ON AIR DATE
2016.06.19
BACKNUMBER
  • J-WAVE
    EVERY SUNDAY 20:00-20:54

Let's Travel! Grab Your Music!

TUDOR logo

Theme is... RECORD



『Travelling Without Moving』=「動かない旅」をキーワードに、
旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。

★★★★★
番組前半はリスナーの皆さんからお寄せ頂いた旅のエピソードと、
その旅に紐付いた曲をオンエア!
そして、後半のテーマは「レコード」。
アナログ・レコードの魅力に惹き付けられている訓市・・・
その「きっかけ」や「こだわり」について語ります。
実は意外な人からの影響が大!それは・・・誰?


★★★★★
番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
ドライブ旅で聴いた曲なども教えてください。

旅に紐付いた「リクエスト曲」をオンエアさせていただいた方には
図書カード1,000円分をプレゼントします!
3曲セットの「ミュージック・ストリーム」セレクションでもOK!

番組サイトの「Message」から送信してください。
手書きのハガキ、手紙も大歓迎!
日曜日の夜に聴きたい「ゆったりした曲」をゼヒお願いします。


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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna* TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛

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2016.06.19

MUSIC STREAM

旅の記憶からあふれだす音楽。
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
1

Life / Des'ree

ロンドン出身の女性シンガー・ソングライター、デズリーが1998年にリリースした曲で、日本ではTVドラマで使われたこともあり大ヒットを記録し、当時、FM局でもヘヴィー・エアプレイされました。

2

Take It Easy My Brother Charlie / Astrud Gilberto

ブラジルのバイーア州生まれでリオ・デジャネイロ育ちの女性ボサノヴァ・シンガー、アストラッド・ジルベルト。1972年リリースのアルバム『Astrud Gilberto Now』に収録されている曲です。

3

Rollercoaster / Everything But The Girl

1980年代から90年代にかけて日本でも人気を誇ったイギリスの男女二人組、エヴリシング・バット・ザ・ガールが1994年にリリースしたアルバム『Amplified Heart』に収録。

4

I'm A Firefighter / Cigarettes After Sex

ヴォーカルのグレッグ・ゴンザレスを中心としたアメリカの4人組バンド、シガレッツ・アフター・セックスのアルバム・タイトル・トラックです。

5

ナイトクルージング / フィッシュマンズ

1995年にリリースされた9枚目となるシングルです。

6

Happiness / Molly Drake

イギリス出身の女性で、伝説のシンガー・ソングライター、ニック・ドレイクの母親でもあるモリー・ドレイクが自宅録音した音源を集めたアルバム『Molly Drake』。訓市の大プッシュ作品です。

7

When / Vincent Gallo

映画監督、俳優、画家、ミュージシャンなど多彩な活動をしているアーティスト、ヴィンセント・ギャロのアルバム『When』から。

8

Mirage / Sadistic Mika Band

今は亡き加藤和彦を中心とした日本のバンド、サディスティック・ミカ・バンドのデビュー・アルバムに収録されているインストゥルメンタル・トラックで、高中正義のギターがフィーチャーされています。

