ON AIR DATE
2016.07.03
BACKNUMBER
  • J-WAVE
    EVERY SUNDAY 20:00-20:54

Let's travel! Grab your music!

TUDOR logo

Theme is... Amusement Park


『Travelling Without Moving』=「動かない旅」をキーワードに、
旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。


★★★★★
番組前半はリスナーの皆さんからお寄せ頂いた旅のエピソードと、
その旅に紐付いた曲をオンエア!
そして、後半のテーマは「遊園地」。
訓市がアメリカで暮らしていた頃、楽しみにしていた移動遊園地、
「カーニバル」の思い出を語る。米西海岸、東海岸でおススメの遊園地とは?


★★★★★
番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
ドライブ旅で聴いた曲なども教えてください。
この夏の間に、「ドライブ・ミュージック」特集もお送りする予定です。

旅に紐付いた「リクエスト曲」をオンエアさせていただいた方には
図書カード1,000円分をプレゼントします!
3曲セットの「ミュージック・ストリーム」セレクションでもOK!

番組サイトの「Message」から送信してください。
手書きのハガキ、手紙も大歓迎!
日曜日の夜に聴きたい「ゆったりした曲」をゼヒお寄せください。


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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna* TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛

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2016.07.03

MUSIC STREAM

旅の記憶からあふれだす音楽。
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
1

甘く危険な香り / 山下達郎

山下達郎が同名のテレビ・ドラマ主題歌として書き下ろした曲で、当初、オリジナル・アルバムには未収録でしたが、ベスト・アルバムやリマスター盤などに収録。

2

Tico Tico / Paco De Lucia

スペイン、アンダルシア出身の超絶技巧派ギタリスト、パコ・デ・ルシア。2014年に66歳の若さで急逝した彼のドキュメンタリー映画も公開されました。

3

Soul To Squeeze / Red Hot Chilli Peppers

レッド・ホット・チリ・ペッパーズの隠れ名曲。アルバム『Blood Sugar Sex Magik』時にレコーディングされながらも収録されず、その後、映画『Coneheads』のサントラで陽の目を浴びました。

4

Je T'aime Moi Non Plus / Serge Gainsbourg

イタリアの伊達男セルジュ・ゲンズブールが監督と脚本を手がけた同名映画のために書き下ろした曲で、当時、不倫関係にあった女優ブリジット・バルドーの為に作られたと言われています。

5

カーニヴァル / 真島昌利

元THE BLUE HEARTS、THE HIGH-LOWSで、現在はザ・クロマニヨンズのメンバーとして活躍中のギタリスト、真島昌利のソロ・アルバム『Raw Life』の再発盤に収録されています。

6

Faithfully / Journey

ギタリストのニール・ショーン、ヴォーカリストのスティーヴ・ペリーを中心としたアメリカン・ロック・バンド「ジャーニー」の絶頂期にあたる1983年にリリースされたアルバム『Frontiers』から。

7

Jersey Clowns / Josh Rouse

アメリカの男性シンガー・ソングライター、ジョシュ・ラウズのアルバム『Subtitulo』に収録されている曲です。

8

Rollercoaster / Red Hot Painters

サンフランシスコのオルタナティヴ系ロック・バンド、レッド・ホット・ペインターズ。「ローラーコースター」の写真をジャケットに使ったアルバムから。

9

Mr. Bojangle / Jim Croce

1960年代半ばから70年代前半に活躍したアメリカのシンガー・ソングライター、ジム・クロウチがカントリー・ミュージックのスタンダード曲をカバーしたヴァージョンです。

