ON AIR DATE
2015.12.20
BACKNUMBER
  • J-WAVE
    EVERY SUNDAY 20:00-20:54

M1はジョン・レノンの名曲カバー・ヴァージョン。M3は1980年代後期のメローなR&Bクリスマス・ソング。そして、ラスト・トラックは訓市が「平和」への思いを込めてセレクトしました。

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Theme is... RELIGION

★★★★★
テーマは「宗教」。

クリスマスを目前に控え、訓市が留学時代にアメリカで体験したこと、
世界各地で出会った人たちとの会話から感じた「宗教観」、
そして、世界中が平和になるために必要と思うことを語ります。
ミュージック・ストリームはクリスマス・ソングを中心に、
メロー&ムーディーなセレクションをお届けします。



★★★★★
番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
旅に紐付いた「リクエスト曲」をオンエアさせていただいた方には
図書カード1,000円分をプレゼントします!

3曲セットの「ミュージック・ストリーム」セレクションでもOK!
番組サイトの「Message」から送信してください。
手書きのハガキ、手紙も大歓迎! ←番組での採用率高し?!


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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna* TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛

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2015.12.20

MUSIC STREAM

旅の記憶からあふれだす音楽。
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
1

Happy Xmas (War Is Over) / Sarah McLachlan

カナダ出身の女性シンガーソングライター、サラ・マクラクランによるジョン・レノンのスタンダード曲カバー。2006年のアルバム『Wintersong』に収録されています。なお、2015年12月はジョン・レノンの没後30周年に当たる年でした。

2

It's Christmas All Over The World / Sheena Easton

イギリス・スコットランドの女性ヴォーカリスト、シーナ・イーストン。1980年にアルバム『Modern Girl』でデビューし、90年代にかけてヒット曲を量産しました。この曲は1987年リリースのアルバム『No Sound But A Heart』にボーナス・トラックとして収録されています。因みに、『Santa Claus - THE MOVIE』という映画のサントラの為に制作されたヴァージョンです。

3

My Gift To You / Alexander O'Neal

アメリカの黒人男性シンガーで、1985年にデビュー・アルバムをリリースし、それ以降、R&B、ブラック・コンテンポラリーのジャンルで大活躍したアレクサンダー・オニール。この曲はスタンダードとオリジナルのクリスマス・ソングを収めた1988年のアルバム『My Gift To You』のタイトル・トラックです。ジャム&ルイスのプロデュースが秀逸!

4

Winter / The Rolling Stones

ギタリストのミック・テイラー在籍時の1973年にリリースされたアルバム『Goats Head Soup』(邦題:『山羊の頭のスープ』)に収録されている曲で、ミック・ジャガー&キース・リチャーズ作のストーンズ流のクリスマス・ソング(?)

5

Midnight Flight / 浜田省吾

広島出身のシンガーソングライター、浜田省吾が1989年にリリースしたバラード集『Wasted Tears』に収録されている曲で、サブ・タイトルは「ひとりぼっちのクリスマス・イヴ」。

6

The Christmas Song / Nat King Cole

ポピュラー・ミュージック・シーンに燦然と輝くクリスマス・ソングの超名曲!ジャズ・シンガーのメル・トーメとソング・ライターのボブ・ウェルズが共作した曲で、ジャズを中心に多くのアーティストが取り上げていますが、究極はナット・キング・コールのヴァージョンです。

7

Last Walk Around Mirror Lake (Boards Of Canada Remix) / Boom Bip

アメリカのアーティスト、Byron Charles Hollonによるヒップ・ホップ系ソロ・ユニット、Boom Bip。2002年リリースのアルバム『Seed To Sun』に収録されている曲です。

8

Last Kiss / Pearl Jam

オリジナルはアメリカの白人シンガーソングライター、ウェイン・コクランの曲で、パール・ジャムのカバー・ヴァージョンは1999年のチャリティ・アルバム『No Boundaries: A Benefit for the Kosovar Refugees』にも収録されています。

9

Love / John Lennon

今年、生誕75周年、没後35周年を迎えたジョン・レノン。ビートルズ解散後、初めてリリースされたソロ・アルバム『ジョンの魂』にされている曲で、プロデューサーでもあるフィル・スペクーターのピアノとジョンのヴォーカル&ギターによるシンプルなアレンジの名曲です。

2015.12.20

ON AIR NOTES

野村訓市は、どこで誰に会い、
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。

Kunichi was talking...

