ON AIR DATE
2015.03.29
BACKNUMBER
  • J-WAVE
    EVERY SUNDAY 20:00-20:54

「別れと旅立ち」


花に嵐のたとえもあるぞ、さよならだけが人生だ。


でも、こんなこともある。
友達と別れたそのバス停で 新しい友達ができる。
そこから また新たな旅路が始まる。

旅は過去と未来を含んでいる。
別れと出会いを含んでいる。

TUDOR logo

Theme is... Separation & Departure

テーマは「別れと旅立ち」

年度末は「別れ」「旅立ち」の時期...
これまで世界各地で数多くの「別れ」を
体験している野村訓市が、
そのエピソードと、そこから得たことを
語ります。

Music Stream のキーワードは「Friends」

3月29日・日曜日の夜8時から・・・
check it!!!



★★★★★
番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージを
お待ちしています。

番組サイトの「Message」から
送信してください。
また、ハガキ、手紙も大募集!

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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
Antenna TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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スタッフ一同、お待ちしてます!!!

2015.03.29

MUSIC STREAM

旅の記憶からあふれだす音楽。
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
1

Still A Friend Of Mine / Incognito

「踊れるジャズ」というコンセプトのもと、1980年代後半にロンドンで隆盛し、日本でも一大ブームを巻き起こしたジャンル「アシッド・ジャズ」を代表するインコグニートの代表曲。バンドは今も現役で活動しています。

2

April Come She Will / Simon & Garfunkel

アメリカのポピュラー・ミュージックを代表する男性デュオ、サイモン&ガーファンクルの代表作で、ダスティン・ホフマン主演の名作映画『卒業』に収録されている曲です。

3

The Load-Out 〜 Stay (Just A Little Longer) / Jackson Browne

アメリカ西海岸系のシンガー・ソング・ライターで、1970〜80年代にヒットを連発したジャクソン・ブラウン… その絶頂期に当たる1977年にリリースされたアルバム『Running On Empty〜孤独なランナー』から。

4

Friends / Bob James

キーボード・プレーヤー、コンポーザー、アレンジャーとして数多くの作品に参加し、自身もコンスタントにリーダー作をリリースしているレジェンド、ボブ・ジェームス。この曲は1979年にリリースされたアルバム『Lucky Seven』に収録れている曲で、ニール・ジェイソンのヴォーカルをフィーチャーしています。

5

That's What Friends Are For / Dionne Warwick & Friends

アメリカの巨匠女性ヴォーカリスト、ディオンヌ・ワーウィックが1985年にリリースし、世界的に大ヒットを記録した曲「愛のハーモニー」。バート・バカラック&キャロル・ベイヤー・セイガーのペンによる曲で、「Friends」の顔ぶれはグラディス・ナイト、エルトン・ジョン、スティーヴィー・ワンダー!圧倒的なメンツです。

6

I've Been Trying / DJ Shadow

米カリフォルニア出身のターンテーブリスト、プロデューサーのDJ Shadow。2011年にリリースされたアルバム『The Less You Know, The Better』に収録されたメローなナイス・トラックです。

7

Good Riddance (Time Of Your Life) / Green Day

米カリフォルニア出身の4人組ロック・バンド、グリーン・デイ。1997年リリースのアルバム『Nimrod』に収録されている曲で、欧米では卒業や旅立ちの時、絶対に耳にするとか。様々なことが有っても「Time of your life」・・・人生の素晴らしい時を君が持てたことを祈る!という素晴らしい歌詞です。

8

Praise You / Fatboy Slim

「長い間頑張ってきたね。私がそれを認めて祝福してあげる」という素晴らしい旅立ちの曲!ファットボーイ・スリムはDJ、プロデューサーとして多岐にわたって活動しているアーティスト、ノーマン・クックの個人名義プロジェクトのひとつです。

2015.03.29

ON AIR NOTES

野村訓市は、どこで誰に会い、
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。

Kunichi was talking...

★★★★★★★
3月の終わり。僕が3月に思うのは 『花に嵐のたとえもあるぞ。さよならだけが人生だ』っていう詩なんですけど。これ、井伏鱒二っていう昔の小説家の方が古い中国の詩を訳したものですけど、人生その通りだと思っています。さよならっていうのはすごく寂しいんですけど、ただ思うのは、さよならの数だけやっぱり出会いがあるということでそれを強く信じたいですね。もちろん日常にも「別れ」、「旅立ち」というのはあるんですけど、それをギュッと凝縮したのが旅なのかなと思います。僕は一週間のパック旅行とか、卒業でハワイに行ってショッピングモールで・・・みたいな旅っていうのはしたことがなくてですね、だいたい旅に出ると何ヶ月も行くっていうバックパックの旅をしていたものですから物凄い出会いがあるんですよね。1〜2ヶ月と一緒に時間を過ごして密度がすごく濃いというかですね、何に例えればいいのかというと、修学旅行。修学旅行って意外な出会いがあるじゃないですか。例えばあんまり仲良くない友達と同じ部屋になって、寝てる時にピロートークみたいなのをしてるうちに、実はすごく面白い奴だっていうのがわかってしまって、修学旅行の間だけなんですけどもすごい仲良くなったり。僕らの旅というのはその修学旅行が2ヶ月とか3ヶ月続くみたいな感じでしてね。いろんな所で出会いがありました。それこそ電車に乗っていて、たまたま隣に乗っていた人と仲良くなったり、バス停で仲良くなったりですね。それで次どこ行くんだっていう話になって、ちょっと南に行って海に行こうと思ってるなんていう時に、だったら一緒に行かないかって一緒に行って宿をシェアしたりとかすごい楽しかったですね。そしていつか別れがあるんですけどもその時はすごく悲しかったですね。今みたいにメールがなくてバックパッカーって住所がないんですよ。実家にも帰らないし。そうするといつまた会うかっていうのがわからなくってバス停や駅、空港で長いお別れをするんですけど、だいたい自分が身につけてたアクセサリーとか何かをですね。僕も自分が付けてた気に入ったものをあげるんですけど、その交換をしていくうちに、気づくと自分が好きで身に付けてた物が一個もなくて、わけのわかんないトルコ石とかなんかのアクセサリーがジャラジャラ体に付いてて。でも、それを見るたびにその友達を思い出したりして捨てられませんでした。今でも自分の家の引き出しの中に全部あります。

