ON AIR DATE
2016.04.17
BACKNUMBER
  • J-WAVE
    EVERY SUNDAY 20:00-20:54

Why do you travel? Why you're not?

TUDOR logo

Theme is ... PARIS Part 2

『Travelling Without Moving』=「動かない旅」をキーワードに、
旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。

★★★★★
番組前半はリスナーの皆さんからお寄せ頂いた旅のエピソードと、
その旅に紐付いた曲をオンエア!
そして、後半のテーマは「「パリ Part 2」。
ファッション・ウィークで賑わうパリで訓市が足を運んだ2つのブランド、
「オランピアル・タン」と「エルメス」のショー・・・そのデザイナーは友達!
「Supreme」の新店オープンでパリに集まった若いスタッフ達との交流で
感じたこととは?



★★★★★
番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
旅に紐付いた「リクエスト曲」をオンエアさせていただいた方には
図書カード1,000円分をプレゼントします!
3曲セットの「ミュージック・ストリーム」セレクションでもOK!

番組サイトの「Message」から送信してください。
手書きのハガキ、手紙も大歓迎!
日曜日の夜に聴きたい「ゆったりした曲」をゼヒお願いします。


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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna* TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛

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2016.04.17

MUSIC STREAM

旅の記憶からあふれだす音楽。
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
1

I Believe I Can Fly / R.Kelly

2

Lovers Rock / Sade

3

Good Bye Yellow Brick Road / Elton John

4

This Is Not A Love Song / Nouvelle Vague

5

天国うまれ / 甲本ヒロト

6

I'd Love To / Morrissey

7

Weather Locklear / Bus Drive And Radioactive with Daedelus

8

Manoir de Mes Reves / Django Reinhardt

9

You Can't Always Get What You Want / The Rolling Stones

2016.04.17

ON AIR NOTES

野村訓市は、どこで誰に会い、
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。

Kunichi was talking …


★★★★★★★★
先日行ったパリの話を、もう少ししようかなと思います。久しぶりに1週間以上いたのでいろんなことをしました。行っていたのがちょうどファッションウィークのど真ん中だったので、街中でファッションショーが繰り広げられていました。ファッションウィークというのは、いろんなブランドがファッションショーを開催して、世界中から雑誌のエディターやカメラマン・スタイリスト、それからセレブと呼ばれる人たちが集まってショーを見て、その後アフターパーティでシャンパンまみれの夜を毎晩過ごす。着るものが完全に固定化されつつある中年の僕は、だんだんついていけなくなっています。レディースとメンズに分かれているのですが、僕がいた期間はレディースでした。僕にレディースを着る趣味があればもう少し楽しく見られるんですが、まだ人間がそこまで深まっていないので、物として『確かに作りがすごいなぁ』とかその程度で。どうしても現実的に考えると、レディースの服を着るというのはハロウィンくらいしかないので、そのアイディアをためてきました。そんな中、2つくらいブランドのショーを見てパーティーにも顔を出してみました。一人はオリンピア・ルタンという、昔の本の表紙を手で刺繍したクラッチバッグを作ってすごく知られて、今はショーをやっています。彼女は昔よく一緒にDJをしていて、朝まで適当な曲をかけて酔っ払ったり、週末はみんなでギターを弾いて歌ったりしていました。それが今となってはコレクションのデザイナー。すごく不思議な気分です。それから、似合わないんですけどエルメスのショーも見に行きました。いまデザイナーはナデージュという女性なんですが、彼女ももともと知っていまして。朝までワインを飲んで酔っ払って、明け方みんなで海に飛び込んだりっていう人で、まさかエルメスのデザイナーになるなんて全く想像もしていませんでした。人生って不思議だなぁというか、旅先で知り合う人というのは本当にみんなランダムで不思議です。なぜなのかと思うと、旅先というのは普段、自分が所属している名前とか仮面がなくなるので、出会った人とお互いの仕事が何かなんていうことは話さず、ワイワイやって友達になります。なので、利害関係がない、本当の友達というか。だから一生の、長い付き合いになることが多いと思います。友達と付き合うというのは、日本にいると仕事先の人とかが多くなってしまうと思います。でも、本当はこういう旅先の時みたいに、出会って訳のわからない話をして、一緒にとぼとぼホテルまで帰ったり、そういうのがすごく楽しいんじゃないのかなって。今回、パリにいた時も同じような感じになりました。自分にとって、何かモノを買うというよりは、一生旅にお金を使いたいなと思いました。


★★★★★★★★
パリに行った目的というのはSupremeという、もともとニューヨークで始まったスケートブランドがあるんですが、そのお店がパリにオープンするということで取材に行きました。東京に3店舗、あと大阪・名古屋・福岡にお店があって、新しいシーズンの服が入荷するともう、とんでもない数の人たちが徹夜で並ぶという、とても人気のブランドです。僕はまだ自分が20代、ギリギリ若い頃に、ニューヨークの店に溜まる当時のスケーターたちと仲良くなって、以来、ずっと仲良くしています。もう同い年の古株のスケーターなんて完全に若い子たちのお父さんのようで、何人かは亡くなってしまいましたし、今は10代・20代の子たちですごい元気です。オープンに合わせて総勢30人から40人は関係者が来ていました。一晩いっしょに夕飯を食べたんですが、よく叩き出されなかったなぁと思うくらい、そのレストランはものすごいことになりまして。マネージャーの人が元・スケーターというので温かい目で見てくれていましたが、まぁ次はないのかな、と。
パリにはリパブリックという広場があります。11月にあったテロ事件のすぐ近くで、その広場の銅像の周りには花束や追悼のメッセージが山のようにあるんですが、そこが今パリ随一のスケートスポットで、若いスケーターたちが元気に滑っていました。そういうのを見るとすごく前向きな気分になるというか、救われたような気がしました。僕はスケーターを見るといつも思いますが、スケーターというのは自分の目の前の路面とその障害物をクリアすることに意識を集中していて、決して後ろを振り向かない存在だと思うんです。それを温かい目で、親戚のおじさん気分で見ていたんですけど、若いスケーターって青春のすべてがあるような気がします。仲間とじゃれあったり、新しい技の練習をしたり、失敗すると「うぉぉおおおー」って吠えたり。でも、絶対諦めないですよね。そしてすごい無茶もするので、ジャンプで飛び降りて血まみれになっても絶対にやめない。あと、おもしろいのは割と強面の不良のおにいさんみたいなのがいるんですけど、実はちゃんと小さい子たちの面倒を見ていて、技を教えたりしている、というのがすごくいいなと思います。スケーターの集まる場所というのは、子供が歓声とか笑い声をあげるのと一緒で、どこの国にもある、共通のもののように思います。ニューヨークやパリ、ヘルシンキとかバルセロナにも大きいパークがありますけど、もし自分が「疲れたなぁ」と思ったら、夕暮れ時のスケーターの溜まり場をぜひ覗いてみてください。なんかすごく「あぁ、生きてるな!」っていう感じを少し感じられるんじゃないかなぁと思います。