★★★★★★★
クリスマスはクリスチャンの行事です。宗教というのは日本にいると話しづらいことの一つだと思いますが、旅をしていると一番異国との違いを感じるのは宗教観じゃないかと思います。日本は宗教に関してはすごくおおらかな国で、最近だとハロウィンで仮装して大騒ぎして、クリスマスはカップルのロマンティックな日となって、サンタクロースにプレゼントを頼んで、一週間後の大晦日はお寺で除夜の鐘を聞いて、そのまま明けて正月に神社で初詣。八百万の神が宿る国としておおらかな国ととるかは様々だと思うんですけど、海外にいると宗教というのは生活やその人たちの人生観というのにものすごく深く根付いていると思います。例えば何か悪いことをした後に日本人は「親にばれたらどうしよう」「会社にばれたらどうしよう」というのを最初に思うらしいんですが、欧米の人だと、悪いことをすると「神様にばれたらどうしよう」というのを最初に思うらしいんですね。それってものすごく大きい違いだと思うんですけど、そういう宗教の違いというのに直面した時に僕たち日本人というのはすごく不慣れなわけで、戸惑ったりすることも多いと思います。その宗教というのはどれがいいかっていうのは全くわからないんですけど、その国に暮らす人たちの根底にある宗教というのが日々の生活にすごく影響を与えるというのは理解しないといけないのかな、というのは思います。
僕がアメリカに初めて住んだのは、テキサスというバイブル・ベルトというとても信仰心の厚い地域です。それもみなさんカトリックじゃなくてバプティストが多い。生まれた時にすぐ洗礼して、その頂点にいる法皇を敬うのがカトリックですが、バプティストというのは自分の意思で洗礼を受ける一派でして。そういうのも日本にいる時は知ってましたけど、とても同じ宗教とは彼らも思っていないので、一緒くたにすると、「ぼくはカトリックじゃない」って強く否定されたりもしました。
アメリカにいてすごく思ったのは、善悪をはっきり2つに分けて考えることです。毎週日曜日に教会で牧師さんのお話を聞くんですけども、僕らもその前に日曜学校というのに行かされまして、死んだら天国に行けるのか地獄にいけるのかっていう話もすごく大きい議題で話していました。僕なんていうのは高校の時に天国・地獄って考えたことはありますが話し込むほど、議題になるような話だと思っていませんでしたし、ずいぶん違うんだなぁということをその時実感しました。それから、ちょうど僕がいた頃は湾岸戦争の頃で、ブッシュさんが州知事で高校生にスピーチしに来たんですけども、その時も今のイラク戦争というのは善と悪の戦いだということを二元論で話すんですね。さすがに10代でしたけど、善悪で分けられるわけないだろう、と。こんなの人は納得するのかと思うと、全員ものすごく納得しているわけですよ。だからそういうものの考えかたが違う国の人たちが集まってこの地球に住んでいるというのはそれぞれの場所にいって本当に自分で感じてみないとわからないことなのかなと思います。


