に素晴らしいですし、たまにブラックな話題とすごいメランコリックなものが同居する作品を作るんですけども、それって本人の性格そのものなんです。突然、突拍子もないことをしたり、おセンチになったりする面白い人。彼が今回パリにいたのはKENZOというブランドの新しい香水を発表するにあたって、スパイクが映像を作ったからでした。大きいパーティーがあったんですけど、その途中で映像を流すと。8時からのイベントなので必ず8時に来てくれと言われていたんですが、僕は仲間とヘミングウェイバーでどんちゃん騒ぎをしていて、千鳥足で行った時にはもう上映も終わっていました。たどり着いたら『ふざけんな』という話になりまして、みんなのためにもう一度上映してもらって。その後に『催しをするから必ず参加するように。』と言われました。格式あるらしい、古いホテルの1階と中庭を貸し切ったすごいパーティーだったんですけども、そこでまずスパイクが撮った映像を見ました。若い女優の子がクレイジーな踊りをする、とてもスパイクらしいおもしろい映像だったんですけども、それが終わったあと、突然ノリのいいお姉ちゃんのような男性の振付師が現れました。その人は映像の振り付けもしたらしいんですけど、彼にその場にいた人が集められて『さぁ、私の言ったようにみなさん一緒に踊るのよ!』と、振り付けの指導が始まって全員で踊らされました。だんだん難しくなるんですけども、一時期はやったパラパラのような踊りを上は六十代、下は二十歳そこそこ。それが一堂を会して同時に踊るわけです。これがばかばかしいんですがすごく盛り上がりまして、ドレスを着たかなり年配の女性も、タキシードを着たじいさんも、ノリがいいというか笑いながらちゃんと参加して踊ってました。何人か心臓を押さえていたので大丈夫かって感じだったんですけども。こういうときに『こういうのは俺っぽくないからやだなぁ』とか『僕はいいや』という人が少なくって、全員やるのが外国人のいいところですよね。照れたり文句言わずにすぐ参加します。僕ももちろん、先頭で踊りました。



★★★★★★★★
夏に汗をかきながら音楽に合わせ踊るというのは本当に気持ちのいいものです。パリのスパイクのパーティーで踊っていたおじいさんやおばあさんも、側から見れば様子がおかしいというか、完全にまずい動きをしている人もいましたが、でもやっぱりたのしそうで。そういう表情を見ているとこっちもウキウキしてきて、一緒にとなりで踊ってしまう。僕はいろんなとこで遊びに行って踊ってきましたが、そういう場で目が合って20分でも30分でも一緒に踊った人は、友達になって今も連絡を取り合っています。なんでしょう、言葉にならない会話というか、楽しい空気を共有したというのは、2・3時間話すよりはるかに強い何か相互関係というのを産むんじゃないかなと思います。やっぱり好きな曲がかかったときに自然に体が動くというのは、とにかく最高だと思います。パリの前に行ったニューヨークのバーでも、ジュークボックスに誰かが入れたリクエストで突然たのしそうに踊り出す人がいましたし、コニーアイランドの遊園地の横の歩道で漏れ聞こえる音楽に踊り出す黒人の女の子とか。踊りが激しすぎて一瞬びっくりしてしまったんですけど、本当にたのしそうで。なにがごいって、他人の目を本当に気にしてないんですよね。踊りたいから踊る、というのが表情に出ていて、音楽に対する反射神経が高いというか。ビートがくると無意識に動き出すというのは新鮮というか、それを見ると僕は『いま外国にいるんだなぁ』と思います。何しろ彼らは場所を選ばずに反射するので、それが駅のホームだろうがスーパーの中だろうが、信号待ちの車の中で踊ってる人とかいますからね。街でも区画を区切って、ブロックパーティーというんですが、路上のパーティーというのもあります。ニューヨークでは夏の間に結構そのブロックパーティーというのが開催されていて、バーベキューしたりして近所に住むじいさんやばあさんも繰り出して思い思いに楽しんでいます。日本だと盆踊りというのがありますけども、あれが盆踊りの音楽だけじゃなくて、ちょっとゆっくりなビートの曲をかけてもきっと町内会のおじいさんやおばあさんも踊れるんじゃないかなと思います。夏の間にみなさんもぜひ、『いや、もういいよ。』と言わずにぜひ1回踊ってみてください。それがどうしても嫌だというあなた。今からひとっ風呂はいって、ビールを飲みながらマーヴィン・ゲイで踊ってみてください。