9

Coming Around Again / Carly Simon

ニューヨーク出身の女性シンガー・ソングライター、カーリー・サイモンが1987年にリリースしたアルバムのタイトル・トラックで、グラミー賞にも輝いています。

2016.06.19

ON AIR NOTES

野村訓市は、どこで誰に会い、
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。

Kunichi was talking …


★★★★★★★★
個人的な趣味の話なんですが、昔の旅の話ばかりしていると思い出すのが大変で、シワが減ってツルツルしてきた脳味噌に負荷をかけるだけなので、ちょっと息抜きのような話を。番組のタイトルにあるように『TRAVELLING WITHOUT MOVING』というのは日本語に訳すと『動かない旅』ということになりますが、これを体現する行為のひとつがレコードを聴きながら酒を飲むことじゃないでしょうか。僕は家にアルテックというスピーカーとアンプのステレオを持っています。これは本当に古くて、50年代の業務用のシステムというか、小さい映画館やラジオ局、あとよく中古が見つかるのは古い公民館で使われていたというようなもので、僕の身長くらいある、ベニヤ板でできた大きいスピーカーと鉄の塊のように重いアンプのコンビです。これがとにかく重いし場所もとるのですごく邪魔なんです。その音がすごくいいのかと聞かれると、真空管を使っているので、きっと最新のデジタルの機材にはもしかしたら勝てないところもありますし、デジタル音のバキバキした音楽というのには向かないと思うんですけど、これでレコードを聴くと、録音した歌手の息吹が聞こえるというか、本当に小さな溜息の音まで耳元で歌われているような、そんな音がします。なので、これでレコードを聴いていると、たちどころに意識が遠いところに飛ばされるといいますか、時間の離れたところに連れて行かれるといいますか。近い思い出、遠くの思い出というのが重なり合って、いろんなことを思い出したり景色を見たような気がします。
夜中に酒を飲みながらレコードに浸って聴いていたら、幼稚園児の子供に怒られたこともあります。『何時だと思ってるの?!うるさくて眠れないじゃない!』『いや、これマイルス・デイヴィスっていう人のバラードで、うるさくないと思ったんだけど・・・』って言い訳をしたら『関係ないでしょ!何時だと思ってるの!!』と。通じるわけないですよね。これだからいい、なんて。ひたすら謝った思い出があります。レコードと言うのは本当に面倒くさくて、いい気分で聞いてるとあっという間に片面が終わって、ひっくり返さなければなりません。特にソファーとかに座っていると、半分うとうとしているので面倒くさいんですけども。でも、それが“音楽を聴く”という行為にしてくれて、また何かを思い出すという旅の始まりの準備にもなっているような気がして、それはそれでいいのかなとも思うんですけどね。



★★★★★★★★
僕のレコードを聴く機材は古いものが多いです。もともと懐古主義というわけではないんですけども、古いものが好きで。こういう音楽の機材も古いものがいいなぁと思っていたんですが、やっぱりどうしても欲しいなと思ったのはヴィンセント・ギャロという人と一緒に仕事をしたからでした。彼は俳優・映画監督・絵描きでミュージシャン、完璧主義者と言われている人です。非常に愛すべき、そして面倒くさい性格の、おもしろいけど変人。また会いたいような、二度と会いたくないような、複雑な人なんですけども、そんな彼が情熱を注ぐのが古いアンプとかステレオでした。彼にいろいろ習ったんですが、彼曰く『アナログがデジタルになったというのは、音が良くなったわけではないんだ。』と。『デジタルというのはアナログで再現した音を、いかに小さく安くするための技術で、音質が良くなったわけではない。』というのが彼の持論で、『いつまでたっても音は周波数だ。』という決まり文句がありまして。昔の音がどんな音だったのかを聴くには、作者が録音してその音をチェックした機材で、なおかつそれで“OK”を出したものというが最良の音なんだ、と言うのを信じている人でした。僕はそれになるほどなぁと思ったわけです。つまり、古い機材で音を聴くと、こういうことが想像できるんですよ。例えば、このアルテックというスピーカーとアンプが置いてあるスタジオで、シャツ1枚になったマイルス・デイヴィスがトランペットを吹いて、そこで録音したものをそのまま聴いて、『これが最終テイクだ。』と言ってたんじゃないかと。そんなことをニヤニヤと想像していると、自分が座って音楽を聴いているソファーの周りの景色がモノクロになっていくというか、そんな気分になってきます。なのでレコードを聴くと、その人がその頃に住んでた街とか、こういう感じだったんじゃないだろうか、というのがだんだんオーバーラップしてくるんです。ロスにあるギャロの家に行ったことがあるんですけども、リビングの中には30年代の古いアンプやマイク、ラモーンズがツアーで使ったアンプとか、オーソン・ウェルズが映画の収録で使ったマイクというようなものがゴロゴロしてまして。男だったら、あれをみたら欲しくなりますよね。無骨でつまみがたくさんついている。つまみがあるとつまみたくなるのが男の心理だと思うんですが、皆さんいかがでしょうか。でも、そんな機材にこだわらなくてもレコードを聴くというのはすごく面白いものです。日曜日の夜に一人でお酒を飲みながらレコードを聴く。この番組で頂くハガキによく『日曜日の夜が憂鬱でしたが、この番組を聴いて楽になりました。』というのがありますが、『週末が終わった。1週間が終わってしまった。』と思うんじゃなくて、『これからが楽しい1週間の始まりだ。』と、レコードを聴くときっとそう思えると思います。