増え続ける日本の高齢者とその介護について、外国人の日本在留資格として今月から新たに「介護」が加わりました。これにより国家資格の介護福祉士を志望する外国人留学生が急増。人手不足の切り札となるか注目されています。さて、そんな「介護福祉事情」、世界のあの国ではどうなのでしょうか。今朝も二つの国にコネクトします。

「介護福祉士の資格というのはありますか」という質問です

中国・上海 松田奈月さん

「『介護スタッフ』『高齢者専門の介護スタッフ』の国家資格があります」

フィンランド・トゥースラ 靴家さちこさん

「ラヒホイタヤ(医療・福祉系の共通基礎)という資格があります」

中国・上海 松田奈月さん

Q 介護に関する国家資格はどのようにして取得するのですか?

A 学習期間、実際の介護勤務年数などによって、初級、中級、高級、専門技師と資格レベルがアップしていくような制度です。初級取得のためには180時間の学習もしくは2年間の実地、高級取得には最短でも7年以上かかるようです。ただこの国家資格があることを知っている上海の若い子は、あまり多くないようです。ちなみに中国の病院では、完全介護は一般的ではなく、入院の場合は、家族が泊まり込みか、患者それぞれが介護スタッフを雇って付き添うような形をとります。日本以上に介護スタッフに、看護士の領域の仕事が求められます。ですので、お年寄り専用の介護スタッフの仕事内容を見ても生活介護(衛生、睡眠、飲食、排せつ、安全に関する介護)、技術介護(薬服用、消毒、体温調節、臨終の際のお手伝い)など初級から多岐にわたり、高級資格になると、さらに救急、重篤の際の介護なども含まれるほか、お話し相手や心理介護などの心のケアまでその業務範囲に含まれるようになります。

Q 中国では長年続いた一人っ子政策の影響が大きいと思うのですが。

高齢者社会の問題は、今後深刻な問題になると考えられています。一人っ子政策も政策も2015年に廃止されましたが、都市部では一人の子供にしっかり教育をしたいという意識も強く、なかなかすぐに子供は増えそうにありません。上海では毎年60歳以上のお年寄りが20万人ずつ増加するとみられ、2020年には540万人、人口の36%までに達すると見込まれています。

フィンランド・トゥースラ 靴家さちこさん

Q その資格はどうやって取るのでしょうか?

A ちょうど今私がその資格取得のために学校にいっていますが、成人教育の場合2年課程。若者の場合は3年かけて勉強します。中卒以上の資格があれば誰でもチャレンジできるものです。失業者がこの資格取得を目指して就学する場合、社会保険庁から月額8~9万円相当の失業手当が出ます。私のように、この国で外国人として生きていくうえで、先の見えない就職活動しているよりは、日々通うべき学校や研修先があるというのは非常にありがたいことです。フィンランド人の介護士には、若くして親から進められて学校に通い転職したという人や、子供がもう大きくなって一人前になってから、人生を変えてみようと思ってこの道に踏み出してきた人、初めは保育士を目指してラヒホイタヤ資格を取ったのに、ちょっと違うかもと思って介護士に方向転換した人など、いろいろです。いずれも長く勤めている人は、人が好き、医療の現場が好きという人たちばかりです。コミュニケーションが行き届くフィンランド人の介護士からのサービスの方が嬉しいという人も少なからずいますが、私の現在の研修先にはタイ、フィリピン、と日本人の私がいますが、トロピカルな明るい雰囲気や勤勉さ、アジア独特の高齢者を敬う気風が重宝されています。

Q そもそもフィンランドの介護とは、家族がどれくらいかかわるのでしょうか

A: 高齢者は可能な限り長く自宅で暮らせるようにという考えが基本ですが、70年代から身内の扶養義務は法律で排除されています。高齢者本人も同居などもっての他、我が子に面倒を見てもらうことは期待していません。自宅介護を受けているフィンランドの高齢者たちは、ホームヘルパーの巡回、薬の手配、歩行器や手すりなどの補助器具、タクシーによる配膳サービスや、腕時計タイプの緊急通報アラームの装着などといった、公共のサービスを利用して日々の暮らしを成り立たせています。子供たちには扶養義務が無いとはいえ、できる限りのことはしています。ただ介護離職はしない、そこまではしなくていいような制度が整っています。