休日のお出かけで、手頃なのが「博物館」。なかにはコレクションがかなり個性的なものもあるようです。あの国にはそんな「変な博物館」はあるんでしょうか。今朝も2つの国のお二人にコネクトしてお送りします。

J.K. 「どんな変わった博物館変わった博物館がありますか」という質問です。

アメリカ・ニューヨーク 中村英雄さん

「アメリカンギャングスタ博物館です」

イギリス・ロンドン 川合亮平さん

「芝刈り機の博物館です」

●アメリカ・ニューヨーク 中村英雄さん

Q ニューヨークといえば、世界的に有名なさまざまな美術館がありますね。

A まず思い浮かべるのが、メトロポリタン美術館ですが、一応大前提として観光客が訪れる定番のメジャーミュージアムをあげておくと、近代美術館、グッゲンハイム美術館、ホイットニー美術館、フリックコレクション、クーパー・ヒューイット美術館、自然史博物館、911祈念館などがあります。あまり目立たない中規模の美術館としては、ニューヨーク市歴史協会、ニューヨーク公立図書館、ユダヤ人美術館、ホロコースト記念館、などがありますが、変わり種ではミッドタウンにある数学博物館やダウンタウンのバッテリーパークにある「摩天楼博物館」そしてウォール街にある「アメリカ金融博物館」がおすすめです。いずれも、数、金、ビルなど、一つの興味対象を「まじめ」に深掘りしているのが特徴。展示にも専門家によるキュレーションが入っており、知らなかった話題や事実がわかりやすく説明されています。 

Q なかでもユニークな博物館はどんなものですか?

A さらに小さな「係員が一人ぐらいしかいない」いわゆるマイクロミュージアムといわれるサイズのミュージュアムにも面白いものがたくさんあります。冒頭にご紹介した、イーストビレッジにある「アメリカンギャングスタ博物館」禁酒法時代の違法酒場の二階にある、わずか2部屋の小さなミュージアムですが、アメリカ組織犯罪の歴史が一目でわかります。当時の新聞記事、ギャングの親分のデスマスク、暗殺に使われた銃弾などよくぞ集めたと思うような品々が生々しく展示されていて、暗黒時代を体感できます。

そもそも、メトロポリタン美術館にある世界的な名画や秘宝だって、個人コレクターの収集品でした。「努力して、お金を稼いで、収集したら、みんなに見せる」これがアメリカンウェイです。

●イギリス・ロンドン 川合亮平さん

Q どこにあるどんなものでしょうか。

A イギリス北西部、リバプールよりもう少し北にあるサウスポートという海岸沿いの町にあり、このミュージアムを作ったのは元レーサーの、ブライアン・ラダムさんという方です。ラダムさんのご家族は、もともと家業でガーデニングショップをされており、1945年にLawnmowerworld(ローン・モーアー・ワールド)という、ガーデニング機器、特に芝刈り機の販売・修理に特化したショップをオープンされたんです。それがきっかけに、ラダムさんは、芝刈り機の魅力に取り憑かれて、そのショップに併設する形で芝刈り機の博物館を立ち上げられました。芝刈り機の歴史は、イギリス産業革命にさかのぼり、200年以上。ラダムさんは、ヴィンテージ芝刈り機の世界的権威、そして、アンティーク・ガーデニング機器の専門家として、メディアに出ています。

Q 中には何があるのでしょうか

A 200機以上の芝刈り機が詳細な説明とともに展示してあります。また、常設のテーマ展示として、Lawnmowers of the Rich and Famous(著名人の芝刈り機)というコーナーがあり、有名人が使っていた芝刈り機というコンセプトで展示してあります。例えば、ダイアナ妃や、ミュージシャンのブライアン・メイなど、そうそうたる顔ぶれです。また、Lawn Mower Racing(ローン・モーアー・レイシング)を紹介するコーナーもあります。ローン・モーアー・レーシングは、芝刈り機にまたがってレースをするという、1973年に英国ではじまったお遊びのレース競技ですが、中にはものすごく真剣取り組む人もいるようです。レース用に改造するとのことですが、エンジンはそのままで、芝を刈るカッターは危険なのでもちろん取り外してあるとのことです。ミュージアム・ショップには、ポストカードや、芝刈り機ガイドブック、マニュアル、DVDなど、マニアにはたまらない品揃えとなっております。