★★★★★★★
1番別れとか旅立ちのシンボルみたいのは卒業だと思うんですけども。僕もアメリカの高校に1年通っていたので1回だけ高校の卒業式というのにアメリカで出たことがあります。映画で観たことがあるかもしれないですけど、四角いふさの付いた帽子を被ってですね、ローブをちゃんと着るんですよ。1人ずつ名前呼ばれて前に出て、最後あの帽子をみんな空高く投げるんですけども。感激したというよりかは、『俺、映画の中の1人みたいじゃないか』という。これリアルなの?っていう気持ちの方が強かったですね。すごく明るいっていうか、お別れっていうよりかは旅立ちっていう感じの儀式ですね。アメリカですと、メインは卒業式ではなくてですね、「プロム」と呼ばれるパーティーがあります。これは卒業パーティーなんですけども、カップルの人はカップル、そうじゃない人はここで告白をして、好きな人と一緒に、たいてい高校の体育館なんかでパーティーがあるわけですよ。みんなタキシード着て、男の子が女の子を迎えに行ってですね。胸に花のコサージュをもらって付けるんですけども。まあこの日はね、本当に無礼講の大騒ぎの日でして、門限がある子達もみんなこの日ばかりはみんなが遊びに行けるっていう大事な日なんですけども。逆に言うと、10代の娘を持つ父親にとっては人生の中で1番怖いっていう日らしいですね。こないだ僕がアメリカから来た新しい友達っていうのに会ったんですけど、10代の娘がいて去年プロムだったらしいんですね。ものすごい強面のお父さんでどうしたの?って聞いたら、娘の彼氏が迎えに来て、もちろん笑顔で迎え入れて。じゃあ出かけるって言って娘がドアを出た時にその彼氏をグッと引き止めてですね「話がある。お前が今晩俺の娘にすること全てを、明日俺がお前にしてやる」って一言言ったら縮こまって、固まって出てったらしいんですけど。僕も娘がいるのでそんな話を聞くと今からでも怖いですね。卒業の式というのがアメリカだと5月の終わりから6月ですかね。そこから長い夏休みに入って、その間にみんな次の大学で遠くに行ったり引っ越したりして本当にバラバラになっていくんですね。もう二度と会わないクラスメイト。僕はちょうどそのとき日本に帰らなきゃいけなくて、映画にあるような廊下にあるロッカーの自分の物を片付けてがらんとした学校を引き上げるのがものすごく寂しかったのを今でも覚えています。

★★★★★★★
卒業式とか新生活とかそういう話をしましたけど、日本は海外と違って新年度っていうのが4月なものですから、その卒業式とか退社してからもうほんの数週間でいきなり生活ががらりと変わります。まあ、せわしないですけども日本人はそういうのに慣れているんでしょうね。クリスマスやってすぐ正月とか。ただ、ばたばたとさよならがあって、すごく僕としては名残惜しいんですけども。このさよならと新しい旅立ちというのを桜と一緒に持てるというのが日本の素晴らしさかなと思っています。僕は世界中、色々な所に行きましたし、ここに一生住みたいと思ったことは一度もないんですけど、桜の時期の日本だけはもう本当に比べるものがないというかですね、どんな素敵な場所にいようが、接待付けのバラ色旅行をしていようが、桜を見に絶対帰ってきたいっていつも思っていますね。海外に住んだらきっといかにこの時期が素晴らしいかっていうのを実感すると思います。そして別れ。卒業以外にもいろんな別れがあると思うんですけど、本当に別れがある分だけ、新しい出会いがあると思います。僕もね、一生の別れみたいにおセンチに浸って、これ以上の友達はできないなんて思いながらですね、翌日「おお、すごくいい奴に会っちゃったよ」みたいので、一週間後くらいに「そういえば先週はあいつといたなあ」みたいな薄情なこともありましたけど。そうやって続いていくのが人生なのかなって思っています。居心地のいい慣れた場所っていうのを離れる人もいると思います。そういう時っていうのはすごく心細いというか、寂しいと思いますね。僕も新しい場所に行くときっていうのは1日2日やっぱり心細かったり、なんで動いちゃったのかなって後悔したこともありましたけど、次に行く好奇心が勝って新しい所に行くと必ず、前よりか良かったっていう実感と出会いがあります。みなさんもいい4月を迎えて、新しい出会いに、そして新しい思い出をね、今までよりか素敵なものが持てますように頑張ってください。