★★★★★★★
宗教というのは本当に難しくて、一番戸惑ったのは、ヒンドゥの教えというか人生観というのがとにかく自分が小さい頃から習ってきた西洋的な考えだと思うんですけど、その善悪と大きく違うというのがありまして、そのひとつひとつを言うのは簡単ですが、ただその場で自分が受ける戸惑いとか驚愕というのはみなさん行ってみてもらわないとわからないのかなと思います。文字で読む情報ではないのかなと。そして世界はすごく小さいと言いますが、実はとても大きくて、自分たちの常識というのが世界中の常識だとは、とてもじゃないけど言えないというのが、きっとわかるようになると思います。それでいろんな宗教の人たちといろんな話をしてきました。例えばイスラエル人と仲良くなって、パレスチナの難民について口喧嘩したこともありますし、旅先で会ったムスリムの青年にイスラム教の素晴らしさを朝まで語られたこともあります。宗教のイメージというのはその宗教を語る人の印象によってもずいぶん変わるものだなぁと思いました。その時に会ったイスラムの青年のイメージはとても穏やかなもので、素敵な考えなのかなと感じましたし、逆にサラエボで出会ったムジャヒディン、アフガン戦争の帰還兵でしたが、彼が語るイスラム教とはまた印象が違うものでした。ただ、それぞれの語りでその宗教を判断するんじゃなくて、もっと大きく見なきゃいけないのかなと。最初に会ったイスラムの青年のイスラム教も、ムジャヒディンのイスラム教もやはり大きな輪の中では繋がっているわけでありまして。こういう宗教の話というのは予想外の人たちからもよく語られたりします。例えばラスタファリズムを信仰するレゲエマン。音楽だけで呑気にやっているのかと思ったら、実はすごく信仰心の厚い人にも会いましたし、白人のチベット仏教の人にも会いました。一つ言えるのは、この間パリでテロがありましたし、新聞やネットでいろんな紛争・戦争そういうニュースばかりを目にしますけど、実際に当事者の宗教の人たちと自分が出会っていろんな話をしてみないと、今何が起こっているのか結局わからないんじゃないかなあと思います。ニュースのコメンテーターや大学の教授が本や論文で勉強はしてると思いますが、どのくらい今語っている宗教や諍いについて生の経験を持っているのか僕はすごく疑問に思うんですけど。ただ、こうやってニュースをみていると、平和のために宗教があるはずなのに、ずいぶん宗教によって起こる争いや戦争がいかに多いのかっていうのを思いますね。何が解決かはわかりませんけども、僕は距離が近いから争いが起こるのかなと思います。例えば今、日本と韓国というのは何かにつけて仲が悪いと言いますけども、これがオリンピックみたいなのでアジアの選手が白人や黒人に囲まれて頑張っていると応援してしまったり。だから今、どうやったら戦争がなくなるかってみなさん話してますけど、やっぱりここは『インディペンデンス・デイ』みたいに宇宙から変なエイリアンが攻めてきて、みんなで団結しない限り無理なんじゃないかとさえ思ってしまいます。


★★★★★★★
クリスマスはクリスチャンの人たちの祭日で、世界中の人、皆が祝う日では実際ないのかもしれません。僕はいろんな所を旅している間にいろんな場所でクリスマスを過ごしましたが、今考えてみるとすごく西洋的な場所だったり、観光客目当てにクリスマスを祝ってる所が多かっただけなのかなとも思います。でも一年の終わりに、新しい年を迎えるちょっと前に、家族や友人と過ごしたり、子供がサンタクロースにプレゼントをもらえたり、そういう夢をみられる日があるというのは世界にとって悪い日ではないのかなと思います。世界中の異なる宗教を信じる人たちもこの日ばかりは争いをやめて、サンタを信じる子供のためだと思って、静かな一晩を過ごせれば本当にいいと思います。
先日、出張に行く時に読む本がなくて本屋さんに行った時に、村上春樹さんのエッセイを集めた雑文集という本があって、ちょっと買ってみたんです。パラパラと昔の雑文を読んでいた時に一つひっかかるお話がありました。それは村上さんがアメリカの大学で文学を教えている時のオフィスアワーの話で。オフィスアワーというのは、向こうの大学の教授は必ず自分の教授室というのを週に1回・月に1回開放して、そこで自由な議論をしたり、質問をさせたりというのを、日本でいうと道徳の授業に近いのかもしれませんけども、すごく大事な時間です。その時のことが書いてありまして。「自分の生徒は世界中ばらばらの所からきていたけど仲良くやっていた」と。「互いの違いに目を向けるよりも共通項を見つけてそれを熱心に話していた」って書いてあったんですね。それってすごく素敵なことだなぁとなんとなく思いました。最近メディアをみていると何か一つ嫌なことがあるとそれを掻き立てて煽り立てるというか、一個の問題が全てを表しているみたいな書き方をします。実際にその100倍以上繋がっていることとか仲がいいこととか、良いことっていっぱいあるんですけども、それには触れない。これは人との付き合いにも同じことが言えるのかなと思えます。僕ら全員が博愛主義になる必要もなければなれないのかもしれませんが、互いの違いについて話すよりも共通項について話していくほうが、よっぽど幸せなのかなと思います。クリスマス前ですが世界中そういう風に考えるようになれば少しは平和が来るのかなと思いました。