2016.07.03

ON AIR NOTES

野村訓市は、どこで誰に会い、
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。

Kunichi was talking …


★★★★★★★★
僕が初めて海外に行ったのはカリフォルニアのロサンゼルスで、当然そこにある3大遊園地、ディズニーランド、マジックマウンテン、そしてナッツベリー・ファームに行きました。日本では後楽園とか東京ディズニーランドができてまだ数年でしたので、そんなに遊園地に詳しくなかったですが、アメリカに行ってびっくりしました。なにしろ客のノリが非常に良い。そして若い女の子たちの肌の露出がやたら多い。それでティーンのカップルがイチャイチャとデートしてるんですけど、妙に大人びていてそれを見るのもドキドキしたのを覚えています。高校の時、アメリカにいた時はスクールトリップというか、修学旅行みたいなものでフロリダのディズニーワールドに行ったことがあります。いろんな友達と大人数で行くと本当に楽しいですよね。とにかく何をやっても大騒ぎ。水に濡れたと言って大はしゃぎ。『子供っぽいぜ』とクールな男の子たちも我慢できなくなくて大はしゃぎ。遊園地というのは青春のためにあるんじゃないかと僕は思います。バックパッカーの頃にも日本に来た海外の友達とみんなでディズニーランドに行ったことがあるんですが、周りの人たちが僕たちの写真を撮るんです。『なんだ、俺たちそんなにかっこいいのか』なんて勘違いしていたんですが、よくよく考えるとアトラクションの人と勘違いされてたんですね。たしかに髪に鷲の羽をつけてるヒッピーの女の子とか、つぎはぎだらけの派手なコーデュロイのオーバーオールを着てる人とか、裸足の金髪の男の子とかいましたから、間違えてもしょうがないんですけど。バスの旅行もサーカスの人と間違えられましたね。格好に問題があるのかもしれませんけど。
僕は個人的に、大きい遊園地より巡業で回ってくる“カーニバル”という移動遊園地が好きです。アメリカの田舎に住んでいると、1年に1回やってくる彼らは本当に一大事で、小さな子供から大人まで心待ちにしていました。日本でいうところの夏祭りとか、そういうことになるんでしょうか。トラックに積まれたコーヒーカップのような乗り物や小さなジェットコースター、それから回転ブランコのようなものがありました。すごくカラフルな電飾がついていて、夕暮れ時の空に回転する回転ブランコの影、その後ろで鳴っている華やかな音や子供の歓声。時がスローモーションになったようなその光景は今でも脳裏に深く焼きついています。そして日本とは違う、赤と青のカップに入ったアメリカのかき氷。そういうのをみんなでよろこんで食べては、隅っこの方でタバコを吸ったりしてまして。それからカーニバルには小さなサーカスもついていました。僕が小さい頃、大人になった時の憧れはサーカスや道化師の団長になることで、アメリカで初めて移動サーカス、カーニバルを見た時はその頃の夢がかなったような気がしていました。



★★★★★★★★
僕がバックパッカーだった頃は90年代の頭から2000年の手前のあたりなんですが、その時代はバックパッカー最後の黄金時代だったと思います。最初のころはメールもないですし、まだまだいろんなことが秘密というか調べようがなかった。何か新しい場所を知りたいと思ったら現地に行かなければ情報が入ってきませんでしたし、とはいえ飛行機が発達してチケットも安くなって、行きたいと思ったらいろんなところにどこでも行くことができる、そんな時代でした。特に日本人にとっては円高になったのでどこに行くにも安くてそれがまたブームを後押ししたんじゃないかと思います。そんな中でいろんな国のバックパッカーや様々なバックグランドの人にも会いました。そんな彼らの話を聞くのが旅の醍醐味だったのかなとも思います。安宿街のカフェやビーチ、もちろん移動中の長距離バスや列車でいろんな人に会いました。ラフな格好だと思ったら元銀行マンや弁護士、マジシャンみたいな人やいつかミュージシャンになりたいという人までいろいろいましたけど、そんな中で興味深かったというか、印象に残っているのがサーカス流れのバックパッカーの人たちでした。かつてはジプシー、今ではロマと呼ぶ人たちです。ヨーロッパがメインだと思いますが、定住せず移動する生活スタイルを持つことですごく有名で、移動サーカスやカーニバルとそんな暮らしがすごく合うのか、今でもサーカスで働く人がすごく多いみたいです。
ある時ビーチにいると、ものすごくジャグリングがうまいヒッピーの若者たちが数人いました。ジャグリングというのはサーカスでやる、ボーリングのピンみたいなものを空中に放り投げたり、火のついたバトンを投げたりするもので、日本風に言えばお手玉。普通、2・3本というのは難しいんですが彼らは5本、もしくはそれ以上かな。まったく突っ立ったままポンポン投げるし、相手をたてて2人の間でジャグリングをずっとしてたり、夜になったらファイヤージャグリング。バトンの先にガソリンを浸して火を付けて、それを回すんですけど。本当にうまいというか、サーカスでもこんな若い子たちでうまいのってあまり見たことない。長髪で裸足、上半身も裸でくちゃくちゃな帽子をかぶっていて魔法使いみたい。英語をうまくしゃべれる子たちではなかったんですが、話しかけてみて『本当にうまいね。』っていうと、『僕らはロマで、サーカスで生まれ育ったんだ。』と。生まれた時からサーカス暮らしでもちろん家族もみんなサーカス。僕にとっては理想の暮らしですごくうらやましかったんですが、彼らはその暮らしに飽きて、自分たちで決まったところを移動するのではなく、世界を見に来たという感じで旅をしていたらしいです。僕も来世ではぜひそういう暮らしをしてみたいです。
移動式の遊園地というのはなかなか旅行に行く時に見つけて行くというのは難しいと思うので、もしアメリカのサンフランシスコに行くという方がいらっしゃったらサンタクルーズという街に行ってみてください。サンタクルーズは車で1時間くらい、シスコを海沿いに下ったところにあります。すごく古い、カルフォルニアのビーチタウンというのを想像したらここだ!という場所で、海沿いにボードウォークという遊歩道が残っていて、その先にもう100年くらいたった遊園地があります。ニューヨークに行く方はコニーアイランドまで行くと見世物小屋なんかもありますし、東京でいったら花やしき・オン・ザ・ビーチという感じで、サインとかもザ・アメリカ。そこにいるだけで自分が子供の頃に戻ったような気分を味わえると思いますし、ホットドッグなんか食べてぼーっとベンチに座ったらきっと夏の1番の思い出になるんじゃないかなと思います。